やわらかい概要
点検などで発電を止める場合、核分裂によってできた核分裂生成物があり、それが放射性崩壊が起こることによって熱を出すので冷やし続ける必要があるが、冷却剤の量や性質が悪くなったり、大地震などで炉心が傷ついてしまったりするなどの原因で炉心自体が溶けてしまうことをメルトダウン、または炉心融解という。
これが起きると高い温度で他の機器まで痛めつけたり、爆発しやすい水素を発生したりするなど、危険もいっぱい。
1995年の映画ゴジラVSデストロイアでゴジラの最期として(日本列島全体を巻き込んで地球に大穴を開ける、などとやたら誇張されていたが)、2011年の東日本大震災をきっかけの福島原発事故で、「メルトダウン」の一般的な知名度を上げた。
かたい概要
何らかの要因で核燃料の冷却ができなくなり、核燃料が過熱し熔けてしまう事故のこと。
不適切な制御指令(ソ連:チェルノブイリ原子力発電所)や緊急時に誤った制御指令を出してしまう(米:スリーマイル島原子力発電所)事により炉の耐久設計を超える激しい核分裂反応を引き起こしてしまったり、緊急停止後に核燃料の余熱や核分裂生成物の崩壊熱を奪うための冷却装置が動作しない(日:福島第一原子力発電所)といった原因で炉内の冷却材が過熱してしまい核燃料の冷却ができなくなることにより起こる。
過熱した核燃料は自らをも熔かしてしまい炉の周辺機器などに損傷を与え、また熔け落ちた核燃料が原子炉圧力容器を熔かして漏れ出たり、過熱した冷却材が蒸気爆発することによる原子炉圧力容器の破壊など重大事故につながる。炉の破壊や核燃料の漏出以外にも燃料被服管が焼けて冷却材と反応し可燃性のガス(過熱したジルコニウム合金と水により水素が生ずるなど)が発生するなど思わぬ事故も誘発する。
違う、そうじゃない
「メルトダウン(溶け落ちる)」と聞いて、核物質が「周囲を巻き込んで地面を溶かし、最終的にマントルに到達する」といった誤解が非常に多い。
これはチェルノブイリ原発事故の発生で、「メルトダウン」という単語が世間に周知される中で、単語の“直球での意味”だけが独り歩きを始めてしまったのが原因と思われる。
結果、さらにアメリカの臨界事故の危機を題材にした映画「チャイニーズ・シンドローム」を始め、多くの創作において「メルトダウン=地面を溶かす(挙句は地球を貫通する)大災害」という誤解が広がり、現在でもなかなかその誤解が解けないままにいる。
先の『ゴジラvsデストロイア』の誇張表現も、この誤解を取り入れた解釈に基づいている。
裏を返せば、冷戦期から現在まで未だに続く核兵器・核エネルギー利用に対する危機感から、「核エネルギーならそのくらいの災害は起こせる」という人々の恐怖心の表れともいえる。
もしかして
- ニコニコ動画に投稿された、VOCALOID・鏡音リンのオリジナル曲。→炉心融解
- 『東方Project』の登場人物・霊烏路空のスペルカード→「地獄極楽メルトダウン」
- 『トランスフォーマー アニメイテッド』の登場人物。→アニメイテッド怪人物軍団
- 『キン肉マンⅡ世』に登場する悪魔の種子の1人。→メルトダウン(キン肉マンⅡ世)