概要
太平洋戦争開戦時の所属は第六艦隊・第一潜水戦隊・第二潜水隊。
1942年9月15日、ソロモン諸島において正規空母ワスプを捕捉。
6発の魚雷を斉射してうち3発が標的であったワスプに直撃し撃沈(正確には致命傷を負わせ、米軍艦による雷撃処分に追い込んだ)、その上外れたうちの2発は遠く(約10㎞先)を航行していた駆逐艦オブライエン(伊号第百六十八潜水艦がヨークタウンの巻き添えで撃沈した駆逐艦ハムマンと同型のシムス級駆逐艦)と就役したばかりの最新鋭戦艦ノースカロライナに直撃。
オブライエンはその損傷が元で同年10月19日に沈没、ノースカロライナは3ヶ月がかかって同年11月末に復帰した。
「たった一度の攻撃で正規空母を沈め、戦艦を長期間戦線離脱させる」
これがいかなる戦果かは、提督諸氏ならばお分かりになるであろう。
事実海軍とは犬猿の仲であったことで知られる陸軍まで一緒になってお祭り騒ぎになったとされ、艦長の木梨鷹一少佐は昭和天皇との単独拝謁まで果たすほどの大戦果であった。
この事は伊19本人の図鑑内のコメントで誇らしく語られている。
1943年11月25日、ギルバート諸島・マキン島近海で米駆逐艦ラドフォードによって撃沈され、その艦歴を閉じた。
ちなみにオブライエンが沈没した原因は米軍が「疲労してるけど小破だから進撃しても大丈夫じゃね?」とダメージを甘く見て、本格的に修理するべく無理やり米本土に回航しようとしたせいだと言われている。
実は日本軍も同じような甘い判断で金剛を沈めている。
繰り返しになるが、慢心、ダメ、絶対である。しかもこの二隻(オブライエンと金剛)は潜水艦によって沈められており、金剛と最後を共にした浦風はオブライエンとほぼ同期である。
戦後スティーブン・スピルバーグ監督の映画「1941」に「伊19」なる潜水艦が登場している。
作品はコメディ映画だが、この時出演した三船敏郎の尽力により史実の日本海軍潜水艦が比較的忠実に再現されている。
空母「ワスプ」の最期
余談になるが空母ワスプを致命傷に追い込んだのは魚雷そのものではなかった。
ちょうど発艦準備中だったワスプは伊19の魚雷命中の衝撃でガソリンに引火、更に搭載機の弾薬に誘爆して大爆発の後炎上という、加賀の最期によく似た経過を示しているのである。
奇しくも最初に炎上した箇所も同じく艦首付近であった。