アニメイテッド怪人物軍団
あにめいてっどかいじんぶつぐんだん
アニメイテッドに於いて主人公勢であるオートボット(サイバトロン)と敵対するのは、必ずしもディセプティコン(デストロン)であるとは限らず、スパイダーマンやバットマン等のアメリカン・コミックに登場する悪役(ヴィラン)のような地球人が怪事件を起こし、それの相手をオートボットが行うという事もある。
これらの怪人達は能力・性質共々大変個性的であり、それまでのシリーズ以上に印象的である。
メルトダウン/プロメテウス・ブラック(トップ画像下のマッシブな異形)
声-立木文彦
種別:学者・生物学系/人外
罪状:人体実験/器物損壊/誘拐/殺人未遂
第7話、12話、24話に登場。自ら開発した特殊ステロイド(男性ホルモンを基礎とした実在する筋力増強剤。過去服用したスポーツ選手の身体に様々な異変を起こしたことで有名な薬物)で金儲けを企む生物学者で、技術発展のためならば人体実験も厭わない非道な人物。
元々は生物化学を専門に研究していたが、プロモーションとして行った興行(後述の部下コロッソスとオートボットのバンブルビーをリング上で戦わせる)にて被験者の部下が暴走したのを機に、研究への援助を打ち切られてしまった。その件以降、金属生命体であるオートボットへの復讐を目的として強力無比な溶解液を開発するも、実験中の事故で常に溶解液を全身に纏うおぞましいミュータントへと成り果てる。
溶解液の効力が強すぎる余り無意識の内に周囲のものを無差別に破壊してしまうため、効果を抑制するため特殊な防護服を着用している。
ロボットを忌み嫌っている事もあって自らの於かれた境遇を主人公サリの義父アイザック・サムダック博士の所為と逆恨みし、初登場の7話にてサムダック博士暗殺を狙うも失敗に終わる。
その後第12話にて溶解液の効力を見せつけることでチームダイノボット(ダイノボット部隊)を脅迫、サリを実験体として誘拐させるものの、サリとプロール、カーマイン・ファンゾーン警部の活躍によってコロッソス共々逮捕となった。
その後は溶解液の影響を受けない特殊な樹脂で構成された牢獄に投獄されていたが、第24話にてブラックアラクニアの手で脱獄。彼女の有機体除去を手伝わされる事になるもののすんでの所で裏切りを決行。ブラックアラクニアを有機体のみの生物に仕立て上げることで、念願であった変身する生物を作り出そうとする。
しかし、その場に居合わせたオプティマスの機転で失敗に終わり、その際に遺伝子改造マシンに触れてしまい、身体の遺伝情報を強制的に書き換えられ、制御を失った溶解液によって死亡した。
原語版ではスライム状の生物として復活するシーンこそあったものの日本語版ではカットされており、肝心の原語版でもそれ以降は全く登場していない。
初登場した第7話ではコロッソスを使ってプロレスのような興行をしていたこともあり、日本語版では演じる立木がナレーションを勤めるPRIDEを意識した台詞を喋っていた。
コロッソス・ロードス(トップ画像の巨人)
声-飛田展男
種別:人類亜種/肉体派
罪状:殺人未遂/誘拐/器物損壊
プロメテウスの部下であり、彼に生体改造を施された貧相なおっさん。
第7話と12話に登場。普段は小柄な髭面の男だが、プロメテウスの開発した筋力増強剤と肩の装置から発せられる電気信号により強靭な肉体を持つ巨漢に変貌する怪物である。
強化時はそれなりに大きい筈のバンブルビーを片手で持ち上げ、身長5,6m程はあるオプティマスと取っ組み合う程の巨体とパワーを得る。
弱点はクラクションや教会の鐘の音など、ある一定の音波であり、これを受けると肩の装置が誤作動を起こし、薬が切れて元の姿に戻ってしまったり、動きが止まったりする。
プロフェッサー・プリンセス/ペニー・プリンセス(トップ画像の美少女。但し本物はこんなに可愛くない)
声-豊口めぐみ
種別:工学系/特殊機械操作
罪状:器物損壊/殺人未遂
第4話、22話に登場。典型的な魔法少女を彷彿とさせるコスチュームを着ている。その為日本語版第4話ではアイアンハイドに半殺しの目に遭わされた挙げ句「別の番組に出れば?」と言われた。
