概要
南関東ではM(マグニチュード)7クラスの巨大地震が歴史的に繰り返されて発生している。この地震は南関東の直下を震源とする被害地震クラスの数種類の大地震をまとめて指す呼び方であり、首都直下地震もこの部類に入る。しかし、南関東は地下構造が複雑なため過去の被害地震の発生様式が特定されていないのが現状だ。
相模トラフから北側をも含めた関東地方南部のいずれかの地域を震源域として、ひとまわり規模が小さいマグニチュード7前後の地震が平均数十年に一度程度の割合で発生している。例としては1855年11月11日(安政2年10月2日)の安政江戸地震(M6.9)と1894年(明治27年)6月20日の明治東京地震(M7.0)などが挙がる。大陸プレート内地震(直下型地震)に限らず、プレート間地震(海溝型地震)、スラブ内地震も想定される。また、震源が海底ではないため、緊急地震速報発信がS波到達の直後になってしまう可能性が高い。
東日本大震災発生以降に関東周辺の地震活動が活発化しているため、注目がなされている。
将来の地震発生確率
- プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震
地震の規模 | M7程度(M6.7~7.3) |
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地震発生確率 | 30年以内に、70%程度 |
- 関谷断層
地震の規模 | M7.5程度 |
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地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0% |
- 内ノ籠断層
地震の規模 | M6.6程度 |
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地震発生確率 | 不明 |
- 片品川左岸断層
地震の規模 | M6.7程度 |
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地震発生確率 | 30年以内に、0.4~0.6%以上 |
- 大久保断層
地震の規模 | M7.0程度以上 |
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地震発生確率 | 30年以内に、0.6% |
- 太田断層
地震の規模 | M6.9程度 |
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地震発生確率 | 不明 |
- 長野盆地西縁断層帯(信濃川断層帯)
飯山~千曲区間 | |
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地震の規模 | M7.4~7.8程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0% |
麻績区間 | |
地震の規模 | M6.8程度 |
地震発生確率 | 不明 |
- 深谷断層帯・綾瀬川断層(関東平野北西縁断層帯・元荒川断層帯)
深谷断層帯 | |
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地震の規模 | M7.9程度(関東大震災と同規模) |
地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0~0.1% |
綾瀬川断層(鴻巣~伊奈区間) | |
地震の規模 | M7.0程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0% |
綾瀬川断層(伊奈~川口区間) | |
地震の規模 | M7.0程度 |
地震発生確率 | 不明 |
- 越生断層
地震の規模 | M6.7程度 |
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地震発生確率 | 不明 |
- 立川断層帯
地震の規模 | M7.4程度 |
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地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0.5~2% |
- 鴨川低地断層帯
地震の規模 | M7.2程度以上 |
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地震発生確率 | 不明 |
- 三浦半島断層群
主部(衣笠・北武断層帯) | |
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地震の規模 | M6.7程度 もしくはそれ以上 |
地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0~3% |
主部(武山断層帯) | |
地震の規模 | M6.6程度 もしくはそれ以上 |
地震発生確率 | 30年以内に、6~11% |
南部 | |
地震の規模 | M6.1程度 もしくはそれ以上 |
地震発生確率 | 不明 |
- 伊勢原断層
地震の規模 | M7.0程度 |
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地震発生確率 | 30年以内に、ほぼ0~0.003% |
- 塩沢断層帯・平山−松田北断層帯・国府津~松田断層帯(神縄・国府津−松田断層帯)
塩沢断層帯 | |
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地震の規模 | M6.8程度以上 |
地震発生確率 | 30年以内に、4%以下 |
平山~松田北断層帯 | |
地震の規模 | M6.8程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、0.09~0.6% |
国府津~松田断層帯 | |
