パノラマカー
ぱのらまかー
概要
名古屋鉄道(名鉄)が保有していた特急車両7000系・7500系の愛称。
1961年(昭和36年)に登場。当時進行していたモータリゼーションへ対抗するための切り札として製作された。イタリア国鉄の車両ETR300「セッテベッロ」を参考に、運転席を前面屋上に上げ、展望席を配置したことが最大の特徴であり、「パノラマカー」の愛称の所以となっている。
また登場当時は名鉄沿線ではダンプカーの踏切冒進による列車事故が非常に多く、乗客乗員が死傷する事例も少なくなかった。
展望席を列車前頭部に設けるとなれば、従来の構造では乗客の保護に不足のため事故対策として標識灯横、ダンプカーのバンパー(更にはダンプの台枠主構造)に高さを合わせて大容量油圧緩衝器を配置した。エアコンユニットの一部も緩衝材の意図を持って油圧緩衝器近くに置かれている。
実際にダンプカーとの衝突事故が発生した際に、車両への被害は展望席窓ガラスのひび割れ程度に抑えた(展望席に座っていた乗客は無傷)どころかダンプを跳ね飛ばし大破させている。乗客への被害は跳ね飛ばされたダンプカーが側面にぶつかった際に側面窓ガラスが割れ、その破片で8人軽傷を負っただけでである。この一件は地元紙に「ダンプキラー」として取り上げられた(事故後、名鉄部内ではダンプカーとの衝突以上に当時残っていた半鋼製車および木造車との衝突を恐れていたという)。
初めてミュージックホーンを搭載し、これは名鉄の特急専用車に受け継がれている。
1963年には車体を低床化し、走行性能を改良した7500系が登場。最盛期には7000系116両、7500系72両の陣容であった。
1973年、支線区増結用として「セミパノラマカー」7700系が登場。計24両が製造された。客室は7000系と同様であるが前面貫通式となっており、展望は確保されていない。1984年には7000系最終増備グループの中間車に運転台を取り付けた改造車の7100系も登場したが、こちらも前面貫通式。
2005年、ホームのかさ上げの都合から床が低く空港線(名鉄空港線)へ乗り入れられない7500系が全廃。2009年には7000系・7100系が全廃された。2010年には7700系も全廃され、7000系列「パノラマカー」は消滅した。