「稼げるからさ。」
「戦場じゃ、そういう奴から死ぬんだよ。」
「結局俺たちゃNo.2か。」
概要
真祖ユーベン率いる組織、『ゴールデン・パーム』の取り締り役。ポジションは組織のNO.2で、ユーベンの右腕。
常にアロハシャツを着た筋骨隆々の大男であり、濃い腕毛や胸毛が非常にワイルド。自他共に自らの容姿がゴリラであると認めており、七原からはゴリさん、京児からはゴリファイアと呼ばれている。
ユーベンに雇われる前はフランス外人部隊落下傘連隊に所属してプロの傭兵として活動しており、数多くの修羅場をくぐり抜けてきた歴戦の猛者。
人物
その人柄は傭兵という前職が嘘であるかのように明るく、気さくで社交的。笑い声がに「ウホホホ」であったり、ドミノが自陣営に彼をスカウトした際は「やめとけよ、俺のバナナ代は高いぜ?」と断るなど、非常にコミカルなゴリラキャラである。さらに常に笑顔を忘れず頼りになる、誰からも信頼される人物。だが『自分が出来る仕事以外は他人に任せる』という怠け癖や、下世話な詮索をしたりするため同僚である水波からはかなり嫌われているが、本人はあまり気にしている様子はない。
…………というのが表の顔。彼の本質は根っからの傭兵であり、殺しも裏切りにも何も感じない冷徹、合理的な人物。上述のゴリラキャラもチームドミノとの同盟に当たって、善たちが親しみやすいように配慮したもので、全て演技である。
その本性は稼ぐためであれば、主人を殺した燦然党にすら協力し、かつての仲間たちを見殺しにすることも厭わない。また非常にリアリストであり、他人の命を守るために戦う善や、理想と正義のために戦う霧島、英雄と評されるほど気高いドミノのような人物を冷笑的に見ている。
だが、情が全くないというわけではなく、長い付き合いであるユーベンにはかなり入れ込んでおり、彼が日ノ元に敗北した際には「ユーベン。悪かったな、勝たせてやれなくてよ。」と無念を漏らし、事後処理として生き残りの民間人への対処や、ユーベンの敵討ちに走ろうとするゴールデン・パーム残党を諫めるなどの仕事を無償で行っていた。さらに、エデン陣営に寝返った際にも、彼のことを回想している様子が描かれた。
日ノ元側への寝返りも最初から画策していたわけでは無く、あくまでもユーベンが敗北したが故に、主を鞍替えしたにすぎない。
彼という人間を一言で表すのは難しいが、強いて言うなら「自分に忠実な男」といったところか。信念や正義といったものを耳障りの良い綺麗事と断じ、あくまでも普遍的な価値観である”金銭”の為に戦うことが彼の理念であり、それを愚直に守っているのである。そのために、主に忠を尽くしたかと思えば、あっさり掌を返して寝返るといった変節も、彼にしてみれば矛盾した行動では無いのである。しかし、人として真っ当な倫理観を持つ者たちからは心底嫌悪されており、善は「お前には…信念ってものがないのか…!?」と怒り、水波は「クソゴリラ」と最低の評価を下している。
ただ、最終章におけるユーベンのドミノへ宛てたビデオレターの中で火防が私が負けて拗ねているだろうと表現しており、一連の彼の行動は飽くまで王にしたかったユーベンが死亡したため破滅的な行動に走ったというある種の自棄、或いは高すぎる忠誠心の裏返しである可能性が示唆された。
戦闘能力
変身体は真紅のメカニックなデザインで、再生力の低い重装甲タイプ。
ヴァンパイアとしての実力はゴールデン・パームのNO.2に恥じないもので、あの日ノ元軍司に並ぶほどであり、善からも、「先生と同格」と見られていた。
ヴァンパイアの能力を抜きにしても、パワー自慢の明の筋力を上回っているだけでなく、耐久力も高く、生半可な攻撃ではダメージすら通らない。作中でも、七原によって加速された明の渾身の正拳を喰らってもほとんどダメージを受けていなかった。
さらに常に全身を触れただけで火傷を負うほどの高熱で覆っており、この高温を利用して周囲に陽炎を起こして景色を歪ませ、目眩しを行うことも可能。
