大門美鈴
だいもんみすず
人物
校長・丸山一八が教育委員会の反逆組織による陰謀で姉妹校のムカチャッパ学園に左遷させられた後、理事会により校長として赴任してきたキャリアウーマン。
理事長・桜井良子の理想的な教育方針に反発し、生徒や教師のプライバシーを管理して学苑を支配しようと目論む悪女。
渋谷翔を始めとする10数名のメンバーが所属する天使部隊を従え、学苑の風紀を理不尽に取り締まらせている。
実は桜井理事長の元教え子であり、自身の逆恨み同然の復讐をするために赴任してきたようなものであった。
中学時代は公立から私立へ編入してきた優等生であった。しかし、父親が放火により逮捕され、優等生であることへの嫉妬と、「犯罪者の娘」としての差別による凄惨ないじめを受け続けていた。当時担任であった桜井が自身の居場所であったが、彼女に裏切られたと思い込み父同様に放火を起こし自殺未遂を起こした。この経験がトラウマとなり、荀子の性悪説に倣い「人間の本性は悪」という思想と、その狂気に取りつかれる。
学苑の支配の計画は順調であったが、鬼塚の活躍と、渋谷の暴走による天使部隊の壊滅により狼狽。さらに、桜井理事長に真実を話され、それに絶望したことと、渋谷を庇うための落とし前として再び火の中で自害しようとしたが、渋谷に殺されたと思われた鬼塚が奇跡的に復活し、バイクで駆けつけて助けられた。この一連の事件を経て考えを改め更生し、理事長のアシスタントに収まった。なお彼女の退任後はムカチャッパ学園から帰還した丸山が再び校長となっている(当然3人の教頭達は不満を漏らしていた)。
総評
紛れもないラスボスにして、「鬼塚と出会わなかったモトヨンのIFを体現した大人」である哀しき悪役であったが、作中後半の元凶である彼女の所業が、作中の生徒たちを結果的に救っているという「影の立役者」になっている所が皮肉にも否定できなかったりする。
- 「(排他的なやり方ではあったものの)鬼塚のゴミだらけの住処を掃除されて外に放り出され、親友の弾間龍二に発注してもらったトラックに住むことになり、以前より整理整頓ができるきっかけを作る」
- 「鬼塚が不登校の生徒であった宮森勇気を再登校させるきっかけを作る」「宮森の実家に同行した吉川のぼるが時刻表の趣味がきっかけで友達になる」
- 「天使部隊のリーダーである渋谷翔が大門と出会わなければ四面楚歌の生き地獄から解放されることもなかった」
- 「渋谷が転校初日にいじめを受けそうになった際、吉川と宮森に助けられて友達になり明るくなる」
- 「常盤愛が過去に付き合っていた男に騙されて輪姦されて男性不振に陥り、大門と出会いテコンドーを叩き込まれ、後に学園内で暴走していたところを鬼塚の指導を受けたことで改心して過去の蟠りを振り切り、無意味な暴力を止めるきっかけを作る」
- 「天使部隊に所属するようになった生徒たちの居場所や生き甲斐を作るきっかけを作った」
など、「怪我の功名」同然の結果を残している。