概要
東方Projectに登場する、自称「 健康マニアの焼鳥屋 」である藤原妹紅の能力の一つ。
東方Projectにおいて、元が人間で後天的にこの能力を獲得しているのは妹紅一人である。
詳細は「藤原妹紅」記事の「来歴」または「能力」の項目及び「蓬莱の薬」記事を参照。
蓬莱の人の形
不老不死は現実の世界においても歴史上から今に至るまで人類の夢の一つとされる。
しかし妹紅自身はこの能力のために他者から忌避され、あるいはそれを恐れ、百年ないしは千年単位で自暴自棄的な時間を送った過去があるなど、元々人間であった妹紅はこの能力に関連して想像し難い苦難を経ている。
また死や飢餓をかつてのように恐れる必要がなくなった妹紅であるが、一方で妹紅は「 不老不死の恐怖は永遠の孤独 」ともしており、妹紅が不老不死となったきっかけなども併せて「 罪にさいなまれる永い現実 」としている(『東方儚月抄』)。
現在は不老不死さえ受け入れる「 楽園の様 」な幻想郷で他者とのつながりを得て、それを支えとしている。
同じく幻想郷に逃れてきた身であり、かつ不死の存在である蓬莱山輝夜との縁も、今の妹紅にとっては大切なものとなっている様子である。
そのような経緯もあって、『儚月抄』では不老不死の肯定的な側面も見出すに至っている。
例えば上白沢慧音は妹紅にとって「 理解者 」であり、妹紅が信頼を寄せて自らの過去を感情も込めて語る様子が見られている。慧音のような出会いは、妹紅のこれまでの千年にわたる不死の歴史では得難い存在であった様子である。
ただし妹紅自身は死の可能性の探究を続けており、冗談か本気かは定かでないものの「集めれば死ねる」(=願いが叶う)という理由でオカルトボールを集めたりもしている。
特に神話において死と生の境界に位置する黄泉比良坂のボールに特に興味を惹かれた様子である(『東方深秘録』)。
その能力は弾幕ごっこにおいても生かされており、象徴的なものが<「リザレクション」>である。
妹紅の死と再生は弾幕ごっこの最中でも繰り返し表現されており、妹紅が初登場した『東方永夜抄』以後、『弾幕アマノジャク』などのSTG作品や『東方深秘録』など弾幕アクションでもそれは見られている。
またその過程では妹紅がその歴史の上で身に着けた火炎を操る妖術が生かされている。
例えば<「リザレクション」>そのものは登場しない『弾幕アマノジャク』においてもスペルカードの最中で<「リザレクション」>を繰り返しつつ弾幕構成が深化していく様が表現されていたり、そもそも<「リザレクション」>を前提としたスペルカードなどが披露されている。
「死なない」ために自らの身体を顧みないスタイル・戦法、あるいは妹紅の弾幕ごっこ上のメンタリティは弾幕アクションである『深秘録』などでは自身の炎系列の攻撃によって自らのライフゲージが削れていくという妹紅ならではの特殊なかたちでも表現されており、自傷ダメージともいえるそれを回復するには<「リザレクション」>が必要である。
システム上は自傷部分のみとはいえ「回復」であるが、実質的には炎による自滅の上での「復活」、「再生」である。不死の者でなければ採り得ないスタイルといえるだろう。
この不死性について幻想郷的な風土に新鮮さを感じる、今日の外の世界からの来訪者である宇佐見菫子などは妹紅が行使する火炎を操る術などよりもはるかにオカルト的であると驚いている(『深秘録』)。
稗田阿求曰く
『東方求聞史紀』における「幻想郷縁起」で、著者稗田阿求は妹紅に関して「 老いる事も滅ぶ事も無い躯を持つ。所謂不老不死である 」と述べている。
ただし痛みや空腹、寒暖等の生物としての苦痛が無いわけではないことにも言及し、永遠にその苦痛と共に在らなければならないことを指して「 それはそれで不老不死の憂鬱と言えるだろう 」ともしている。
また、この能力を得るに至る経緯については『求聞史紀』の段階では妹紅は阿求に語っていない様子で、阿求は「 訊いても決して話してくれないし、謎である 」としている。
そのこともあって「幻想郷縁起」では妹紅に関する出自など前後の関係性を阿求なりに推測または補完しているため、メタ的な妹紅に関する設定と「幻想郷縁起」の記述に齟齬があるということにも繋がっている。
なお、能力に関する経緯や幻想郷に来る以前の断片的な過去などについては『儚月抄』小説版にて妹紅の回想という形でストーリー中で語られている。
なかなか自分の事を語らない妹紅ではあるが、一方で阿求は妹紅について同じく不老不死である天人とは異なり一般的な人間と考え方などにそうそう違いはないとし、視線の近い者同士としてフレンドリーな友好関係を築いていくことについて明るい可能性を展望している。
関連イラスト
- 炎と不死 / 炎の中からの再生