※注意※当記事では描写・設定について公式(原作、アニメ等)のものと二次創作的・同人的なもの両方を含む記述となっております。誤解のないよう注意して閲覧ください。
概要
万高とは、漫画「銀魂」における鬼兵隊ナンバー2の河上万斉×鬼兵隊総督の高杉晋助の腐向けカップリングの略称である。
・鬼兵隊の中では万斉だけが高杉のことを「晋助」と名前で呼び捨てする(※)。
・三味線を弾き合う、日本酒を嗜むなど趣味が共通していると思われる描写がある。
・年下×年上のカップリングと推測されている(「原作における万高の描写」真選組動乱篇の項目を参照)。
・作中でギャグシーンに登場することがあまりないためか、本作のカップリングでは珍しい落ち着いた大人の雰囲気を持つカプだと認識されることがある。
※鬼兵隊外では神威も高杉を呼び捨てているが、原作では「シンスケ」とカタカナ表記であり夜兎族には苗字がないことから、「下の名前+呼び捨て」を意図的に行なっているのは作中で万斉ただひとりと思われる。
原作における万高の描写
◆紅桜篇
第八十九~九十八訓(単行本:第11-12巻)
万斉初登場は第12巻第九十七訓。
主人公・坂田銀時のライバルとして登場した闇に生きる過激攘夷志士としてのイメージが強い初期の高杉の右腕に釣り合う、万斉の天人相手に音楽を聴きながら交渉に臨んだという飄々たる態度が印象的だった。
甲板でふたり並ぶ姿はお似合いでしかなかった。
◆一日署長回
第百一~百二訓(単行本:第12巻)
鬼兵隊ナンバー2が人気アイドル寺門通のプロデューサーだったことが発覚する回。
ここで万斉が高杉を「晋助」呼びしていることが分かる。
◆真選組動乱篇
第百五十八~百六十八訓(単行本:第19-20巻)
この動乱篇で万高史前半にカップリング感が定まったとされる。
特に注目したいのは下記の三点である。
①万高が年下×年上カプだという解釈が増える
万斉が銀時と対峙した際、人と話す時はヘッドホンを外せと指摘され「最近の若いモンは」と悪態をつかれる。
高杉と銀時は似た年齢と推測されることから、万斉は高杉より年下であると解釈するファンが増えた。
②信頼の厚さが垣間見える
「背信行為を平然とやってのける者を仲間にする程 拙者達は寛容にござらん」と真選組を裏切った伊東鴨太郎を利用する戦略をとりながらも、独断で敵を見逃した万斉を高杉は一切のお咎め無しであった。
また紅桜編で身勝手な単独行動・言動を行なった岡田似蔵に対し「本気で斬るつもり」があり、味方も例外ではないことからも、高杉は万斉に対して並ならぬ信頼を置いていることが窺える。
③屋形船のシーン
万高史前半における伝説のシーン。
屋形船の一室という隔離された空間にふたりきり、「万斉」「晋助」と下の名前で呼び合い、酒を肴に互いに三味線を爪弾く姿は大人の雰囲気凄まじくただならぬ関係を思わせた。
◆半か丁か篇
第三百十~三百十一訓(単行本:第36巻)
この話で初めてふたりの間に交わされた「誓い」の鱗片が窺える。
◆将軍暗殺篇
第五百二~五百二十四訓(単行本:56巻-58巻)
銀時や天導衆との激闘の末、昏睡状態に陥った高杉を休まず見守る来島また子。その隣で彼女をも気にかける万斉。どう考えてもお前も寝てない。
◆烙陽決戦篇
第五百五十二~五百九十五訓(単行本:62巻-65巻)
昏睡状態のままの高杉を乗せた艦が春雨に襲撃され散り散りになる鬼兵隊。
