概要
1942年3月20日生まれ。京都府京都市出身。本名は小林龍太郎。
かつては横山パンチという芸名で横山ノックらと漫才トリオを結成していたが、ノックの政界進出でトリオは解散、上岡龍太郎に改名する。
島田紳助と共に1980年代のお笑いブームを盛り上げた人物の一人で、お笑い界のレジェンドとして取り上げられる人物。
一般人では知りえないような知識を饒舌に話すことで相手に賢い、通であると思わせる話術「知識のドーナツ化現象」の提唱者。
オカルトに関してはかなり否定的で、「探偵!ナイトスクープ」で心霊現象を取り上げて茶化した内容のVTRが流れた放送において、激怒した上に途中退席した様子がオンエアされたことは有名。なおこの姿勢は、家族が霊感商法の食い物にされかけた少年時代の体験が大いに影響している。
55歳を迎える1997年に自分の芸風が時代錯誤を迎えていることを悟り、2000年に引退する事を宣言。58歳を迎える同年の3月に有言実行した。
引退後は一時期海外に移住しつつも現在は関西の豪邸で一般人としての余生を送っている。
弟子にぜんじろうや大空テントを持つが、2016年にはテントが交通事故で自分より若くしてこの世を去るという不運にも見舞われた。
上岡龍太郎の問題提起
上岡龍太郎はお笑い芸人という職業を「ヤクザと紙一重」と捉えている思想家で、本来なら芸人は反面教師にされるべきであり一般人があこがれるべき職業ではないとジョークを交えながらも何度か警告し、1990年ごろから芸人という職業になりたがる人間の増加(=芸人のイメージの堅気化)にはかなりの危機感を持っていた。
同時にただ映像を流すだけに過ぎないテレビという家電が同調圧力により一般教養・義務化していることに関しても危機感を持っており、実際上岡が引退した三年後の2003年のお笑いブーム以降はテレビ番組のあらゆるジャンルをお笑い芸人が埋め尽くすようにもなり、持ち株会社化した吉本興業に在京メディア5局(フジテレビ、TBS、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京)全てが筆頭株主になりますます芸人が権限を持つようになるなどお笑い芸人とTVは切っても切れない規模にまで癒着が進行。
その結果、2019年には彼が警告していた最悪の出来事が発生してしまったのである。
上岡の思想に則ると、本来ヤクザと同等であるお笑い芸人が一般教養化したテレビと癒着すればヤクザに強い権限が渡るのは当然のことであり、いずれこうなる定めだったとも言える。
上岡は自分の問題提起を「『ふん、馬鹿が』と笑い飛ばしてくれて構わない」「相槌を打つのでなく疑うこともすべき」と自虐していたが、彼自身もほぼ警告そのままの問題が表面化するとはさすがに想像もしなかったであろう。
このような芸人とマスコミの現状を考えると彼の引退のタイミングは実に的確だったと言える。