概要
『東方Project』に登場する宇佐見菫子のスペルカードの一つで、菫子が『東方深秘録』に初登場した際に披露した。
薄い青色の拳銃のようなものを使用するもので、『深秘録』のゲーム場面ではキャラクター選択のシーンにおいて本スペルカードを表現する表示にもこの拳銃のようなものが描かれている。ここで描かれたものによれば、銃身などは比較的ショートなもの。
『深秘録』サウンドトラック作品である「深秘的楽曲集 宇佐見菫子と秘密の部室」同梱のジャケットにも似たようなカラーによる銃器と思しきアイテムが他の菫子にまつわる様々なアイテムと並んで描かれている。同ジャケットではこの銃器と思しきアイテムは菫子の傍らの椅子の上に横向きに置かれている。
このとき、その銃口が別の椅子に着席する菫子の足方向に向いている(万一の暴発による危険が及ぶ可能性を高める配置)が、これは拳銃自体がグリップなど(持ち手・引き金)の部分に即座には手が届かない(万一危険が発生した場合すぐに対応できない)場所にある事と並んでこの際の菫子が非常に安心感のある状況であること、あるいは安全に絶対的な自信があることが窺える一幕ともなっている。
同ジャケットにおける菫子の周辺にあるものやサウンドトラック背面シートに描かれた様子からジャケットに描かれている菫子は外の世界に居るものと思われる。『深秘録』において幻想郷に閉じ込められている最中の菫子では、このような平穏な心理とはいかなかったことだろう。
なお、使用に際してその弾丸とも言うべきものが何であるかの具体的な描写は無い。
菫子は『深秘録』以前から垣間見ていた幻想郷を通してスペルカードルールを見知っていたようで、実際に『深秘録』作中では並み居る猛者たちと渡り合った。一方で菫子は幻想郷への敵対的な行動が目的ではないため、本スペルカードで表現するものもまた弾幕ごっこという現地ならではの問題解決方法とも言うべきお遊びの範疇なのだろうと想像される。
幻想郷では問題は「 火力で解決する 」との認識の元、プリンターガンもアイテムの一つに携えて、菫子は『深秘録』の夜に幻想郷へと臨んだのである。
3Dプリンター
「3Dプリンター」とは、2015年11月時点での技術としては、主にコンピュータ上で作られた3Dデータ(三次元・立体データ)を元に樹脂を重ね合わせていくことで実際に立体化するものである。目標となる立体像をまずスライスされた断面で捉え、樹脂を固め積み上げるように立体化していく。感覚としては、土焼きの壺などを造る際の、円柱状のパーツをたくさん作ってそれを重ね合わせ融合していく行程にも似ている。
従来はその価格や運用に際しての専門性などから購入は企業などといった製造者や商業者向けに留まっていたが近年では手軽さを伴った個人向けの価格帯での製品も登場している。
菫子が手にしたアイテムがどのような経緯で生まれたか(例えばこれが菫子の自作であるのか
特定または不特定の他者が製造したのかなど)は不明であるが、軽量な樹脂製であれば菫子も取り回しがしやすい事だろう。
ただし実際には3Dプリンターを使用して殺傷力をもつ銃器を製造する事は今日では禁止されている。内部構造が空だったり全て樹脂で詰まっていたりするような単なる置物のようなものならともかく発射能力をもつようなものを製造してはならないのである(後述)。
演出・性能
発動直後、菫子が先述の拳銃を自身の前方に構える。このときの姿勢は腰を少し落として片足を軽く曲げ、背を丸めるようにしつつ手にした拳銃を自身の顔の正面にすえるというもの。片手でグリップを握り、もう片方の手をグリップの底部に支えるように添えつつ(これは構え方として間違っている。正しくはグリップを握っている方の手をもう片方の手で包み込むように持たなければならない)、菫子は笑顔を浮かべて狙いを澄ます。
そして、正面方向に一発射撃する。弾速は非常に早い。
射撃後、菫子は反動で大きくのけぞりながら後退する。