万斉は崩れゆく艦に残された高杉を助けに戻るも叶わず、快援隊に助けられる。快援隊の艦の中で目覚めるや否や「晋助は…!!」と探し始めた。晋助第一が過ぎる。
なお、晋助第一がどれほどすぎるかというと、洛陽に到着したのち、万斉は足場が崩れて昏睡状態のまま高所から落下する高杉の危機と正確な位置を察知するほどなのである。
高杉専用のスパダリセンサーでも搭載しているというのだろうか。
話は戻る。
高杉にどやされることを覚悟しながらも彼を救うため、万斉は銀時たちと手を組むことを決意する。
そして銀時たちと同行することで彼らの中に終わりゆく侍の時代に残った最後の希望を見出した。
万斉は敵の大群に囲まれた際に決死の時間稼ぎを覚悟、「お前の友はまだ戦い続けているぞ」「ならばお前ももう一度戦え」「死ぬる時は 友の隣で死ね」と高杉への想いを独白し敵の刃に倒れた。
一歩も動けず敵にトドメを刺される寸前、目覚めたばかりの高杉に救われる。その後合流した鬼兵隊たちと共に戦線を離脱する。
洛陽篇における万高的見所としてはふたりが出会った過去の断片が明らかになるシーン、主人公・坂田銀時に「アイツ(高杉)の背中を守っていたのはお前か」と言わしめたほどの万斉の高杉への真摯な想いと言動だろうか。
◆銀ノ魂篇
第五百九十六~七百四訓(単行本:66巻-77巻)
最終章ともあって大変長い篇であるが、万高としては第70・71・72巻を特に注目したい。
地球消滅のためアルタナ解放軍によって起動された火之迦具土神(ヒノカグツチ)の発射阻止、解放軍の盟主のひとり・圓翔との戦いを通して紡がれる鬼兵隊の過去、そして壮烈なドラマは涙なしには見られない。
以下、ネタバレ注意
鬼兵隊は天鳥船に突入。
まずは第70巻第六百三十二訓、待ちに待った鬼兵隊の過去が判明する。
川縁に通りがかった高杉は、幕吏に捕まったのまた子が磔刑に出くわす。高杉が目を奪われていると背後から歩み寄るひとりの男。「不憫な話にござる」と声をかけてきたこの男こそ、万斉であった。
万斉と高杉は目配せし(何故出会って3秒で目と目で会話しているのか)、万斉が三味線の演奏で幕吏を引きつけている間に高杉がまた子を救出。また子をさらうも、幕吏の人員の多さからやがてふたりは捕らえられてしまう。
以上が初接触ではあるが、万斉が「生きる伝説がどんな男か見てみたかった」ために高杉をけしかけたこと、高杉が付近に「人斬り河上万斉」が潜伏し収監された攘夷志士の解放を画策している情報を掴んでいたことから、もともと互いに存在を認識していたと推測される。加えてある程度の関心があったことも伺える(とんでもないことである)。
捕らえられた牢獄で壁を挟んで背中合わせで会話する万高。
高杉はまた子の磔刑が自分をおびき寄せるための罠だと知りながら万斉の誘いに乗ったことを告白。「つき合ったかいがあった」と嘯き、次の台詞で万斉を勧誘した。
「どうせ国に裁かれここで果てる身なら 俺のために死なねェか 人斬り万斉」
「ならばお前は何のために死んでくれる」
「死なねェよ 誰の屍を踏み台にしようと この国を踏み潰すまでは 俺は死なねェ」
この高杉(受け)……男前過ぎる!!
なお神楽の父・星海坊主こと神晃は江華へ「俺と死ね」というプロポーズの言葉を贈っている。
お 分 り 頂 け た だ ろ う か ?
