概要
D・ナイトとは、真祖以外のヴァンパイアが一夜に一度だけ発動できる、真祖にも通じる一撃の名称である。正式名称は『Die・Night』。
ある程度力を付けたヴァンパイアに発現し、大きく分けて「真祖級の力を相手に放つタイプ」と「自身や環境に作用させるタイプ」の2つに分類される。前者の発現には折れない強い意志が必要で、後者は様々な要因で発現し、生存本能で発現することもある。
一覧
※作中での登場順。
『桜花一閃(おうかいっせん)』
超高火力の一矢を放つというシンプルなD・ナイト。作中で初めて披露されたD・ナイトであり、チームドミノで最初の習得者でもある。初の発現では、真祖ユーベンの片手を吹き飛ばした。その後も大きな戦いの度に使用しており、燦然党との決戦の第一夜では洸を狙撃し、彼女の跳躍を妨害し、第二夜では日ノ元士郎の腕を狙撃してドミノの逆転の決定的な要因となった。作中、最も多く使用されているD・ナイトの一つである。
また、放った矢はその後も力を失わず、明の『変形』能力を発揮することでさらに巨大な構造物へと姿を変えることができる。
『虎拳(バグナウ)』
掌を合わせることで発動するD・ナイト。一定範囲全ての生物の意識を一時的に消失させるというもの。早い話が超強力な猫だまし。
対象を一つに限定せず、その強さも度外視するため、集団戦では圧倒的な制圧力を誇る。ただ、大きな欠点としては殺傷力が全くない点と、敵味方を問わず意識を消してしまう点。
また、本来は両手を合わせて発動するが、片手でも打つことができる。当然威力は落ちるため意識の回復は早くなってしまう。
『無限降下(むげんこうか)』
掌を翳した相手の意識の速度を一定期間1/60に降下させるD・ナイト。1秒の思考で1分が経過するという強力な弱体効果を付与することができるが、発動するにはどうしても相手に接近しなければならず真祖相手に使用するには命懸けとなる。
作中での使用相手は超人である日ノ元士郎であったため効果は薄かったが、並のヴァンパイアに使用すれば確実に勝利できるほど強力な技。
日ノ元景成
『噛砕猿舞(ごうさいえんぶ)』
3対の鋭い牙を携えた頭骨を具現化させ、相手を噛み砕くD・ナイト。
作中では火防に対して使用したが、陽炎を利用した目眩しで簡単に回避されてしまった。
『W・M・D(ウェポンズオブ・マス・ディストラクション)』
具現化させたミサイルなどの重火器を対象に目掛けて一斉攻撃するD・ナイト。
特に追加効果はないが、その威力は圧倒的で、放った周囲の地形が変わるほど。葛に放った際には、彼の盾となった燦然党員3名をまとめて葬り、善に放った際には彼の肉体を跡形もなく粉砕した。
出足が遅いという欠点があるものの、時間を掛けて範囲を調整すれば、真祖を遥かに凌ぐ一撃を放てるという非常に強力なD・ナイト。
葵洸
『招来跳躍(しょうらいちょうやく)』
夜間にマーキングしていた相手(最大6名)を自分の側の指定場所に跳躍させることができるD・ナイト。マーキングは毎夜ごとにリセットされる。
D・ナイトの発現に必要な強靭な意志は洸にはないが、日ノ元に大量の遺灰物を与えられて発現したため、恐らく「自身や環境に作用させるタイプ」のもの。作中最高クラスの有用性を誇り、彼女の存在一つで戦況が簡単にひっくり返る。特に横槍を不得手とするRe・ベイキングをした真祖への天敵とも言える能力であり、実際にユーベンはこの能力の影響で死亡した。
風見に強制発動させられた際は、足元の数百メートル規模の地盤を遠くに転送するという本来の効果とは真逆の結果をもたらした。
日ノ元道三
『八争覇破(はっそうはっぱ)』
光刃の円盤から強烈な衝撃波を放つD・ナイト。詳細は不明。
日ノ元天馬
『風雅絶翔(ふうがぜっしょう)』
手に持つ扇から強烈な突風を放つD・ナイト。詳細は不明。
日ノ元貴誉
『白堊砲(はくあほう)』
口からティラノサウルスの頭骨のような形状の熱線を放つD・ナイト。詳細は不明。