そして何より、火防本人の判断能力や指揮能力も優れており、味方への指示を出すながら並行して戦闘を行うことすら可能で、この時代で間違いなくトップクラスのヴァンパイアの一人である。
『全身武器庫(正式名称不明)』
彼のヴァンパイアとしての固有能力で、全身に重火器を装備することが出来る。また、火器を扱わずとも膨大な量の炎をコントロールすることも可能で、当初は炎を操る能力だと読者側からも誤認されていた。
その攻撃力は絶大であり、指から放った炎だけで燦然党上位陣の一人である日ノ元景成を一撃で葬り去るほど。
また使用できる火器も多彩であり、作中では
など、その殆どが必殺の威力を誇り、傭兵という経歴も相まって扱いにも非常に長けている。
また背部には推進装置(スラスター)を装備しており、高速移動や飛行も可能。
『W・M・D(ウェポンズオブ・マス・ディストラクション)』
彼の扱うD・ナイト。
具現化させたミサイルなどの膨大な量の重火器から目標に向けて一斉攻撃を行う。シンプルな攻撃ながら威力は絶大であり、文字通り必殺の一撃。
作中では葛の盾となった燦然党員3名を纏めて消し飛ばした上で葛本人にも大ダメージを与え、善に使用した際も、盾とした分裂体ごと彼の肉体を跡形もなく粉砕している。
この技の欠点としては、七原のD・ナイトのように、付属効果として相手への弱体化効果がないこと、そして本人も認めているように発動までの出足が遅い為、先手を取られる可能性があることのみである。
だが、発射までに時間を掛け、その攻撃範囲を絞ることが可能であり、一点集中させた攻撃力は真祖を遥かに上回るとんでもない火力を誇っている。
活躍
初登場は第52話。南伊豆へ向かうチームドミノ を尾行しており、夜になると同時に水波と共に彼らに襲撃を行った。善、七原、明の3人を相手に一歩も引かず交戦するも、彼らのチームワークの前に敗れる。しかしこの戦闘は3人の共闘を引き出すためのトレーニングであり、火防本人はかなり手を抜いていた。(具体的には、本来の能力の重火器を一切使用しておらず、戦闘後も息一つ切れていなかった。)
それからはユーベンの側近として登場し続け、ドミノとのミーティング、霧島の燦然党潜入ミッション、決戦前の作戦会議時も常にユーベンの隣に立っていた。来る決戦ではユーベンのRe・ベイキングの準備が完了するまで全体の指揮を行い、日ノ元士郎とユーベンが交戦する際には一時ユーベンの側を離れ、日ノ元景成含む燦然党員3名を仲間への指示を送りながら全滅させるという離れ業をやってのけた。
その後、燦然党側の真の狙いに誰よりも早く気が付き、上位陣と幹部の足止めを行っていた仲間たちに早急に撃破するよう指示を送ると同時に、彼自身も葛にD・ナイトを放つも取り逃してしまう。結果、葵洸の『招来跳躍』によって集められた燦然党上位陣の横槍によってユーベンは敗北し、死亡してしまう。ユーベンが死亡する直前の最後の通信で彼に雇用関係の終了を告げると、「あんたには貰いすぎちまったからな、事後処理はしといてやる。」「悪かったな、勝たせてやれなくてよ。」と理性的な彼らしくもなく後悔を滲ませていた。
第一夜の後、他のゴールデン・パーム残党と共に生き残った民間人の対処に当たっており、暴れる民間人の何人かをライフルで撃ち黙らせようとするなど、以前のコミカルなキャラを演じなくなっていた。
その後ドミノの演説で民間人を地下シェルターに避難させると、ユーベンに代わってゴールデン・パームの面々に今までの給与と退職金を渡すと、彼らにこれからは戦っても見返りがないこと、民間人の対応にあたる義務はないことを伝えると足早にその場を去ってしまう。その際、水波には『あんま感情的になるなよ』と忠告していた。
その後、ドミノ陣営が燦然党との決戦を行う中、葛と交戦しようとしていた善、明、七原の前に姿を現し彼らに共闘を持ち掛ける。「社長には随分稼がせてもらったからな、仇くらい討ってやるさ。」と変身し、彼らの援護を引き受けた。ヴァンパイア最強格の味方が出来たことで七原と明は安堵し葛に向き直るが、
