概要
裏サンデー及びマンガワンにて2016年12月30日より連載されている漫画。
マンガワンの看板作品。
著者は以前本誌で『ドリー・マー』を連載していたバコハジメ。
単行本は第19巻までリリース済み(2023年7月現在)。
個性豊かなヴァンパイア達の譲れない信念と凄惨な戦い、厳しい現実世界との葛藤を描くとともに、「命の儚さ」や白でも黒でもない灰色の「善と悪の曖昧な境界線」といったテーマが作品の根幹を為している。
所謂、吸血鬼モノと呼ばれるジャンルであるが、本作はホラーアクションの要素が強い。登場するヴァンパイア(吸血鬼)たちも各々が変身能力を持った異形の超人であり、必ずしも生物的な外見のクリーチャーに限定されない。このヴァンパイアのクリーチャーデザインも本作の大きな魅力である。
「次に来るマンガ大賞2018 Web漫画部門」にて7位にランクイン。
2019年9月20日よりマンガワンにて今慈ムジナによるスピンアウトライトノベル『血と灰の女王 ―善悪の彼岸―』が公開(掲載終了済み)。短編とともにガガガブックスより単行本として発売中。
あらすじ
舞台は富士山が噴火した現代。火山灰を被った一部の人間は驚異的な力を誇るヴァンパイアに変身する力を得た。
ヴァンパイアの王となったものが全世界を支配するルールのなか、血で血を洗う戦いが幕を開ける。
主な登場人物
チームドミノ
主人公の一人であり、ヴァンパイアの頂点に位置する真祖の一人でもあるドミノ率いるチーム。
他の組織と比べて少数精鋭であり、一人一人がヴァンパイアとしての高い素質を秘めている。
本作主人公の1人でありヴァンパイアの頂点に君臨する「真祖」の一人。ヴァンパイアたちの王を目指す少女。
人の本質を正しく見極める才能を持ち、自らの強さにも絶対の自信を持つが、絵が下手なのが玉にキズ。
サディスティック且つ高慢な性格で『女王様』を自称しているが、根は誰よりも優しく面倒見のいいところがある。
ヴァンパイアに変身すると、コウモリを模した露出度の高いコスチュームになる。戦闘では念動力のような不可視の力で敵を圧倒する。
ドミノの下僕1号でチームのナンバー2にして、早慶大学の学生。善に先んじてドミノにスカウトされていたヴァンパイア。
血と暴力を何よりも好む一方で、社会の規範を守り他者と共生しようとする冷め切った理性も持ち合わせている。
ヴァンパイアに変身すると、黒くシャープで悪魔のような姿になり、電撃能力を巧みに使いこなす実力者。その戦闘センスは登場人物の中でも頭ひとつ抜けている。
もう1人の主人公であり、ドミノの下僕2号。高校2年生。
絵が上手く、何事もよく見ている心優しい性格の少年だが、人の命を粗末にするような輩を許さず、無関係の人々を守るためには、どんな強敵だろうと果敢に立ち向かう。
絵を描くのが得意であり、物事をよく見ている観察眼を持つが、作中屈指のメシマズであり、服装のセンスも壊滅的。
ヴァンパイアに変身するとボロボロのマントを羽織ったような姿になり、桁外れの高速再生能力と怪力を誇る。
能力は『模倣』であり、遺灰物を喰らった相手の身体構造を再現するという異質な能力を有する。また、作中を通してその変身体が大きく変化しているのが特徴的。
出自、内面、能力に謎が多い人物であり、実力者達からは「得体の知れない存在」として警戒されている。
(画像左の人物)
下僕3号。善とは小学校時代の友人だった元・燦然党メンバー。熱狂的なカープファンで、チーム内でのコメディーリリーフ的存在だが、真祖に匹敵する『理想』と気高さを持つ。
ヴァンパイアに変身すると、ワイルドな狼(どう見てもゆるキャラにいそうな可愛い犬)の姿になる。触れているもの、一定の範囲内にいる対象を加速させるという非常に汎用性が高く、強力な能力を持つ。
下僕4号。日ノ元士郎の実の娘。熱狂的な巨人ファン。
