カイパーベルト
かいぱーべると
概要
カイパーベルト、又はエッジワース・カイパーベルト(英:Edgeworth-Kuiper Belt)は海王星の外側(具体的には30~55AU、太陽-地球間の距離のおよそ30~55倍の範囲)に存在する、小天体が密集した領域である。
その名は、彗星の軌道などからこの領域の存在を予測した天文学者ケネス・エッジワース及びジェラルド・カイパーにちなむ。なお、他にもカイパーベルトやそれに似た天体群の存在を予測した天文学者は多数おり、二人が初めて提唱した訳でもない為、この名称は適切でないとの意見もある。
小惑星帯に似ているがその規模は遥かに大規模で、小惑星帯最大の天体ケレスより大きいサイズの天体も多数存在する。
なお、この領域のすぐ外側に、散乱円盤と呼ばれる領域があるが、そこもカイパーベルトに含める場合もよくある。
起源
地上からの観測が難しく、現時点で直接探査を行ったのはニュー・ホライズンズのみの為、詳細は未だに不明な点が多いが、原始惑星系円盤(恒星の誕生直後にその周囲を取り囲む円盤で、ガスと塵からなる)から惑星が形成されていく中で、巨大惑星の影響により、惑星に成長出来なかった微惑星の名残と考えられている。
また、数多くの天体が巨大惑星の重力に捕らわれたり、太陽系外に弾き出されたりした為、現在この領域に存在する天体の数は、初期の頃に比べ遥かに少ないと推測されている。(この領域起源の天体については後述)
太陽系外のカイパーベルト
太陽系以外の惑星系にもカイパーベルトのような領域があることが知られている。
HD 115600
約360光年離れた所に位置するケンタウルス座の8等星。この星の周りにカイパーベルトに似た塵の円盤が発見された。
この星が属する星団が太陽の生まれた環境に似ていることから、誕生した頃のカイパーベルトに似ているかもしれない。
カイパーベルトが起源とされる天体
前述した通り、この領域は元々彗星の起源として予測され、実際に公転周期が200年未満の彗星(短周期彗星)は、カイパーベルト及び散乱円盤由来とされているが、それ以外にもこの領域由来とされる天体が存在する。
海王星最大の衛星トリトンや、土星の衛星フェーベなど、いくつかの衛星はカイパーベルト天体が巨大惑星の重力に捕らえられたものだと考えられ、海王星のトロヤ群(惑星軌道上の「ラグランジュ点」と呼ばれる、他の天体が安定して存在出来る領域にある小惑星)も、カイパーベルト天体だったものが、海王星の重力によって捕らえられたものだと考えられている。
木星と海王星の間の軌道を公転する小惑星、ケンタウルス族はカイパーベルト天体が太陽系内部に入り込んだものだとされる。ケンタウルス族天体は軌道が不安定であり、将来的には太陽系外に飛ばされるか巨大惑星に衝突、あるいは重力に捕らわれて衛星になるものと思われる。
この領域の遥か外側、オールトの雲(長周期・非周期彗星の起源とされるが未発見)の天体は、巨大惑星の重力によりこの領域から弾き出された後、辛うじて太陽の重力圏内に留まった天体だと考えられている。
小惑星帯(メインベルト)に存在する唯一の準惑星、ケレスについても、構成物質に氷の割合が多いなど、周りの小惑星よりもカイパーベルト以遠の天体と共通する点が多く、カイパーベルト由来とする説が存在する。(逆に、カイパーベルト天体のクワオアーは氷を殆ど含んでおらず、小惑星帯由来の可能性も指摘されている。)
カイパーベルトが登場・関連する作品
宇宙戦艦ヤマト 宇宙戦艦ヤマト2199
冥王星に、ガミラス軍の冥王星前線基地が置かれている。
また、宇宙戦艦ヤマト2199では、カイパーベルトの小天体に反射衛星砲で外力を加え、地球への衝突コースに乗せることで遊星爆弾にする。
WILD ARMS 2nd IGNITION
現実のカイパーベルトとは違うものだが、世界を蝕む世界「侵食異世界カイバーベルト」が登場する。カイバーベルトが正しい。(※ネタバレ注意!)
別名・表記ゆれ
関連タグ
パイオニア計画 ボイジャー計画...ニュー・ホライズンズ以前にこの領域に到達・通過した探査機。なお、何かこの領域の天体を探査した訳ではない。この内ボイジャー1号に関しては冥王星を訪れる計画もあったのと、有名なペイル・ブルードットはこの領域から撮られたものという関係がある。