善「背を向けちゃダメだ!!!」
善が違和感に気付くと同時に火防は3人に向けて爆炎を放ち、チームワークが持ち味の彼らを分断する。その後、現れた葛に善の始末を任せられる。
「稼げるからさ。燦然党も今や決死、後がねえ。大枚はたかせてやったぜ。」
彼はゴールデン・パームをあっさりと裏切り、燦然党に鞍替えしていた。民間人を虐殺し、主人であるユーベンを殺した張本人である日ノ元に味方する彼が理解出来ず、狼狽えながら問いかける善に対して、日ノ元の蛮行、阿久津や蟻塚、ユーベンの死に特に思うことはないと告げる。その言葉に激昂する善の理想を真正面から嘲笑すると、交戦を開始する。
「僕は、誰かの命を守るためだけに戦う?下らねえ。戦場じゃ、そういう奴から死ぬんだよ。」
善との戦闘では常に背部のスラスターで高速移動をしつつ、追尾式のミサイルや炎のナイフで容赦なく心臓を狙った攻撃を放ち、彼に格の違いを見せつける。
未だに仲間であった火防と戦うことに迷いを見せていた善に水波を含めゴールデン・パーム構成員のほとんどは偽名であったことを明かす。(例外は誠実であろうとした蟻塚、原須、名前を考えるのが面倒だった阿久津だけ)チームドミノとゴールデン・パームは一時の同盟であり、いずれ殺し合う関係で所詮その程度の信頼関係であったことを改めて善に突き付けると、ユーベンのように狡猾でもなく、日ノ元のように冷酷でもないドミノの甘さを指摘し、善を挑発。だが一時の怒りで覆せる実力差ではなく彼を後一歩のところまで追い詰めるが、殴りかかって来る善の殺気に怯み、全力の拳を顔面に受けてしまう。あのユーベンすら動けなくさせた殺気を直に感じたことで、彼は『佐神善』という人間の歪さに気が付く。
「初めて見た時から違和感はあったが…見れば見るほど気持ち悪い野郎だぜ。
言ってることも戦う理由もまさにヒーローって感じだが、やってることは殺した死体の皮を真似、形を歪めて身に纏う。」
彼を殺せば、また御前試合の時と同じ暴走が起こると確信し、撃破から足止めに目的を切り替えるがここで堂島正が乱入。堂島と善のタッグを相手に善戦するも徐々に押され、ドミノのいる海辺まで押し込まれてしまう。そこで海辺で波が不自然に渦巻いていることから水波魚月及びゴールデン・パーム残党の参戦を知ると、彼らの無謀で無意味な行いを嘲笑う。「アンタの仲間だろ」と喰ってかかる善に「もう仲間じゃねえよ。」と吐き捨てると日ノ元の勝利を確信。今逃げるなら背は撃たないと提案するが、善はそれを真っ向から否定。トドメを刺そうとするがその瞬間、善にD・ナイトが発現。迎撃するには自身のD・ナイトは出足が遅いことを考慮し撤退するが、善のD・ナイトは攻撃ではなく防御に特化したものと判断すると、彼を追跡。発見し、即『W・M・D』を放ち、善の肉体を跡形もなく粉砕してしまう。
しかし、善の始末に手間取ったことでドミノはRe・ベイキングを成し、彼女と日ノ元との頂上決戦が始まる。火防は日中に『ドミノがRe・ベイキングを成した場合、その後の戦闘には参加しない』という取り決めを燦然党と交わしていたため、日ノ元軍司含む燦然党メンバーと多少揉めたものの戦線から離脱した。こうして火防は善に宣言していた通り、この戦場も切り抜け、王を巡るこの殺し合いから降りた。
「あばよ日ノ元。ドミノ。……フン。理想をその手に、殺し合うがいいさ。心臓をえぐられるまで。」
しかし彼は予想外の再登場を果たす。
「英雄ってのは、利用される為に存在してんだよ。」
なんと彼は京児と共にエデン・ワイスの配下として登場する。この際、現在の主人に合わせて神父服を着用していた。
ユーベン、日ノ元、エデンと仕える主を節操なく切り替える様を善からは痛罵されるもまるで意に介さず、何の為に戦っているのかと問われた際には「金のため」とブレずに言い切った。
