概要
妹紅が『東方深秘録』に登場した際にこの二つ名がみられる。
『深秘録』における二つ名は二つの語の節からなり、両者はエクスクラメーションマークを含む前段の語と、続く後段の語から成る。
前段は一部の例外を除き主に二語または四語から成る、意味が後段にもかかる語となっており、妹紅の二つ名の場合は「激熱」の二語から成る。後段は主に『深秘録』においてそのキャラクターが関連した、あるいは選んだ「オカルト」、「都市伝説」などに関連する語で、妹紅の場合は「人間インフェルノ」となる。
なお、原作中では「激熱!人間インフェルノ」のようにエクスクラメーションマークが全角で表記されているが、pixivでは全角記号をタグとして使用することができないため、本記事が示す通り、pixivで使用可能な半角による「 ! 」の表記で代用されている。
「インフェルノ」
後段の語のうち、「インフェルノ」( inferno )とは「大火」を指す語であり、冠詞「the」と組み合わさると「地獄」( the inferno )の意味ともなる。
ここから、「まるで地獄のような光景」というニュアンスを持つ。
妹紅の「人間インフェルノ」は主に「大火」を意味するものと思われる。
『深秘録』における妹紅のオカルトである「人体自然発火」では不老不死としての妹紅とこれまでの人生で体得した炎を操る妖術との両者がそろって発揮されており、「人が燃える」というオカルトを、伝承に違わぬ形で表現している。
妹紅は初登場した『東方永夜抄』等複数の作品でみられたものと同様に本作でも必殺技、オカルトアタック、スペルカード、怪ラストワードなどその攻撃の多くに火炎を使用している。
例えば怪ラストワード<*こんな世は燃え尽きてしまえ!*>では自身の身体の前で発生させた火の球を自身をも巻き込んで爆発させる攻撃を行っている他、通常攻撃でも手に持ったままの火炎の札を至近距離で爆発させたりもする。
元々スペルカードなどに「炎の中ので死を経て再生する」というフェニックスのスペルカードでその想いを表現していた彼女だからこそ、当該オカルトとの相性は非常に良いものといえる。
ただし妹紅の能力である「老いる事も死ぬ事も無い程度の能力」は、その「痛み」まで失う訳ではない。
痛いし、熱い。
これは『深秘録』では火炎系列の技を使うと自分の体力が低下する(自分のアクションで自分もダメージを受ける)というゲームシステムで表現されており、決闘中は攻撃とともにみるみる体力を失っていく。
その肉を切らせて骨を断つような戦法は、例えば必殺技の「自傷の火脚」や「自傷の火爪」、スペルカードの<焔符「自滅火焔大旋風」>など、技の名称にも見て取る事が出来る。
ただしこの自傷ダメージともいえるダメージは当初は回復可能部分として計算されており、本作では必殺技として設定されている<「リザレクション」>を行う事で自傷ダメージ部分を回復させる事が出来る。
妹紅は決闘中、巨大な火柱をあげてインフェルノを生み出しつつ、その火柱の中に生まれる火の球から再生するのである。
もう一つの「インフェルノ」
先述のように「インフェルノ」には「地獄」の意味もある。
一般的な語としては極めて否定的なニュアンスが込められたものとしての想像上の「地獄」であるが、東方Projectには機能する実際の機関として地獄は登場する。
東方Projectにおいて地獄は誰しもが「死」の先に一度は訪れる場所である。
この地にある是非曲直庁など地獄の機関で、閻魔らによって審判を受けるためである。ここで死後の魂の行き先が決定する。東方Projectにおいては、一般に寿命を延ばし続け「死」を遠ざけようとする仙人等には地獄からその正常な輪廻を機能させるために死神が派遣される。「死」を拒否する者には死神との戦いがあるのである。
しかし蓬莱人である妹紅には「死」がなく、延々と再生を繰り返す魂となっているため、「死」を経て「地獄」に至る事が無い。