愛する母を惨殺した父親を憎んでおり、仇を討つべく日夜鍛錬に勤しむ努力の人。本人曰く暑がりであり、腹出しの服やタンクトップを愛着している。
基本的にポンコツなのだがが責任感が強く、自身を公人であると律し、本気で父殺しに臨む。
ヴァンパイアに変身すると、頑強な骸骨のような容姿になる。戦闘ではその装甲を様々な武器に変形させ、持ち前の怪力で敵を圧倒するパワーファイター。
ドミネコ
下僕0号。ドミノのペットで一行のマスコット的存在。
エキゾチックショートヘアの血が入ったぶちゃいくなごく普通の雑種猫。「オア~」と鳴く。
ドジで賢くないが、主人に対して彼なりに健気さと忠義を見せる事もある“忠猫”。
度重なるストレスで禿げてきているのが最近の悩み。
燦然党
ドミノに敵対する真祖・日ノ元士郎が率いる組織。チンピラや元ヤクザ、そして高い実力を持つヴァンパイアなどを重点的に引き入れており、他の組織と比べると最大の規模を誇る。
5人の幹部、そして日ノ元家の人間だけで構成された本隊を有している。
燦然党党首で明の父。政治家でドミノと王座を巡って争う「真祖」の一人。
一見カリスマ性溢れる熱血漢だが、その本質は「愚民」の存在を許さず、目的のためなら平然と民間人や部下たちを使い捨てる残忍な男。
400年という長い歴史を持つ国家工作員一族「日ノ元家」の現当主であり、明の実父であるが、娘には一切見向きもせず「愚物」と呼んで蔑んですらいる。だが時折、父としての愛情のようなものを見せることがある。その真実は…?
ヴァンパイアに変身すると、燦然と輝く仁王の如き姿となる。常に全身から超高熱を放ち、熱線と磨き上げた武道を武器として戦う。
葛
士郎を「坊っちゃん」と呼ぶ側近。常に士郎の側に立ち彼を支える忠義に厚い執事なのだが、一方で士郎以外の人間には冷酷非情であり、士郎の妻子すらも忌み嫌っている屈折した人物である。後に変身前の姿は末期の病気を患う老人であることが判明している。
ヴァンパイアの姿になると、糸の束で形成された骸骨のような姿となり、鋭利に形成した肉体を変形させてトリッキーな戦闘を行う。
善の幼少期の主治医だった男。過去に重病を患った善の命を救っており、名実共に彼にとっての命の恩人。現在も懇意で、以来9年近くの付き合いになり、親との関係が希薄な善にとっての親代わりのような存在。善の幼馴染のシスカも彼が治療を担当している。
しかし、ヴァンバイアとなってから夜な夜な犯罪者相手に私刑を続けていたことが判明し、善たちと敵対。ドミノに敗北した後、燦然党の幹部に招かれた。
ヴァンパイアに変身すると、作中アニメのヒーローに酷似した姿になる。圧倒的なスピードと全てを断つ剣を巧みに操って戦い、作中では善の倒すべき大きな壁として立ちはだかる。
加納 クレタ/加納 マルタ
古着屋“Jelly Fish”を経営している双子の姉妹。京児は大学で姉のクレタ、善は店で妹マルタとそれぞれ接触する。
姉妹そろって人魚型のヴァンパイアであり、魚型の分裂体を無尽蔵に作り出し、自在に操る能力を持つ。
燦然党最強の幹部。金髪&ジャージのヤンキー然とした外見だが、党内では至って常識人寄りの感性をしており、彼女を慕う部下も多い。
過疎の進む村の出身で、噴火前に日ノ元に援助を受けた事から恩義を感じており、それに報いるために彼の軍門に下った。
『キララ』というキラキラネームを気にしており、下の名前で呼ばれるのを嫌がっている。熱烈な阪神ファン。
ヴァンパイアに変身すると、虎のような姿へと変化する。姿と物音を完全に消失させる能力を持ち、真祖であるドミノと相対しても尚、部下と共に生還した程の実力者。
燦然党幹部兼本隊メンバー。殺し合いそのものを好む文系サイコパス。同類である京児を愛する同性愛者。
ヴァンパイアに変身すると、蝶を模した幻想的な姿になる。大量の蝶を散布して相手の神経を支配する能力を持ち、索敵や情報収集に優れる。
芭藤 哲也
燦然党幹部。七原の元上司でヤクザ。ムカデ柄の変わったシャツを着用している。