葛
『刻死縛絲(こくしばくし)』
無数の糸による斬撃を放つD・ナイト。
作中では二度披露されたが、描写が少ないため詳細は不明。特に弱体効果はなく、鋭利な触手で対象を切り刻むD・ナイトと思われる。
『天軍ノ剣(てんぐんのけん)』
X字型の直進する斬撃を相手に放つD・ナイト。
全ての攻撃を反射する性質を持ち、この攻撃を迎撃することは実質不可能である。加えて、威力も高くRe・ベイキング後のユーベン、ドミノにもダメージを与えていた。
両手で刀を持っていないと発動できないという条件があるが、他人が生成した刀剣でも代用可。
日ノ元蔵久
『魔天高楼(まてんこうろう)』
相手を大量の鳥居が重なった幻覚の中に捕える拘束用のD・ナイト。
技の中では、視覚も聴覚も当てにならない上、本体が雲隠れするため、面倒ないたちごっこを強いられる。そのため、真祖であっても脱出には長時間掛けなければならない。
弱点は殺傷能力はない上、範囲攻撃には弱く、作中では蔵久本人を含めた4人がかりでドミノの足止めに臨んでいた。
『I have(完全掌握)』
不気味な黒い蝶を大量に飛ばし、捉えた対象を完全に掌握するというD・ナイト。
作中では洸に使用され、彼女の跳躍能力を掌握して思うままの場所に誘導した。
さらに、時間をかけて洸の体を理解したことで、彼女の変身体の堅牢な外殻を風見自身の変身体に纏わせ、身体の脆弱さを克服し、さらに彼女の跳躍能力まで手に入れた。短距離しか跳躍できないものの、インターバルは非常に短い。余った外殻と洸本体は鉄球のような武器に変形させていた。この時洸の目玉はロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリのように飛び出している。
そして何より強力な点が、掌握した相手のD・ナイトを強制的に発動させることも可能(相手に相当の負担は掛かるようだが)。
『天から地へ(バベル)』
打ち出した電撃を上空でチャージし、溜めた時間に比例してその威力を増すD・ナイト。
風見に初めて使用した時点では未完成の状態だったが、強力なヴァンパイアであった日ノ元蔵久の遺灰物を摂取したことで完成した。
作中で披露された際は並のヴァンパイアの中で最高の防御力を持つ洸の装甲を一点集中させた盾を貫いた。フルチャージ時の威力は30億kWhにも上り、理論上、際限なく威力を増すことができるD・ナイト。しかしその反面扱いは非常に難しく、本人曰く「派手でうるせえから直ぐ気付かれる。弾速も亀』。
着弾地点は真下か自分自身かで切り替えが可能であることが判明している。
北ノ城篤
『蠅の王(ベルゼブル)』
自身の肉体をガスに変化させるD・ナイト。「自身や環境に作用させるタイプ」の一つ。
その性質上、発動中は全ての攻撃をすり抜けることができる。能力の本質は「気体にした自身の弾丸を吸わせることで、内部から敵を破壊する」というもの。防御無視の攻撃であるため、真祖すら殺せる可能性のあるD・ナイトである。
由来は蝿の王『ベルゼバブ』から。
『真・加速(しん・かそく)』
当初は巨大な3本の爪を形成し、敵に斬撃を放つD・ナイトとして登場。付加効果として、攻撃を受けた日ノ元の力をしばらくの間乱していた。
次に披露した際は、打って変わって『七原自身を真祖に“加速”し、真祖と同等の力を持つ変身体に進化する』という規格外のものとなった。制限時間こそあるものの、レギオンと融合したエデンですら彼の速度に対応することができなかった。七原はこの姿のことを『超越究極狼神(オーバーアルティメットウルフゴッド)』と自称していた。
この技の正体は、七原の本来の能力である「自分が触れたものを加速させる」に違わず、『他者をも真祖に“加速”させる』というものであった。作中では京児を「飛行可能な真祖」という細かい指定まで反映した真祖級のヴァンパイアに加速させている。
水波魚月(津川麻耶)
『九龍(ハイドラ)』