さらに『深秘録』における茨木華扇との対話(対戦モード)では妹紅は死神から狙われる事が無く、逆に妹紅からは仙人が死神と闘って「 長寿 」を得ている事が他人事のように語られている。
人間にして不老不死を得た身でありながら、妹紅には死神との戦いは無いのかもしれない。
(華扇は『東方茨歌仙』において死神の小野塚小町と縁の深い様子が描かれている。ただし小町は魂を狩る部署ではなく三途の河の渡しが仕事)
「 もう死神からも狙われない 孤独であわれな死人よ 私は同情するよ 」(華扇、『深秘録』)
「死」が無い事もあって妹紅は『深秘録』において日本神話にも登場する生と死の境界に位置する「黄泉比良坂」に関連したオカルトボールに触れた際にこれに興味を持ち、ここから『深秘録』におけるそのストーリーが始まることとなる。
『深秘録』において妹紅は地獄の焔にも似た赤や青の大火と激熱を纏い、そしてその中で幾度もの再生を果たすのである。
PS4版『深秘録』では
『深秘録』は「Play,Doujin!」のプロジェクトも通してPS4にてさらなる作品発表の機会を得ており、このPS4版『深秘録』では「EXTRA」として『深秘録』に続く物語が語られている。
妹紅はこのEXTRAのストーリーにも登場しており、同エピソードでは霊夢や鈴仙・優曇華院・イナバも予期していなかった新たな都市伝説の怪異に巻き込まれることとなる。
この物語は『深秘録』から『東方憑依華』へと結ばれていく。
本作では蓬莱山輝夜の永遠亭に仕える鈴仙と弾幕を交わす他、鈴仙に対して「 鈴仙ちゃん 」と呼びかけるなど、『月のイナバと地上の因幡』(『東方儚月抄』)以外ではこれまで直接的には語られていなかった妹紅と鈴仙の関わり合いも語られるものとなった。
プレイヤーが使用できるものではなくストーリー中のCPU専用のものではあるが、炎系、フェニックス系のスペルカードがさらに増え、その中には『弾幕アマノジャク』で初披露した<惜命「不死身の捨て身」>なども見られている。
『弾幕アマノジャク』はSTGであり弾幕アクションである本作とは展開も異なるものの元々同スペルカードは巨大な火球となって相手に突撃し、遷移先では一定時間広域に攻撃判定を伴って停滞するなど弾幕アクションのような側面も持つ、弾幕アクション向きのスペルカードでもあるため、本質部分は同一。
やはり巨大な火球となった妹紅による突撃が展開される。
また命を燃やし尽くす正真正銘のラストワードである<「この何度目かの命、燃え尽きるまで」>後半では、『深秘録』までの時点の弾幕アクションでは極めて珍しい、タイムアップまで弾幕に耐えさせる完全な耐久スペルを披露する(CPU専用)。
この間妹紅のライフゲージが削れていく演出は、まさに妹紅の命が画面全体を覆っていく数多の青い炎となって燃えていく瞬間である。
「 地上最高の炎で月まで舞い上がれ! 」(妹紅、PS4版『深秘録』)
妹紅は弾幕アクション初登場にして一部の攻撃アクションによる自傷的なゲージ減衰や耐久弾幕などといったゲームシステム面でもこれまでの作品とはまた一味違った特殊な特性をもったキャラクターともなったのである。
この他EXTRAのストーリー以外でも妹紅と因縁の深い永遠亭、ひいては輝夜を意識したものと思われる妹紅の言葉がある。例えば鈴仙との会話においては永遠亭に不穏な動きがあると感知すると鈴仙に対して(永遠亭に)「 捨て身で襲撃してやろうか? 」(対戦モード対鈴仙勝利セリフ)と語りかけるなどのシーンも見られているなど、妹紅が初登場した『永夜抄』以後複数の作中で語られている妹紅の縁の在り方が『深秘録』でも見られている。
関連イラスト
- 妹紅と青い炎や炎の翼
関連タグ
余談ながら、アルファベット表記の「 inferno 」はアナグラムによって「 nonfire 」(non-fire。非火災、火によらない)という語にも転じる。