恵まれた他人を蹴落とす事が弱者だった自分たちが這い上がる手段であると考えており、とかく殺人に対しては強い執念を持つ。
ヴァンパイアに変身すると、金属質なムカデのような姿になる。両手の銃とムカデ型の金属触手を操る攻防一体の能力を持ち、特に左腕からの光線は30分のインターバルが必要な分、強力無比であのドミノにすら手傷を与えるほど。
葵 洸
燦然党幹部兼本隊メンバー。臆病で控えめな性格が目立つメガネ女子。
ヴァンパイアに変身すると、手足が無数に重なり出来上がっている巨大な土偶になる。テレポート能力を持ち、性格含めて戦闘向きではないが、その有用性ゆえに重宝されている。主体性が無い人格が災いしてか、日ノ元をはじめとした周囲の思惑に振り回され続けている哀れな人物。
北ノ城 篤
芭藤の後任として幹部となった男。
党内でも仲間の失敗を嘲笑う質の悪い人物で、その人物像はチンピラそのもの。ヴァンパイアになる以前から暴行事件を繰り返してきた模様。
ヴァンパイアに変身すると、銃器を装備したハエのような姿になる。仕込んだ弾丸を体内から爆発させ毒ガスをバラ撒く寄生型の能力を有する。
日ノ元 貴誉/日ノ元 天馬/日ノ元 景成/日ノ元 道三
日ノ元一族の内部抗争時に士郎に付いた腹心の部下。燦然党本隊では大幹部格。
いずれも熱烈な巨人ファン。
士郎の腹心の一人かつ彼の実弟。
「日ノ元家の異端児」と呼ばれており、彼のみパ・リーグ派で今はホークスファンであり、好みの球団をコロコロ変えている。
真祖を除いた最強のヴァンパイアと評されており、鎧武者のような変身体で繰り出す剣術とあらゆる攻撃を「反射」する能力の双璧により隙が無い。真祖の戦いにすら単独で介入可能な作中きってのチートキャラ。
日ノ元 玄ノ進
燦然党本隊の一員であり、葵洸と並んで組織の機動力を担っているヴァンパイア。右目の傷が特徴的な男性であり、燦然党の中でもかなり重要な立場であり、癖の強い人物たちの補佐をしているためかかなりの苦労人。
ヴァンパイアに変身すると6角形の構造と骨のような姿が印象的な姿となり、鏡面を無数に生み出す能力を持つ。この鏡面を用いて物質や人物の移動を可能としている。
ゴールデン・パーム
第3の真祖ユーベンが率いる組織。上記の2人とは異なり、この組織は会社であり部下たちには命を賭けた戦いに参加してもらう見返りとして報酬を支払っている点が特徴的。
メンバーもリーダーであるユーベンが直々に選出したヴァンパイアが揃っており層が厚い。
ゴールデン・パームの社長で第三の「真祖」。
成金趣味な人物だが、他の真祖に劣らない高いカリスマ性と慧眼の持ち主。優れた人材を引き抜くためなら金に糸目はつけないものの、一度不要と考えれば容赦なく切り捨てる冷酷な面もある。
変身すると黄金色に輝く甲冑を纏った姿になる。超硬度の黄金で剣やドームを作り出し、その技には一切の無駄がない。
ゴールデン・パーム取締役でユーベンの右腕。
受けの良いゴリラキャラを演じているが、ユーベン配下の中でも特に頭の切れる男。
広範囲に渡って爆炎を操る能力を持ち、善の見立てでは堂島に匹敵する実力者。
ゴールデン・パーム社員。海と故郷の島を愛する海洋学者。個性派揃いの同社の中では常識人であり、美人で面倒見が良いこともあって同僚からは慕われている。ただ、酒癖が悪く、部屋の片付けが出来ない残念な美人。
水を操る能力を持つ。実力は燦然党幹部級だが、電気タイプの京児相手には相性が悪い模様。
広島弁の社員。善・七原と同い年だが高校には通っていなく、非常に柄が悪い。
始めこそ風体のせいで怖がられていたが、七原とはカープの話題で意気投合。一方で、善の利他的な思想には反感を抱く。
カラスのような姿に変身し、能力として羽を付着させた箇所を落下させる「降下(フォール)」を有する。
蟻塚 勤
目の下に常に濃い隈を宿す、度を越した社畜。以前は不動産会社の営業マンであり、社畜精神はそこで培ってしまった模様。阿久津曰く、血便が出ているらしい。
