概要
トルコで経営されている公衆浴場の形式。トルコ語ではハマム(hamam)。
本来は「トルコ式 浴場」である。
風呂に日本で言うところの三助のような世話係がおり(男風呂ではおっさん、女風呂ではおばさん)、背中を流したり垢擦りしたり、色々してくれるというものである。私邸にこれを備える王侯貴族などは女奴隷に三助させることもあったが、一般的には使用時間を分けるなどして混浴は厳禁であった。
ヴィクトリア王朝のイギリスでもあったらしく、『シャーロック・ホームズ』では、「ホームズも私(ワトソン)も、トルコ風呂ときたら大好きだ」という描写がある。なお、その前でワトソンがホームズから「あンた、なンでトルコ式の風呂なンかに入ったンだッ!」と言われる話があるが、見事に無視されている。
その後、日本では、風俗産業の一つとしてこの名称が採用され、一時期は娼婦をトルコ嬢と呼ぶほど浸透した。しかし上述のように本来は同性でしか入れないため誤用であること、よりによって「トルコ大使館」を名乗る不埒な風俗店が現れたこと、その風俗店への間違い電話が本物のトルコ大使館にかかったことから国際問題化し、現在はその手のお風呂屋さんはソープランドという名称になっている。しかし年配の方は今でも「トルコ」と呼ぶ傾向にある。
「テルマエ・ロマエ」でも明らかなように、ローマでも同じようなサービスがある。余談だが漢語でローマは「肉麻(ろーまあ)」のため、ローマ風呂は「肉麻風呂」という妖しい響き。
また、中世ペルシアをモデルとした世界観の「アルスラーン戦記」にも浴場世話係の仕事ぶりが描かれている。