『ユニコーンのパウダーシュガーちゃん』と名付けたユニコーン型の飛行ロボットを乗り回し、独断と偏見で暴力的と見なした玩具やゲームの根絶を暴力的な方法(主に手持ちのステッキから放つ破壊光線)で実行する。
本当の意味での確信犯であり自分の行いが犯罪であるとは欠片も自覚していない。またトランスフォーマーを陣営問わず「悪のロボット」呼ばわりする思考回路は、実写版に登場したセオドア・ギャロウェイを思わせる。これでも一応博士号を取得しているらしい。原語版では一度警察に逮捕されたらしく(この事から外見に見合わず年齢は最低でも14歳を超えていると思われる)、後述する犯罪者集団S.U.V.結成後での犯行を伝えるニュースでは、刑務所に入る前の画像が使われていた。
アングリー・アーチャー/A.A.アーチャー(トップ画像で弓を構えた左腕がメカなおっさん)
声-小西克幸
種別:盗人・工学系/肉体派
第6話、19話、22話に登場。ロビン・フッドに似た恰好をした銀行強盗。富と名声を得るためとの名目で悪事を働く。
体格の良いオッサンだが、その外見に似合わず武器は弓矢であり、鏃が手榴弾やワイヤー付き吸盤などの様々なアタッチメントに変化する矢を自由自在に使いこなし、攻撃から移動まで自由自在に行う。
又、廃棄物から産まれたTF・レックガーの名付け親でもあり、第19話では警察から逃走中に彼と会い、幼さ故にあらゆる情報を鵜呑みにする為騙しやすいレックガーの性格を利用し彼を部下にしようとするも、盗品を奪われた挙句にあっさり心変わりした彼に捕まりそうになった。
原語版では芝居がかった口調が特徴だが、日本語版ではアントニオ猪木の口調を真似たり、言葉を引用している。
顔と名前のモデルは何とハズブロ社の開発ディレクターであり、本シリーズにも関わっているアーロン・アーチャー氏である。また、彼の発案でアングリー・アーチャーの利き腕は彼と同じ左利きになっている。
スピードキング/ニノ・セクストン(トップ画像一番上の細身男)
声-子安武人
種別:盗人・工学系/肉体派
罪状:窃盗
第9話、22話に登場。元は只の小悪党であり、始終金欲で生きているような卑しい男。元々動きが機敏で脚力も高く、強化後更に高まった持ち前の俊敏さを活かした素早い動きで相手を翻弄する。登場早々オートボットの協力を得て逮捕されるも、当時首だけになっていたメガトロンによって間接的に保釈され、彼からサムダック・システムズで開発途中だった超高速で移動できる特殊スーツを与えられ、これによりゴキブリのような素早さを獲得し、強化人間スピードキングと名乗る。
しかしこのスーツ、開発途中故に過剰に着用すると体細胞が急速に死滅していくという恐ろしい弊害があり、第9話ではオートボットとの交戦中老化してしまった。原語版ではそのまま警察に逮捕される描写があったが、日本語版では何故かカットされた。
その後第22話にて後述するスロー・モーのストップ光線の応用で若さを取り戻し、彼女に協力。作中ではお互い「時間を遅くする女がタイプ」「俊足の男はとても魅力的」と、好意を持っているかのような描写があった。
吹き替えを担当した子安武人はアニメイテッド日本語版に大いに影響を与えたビーストウォーズのコンボイ役で知られている。
そのため往年のファンから「何やってんスかコンボイさん!」とツッコミが殺到した
ヘッドマスター/ヘンリー・マスターソン(トップ画像右側の男の娘。但しこの容姿はイラスト製作者による完全な創作なので為注意が必要。本来の容姿は下イラスト参照)
声-岡野浩介
種別:学者・工学系/特殊機械操作
罪状:破壊兵器製造/殺人未遂
第13話、17話、26話に登場。サムダック博士の部下だったが、社の規則で禁忌とされていた兵器開発に手を染めた事から解雇され、博士を一方的に逆恨み。一方的に彼をライバル視している。また、ヘッドマスターとは彼の怪人としての名前ではなく、彼が開発した機械の名称である。
