概要
累計ポイントは90000を超え、総合ランキング1位を獲得した。
GAノベルより書籍化が決定。2020年6月12日に書籍版第1巻が発売予定。書籍版には書き下ろし短編「もしも魔帝メナスがラスボスをやめなかったら?」他1作が収録されている。
イラスト及び挿絵はタジマ粒子氏が担当。
またマンガUP!よりコミカライズも決定された。2020年秋頃に連載開始を予定している。作画は槻山なみき氏が担当。
あらすじ
万の魔物を統べるノア帝国皇帝――魔帝メナス。
世界中から恐怖されていた彼は、ある日、自分が『RPGのラスボス』だということを知る。
このままではろくな目に合わないと考えたメナスは、ラスボスをやめることを決意。
ゲーム序盤のイベントで、主人公アレクに倒された“ふり”をして、こっそり旅に出る。
しかし、今まで城(ラストダンジョン)に引きこもっていたラスボスに常識があるわけもなく、さらに外の世界は思っていた以上にレベルが低すぎて――。
これは……野生化したラスボスが、ストーリーをぶっ壊しながら自由気ままに生きていく物語。
(小説ページより引用)
登場人物
主要キャラクター
- 魔帝メナス
ノア帝国第13代皇帝。本作主人公であり、ゲーム『レジスタンス・ノア』のラスボス。ラスボスなだけあって自身のレベルは100で、最強…というかチートレベルの実力を持つ。僅か9歳で皇帝に即位したが、自身が持つスキル【魔物創造】でノア帝国を力で支配し、世界を恐怖に陥れていた。
性格は尊大かつ自分勝手だが自身の部下に対してはかなり寛大で、何かと人を惹きつける性格でもある。またゲームの知識を活かして仲間を勝利へ導いたり、ノア帝国で起こる異変にすぐさま気付くなど頭が切れる人物でもある。一方で冗談を口にしたり森で昆虫採集を始めたりなど、意外とお茶目でわんぱくな一面も。ミコリス曰く「20歳児」。しかも身内にはデレデレだったりする。
銀髪に紫の瞳を持ち、長身で端正な顔立ちをした好青年だが、皇帝だった頃はいつも仮面で顔を隠していた為、その素顔を知る者は誰一人いない。
とある夢により自身がゲームのラスボスである事を知る。しかしそれにより世界の破滅を悟り、皇帝を引退する事を決意。主人公に倒されたふりをしてこっそり旅に出る。現在は「マティー・ラスト」の偽名で冒険者として活動している。
- グラシャラボラス
メナスの愛犬。【透明化】スキルを持つ翼が生えた白い大型の犬。普段はメナスの影に隠れているので姿は見えない。
現在は彼のお供として共に旅をしている。
- アレクサンドラ・ロードナイト
「アレク」の通称で呼ばれる。『レジスタンス・ノア』の主人公。金髪に白い制服を身に纏う少女剣士。ゲームでは性別を選択できたが、本作では女性が登場。
魔帝メナス率いるノア帝国に滅ぼされた国の王族の娘で、それをきっかけにメナスの圧政を終焉させるべく革命軍を組織し、ノア帝国に対し反旗を翻す。
クーデターを無事成功させ、魔帝メナスを「討ち取った」後は新たなノア帝国の皇帝として即位する。しかしその後は度々襲い掛かる内憂外患に四苦八苦している様子。そんな不安定なノア帝国をたった一人で取りまとめていた魔帝メナスを最近見直し始めている。凱旋パレードの際に暗殺者から自身を救ったとある青年の行方を追っている。
魔帝メナスとは幼い頃に何か関係が…?
