重くて不安定な原子(ウラン235など)が分裂して二つ以上の軽い原子になる現象をさす。ただし、原子核から電子(又は陽電子)が放出されてわずかに軽い原子核になる現象(ベータ崩壊)やヘリウムの原子核を放出して少し軽い原子核になるもの(アルファ崩壊)は一般に核分裂に含まない。
一般的な核分裂では重くて不安定な原子核が中性子を捕獲(要は中性子をぶつける)すると、中性子を捕獲した原子核がさらに不安定になり、二つ以上の原子核といくつかの中性子を放出する。この中性子は他の核分裂する原子核に捕獲されるとそこでもまた原子核が分裂し中性子を放出するといった連鎖反応が起こる。
このとき分裂した原子核の陽子と中性子(中性子線として放出したもの含む)の総数は等しいが、分裂後の陽子と中性子の質量の総和が釣り合わない。この釣り合わない分がエネルギーとして放出される。(質量欠損によるエネルギーなので放出されるエネルギーはE=mc²で計算できる)
これを兵器として用いたものが原子爆弾。動力炉や反応装置として用いたものが原子炉である。
中性子を捕獲しない核分裂
一般的な核分裂と異なり、中性子を捕獲しなくても核分裂を起こすことがありこれを自発核分裂という。この現象は量子力学的な揺らぎによって分裂するため、原子核崩壊と同じく単位時間当たりにどれだけの確率で起こるかしかわからない。ウランやプルトニウムなどの核物質や原子炉内で生成される核物質では原子核崩壊に対して無視できるほど低い頻度であるが、人工の物質では無視できない頻度になってくる。また、この自発核分裂でも中性子は放出されるので核物質をある一定量以上纏めると核分裂の連鎖反応が起こる可能性があり、この量を臨界量という。そのため核物質の濃縮工場などでは少量ずつ扱うなど自発核分裂による核分裂の連鎖をしない様にしなければならない。