話は現在に戻る。
第71巻第六百四十訓は誓いの回想からはじまる。
圓翔の火之迦具土神発射前倒しによる施設破棄のため、天鳥船内で次々と爆破が起こる。爆破に巻き込まれかけたまた子を助けるため、万斉は高杉に代わって踵を返す。また子は無傷で助けられたものの万斉は瓦礫の下敷きとなり重傷を負ってしまう。
身動きが取れなくなった自分を置いて前に進むよう万斉は高杉に進言するが、生きているなら踏み台にできないとする高杉は彼を救出。万斉に肩を貸して歩みを進めた。
「俺のために生きろ 俺が屍になるまで隣で戦え」
どう考えてもプロポーズである。
火之迦具土神の制御中枢が近づくにつれ解放軍の護りが固くなっていく。万斉は高杉に何があっても足を止めずに走り続けること、自分は最後まで隣で戦うことを約束して別行動を取る。
高杉たちを中枢部へ侵入させるための時間稼ぎをしながら、万斉はこの戦いを終え英雄でなくなったただの友・高杉晋助の隣で生きるために戦う覚悟を決める。
火之迦具土神発射まであと3分。万斉は瀕死の身でありながら解放軍たちに立ち向かう。
「晋助 鬼兵隊はお前と共に…生きているぞ」と死してもなお自分自身の肉体を弦で操って敵兵を引きつける。最後は体に巻きつけた爆弾で諸共自爆した。
辞世の言葉は「晋助」であった。
高杉は爆発音を耳にしても振り返らなかった。
制御中枢壊後、圓翔との戦いに辛くも勝利。圓翔にトドメを刺す前に、復讐に復讐で応えてはならないと徳川喜々が高杉を制止。万斉のことが頭をよぎりながらも戦が終わって弱い人間に戻ってもがき苦しむことこそ本当の戦場であると圓翔に語り、高杉は自ら刀を収めた。
この時圓翔は「止まろうが止まるまいが」「その悲しみも 苦しみも 生きている限り続く」と語っている。高杉は万斉の存在そして彼への想いから逃げず、もがき苦しみながらも彼のために血を流す覚悟を決めたのだろう。
なお高杉は二年後に万斉の言葉である「死ぬる時は 友の隣で死ね」を体現する最期を迎える。
原作以外における万高の描写
◆アニメ
万高に関わる部分で原作との差異およびアニメオリジナルを記す。
紅桜篇と一日署長回
アニメでは話順が変更され、一日署長回が先となっている。
第252話「ごめんなさい」
銀魂’の最終話、某有名コーナーのパロディ「カメラに向かってごめんなさい!!」に登場する鬼兵隊。万斉が「ようは謝罪したという態度が重要」という誠意の欠片もないアドバイスを高杉に送っているシーンが見られる。
銀ノ魂篇
アニメではまた子が爆破に巻き込まれるシーンがなく、付随して「俺のために生きろ」周辺のエピソードが丸々カットされている。万高史後半の最大の盛り上がりとエモさを見せるエピソードのため、気になる人は単行本やアプリで原作を見てみよう。万高のプロポーズを目撃すべし。
◆「3年Z組銀八先生」シリーズ
リターンズから本編登場。
万斉と高杉は「高杉一派」として行動を共にする。
万斉は自身をギター、高杉をボーカルに据えた「鬼兵隊」というバンドを組むため高杉を誘っているが、そろばん塾があるからと断られてようだ。
なおこのエピソードが披露される話のタイトルは「解散の理由は、方向性の違いではなくて、ボーカルの女とギターの奴がデキてたからです。」という大変意味深なものとなっている。
そのほか一緒に学校を抜け出してラーメンを食べに行く、高杉のSNS用に写真を撮られる、など微笑ましい描写が多々ある。
なお原作で万斉が高杉を「お前」呼びすることが判明する前に書かれた話では、万斉が高杉を「ぬし」呼びしているシーンが見られる。
◆銀魂 銀祭り2019(仮)
2019年3月3日に開催されたアニメイベント。
本イベントに鬼兵隊からただ一人参加した万斉役の山崎たくみ氏が、フィナーレの感想トークで「(一人参加で)僕はひとりでちょっと悲しかった」と語り、ステージを降りた後の舞台袖でのライブビューイング向けメッセージで「だから独りは寂しいんだって。おーい、晋助」と語っている。
「寂しいんだって」と「おーい」の間で一呼吸おき、斜め上を見上げて呼びかけたことから万斉を意識したメッセージだと捉えられることが多い。本編の万斉と高杉の関係を思わせるこのエモすぎるメッセージは、ライブビューイング限定(円盤未収録)だったこともあり、イベント本編中の名演技と合間って度々ファン同士の話題に上がる。