概要
頭骨の額は盛り上がらず、やや凹む。耳介は三角形の種が多い。収縮した瞳孔は針状。口吻は細長く尖っているのが特徴。
比較的肉食系に近い雑食性であり、小動物から残飯まで広く食する。夜行性で警戒心が強い一方で、知能が高い為、一度餌を与えれば「人間が餌をくれる」と学習し、食べ物を催促してくる。キタキツネの生息する北海道では事故の原因となっており、非常に問題視されている。
また、鶏などの家畜を食害し、エキノコックスを媒介する事から害獣として扱われる事がある。基本的に単独行動する生き物で、滅多な事では群れない。
人間との繋がり
総じて知能の高い動物として描かれるが、文化圏によって立ち位置は異なる。
アジアではキツネは瑞獣または人に害を及ぼす魔獣の両方の側面があり、度々伝承にも登場する。
特に東アジアの伝承においては変身能力などの妖術を使用して人を「化かす」とされ、尻尾の数によって妖力が変動する。特に九尾の狐クラスとなると国一つ滅ぼす事ができるレベル。また、人に取り憑くともされ、犬神と並んで恐れられた。
遠く離れたアフリカでも創世神話に大地と交わろうとした銀狐ユルグが登場している。
日本においてはお稲荷さんことウカノミタマの遣いとして登場したかと思えば、日本の民話では同じイヌ科に数えられ、人を「化かす」能力がある狸が宿命のライバルに位置づけられるほど非常に身近な存在だった。こうした側面から狐は悪者だけでなく、心正しい者に恩返しをする立場としても登場し、大阪府泉州の伝承に登場する安倍晴明の母親葛の葉が代表的な例か。
一方、一神教が中心である欧州では人を化かす動物としてはあまり描かれはしなかったものの、害獣としての側面が強調された為か、こちらでもずる賢いイメージで語られる事があるが、どちらかといえば小悪党に近い。
実際にイソップ童話でも「ずるい狐」や「獅子の分け前」など抜け目ないずる賢いキャラクターとして登場するが、「狐と葡萄」のように間抜けなキャラクターとして描かれたり、小悪党というイメージから転じて、ディズニー版のロビン・フッドやジョンストン・マッカレー作の快傑ゾロ(スペイン語で狐)のように義賊のモチーフとして扱われる事もある。
貴族の間では狐狩り専用の猟犬フォックスハウンドが作られるぐらいに狐狩りはメジャーなスポーツであった為、そこまででかい脅威としては見なされなかったのかもしれない。
創作作品では狐火から連想して炎属性、寒冷地の動物というイメージから氷属性、妖術を扱うという伝承から闇属性などが割り当てられる。