地震の規模 | 相模トラフで発生する海溝型地震と同時活動すると推定 |
地震発生確率 | 相模トラフで発生する海溝型地震と同時活動すると推定 |
- 曽根丘陵断層帯
地震の規模 | M7.3程度 |
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地震発生確率 | 30年以内に、1% |
- 糸魚川~静岡構造線断層帯
北部(小谷~明科)区間 | |
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地震の規模 | M7.7程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、0.01~16% |
中北部(明科~諏訪湖南方)区間 | |
地震の規模 | M7.6程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、14~30% |
中南部(諏訪湖北方~下蔦木)区間 | |
地震の規模 | M7.4程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、1~9% |
南部(白州~富士見山)区間 | |
地震の規模 | M7.6程度 |
地震発生確率 | 30年以内に、0~0.1% |
など
(出典:地震調査研究推進本部 関東地方の地震活動の特徴・相模トラフより)
たとえ0%でも地震は不意打ちでいつどこで起きてもおかしくないため、確率にこだわらずに日頃の備えが重要になってくる。
※厳密には、関東大震災のようなより規模・被害が大きい相模トラフで起こる海溝型地震を含まないのでご注意を。
過去の地震
過去に発生した地震はM6~7クラスの巨大地震が多く発生し、揺れによる被害が発生。ここでは最近の地震を取り上げる。
- 天明小田原地震
天明2年7月15日(1782年8月23日)にM7.0(7.3)程度の地震が発生。月初めより前震あり 、被害は大きく、小田原城の櫓、石垣に被害があり、民家が一千戸倒壊し、江戸で死者が出た。箱根山、富士山、大山で山崩れがあった。震源が足柄平野という見解もあり、小田原地震ではないという学者も存在する。
- 安政江戸地震
1855年11月11日の22時00分頃に江戸直下を震源とするM6.9 ~7.4の地震が発生し、現在の震度階級で東京都(江戸)で震度6強相当(地点によっては震度7相当の可能性)を観測したと推測される。また、1850年代に連発した安政東海地震と安政南海地震などの『安政の大地震』の一つでもあり、隅田川東側(江東区)で特に強い揺れを観測し、震度4以上の地域は東北地方南部から東海地方まで及んだと推定。死者は4000~1万人余りとなっている。この地震の影響で江戸城や幕閣らの屋敷が大被害を受けた。さらに被災者への支援、江戸市中の復興に多額の出費を強いられ、幕末の多難な時局における財政悪化を深刻化させた。
- 明治東京地震
1894年(明治27年)6月20日14時4分、東京湾北部を震源として発生した地震、南関東直下地震の一つである。地震の規模はM7.0であり、震源の深さは約40kmから80kmと推定される。被害の中心は東京から横浜にかけての東京湾岸で、建物の全半壊は130棟で、死者は31人となっている。
など、上記で挙げた地震以外に他にも多く発生している。
被害想定
中央防災会議の報告によると、ある日の冬の夕方に都心直下でM7.3の地震が発生した場合、死者約2万3000人、全壊の建物約61万棟、経済被害約95兆円という甚大な被害が出ると想定されている。
- 都道府県ごとの想定
都道府県 | 死者数 | 全壊の建物 | 焼失の建物 |
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東京都 | 約1万3000人 | 約11万2000棟 | 約22万1000棟 |
神奈川県 | 約5400人 | 約4万1000棟 | 約9万5000棟 |
埼玉県 | 約3800人 | 約2万6000棟 | 約7万1000棟 |
千葉県 | 約1400人 | 約1万7000棟 | 約2万5000棟 |
※死者数1000人を超える可能性のある都道府県のみ掲載
※死者数1万人・全壊の建物10万棟・消失の建物10万棟を超えるものは太字となっている
※あくまで想定のため絶対的なものではない
※震源の場所と深さ、規模によって被害は変化してくる
アニメ
『東京マグニチュード8.0』という2009年7月から9月にかけて、フジテレビのノイタミナ枠で放映されていた。アニメでは下記のようになっており、死者数は推定18万人で、行方不明者数は15万人(いずれも2012年7月23日時点)という設定になっている。
地震発生日 | 2012年7月21日 |
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時刻 | 15時46分頃 |
震源地 | 東京湾北部 |
震源の深さ | 約25km |
マグニチュード | 8.0(タイトルの通り) |
最大震度 | 7(東京湾北部) |
地震の種類 | 海溝型 |
詳しくは『東京マグニチュード8.0』を参照するといい。
関連タグ
相模トラフ巨大地震
元禄地震:元禄16年11月23日(1703年12月31日)の2時前後に千葉県でM8級の地震が発生。死者数は1万人以上と推測されている。
大正関東地震(関東大震災):大正12年(1923年)9月1日に相模湾を震源として発生した地震。『日本災害史上最悪』となっており、日本観測史上最大の死者数を誇る。死者・行方不明者数は10万5385人(1925年時点では14万2800人)。
※震度7は福井地震以降に導入されたたため、最大震度6となっているが、千葉県と神奈川県では現在の震度階級で震度7相当を観測したと推定されている。
安政江戸地震関連
江戸城:地震で大被害を受けた。
隅田川:特に強い揺れとなった地点。
安政東海・南海地震:嘉永7年・安政元年11月4日(1854年12月23日)9時頃に南海トラフを震源とするM8.4~8.6の巨大地震が発生。同じく『安政の大地震』の一つ。