本スペルカードでは手にした銃器を通してのみ弾幕が発現しており、その弾道である真正面の直線方向以外には弾幕は発生しない。加えてその直線軸の幅も狭く、ヒットさせるためには相手を銃口の正面軸線方向に捕えておく必要がある。
本スペルカードの使用にかかるコストは1400で、これは菫子の全三種のスペルカードのうちで最も高い。『深秘録』における他キャラクターとの比較を通してみる時、必要値としては霧雨魔理沙が使用する<恋符「マスタースパーク」>の1500に次いで高いもので、少名針妙丸の<小槌「伝説の椀飯振舞」>の1400に並ぶ。
スペルカードの全てが1000を越えるコストを必要としている点が菫子に特徴的な点であり、本スペルカードもまた高い必要コストを求められるものである。
<銃符>
<銃符>の冒頭句をもつスペルカードとしては、本スペルカードの他に『東方紺珠伝』に登場する清蘭が使用する<銃符「ルナティックガン」>がある。ただし『紺珠伝』時点では菫子のように具体的な銃器を使用する様子は描かれていない。件の大きい杵を振って生み出す弾幕である。
また「銃符」の句を用いたスペルカードはもたないが、鈴仙・優曇華院・イナバは『紺珠伝』では銃器の形状をしたアイテムを使用し、かつ同作でのショットの一つ(拡散ショット)の名称が「ルナティックガン」となっている。
加えて清蘭と鈴仙に共通する要素である玉兎という種族を通して見る時、『東方儚月抄』では月の都の玉兎らが銃器を携える様子が描かれており、作中で玉兎らにも伝えられた地上発の弾幕ごっこにおいても、携帯していた銃器を応用している。
「銃」は菫子の他には『紺珠伝』までの時点では広く玉兎らに見られる要素でもある。
禁止されている実際の「3Dプリンターによる銃器」
日本では2014年、3Dプリンターを使用して拳銃を製造した人物が銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)違反によって逮捕されており、裁判では製造された拳銃の殺傷能力の高さもあって銃刀法違反よりも刑の重い武器等製造法違反という文脈でも審議された。同事件では被告に懲役2年の実刑(執行猶予なし)の判決が言い渡されている(横浜地裁)。
重ね重ねながら、現実では3Dプリンターによって人を殺傷し得る銃器を製造する事は禁止されているので注意が必要である。
余談だが、アメリカのドラマ『CSI:NY』においても3Dプリンターで製造された拳銃による射殺事件を扱ったエピソードがある。
強度が足りない為一度の発射にしか耐えられず、2発目には必ず暴発するほぼ実質使い捨てな代物であったが、ニューヨークCSIの主任マックはそんな物が作られてしまったことに非常な危機感を抱いていた。
ただし、個人用の3Dプリンターでは耐久性の低い樹脂でしか造形できないため、仮に作ったとしても「イチかバチか弾が前に飛ぶかもしれず、一発で壊れてしまう」程度の代物となるらしい。弾丸がまともに飛ばず自分の手を吹き飛ばす可能性もある危険な代物であり、また高温に耐えきれずドロドロに溶けてしまうともされる。
さらに問題となるのが弾薬であり、3Dプリンターでは火薬を合成して炸薬を作るなんて芸当はほぼ不可能である。
上記に挙げられている製造事件も実際には3Dプリンターのみで作ったのではなく、銃身などは金属パーツを使用しているとされる。数千万円以上もする業務用の金属も造形可能な本格的3Dプリンターを使用するならいざ知らず(それでも完全な銃の製造は困難な模様)、安価な個人用ではホームセンター等で材料を集めたハンドメイド銃にも劣る程度しか作れないだろうとされている。(参考)
表記について
本スペルカードは原作『深秘録』では「3D」の部分が<銃符「3Dプリンターガン」>のように全角で表記されている。一方pixivでは全角の英数字がタグとして使用できないため(全角で入力しても自動的に半角に変更される)、タグの表記としては本タグ名称の通り<銃符「3Dプリンターガン」>と該当部分が半角による表記となっている。
関連タグ
リベレーター(3Dプリント銃) 元ネタの拳銃