その後、エデンの指示で善確保のために彼と交戦するものの、堂島の力を得て以前より遥かに地力を上げていた善に苦戦。殺さないというハンデがあったとは言え、あっさり撃破されてしまう。
京児によって善が確保された際は監視役として彼を見張っていたものの、彼がゴアの力を使い暴走したため、その鎮圧に駆り出される。
レギオンの力で善が打ち倒されたものの、直後に軍司、玄ノ進、京児に急襲され、志月を確保されてしまう。追跡をするが、取り逃してしまい、捜索をエデンに進言するが楽観主義の彼女は事態を重く捉えておらず、そのことに火防は苛立っていた。
その後、志月によって足止めされていた善たちを捕捉すると、攻撃範囲を絞った『W・M・D』で仕留めようとするものの、善のD・ナイト3連発というアクシデントによって彼らを二度も取り逃す結果となった。
善たちとの交戦後は志月と共にエデンの演説に立ち会う。そこで民間人の恐怖心を煽る煽動を目の当たりにして怒る志月とは対照的に「煽動力だけならどの真祖よりも上』、『戦術としても悪くない』と冷静に現状を分析していた。
そしてエデン陣営と残党陣営の決戦の際には、ドミノに釣られて戦場に赴いたエデンをサポートするために彼女の後を追う。だが、レギオンとの融合を果たし民間人を無差別に燃料として虐殺する彼女を見てなんで真祖に選ばれたのかと心底呆れきっており、国民の犠牲に憤慨する志月に対しても、諦めるように諭していた。
D・ナイトを発現させた七原がエデンの足止めをしている際には、直感だけで後方支援部隊の居場所を察知。かつて仲間だった彼らに対して『元、仲間』と吐き捨て容赦なく殺しに掛かる。しかしここで鏡面から軍司が彼らの救援に駆けつけたことで善たちの最大戦力の一人を引き摺り出すことに成功。戦局を傾けさせないためにも彼の足止めを務める。
しかし一方で、エデンは『九龍』に拘束され、最大威力の『天から地へ』が眼前に迫る状況に追い詰められる。彼女からD・ナイトの支援を要請されるものの、『天軍ノ剣』が控えていることを理由に援護を拒否。結果的に彼女を見殺しにすることとなった。
その後、佐神善の覚醒とゴアの降臨という緊急事態を前に戦闘を中断。さらに忌み嫌っていたドミノの復活を目の当たりにした際には苛立ちと嫌悪感を隠しきれずにいた。
「…クソが。なんでテメェは負けねぇんだよ…!」
だがそんな状況であっても理性的な火防は眼前の危機であるゴアを排除するために軍司と共にドミノの援護は回る。『W・M・D』と『天軍ノ剣』の同時攻撃、そしてユーベンと日ノ元の心臓を取り込んだドミノの渾身の一撃でゴアを火口へ叩き落とすことに成功した。
戦闘後、火防はこれまでの寝返りや妨害行為から志月、軍司、玄ノ進と共に牢獄へ幽閉された。怒る水波に「お前臭くね?」と煽るなど余裕を崩さずにいた。
そしてこの際、ゴアの心臓を得ることの意味やレギオンの真実などの重要情報を知ることとなる。本来であればこのまま処分されてもおかしくない彼らだったが、まだ戦う意思を有していることからゴアとの最終決戦のメンバーへと抜擢された。
そして最終決戦では攻撃してくる免疫細胞を蹴散らしながら現場の指揮を引き受け、ゴアの心臓を探索を京児へと託す。心臓部への突入の際にも持ち前の大火力で難なく妨害を突破し、最終防衛システムへと範囲を絞ったD・ナイト『W・M・D』を叩き込み急所への道を切り拓いた。しかし、ゴアがドミノを降し心臓部へ襲来したことで他の仲間たちと同様絶対絶命の危機に陥る。しかしゴアの中に眠る善の意思が反逆。この場にいたほぼ全員が逃がされたものの、これまで幾度も戦い善に本心から嫌われていた火防はただ一人心臓部に取り残されてしまう。
免疫機能が巣食う体内に残され安否不明だった彼だが、逃がされた先で免疫機能に襲撃を受けていた水波、立花の元へ現れると彼女たちを囲んでいた敵影を一瞬で殲滅し2人を体外への出口に案内する。しかしいくら火防とはいえゴアの体内に放置されてタダでは済まず、頭部を大きく欠損する重傷を負っておりマトモな状態ではなかった。