- ミコリス・ピンクハート
ピンクの髪をしたエルフの少女。自身の祖国であるピンクハート妖精国の姫で、現在は家出して「ミコール・レオンハート」の偽名で冒険者として活動している。メナスからは「ミコりん」の愛称で呼ばれている。
【コスチュームチェンジ】という変身スキルを持ち、また『レジノア』でも屈指の強さを誇る。性能的にはメナスの天敵だったりする。【コスチュームチェンジ】を使用した後はしばらくの間ステータスが大幅に強化されるが、変身後の姿は魔法少女のそれであり、しかも3分経過するまで決して元に戻らない。彼女はこれにコンプレックスを抱いている。
性格はツンデレ。思春期・反抗期真っ只中という事もあってか母親であるミステリア女王を敬遠しているが、内心とても心配している。
作中きっての常識人であり、基本的にツッコミ役である。また縦横無尽に動き回るメナスに日々振り回されるという不憫な扱いを受けている。
- 樹王ユフィール
魔帝メナスが配下に収める七魔王の一人で第5席。純粋な戦闘力で言えば5番目であるが、自身が持つスキルの応用次第では人類を滅ぼしかねないほどの力を持つ。ノア帝国北部の防衛を担当。食人森を拠点とする。医術や錬金術にも長けており、七魔王の中ではサポートに特化している。
半身が人間でもう半身が樹木でできたトレントの青年。若草色の髪を持ち、司祭服に身を包む。自身の生み親であるメナスをまるで神のように崇拝しており、彼を邪魔する者には容赦しない。実際にメナスが皇帝を辞めた事を明かすと、本気で人類を滅ぼそうとした(その時は彼に諫められて免れた)。反面上からの命令には忠実で、命令を受けるとすぐに実行に移る。しかしメナスの健康を考えて野菜ばかりの(しかも植物系魔物を使った)料理を作ってしまうなど、彼に対する忠誠心は空回りしてしまう事もしばしば。プリモとは腐れ縁な関係。エルフ達からは森神として崇拝されている。
長距離移動の際は蔦に変化して地面を這って移動するらしい。
- 破壊王プリモ
七魔王の一人で第4席。純粋な戦闘力で言えば4番目だが、彼女が持つスキルは破壊力抜群。魔帝メナスが一番最初に生み出した魔物で、それ故に彼との付き合いは同じ七魔王の中で最も長い。帝国北西の防衛と、七魔王の連絡係を担当する。
一見すればメイド服を身に纏った水色髪のメイド少女であるが、彼女は変幻自在の体を持つスライム。人間の姿に擬態したり分裂したり、更には体に穴を開けて攻撃を回避したりなどといった芸当ができる。しかし衝撃には弱いらしく、建物から落ちて体が破裂四散した事も。ユフィールとは腐れ縁な関係。
そんな華奢な見た目とは裏腹に色々とハチャメチャな身体能力を持つが、それとはまた裏腹にとても世話焼きな性格で、メナスの世話係を担当している。また天然で純粋な一面もあり、それが原因で彼に呆れられてしまう事もしばしば。常におっとりとした敬語で話す。ちなみにメイド服は趣味で着ている。
基本的に温厚で争いを嫌う性格なので自分から敵対する事は無い。
- ラフリーゼ・ミットライト
「聖女」の称号を持つ。『レジノア』におけるヒロインで、ミコリスとは別の意味でメナスの天敵。世界を救う勇者を探し求めているが、勧誘の方法がとても露骨で胡散臭い。だがそれは世界を救いたいという彼女の純粋な思いからくる物であり、決して悪意がある訳ではない。普段は落ち着いた清楚な淑女だが、メンタルはやや弱いようで取り乱しやすい。ミコリスと同じく常識人でもある。
精霊王から勇者の剣を(台座ごと)引き抜いたメナスに目を付け、勇者になるよう説得する。その目的は世界征服を目論む聖王の暴走を止める事であった。
アレクと同じくメナスとは幼い頃に何か関係が…?
