「強さこそ全てだ。」
概要
日ノ元士郎率いる組織『燦然党』本隊のNo.2。『日ノ元家の異端児』と呼ばれている日ノ元士郎の実の弟あり、明の叔父に当たる人物。褐色の肌に漆黒のスーツ、右目に眼帯をした端正な顔立ちの男性。他の日ノ元家同様、大の野球好きであり彼が異端と呼ばれている理由は『日ノ元家は全員巨人 ファンなのに対し、彼だけは好きな球団をコロコロ変えているから』という非常にしょうもないもの。(なお現在はホークスファンである模様)
本編の8年前に日ノ元家から出奔しており、此度の戦いに際し本家に舞い戻って来た風来坊であるがその実力の高さから燦然党からの信頼は厚い。
人物
常に無表情であり、感情を表に出さない掴みどころのなくマイペースな人物。だが、『数千人の民間人を毒ガスの中に放置し、ドミノからの攻撃への盾とする』という燦然党の作戦に不服がある様子ではなく、戦場で敵を容赦なく切り倒していき、身内の死をさほど気にせず情に流されない様から冷酷、合理的な人物。その性質はまるで心を持たない武器そのものである。しかし、決して人間性がないというわけではなく、根っからの武人気質で強者との試合を渇望しており、戦闘前は名乗りを上げる生真面目さもあり、真の強者には素直に敬意を表するという一面も。また、赤ん坊の頃から「つよちゃこちょちゅべて(強さこそ全て)」と喋ったり、重傷を負った軍司を気にかけない父に対して怒鳴る士郎に「でかい声で騒ぐな。傷に響く。」と宣うなどコミカルな一面も持ち合わせている。そんな人柄もあって幼い頃から明に慕われており、彼が燦然党の非道な作戦に参加しているのを目の当たりにした際は「何故、アナタまでこのような蛮行を…!!」と嘆いていた。(あの士郎でさえ、軍司に対して「人の道は外れん奴だと思っていた。」と発言している。)
能力
変身体は甲冑を着込んだ鎧武者のようなもので、2振りの日本刀を武器として扱う。ヴァンパイアとしての基礎能力は非常に高く、日ノ本家特有の身体能力も相まって脅威の一言。並のヴァンパイアの中で最強格の先生が手も足も出ないほどの戦闘力を誇り、肉体も真祖2体分の力を得た士郎の発する高熱を間近で受けても問題ないほど頑強。(並のヴァンパイアであれば発火している。)また直感や観察眼に優れており、索敵能力を持たないにも関わらず、真祖すら感知できなかったゴールデンパーム構成員の海老湖と象場による不可視のドームの形成に即座に気付くなどもはや人外の域。ドミノからも『この時代、真祖を除いた最強のヴァンパイア』と称されていた。
『反射』
彼のヴァンパイアとしての固有能力。受けた攻撃を防ぎ、相手に跳ね返すというカウンター能力。反射出来る攻撃力の上限は今のところ描写されておらず、先生の万物両断ブレード、京児の電撃、真祖の攻撃すら反射可能。また反射できる場所も自在であり、京児と交戦した際には彼の電撃を目に反射し視界を奪うという芸当もしてみせた。一見最強の能力に見えるが、実際は反射が出来るタイミングは攻撃が直撃してから1/75秒という短さであり、本人の化け物じみた反射神経があって初めて成立する。唯一の欠点は一度反射すると、少しのインターバルが必要であり連続での使用は出来ないこと。
『天軍ノ剣』
彼の扱うD・ナイト。X型の斬撃を飛ばすという非常にシンプルなもの。真祖にも通じる攻撃力に加え、彼の能力に根ざした『全てを反射する』という性質を持っておりこの斬撃を迎撃することは不可能。Re・ベイキング後のユーベン、ドミノにも手傷を負わせた。
活躍
初登場は『内通者編』。燦然党本隊の一人として登場し、自身の有用性を実力で証明しようとした堂島に興味を示し、一対一の戦闘を行う。圧倒的な剣士としての技量や反射能力を駆使して彼を一方的に追い詰め、その底知れなさを見せつけた。だが決着が付く前に堂島の協力者であった霧島が、彼に取り付けていた影法師を爆破させてしまったため勝負は有耶無耶になってしまう。心臓が吹き飛んだ堂島に自らの背広を被せて彼の遺体を隠すと、「その強さ、大口に見合うものではあったぞ。」と彼を称賛した。
