一般的な意味でのNEXTはネクストを参照。
歴史
自ら創業したアップル社を追われたスティーブ・ジョブズが1985年に設立。ジョブズのアップル退職後の取り決めでMacintoshとの直接の競合を避けるため、キヤノンなどの出資を受けて学術機関向けのワークステーションを開発した。
1988年に登場した最初のハードウェア(NeXTcube)は独自のBSD系オブジェクト指向OS、NEXTSTEPを搭載して登場。マグネシウム合金製の漆黒の立方体のデザインは、当時としては非常に未来的なものであった。ジョブズはこのコンピュータを「(同業他社を)5年は先取りしている」と自慢した(実際のところは5年どころの騒ぎでなく、他社がNEXTSTEPの水準に追いつくまで10年はかかった)。
だが、ハードウェアは高機能のOSを搭載したゆえに動作があまりにも重くなってしまったこともあり、5年で5万台ほどしか売れず、1993年にハードウェア事業から撤退し社名をNeXT Softwareに改称。NEXTSTEPはPC/AT互換機に移植された。その後同社のビジネスはNEXTSTEPの上位フレームワーク層をSolaris、HP-UX、Windows NTなどに移植したアプリケーションフレームワークOPENSTEPと、WebアプリケーションサーバWebObjctsへと舵を切る。
1996年、当時のMacintoshのOSの後継を探していたアップルに買収された。アップルに復帰したジョブズはまもなく経営の実権を握り、1997年にジョブズが取締役会を改編した際に、元NeXTのエンジニアたちが重役の席に座った。現行のmacOSの大部分はNEXTSTEPを基盤として開発された。
遺産
NEXTSTEPそのものはあまり普及しなかったが、1990年代を通じてモダンOSの見本となった他、開発環境はJavaを始めとした後続の技術に大きな影響を与えた。NeXTはCERN(欧州原子核研究機構)のティム・バーナーズ=リーが最初のWWWを開発したマシンとしても知られていて、今日のインターネットのあり方にも大きな影響を残している。