『手討ちにしてやる。』
『その老醜、ここで断つ。』
『私は公人だ。』
概要
燦然党の党首、日ノ元士郎の実の娘。
燦然党の手によって長い間幽閉されていたが、堂島正との取り引きを切っ掛けにドミノによって救出され、父との殺意とドミノへの恩義を理由として彼女の陣営に加わった。
黒の短髪と褐色の肌、高身長と引き締まった体格が特徴的な16歳の少女。スポーティで動きやすい服装を好んで着ており、タンクトップや腹を出した服装を好んでいる。しかしその柄には「責務」「巨人命」などと達筆で書かれており、善に負けず劣らずの壊滅的な服装センスを披露している。そして案の定二人のセンスは合致し度々互いの服装を絶賛しあっている。
ちなみに根っからの巨人ファンであり、カープファンの七原とはそっち方面で折り合いが悪く、度々口喧嘩を交わしている。
人物
凛とした振る舞いの古風な雰囲気の少女。非常にストイックかつ芯の強い性格で、責務や己を律するといった硬い言葉を日頃から度々口にしている。ただし根本的に非常にポンコツであり、作中では事あるごとに凄まじい天然ボケを披露している。しかし、決して地頭が悪いというわけではなく、相手の話を理解するのが苦手で、自分の言葉を相手に伝えるのはもっと苦手なだけな不器用な年相応な少女である。見たもの聞いたものを額面通りにそのまま受け止める癖があり、更に一度誤解すると中々考えを修正できない悪癖があり、そういった自身の不器用さを幼い頃から周囲に馬鹿にされてきたらしく、自分が「頭が悪い」ということに対しては密かにコンプレックスも感じている。
彼女の戦う理由である「自分の手で父を討つ」というその言葉は決して冗談半分で言っている訳ではなく、父である士郎について語る際には、心の底に抑え込んだ激しい敵意を垣間見せており、善やドミノからはその危うさを危惧されている。
日頃から自身の抱える苦痛や苦悩を表に出そうとはしないが、これは「『公人』とは、私心を挟まず、国民が生きる己が国の秩序を担い、その責務を全うする者である。」という幼い日の母の教えを愚直に守り続けているため。本来的には純真で年相応に多感な感性の持ち主であり、その内面には一度心に決めたことを何が何でも貫き通す真っすぐな心構えを秘めている。
表向きは政治家ながら、裏では国家工作員である日ノ元家の一人娘であり、幼い頃から父と言葉を交わすことすらない特殊な家庭環境で育ってきた。
明にとって母は、幼い頃から不出来な自分を目にかけてくれた唯一の存在であった一方で、父である士郎は、明の理解の及ばない不気味な存在だった。しかし母はそんな父を立派な公人であると語り、自身の夫に対しては常に献身的に振る舞い続けていた。
士郎に対しては公私の区別の付けられない複雑な感情を抱きつつも、それでも尚、母を惨殺し、多くの民間人を虐殺した父には他ならぬ自分の手で討たなければならないという強い決意を心に抱いている。
能力
その変身体は骸骨のような意匠の白いボディアーマーを身に纏っている。この外殻部分は着脱可能であり、内側は黒いインナースーツのようなデザインになっている。人間体から変身すると、髪色が黒から水色に、瞳の色が茶色から赤色に変わる。
近接戦闘を主体とするパワーファイターで、ヴァンパイアとしての活動期間や肉体への適合率から能力値が非常に高い。怪力自慢の善のパワーを上回り、防御力も見た目通り高い。さらに長年鍛え上げた弓道や槍術、空手を始めとした武術はかなりの腕前で、実戦で命中させるのが難しいと言われている寸勁をあの京児に食らわせている。このような高い基礎能力を持つ一方、長期の監禁と頭のポンコツっぷりで能力を使いこなせていない。また、精神系への攻撃には異常に弱く、一瞬で術中に嵌っている。
『変形』
彼女のヴァンパイアとしての固有能力。全身を覆う白い外外殻を彼女の意思によってありとあらゆる武装に形を変えることが可能。登場初期は弓や槍と言った武器、外殻の全てのを利用した壁などに変形させていたが、御前試合を前に遺灰物を摂取したため、能力に拡張性が生まれた。これまでは出来なかった自身の外殻の質量を超えた武器を形成することが可能になり、これまで以上に巨大な槍や、マニピュレーターのように手数を増やすための武装を披露している。
『桜花一閃(おうかいっせん)』
彼女の扱うD・ナイト。弓矢から極大の威力を持った一矢を放つというシンプルな一撃。作中で初めて披露されたD・ナイトであり、初回の発動ではユーベンの片腕を吹き飛ばした。2度目の発動では葵洸の堅牢な装甲を穿ち、彼女の跳躍を妨害。そして3度目の発動では父の腕を吹き飛ばし、ドミノ逆転の決定的な一手となった。
関連人物
自分の主人。明は『リーダー』と呼び慕っているが、ドミノは話を中々理解しない彼女をグーパンで沈めるなどポンコツと称しており、一々説明するのを煩わしく思っている。だが、打倒日ノ元のために利用するだけの存在というわけではなく、彼女に仲間以上に大切に思っており、父を殺すという修羅の道を歩む彼女を気にかけていた。しかし、天才であるドミノと凡才である明では理解できない部分があったらしく、彼女への理解度だけであれば、ユーベン・ペンバートンの方が上であった。
チームメイトの一人。壊滅的な服装センス以外にも、自分をちゃんと見てくれた彼に異性としての好意を抱いており、『善が…いいな。』と言葉にするほど。それ以外にも仲間として大きな信頼を寄せており、自身には理解できない状況であっても、彼のことを信じると言い切るほど。
チームメイトの一人。加入当時から犬猿の仲であり、一度は昼間の間に彼を力づくで更生させようとしたほど。しかし御前試合を通して彼の実力や、他者と共生しようとする思慮深さを認識し、徐々に仲間として認めるようになっていった。
チームメイトの一人。京児とは違い、推しの球団的な意味で犬猿の仲。彼を『(キャンキャンうるさいから)犬原』と呼んでおり、彼からはポンコツ呼ばわりされている。しかし、情がないというわけではなく、阿久津を失くして沈んでいる彼を気遣う姿を見せていた。
血の繋がった肉親であり、憎悪の対象。目の前で母を八つ裂きにし、その亡骸を踏んで行った彼に抱えきれない程大きな憎悪を抱いており、彼を自身の手で討つことを目標としている。しかし戦いを通して彼の本心を知るにつれて日ノ元士郎という人間と、娘や妻に向けていた愛について理解を示していったが、『道を外れた蛮行を行った以上、公人として討つ』と決意している。
自身の叔父。幼い頃、母や親族しか心の支えがなかった彼女にとっての数少ない拠り所。彼の強さや自分を見てくれたことから『叔父上』と慕っていた。そのため、彼が士郎の人道を外れた行為に加担していると知った時はショックを隠さずにいた。ちなみに、彼女の服のセンスは彼から継承したものである。
父の付き人。日ノ元の血筋への執着から明と母をひどく嫌っており、敵対を機に命さえ狙う。武術の指導にかこつけて虐待を受けた過去から明も彼を嫌っているが、同時に凡人ながら愚直に武を磨き続けたその姿に憧憬を覚え目標にしていた。
一時の同盟相手。同じく凡才であるユーベンはドミノ以上に明のことを理解しており、彼女の善への恋心を始めとした、日ノ元明という人物の本質を見抜いており、また親殺しという重い使命を掲げる彼女に対して過去に父親を殺してしまった自分を投影し『私は君の未来の一つ』と発言している。