人は他者から敬意を払われる仕事をすべきという考えを持ち、食品関連の事業だけで業績を上げるユーベンの姿勢を尊敬しており、ゴールデン・パームという職場にも誇りを持つ。
名前の通り蟻のような姿が変身体。固有能力は身体能力等を保ったまま6cm大になる「小型化」と体の節々から射出される酸攻撃。
霧島 槇尾
ユーベンの命で燦然党に潜入していたヴァンパイア。本職は公安に所属する女性警察官。
噴火以前よりマークしていた日ノ元家の打倒のため、堂島と手を組んだ。
影に関する能力を持ち、生物の影への潜行や“影法師”を通じた他者との感覚共有といった芸当が可能。
一見するとポーカーフェイスを崩さない腹黒い人物であるが、その実、社会の暗部や人間の闇を見ても尚理想を捨てず、社会正義のためにその身を捧げている”正義の人”である。
椎名
ゴールデン・パームの社員の一人。植物のような姿のヴァンパイアに変身し、他人の傷を治癒する能力を持つ。
子鹿 ミリ
ゴールデン・パームの社員の一人。元アイドルだったが、富士の噴火の際に資金難となり入社した。
元は戦闘には全く向かない性格だったが、京児による調教によって狩らなきゃ狩られるという弱肉強食の思想を持つに至り、ある意味闇堕ちした。
ヴァンパイアの姿に変身すると、鹿をモチーフにした姿となり音を操る能力を持ち、声帯模写や爆音による攻撃など幅広い用途で扱う。
その他の登場人物
狩野 京介
善の高校からの親友。京児の実弟。
腕っぷしは強く喫煙者と見た目通りのヤンキーだが、友達思いで理不尽な事を見ると放っておけない心優しい人柄。
ヴァンパイアに惨殺され、善がヴァンパイアとしての戦いに身を投じる切っ掛けとなった。
善が幼い時病院で出会った少女。4歳から続く慢性腎炎と運動障害等のため今も入院が続いている。
今でも毎週末に善が見舞いにきており、善のよき理解者でもある。
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物語終盤に登場した第四の真祖。ゴアを神と崇め、現生人類を見下す狂信者。ドミノに対して愛憎入り混じった複雑な感情を抱いており、彼女への執着心も並々ならぬもの。
ヴァンパイアに変身すると、無数の天使の羽を纏った機械仕掛けの人形のような姿になる。ドミノの能力をより殺戮に特化させた不可視の攻撃を駆使して戦闘を行う。
日本国防衛事務次官であり、ゴア対策局の日本代表。現在は対策局を壊滅させ、エデン・ワイスの右腕として活動している。
ヴァンパイアに変身すると、電気のローブを纏ったような姿になる。電算機器を自在に操作する能力を持っており、ヴァンパイアの情報が世界に漏れていなかったのは彼の存在あってのもの。
約2000年前のポンペイでの噴火によってヴァンパイアとなり、その戦いに勝利した“現王”。今でもその座に君臨し続け、世界を裏から牛耳っている。
その全貌は未だ明かされていないが、真祖達からは「最低最悪のクズ」と評される。
用語・設定
ヴァンパイア(吸血鬼)
富士山の火山灰を浴びて、人外の怪物としての能力に目覚めた人間。後述の真祖と区別するため「並のヴァンパイア」と呼ばれる。夜の間しか変身できず、心臓に傷が付くと死亡し、死体は残らず灰になる。
伝承にあるヴァンパイアとは異なり、吸血は生存には不要だが、人間の血液を飲む事で一時的に力が高まり、興奮状態となる。いわばドーピングや麻薬に近い効果があり、多くのヴァンパイアが私利私欲のために人間を殺害している。
その姿は様々であり、善やドミノのようなコウモリを彷彿とさせる正統派寄りのヴァンパイアもいれば、悪魔や狼男、骸骨や人魚やキノコや昆虫といった、様々なモチーフの怪物がヴァンパイアとして登場している。
また、それぞれの姿や能力は「京児の電撃」→「刺激」、「堂島のヒーロー」→「幼少期からの憧れ」など、各々の人格に根ざした物が発現することがほとんど。