その後のチームドミノ、ゴールデンパームとの決戦時に本格参戦。日ノ元が放った熱線を反射しドミノに直撃させる、海老湖と象場の形成した不可視のドームに気付き即座に破壊する、ドミノ陣営ツートップである佐神善 、狩野京児 を相手に互角に渡り合うなど破竹の勢いで大活躍を遂げる。また士郎がドミノ同盟のホームである石切り場に追いやられてからは、善と明のタッグを足止めし、葵洸の『招来跳躍』によって真祖同士の戦いに乱入した際は他の上位陣と共にD・ナイトをユーベンに放ち重傷を負わせた。その後、存命していたユーベンの反撃を受け、攻撃を反射するも通用せず呆気なく左腕を切り落とされる。だが、その直後にユーベンの士郎の心臓を狙った一撃を自身の武器を投擲することで狙いを逸らし、ユーベン敗北の直接的な原因を作った。
ユーベンとの戦いの後、士郎に追撃を仕掛けようとする明、善、水波の足止めを葛、道三とともに担当するが堂島の乱入によって善の突破を許してしまう。そして、士郎とともに善、堂島、水波を迎え撃つも、善と堂島のコンビの前に残った右腕を切断され呆気なく敗北……したかに思われたが、ここでも士郎の放った熱線を反射することで堂島の腕を吹き飛ばすなど役目を十全に果たし、この夜を生き抜いた。
チームドミノ、燦然党が次夜の決戦に向けて準備を進める中、偵察兵として民間人を保護している施設に赴く。その際、偶然にも明と邂逅し「これも天運か」と呟き彼の知り得る限りの『日ノ元士郎』という人間のこと、そして明の母の死の真相を伝えると「さるべき人の演説であったぞ。」とドミノを称賛し立ち去っていった。
その夜の戦いでは、燦然党残党のまとめ役として動いており前夜ほどの活躍はなかった。だがそれでも跳躍をして逃げ回るドミノ陣営に一番槍として強襲をかけ、葵洸に乗っているドミノが偽物だと見破る、七原健 のD・ナイトを受けた士郎が出した合図の光線に乱れがあることを見抜き、単騎駆けはここまでと諫言する、無音で行動していた象場と海老湖の位置を即座に看破する、D・ナイトでドミノに大ダメージを与えるなどやりたい放題。
そしてドミノから決定打を受け、瀕死の士郎を逃がすために命を賭した時間稼ぎを部下たちがする中、日ノ元兄弟は静かに語り合う。
「私もお前が嫌いだ。支配の為の戯言、絵空事を山の如く並べ、面白くもないのに笑い、嬉しくもないのに喜ぶ。見ていてずっと不快だったよ。」
この局面で漸く、軍司は本音を話し出す。武人である軍司は政治家としての士郎を忌み嫌っていた。だが反面、当の士郎は、軍司が決して人の道を踏み外さない人間だと信じていた。だが実際に彼は日ノ元家に舞い戻り士郎と共に民間人を虐殺するという非道に加担し、数多くのヴァンパイアを葬って来た。そんな彼に「何故ここまで付いて来た?」と問う。すると軍司は
「お前が往くと言ったからだ。」
と即答。彼は政治にも、王を決めるこの戦いにもさして興味はない。彼の目的は『強さを極めること』。そのために日ノ元家を抜け、戦いが始まるまでの間放浪を続けていた。だが、同じ日ノ元の血を分けた直系の兄弟でありながら、日ノ元家の内乱で軍司は瀕死の重症で参加出来なかった。。結果的に祖父殺しをはじめとした全ての重荷を士郎に背負わせてしまったことへ申し訳なさを感じていた。だからこそ、彼はそのことに報いるために、士郎がどれだけ犠牲を出そうとも、自身の命を賭けてここまで付いて来たのだった。
「情に流されるは、これを最後にするのだな。ではな、兄上。」と言い残すと軍司は兄への情を胸にRe・ベイキングを成したドミノの前に立ち塞がり、決死の戦いを挑む。だがいくらドミノが手負いといえど力量差は歴然で、反射能力を完封された上に衝撃波で全身をボロボロにされ真っ二つにされてしまう。しかし彼が稼いだその数秒で、士郎はRe・ベイキングを成し、ドミノとの戦いは最終局面へと進むのだった。
後に、日ノ元玄ノ進が真っ二つになった彼を背負っている描写があったことから恐らく存命であると考えられる。
余談
彼が反射能力を行使する際の効果音が「カキィン」であるが、これは日ノ元家の野球好きっぷりからバットがボールを捕らえた音だと考察されていた。だが実はこの音はパチンコの音であり、彼の職業がパチプロであったことが後に判明している、
また、明のダサいTシャツは恐らく彼の影響。
軍司は圧倒的な強さを誇るが、キャラの掘り下げの少なさや戦場における異様なまでの活躍ぶりから、一部の読者からはあまり好まれていなかった過去がある。