自信過剰で上司に対して馴れ馴れしい態度を取るなど社交性に問題のある性格のマッドサイエンティストで、アニメイテッド怪人物軍団随一の卑劣漢。軍事・戦闘用ロボット製造とロボットの破壊を何よりも愛する外道であり、そもそもサムダック社では軍事産業が禁忌とされており、それに反した事が解雇の原因であるため、ペニー程ではないもののこいつも十分救いようがない。
日本語版では「チョーサイコー」が口癖だが、原語版ではネットスラングをよく口に出すキャラクター付けがされている。
他の人型ロボットの中枢系が集中する頭部を切除しその胴体を奪い取るヘッドマスターユニットを開発し、それを用いてアイアンハイドやセンチネルのボディを奪って悪用しようとしたが、オートボットにことごとく阻止されている。
尚、彼の操るヘッドマスターユニットは、下部からジェット噴射を行うことで飛行し、また変形機構が搭載されており移動に適した胴体を獲得可能である。
サムダック博士不在時に社長になったパウエルに招聘され社員に復帰。パウエルは軍事産業進出を目論んでいたため、再びサムダック社で軍事用ロボットの開発に乗り出したが、そんな中26話にてアイザック博士が救出され社長の地位に復帰。彼は飼い主のパウエル共々目出度く解雇される。しかしそれでもこの男の執念は途絶えることが無く、ディセプティコンに奪われた挙げ句瓦礫の山に埋まっていたヘッドマスターユニットを奪還。偶然その場に落ちていたスタースクリームのボディを胴体として獲得(奇しくもアニメイテッド二大ド外道の合体である)し、オプティマスとサムダック親子を襲撃するも、27話にてオプティマスと交戦中、彼の機転で変形に失敗し体勢を崩されボディと頭部が分離。衝撃でヘッドマスター自身の変形システムも起動不能になっていた所を目出度く逮捕された。
マスター・ディザスター/本名不明(トップ画像中央で浮きまくってる奴)
声-小杉十郎太
種別:経営者・工学系/特殊機械操作
罪状:違法番組の製作及び放送
第20話に登場。200万人が視聴している違法レース番組『スピードデーモン』の主催者(ちなみにこの番組、サリとバンブルビーも好んで見ていた模様)。
視聴率を獲得するためには手段を選ばず、オールスパークの破片を使った無線操縦装置を用いて青いレーシングカー(その正体は地球に潜入していたオートボットの兵士)を乱入させてレースの順位の操作をしたり、その車にバンブルビーをけしかけたりして違法レース番組をより危険なものに仕立て上げようとした。しかしながら、そのけしかけたバンブルビーと、偶然にも破片を探しに来たブリッツウイングとの戦闘に巻き込まれ、逃亡を図ったがファンゾーン警部に逮捕される。所詮は一話限りの使い捨てキャラであるため、他の罪人に比べ影は薄い。
スロー・モー(トップ画像の内最も艶やかないい女。本物もそこそこいい女である)
声-本田貴子
種別:学者・工学系/特殊機械操作
罪状:脱獄補助/犯罪集団指揮/ハッキング
第22話に登場。トランスフォーマーを始めあらゆる機械を止めるオールスパークの欠片が組み込まれた時計型装置を使いこなすという能力の割によく喋る女。
時計の分針を模した瞳を持ち、そのファッションは喪服風味。元は時計組み立て工場の職員に過ぎなかったが、元々金儲けに目が無い性格だったらしく、金にならない物事には興味を示さずあっさり切り捨てる金欲の塊。
偶然見つけたオールスパークの破片の力を知った事でその野心が開花、悪事に手を染めるようになる。スピードキング、アングリー・アーチャー、プロフェッサー・プリンセスと手を組み犯罪者集団S.U.V.を結成。一応ディセプティコンエンブレムを持つものの、金次第で何者にも協力するTF界の武器商人・スィンドルと手を組み大規模な災害を引き起こす。その後スィンドルに時計を奪われ裏切られた時にはサリやバンブルビーと一時共闘したこともあったが、時計を取り戻すとすぐさま裏切った。最終的にS.U.V.のメンバー全員がストップ光線を浴びたスィンドルに乗り込んでしまった事でファンゾーン警部率いる警察隊に一網打尽にされ逮捕された。
アングリー・アーチャー同様実在のモデルが居り、顔と名前のモデルとなったのは、ハズブロの男子対象玩具のマーケティングとデザインを担当する部署の常務であるサマンサ・ロモー嬢である。