概要
第4話の被害者。享年21。
光映プロダクション所属の俳優。
英都撮影所制作のヒーロー番組『トノサマン・丙!』と双璧を成す、『忍者ナンジャ』の主演を務めており、その暑苦しい雰囲気で人気を博している。
また『トノサマン・丙!』の主演俳優である王都楼真悟とは、同い年且つ同時期にデビューした事などから、互いに異常なまでにライバル視しており、何かと張り合っているのだが、いつも彼に一歩及ばず、「ヒーロー・オブ・ザ・ヒーローグランプリ」でも王都楼にグランプリを奪われてしまった。
そしてその「ヒーロー・オブ・ザ・ヒーローグランプリ」の授賞式の直後に、楽屋で彼が遺体となって発見されて、容疑者として王都楼が逮捕された。
また、生前はその王都楼のマネージャーである華宮霧緒との交際関係が噂されていたが…
さらに事件の起きた夜には、トノサマンが記者会見で何かを告白するという話があったのだが、何故か王都楼本人はその事を知らなかった。しかし後に、その記者会見は藤見野が霧緒に用意させたものであり、藤見野自身がトノサマンの着ぐるみを着て、記者会見を行うつもりだった事が明かになる(つまり自身を王都楼と偽って、彼について何かを告発するつもりだったのである)。
なお、自伝で修行時代にクマと格闘して友達になったと語っており、その影響か彼の楽屋はクマのグッズで溢れ返っている。また、赤色が好きなようで、楽屋の冷蔵庫にはケチャップやキムチが入っていた他、忍者ナンジャのトレードマークも真っ赤なギターとなっている。
ちなみに事件では、トレードマークの真っ赤なギターを持ってきてはいなかった。
そして、ギターケースの代わりの中身は決して「真っ白」でも「真っ黒」のギターでもなく、記者会見の為に用意していたトノサマンの着ぐるみだったのである。
ネーミングの由来は「不死身なのに死んじゃった」から。
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以下ネタバレ注意
刑務所で霧緒と面会して彼女のサイコ・ロックを解くと、藤見野の記者会見の内容と、王都楼と藤見野の因縁の真相が明らかになる(それまでの捜査でも大体の流れは察する事ができるが)。
元々、王都楼と藤見野の2人は同期のライバルという事もあり、水面下で激しく対立し合っていたが、特に今回の事件の背景には、霧緒の先輩である天野由莉恵の存在が大きく関わっていた。
由莉恵は元々王都楼の恋人であったが、彼に遊ばれた挙句アッサリと捨てられ、後に藤見野と出会って婚約までするも、今度は王都楼が藤見野にその過去を暴露する。その事で、プライドを傷つけられた藤見野が婚約を解消してしまい、これにショックを受けた由莉恵は自殺してしまった。
しかし、遺体の第一発見者だった藤見野は由莉恵の遺書を発見するも、それを隠してしまう。
その目的は、自身のプライドを傷つけられた事への復讐の為に王都楼の弱みを握る事であり、彼は忍者ナンジャがグランプリ受賞を逃した場合、トノサマンのグランプリ受賞後という最も注目の集まるタイミングで記者会見を開き、王都楼に酷い仕打ちを受けた由莉恵の遺書の内容を暴露する事で、そのイメージを決定的に傷付けるつもりだったのである。それを嫌がった王都楼が、虎狼死家左々右エ門に依頼して彼を殺害させたというのが、今回の事件の真相である。
さらにその後の裁判パートでは、実は彼が隠し持っていた由莉恵の遺書は彼自身が偽装したものだった事が明かになった。本物の由莉恵の遺書には、王都楼に関する決定的な事は書かれてはいなかったらしく、その為に彼は遺書を隠して、自分で偽物の遺書をデッチ上げていたのである。
これらの事から霧緒は、由莉恵の死すら己の目的の為に利用して弄んだ王都楼と藤見野を激しく憎んでおり、藤見野と交際するふりをして接触していたのも遺書の情報を探り出す為である。そして今回の事件で、王都楼が藤見野を殺害した偽の証拠を作ろうとしたのも、彼が真犯人だと確信していたからであった。これが霧緒が偽装工作をした件の真相である(その為、偽装工作をするにあたって藤見野の死体の胸にナイフを刺した時も、彼女は罪の意識を感じなかったとの事)。
一応は殺人事件の被害者という立場の人物ではあるのだが、このようにコイツもコイツで王都楼への対抗意識という自分勝手な理由から婚約者の由莉恵を捨てて、それが原因で彼女を自殺に追い込んだばかりか、由莉恵の死を王都楼を失脚させる為の材料として利用する事を目論み、彼女の遺書を隠蔽して偽物の遺書をデッチ上げて公表しようとするなど、どうしようもないクズである。
要するに、この事件の発端はクズ男2人の下らない喧嘩だったのである(被害者も被害者でどうしようもないクズだったというのは、後の作品のこの人物にも通じる)。
こんなクズ共が、人気特撮ドラマでヒーロー役を演じていたというのは何とも酷い話である。