パンセクシュアル
男性・女性・Xジェンダー(中性・両性・不定性・無性)も含め、あらゆる人々に恋をしたり、性的願望を抱いたりすること。厳密には、他者に恋愛・性愛感情を抱くにあたって、性自認(Gender Identity)や性的指向(Sexual Orientation)が条件に引っかからないこと、そういった傾向をもつ人々のことである。バイセクシュアルと一絡げに見られることも多い。
パンセクシュアルの理解の端緒としては変化球になるが、数あるフられるシチュエーションの中に「男として / 女として意識していない(できない)から」という理由があるだろう。
これを性的指向に分類するなら、「相手に男性らしさ / 女性らしさを見出せないと恋愛できない」という指向、相手の性的要素(を意識すること)が自身の恋愛感情と不可分になっていると言い換えることができる。
異性愛や同性愛、両性愛といった性的指向(SO)と、男性・女性(シスジェンダー)、トランスジェンダーやXジェンダーといった性自認(GI)との組み合わせによっていくつかの呼び名があるものの、これらは一様に「相手への性的関心」が恋愛感情の一要素として存在する。
パンセクシュアルはこうした「性的な」関心を認識しない人々で、恋愛的な好き嫌いの条件や相手にドキドキするポイントに「男性らしさ / 女性らしさ」といった項目が存在しないのだ(そもそもパンセクシュアルが「性的指向」に入るのか、という問いはここでは割愛する)。
愛犬家や愛猫家の大半が「自分はオスの犬しか好きじゃない」「メスの猫しか受け付けない」などと主張したりしない(そして実際に雌雄問わず可愛がる)のと、同じとは言わないまでも遠からぬものがある、と例えるのが筆者の限界である。
「人間の男女はぜんぜん違うじゃないか」という感覚は、その人が男性と女性を性的に異なるものとして捉える性的指向を持っているというだけの話で、「いやその感覚こそよくわからないぞ」という人々もいるのだ、ということを、本記事をここまで読んだのであれば心のどこかに留め置いてほしく思う。