七魔王
魔帝メナスが配下に収める7人の魔王。ノア帝国各地の防衛を担当している。
- 天命王メルモ
七魔王の一人で第2席。つまり七魔王の中で2番目の強さを誇る。カラフルな道化師の恰好をした少女で、運命を操る力を持つ。ノア帝国のスパイとして諜報活動を担当している。
自身が持つスキルを応用して道化師として世界をさすらう。かつてはノア帝国の宮廷道化師も務めていた。性格はやんちゃで、「きひゃひゃ♪」と陽気な声で笑う。一方で褒められるのが大嫌いで、されると拒否反応を示す。人を笑わせる事を生き甲斐としており、人々から笑顔を奪ってしまうような敵に対しては容赦が無い。一方で笑わない人に対しては洗脳させてでも笑わせるといった強引な手段も辞さない。
人を笑わせるのを生き甲斐としているが故に人々から笑顔を奪ってしまうような統治をする魔帝メナスには密かに反感を抱いており、ゲームではアレクに度々彼の討伐に関する情報を流すなど、直接関わる事は無いもののメナス討伐の立役者として暗躍していた。しかしメナスが皇帝を辞めた為、そのような事をする事は無くなった。
- 冥王ノーチェ
七魔王第3席。つまり七魔王の中で3番目の強さを誇る。聖王国付近の大霊園に位置する冥王城に住む幽霊少女。薄紫色の髪に黒いゴシックドレスに身を包む。
そんな華奢な出で立ちに反してその戦闘能力は凄まじく、生命を自在に操れるというとんでもない力を持つ。つまりは相手を死なせるのも生き返らせるのも自由という事である。別名「死者を統べる魔王」「命を管理する冥界女王」。
独特な価値観を持っており、相手とは常に「理想の美しい自分」を演じて接する。芸術が趣味で、普段は城内のアトリエに籠って絵画制作に勤しんでいる。しかし彼女はそこにも歪んだ価値観を持っており、生きている人間は単なる玩具や絵具の材料としか認識していない。
性格はヤンデレやメンヘラなどに近く、上司であるメナスと関わりを持とうとする者には容赦が無い。しかし孤独であるが故に意外にも寂しがり屋だったりもする。
実はメナスの義娘だったりする。
その他
- ミステリア女王
ピンクハート妖精国を統治する女王。ミコリスの母親で、彼女とは瓜二つの顔立ち。世界最強と称えられる実力者。
竜王ニーズヘッグを倒そうと躍起になっているミコリスを過度に心配しており、その為か彼女からは敬遠されている。
- 竜王ニーズヘッグ
世界樹を脅かす黒竜。多くの耐久スキルを持ち、体力が少なくなるとすぐに逃げるという生き残りに長けた魔物。ゲームでは何度でも戦えるボスとして定評があった。
世界樹を破壊してその力を奪い取ろうと目論むが、圧倒的な力を持つメナスの前ではただのかませ犬にしかならなかった。
メナスに討伐された後は肉体を世界樹の肥料にされたり、骨だけになった後はノーチェにペットとしてプレゼントされてしまったりと色々不憫な扱いを受けている。
- 聖王ネフィーロ4世
ソリスティア聖王国を統治する王。普段は聖人として国民から尊敬されており、ゲームでは革命軍を全面的にバックアップしていた。しかしその裏では世界征服を企んでおり、新たに開発した神弓兵器を用いてノア帝国を滅ぼそうと目論んでいた。
スキル【噂操作】を持ち、これを利用して国内の情報統制などを行っていた。使い方次第では洗脳に近い効果を発揮する事ができる。
用語・地理
- レジスタンス・ノア
本作の舞台となるRPG。『レジノア』と省略されて呼ばれる事も。
祖国を滅ぼされたアレクの戦いと冒険が描かれる。バトル以外にも様々な要素が詰め込まれており、メナスが夢で見た世界では大流行していたゲームだった。
難易度は死にゲーと称されるほどに高く、初見でのクリアはほぼ不可能だが、努力や戦術によっては十分にクリアできる程度の難易度ではある。
- ノア帝国
魔帝メナスが治める巨大帝国。四方八方を敵国に囲まれており、常に外国からの脅威に晒されている。また内戦が頻発するなど国内事情も不安定な為、メナスは自身の【魔物創造】スキルを使って強引に国をまとめていた。ノア帝国が嫌われているのは周辺諸国が強大すぎる魔帝メナスの力を恐れているからであり、ノア帝国と彼にまつわる悪い噂のほとんどはそれらが流布したデマだった。
魔帝メナスが「討ち倒され」、アレクが新皇帝に即位した後もそのイメージが払拭される事は無く、革命後も周辺諸国から絶えず内政干渉や武力侵攻が相次いでおり、アレクはそれに日々苛まれている。
- ピンクハート妖精国
ノア帝国の北に隣接する世界樹を守護する小国。エルフ達が住む国であり、ミコリスの故郷でもある。ここの中心部に位置する世界樹は世界にとって無くてはならない存在である。その為魔帝メナスもこの国には手出しをしなかった。
- ソリスティア聖王国
ノア帝国の西に大河を挟んで隣接する王国。ここの首都は内海に面しており、また獣肉を嫌う聖職者が多くいるという土地柄から海鮮料理が豊富にある。