概要
北極海と北大西洋の間にある世界最大の島。面積は217万5000平方kmほどで日本の国土面積の6倍弱に相当する。世界地図では投影法の都合上面積が引き延ばされて描かれるので実際以上に巨大な島のような印象を受ける。
北アメリカ大陸の北、北極海と北大西洋の間、カナダの北東で、大半が北極圏に位置する。デンマーク領で自治政府が置かれている。
大部分が北極圏に属し、全島の約80%以上は氷床と万年雪に覆われる。人口はわずか5.6万人。
国民の多数派は先住のグリーンランド人(イヌイット)であり、後から入植してきたデンマーク人は1~2割に過ぎない。2009年にデンマーク語は公用語から外され、西グリーンランド語方言が唯一の公用語となった。
歴史
西暦6世紀頃、シベリアのモンゴロイドがグリーンランドまで居住域を広げた(エスキモー)。
西暦10世紀頃、アイスランド在住のヴァイキングがグリーンランドを発見・移住した。グリーンランドという島名は彼らが名付けたもので、当初は「アイスランド」と言われていたが(現在のアイスランドとは無関係)、これは厳しい居住環境を連想させなかなか入植希望者が集まらなかったため、入植者を増やすためにわざと「緑の島」という名前にした、という伝説がある。しかし、気候が寒冷化したことで居住地の維持は難しくなり、またエスキモーと土地や食料を巡って争うようになる。結果的に、16世紀までにヴァイキングの定住地は消滅した。
18世紀にはキリスト教布教などを目的にヨーロッパ人による再上陸が行われデンマーク領となったが、第二次世界大戦中にデンマークがナチスに占領され、アメリカ合衆国に保護された。
そのため独自性が強まり、1953年に植民地から海外郡に昇格。1979年以降は自治領となっている。
1985年にはデンマーク領ながらECから離脱している。
政治
長い間デンマークによる植民地支配が続いたが、地理的にも文化的にも離れており、独立を求める声が多い。1979年5月に自治政府が発足し高度な自治権を獲得した。財政的にはデンマーク本国からの援助に頼っているため完全独立はいまだに実現していないが、グリーンランドの地下には中東地域に匹敵する量の原油が存在するとされており、地下資源収入が経済的にグリーンランドを支え、デンマークからのグリーンランド独立が容易になるとも指摘される。
一院制の議会は31人の議員で構成されており、4年に一度住民からの直接選挙で選出され、解散が認められている。
経済
主要産業は漁業とその加工業で、これらのみで輸出の87%を占める。特にエビはその半分以上を占める。
交通
最も重要な交通手段は航空機である。船舶による旅客と貨物の輸送は、片道80時間かかる往復路線が週1便あるだけである。沿岸部はフィヨルド、内陸部は氷河で覆われ、島内の都市間を結ぶ陸路はない。