富士山の噴火と共に大勢の吸血鬼が世に誕生したが、世界を裏で支配する王”ゴア”や、その対抗組織の手回しによって徹底的な情報統制が敷かれ、公には存在しないモノとして扱われているが、その存在は都市伝説紛いのものとして噂されている。
世界各地の大規模な噴火活動によって跳梁跋扈してきた歴史があり、富士山の噴火が吸血鬼発祥というわけでは無い。2000年前、ポンペイのヴェスビオ火山噴火によって吸血鬼という種は誕生し、それ以降も歴史的な大噴火災害のたびに世に現れ、苛烈な生存競争を繰り広げている。
彼らの単純な「強さ」を決めるのは、以下の4要因。
- 本人の素質
- 遺灰物(後述)の捕食数
- 吸血行為。ただし、これは短時間のブースト
- ヴァンパイア化してからの経過日数
遺灰物(クレメイン)
死んだヴァンパイアが灰以外に唯一遺す物体。心臓のようで不気味な形をしているが、金属質で生暖かい。
捕食する事でヴァンパイアの力を高めることが可能で、強いヴァンパイアの遺灰物ほど効果が高い。
野心あるヴァンパイア達は、遺灰物を求めて夜な夜な殺し合いをしている。
真祖
本作においては富士山の噴火以前からヴァンパイアであった者達を指す。
いずれも強大な力を誇り、その遺灰物が与える力は生物を次の段階へと進めるとまで言わしめる。
その実体は「“王”に選ばれて直接血を与えられる事でヴァンパイアとなった“王候補”」。
富士山の噴火
物語冒頭の4ヶ月ほど前に発生した大規模な自然災害。
現在も各地に被害の爪跡を残している。
降り続ける火山灰には、素質のある人間をヴァンパイアに変える力があり、戦いのゴングとなっている。
王を決める戦い
富士山の噴火と共に始まったヴァンパイアの王を決めるバトルロイヤル。
最も強い1人だけがヴァンパイアの王となり、世界を支配する事ができる。
その過程で大規模な破壊や大量殺戮が発生しているが、強力な情報統制により一般人にはその存在を感知できず、干渉もできないようになっている。
歴史の中で大噴火が起こる度に、戦いもまた千数百年に渡って繰り返し行われてきたが、未だ初代“王”を打ち破った者はいない。
創血式
真祖二人がかりで最大4人に一度だけ使用できる、力の「適合率」を底上げする強化用儀式。
術式に掛けられたヴァンパイアは精神世界へと誘われ、自身のトラウマや心の闇を具現化した精神的な「柵(しがらみ)」と戦う事になる。
影を倒す(柵を振り払う)事ができれば成功となるが、振り払いきれないと本人にも真祖にもかなりの負担が掛かる。
D・ナイト
自身の能力を極限まで高めた「並のヴァンパイア」が一晩に一度だけ放てる、真祖級の一撃。
本人の特殊能力に根差した技が発現するが、高威力の一撃であったり、強力なデバフ技であったり、自身を対象にした強化であったりと人によって効果は様々。しかし一様に戦局を大きく左右するほどの可能性を秘めた必殺技である。
余談 「主人公は誰か?」
この作品はタイトルが示す通り、主人公はドミノという事になっている。
しかし実際に本編を読み進めていけば、作品の主軸は佐神善の成長となっている。
一方で、作品のストーリーには『ヴァンパイアたちの王を決める』という分かりやすいゴール地点が設定されているのに対し、善にはそういった目的意識が薄く、彼の目標はあくまでも『無関係の善良な人々を守ること』で一貫している。物語の開始時点から、その目標を明確に持っているのはドミノである。
物語は基本的に善の視点から進んでいくが、ストーリーの主軸となる出来事はドミノを中心として展開されていく。
いわばドミノと善は別々の目標を持ったタイプのダブル主人公であり、読者それぞれの見方によって、主人公はドミノと言っても善と言っても差し支えないと思われる。
これから2人の目的地がひとつになるのか、別々のままなのかは、今後の展開次第だろう。