水を用いて9つの頭を持つドラゴンを具現化させ、取り込んだ対象を守護するD・ナイト。
攻撃的な見た目とは裏腹に守りに特化したD・ナイトであり、威力が減衰していたとはいえ、真祖2体分の力を得た日ノ元の攻撃を押し返したり、エデンを逆に九龍内部に閉じ込めたりと、かなりの防御力を誇る。かつての王の座を巡る戦いにも似たようなD・ナイトは存在していたらしく、日ノ元は「防げる威力には上限がある」ことを知っていた。さらに、発動には大量の水源が必須という難点もある。
防御力の種は本来はこれ以上圧縮できない性質を持つ水をさらに圧縮するというもの。これにより、水蒸気爆発の超強力な起爆剤として用いるという裏技がある。
加納クレタ
『名称不明』
大小混在の分裂体の輪廻を形成して、広範囲を殲滅するD・ナイト。
善・京児と交戦した際に使用し、一定範囲の全てを破壊するほどの殲滅力を誇る。
D・ナイトだと判明したのは後になってのことだが、桜花一閃以前に本作に本当の意味で最初に登場していたD・ナイトである。京児からは「殲滅力だけならBOSS並だなぁ」と評されていた。
『コウモリマワール(本人命名)』
彼の能力は「模倣(コピー)」であり、発現させたD・ナイトは加納クレタのものであった。
大小混在の分裂体の輪廻を作り、対象の視界を遮り攻撃を逸らす防御に徹したD・ナイト。敵対者への妨害としても使用できるが、味方に盾として貸し与えることも可能。
オリジナルの加納クレタのD・ナイトは広域殲滅用のものであったが、彼のものは殺す力を守る力に変化させたものであり、模倣でありオリジナルとい特異な性質を持つ。
最終的に善がD・ナイトを自力で一夜に複数発使用できる存在となったことで、使用回数は作中最多の6回となっている。
二角仁(小向春馬)
『夜天光(やてんこう)』
手から黒色で、超質量の物質を放つD・ナイト。
放たれた球体は強力な引力を持っており、辺りの地面や木々を吸い込み、跡形もなく粉砕する拘束、攻撃両面に優れた能力。簡単に言うと、極小のブラックホールを作るD・ナイト。
エデン戦時点ではそれに加えて継続するダメージを与え続ける付加効果を獲得している。
『陽はまた昇る(サンライズ)』
自身が心臓を破壊された際に発動するD・ナイト。
破壊された心臓を即座に蘇生することができるD・ナイト。堂島を完全に倒すには並のヴァンパイア最強格である彼を二度倒さなければならず、それだけで絶対的なアドバンテージを得られる。真祖が相手であっても、詳細を知らなければ高確率で不意打ち可能であるなど極めて有用性が高いD・ナイト。
由来は幼少期に憧れていたヒーロー「ヴィクティマン」の設定で、「悪に貫かれた心臓に光の力が宿り蘇った。」というもの。
『01(ゼロワン)』
一定の範囲内に存在する電算機器をオーバースペックで稼働させるD・ナイト。手持ちのスマートフォンを暴発させ、EV車を時速600kmで走らせ、旅客機を墜落させるなど、かなりの攻撃力を誇る。
弱点としては、周囲に電算機器がない場合は何の効果もないこと、そして相手のD・ナイトによっては簡単に防がれてしまうことである。
佐神善
『スグナオール(本人命名)』
彼の使用する第二のD・ナイト。
オリジナルである堂島のものと同じく、破壊された心臓を即座に修復することができる。
子鹿ミリ
『再演(リラン)』
使用済みのD・ナイトをもう一度発動させるD・ナイト。
効果はシンプルながら非常に強力であり、相手にとっては既に力を使い切ったと思われた相手が再び必殺の一撃を放ってくることとなるほか、最大火力となるD・ナイトを事前に2発分用意しておくこともできるなど、味方陣営に選択肢を与えるD・ナイト。
対象はそれなりに距離が離れていても発動可能であり、作中では後方支援に当たっていたミリが最前線で戦っていた立花にこの能力を付与している。
余談
作者のバコハジメの前作『ドリー・マー』には、願望を象徴化して現実のものとする「D・セット」という能力が登場している。