そんな中で彼は死んだはずの阿久津の安否について水波へ聞き、給料の話をし始める。世界が滅びかねない現状にあっても金に執着する彼に水波はその金で何がしたいのかを問う。
「金で何を手にいれたいかって?王様になりたいんだよ。」
彼の根底にあったのは、現実的な王様、組織のトップであるNo.1になることだった。その考えに至ったキッカケは彼の生まれとこれまでの経験にある。
火防の生まれは劣悪なスラム。武力と知力を持っていた彼はその地で敵はいなかったが、今の身一つで手に入るものには限界があり暴力装置の組織運用を学ぶために傭兵業を開始。そこでも彼の能力は遺憾無く発揮され、傭兵においても彼は最も優秀だった。
しかし、人が集まるのはいつでも火防以外の誰かの場所だった。腹の底では自分以外を常に見下している火防はいつも優秀ながらも孤独であり、それ故に組織を率いて周囲に人が集まって欲しいというのが彼の望みだった。
直感のみでゴアの体外への道を開けた彼は、水波と立花へ脱出を促し自身は殿を務める。だがその瞬間火防の目に映ったのは、
「社長…」
敬愛する主人、ユーベン・ペンバートンの幻影だった。その姿に引き付けられ彼は再びゴアの体内に取り残されてしまうのだった。
王様を目指した男の結末
街全体を範囲としたヴェスヴィオ発動までのカウントダウンが迫る中、火防はユーベンの幻影に導かれてゴアの半身の場所まで辿り着いていた。そして直感で同じ場所に辿り着いた軍司と合流。未だに正気を失っていた彼はユーベンを殺した原因の一人である軍司へと銃口を向けるが、彼はそれを感情的だと自制。免疫システムが集中していることからこの先にゴアにとって潰されてはいけないものがあると確信すると、迷わず進む軍司へ何の為に戦いに行くのか問う。それに対して私の王の望みと答える彼に火防は真祖たちを思い返す。
「…王様ってのは、なんで王様なんだろうな?世の中がバカだらけだからか、
環境か、血や才能か、案外、生まれたときからそんなだったのか…
死んでも人を動かしやがる。
結局オレたちゃNo.2か。」
王を目指した男は、右腕として最期まで自身の王へ尽くすことを決めた。さらにここへ憎しみという高い柵を乗り越えた二角も合流。こうして3人は最後の死地へと赴くのだった。
迫り来る免疫の中、二角が刃物で斬り裂き、火防が高火力で広範囲を破壊し、軍司が突き進む。その中で二角は半身を両断され、火防もまたスラスターを破壊され機動力を潰された上で最終防衛システムの攻撃を喰らってしまう。直接的な描写はされなかったものの、この一撃で死亡したと思われる。
結局彼は最後までNo.1にも王様にもなれはしなかったが、彼が拓いた道の先で同じNo.2であった軍司がゴアの半身を破壊したことでドミノたちは全滅を免れることができたのだった。その点で言えば彼は間違いなく影の立役者であったと言えるだろう。
余談
彼の寝返りは予想外との声が大きく、彼が裏切っていないことに夏のボーナスを全て賭けた者までいた。(なお無事爆死した模様)
火防は善の正体をかなり正確に見抜いていた数少ない人物でもあった。
現在はエデン・ワイスに付いている彼だが、火防を配下とした真祖は皆死亡しているため、一部の読者からは『死神』、『負けゴリラ』などと揶揄されており、彼が最終決戦前に味方についた際は『頼むからゴア側に付いてくれ』あんまりな反応をされていた。
関連人物
火防の雇い主であり、真祖の一人。彼は『社長』と呼び、側近として活動していた。その関係性は主人と従者だが、本人たちの関係は「ふざけんなよジジイ」と吐き捨てるなど対等なものに近い。また、火防が情を持った数少ない人物であり、最後の最後まで彼こそが王に相応しいと信じていた。
そしてその描写は回を重ねるごとに顕著になっていき、作中後半の彼のヘイトを集めがちだった行動は全てユーベンが敗北したことによる拗ねであったことや、頭部を欠損し正気ではない状態でユーベンの幻影を見るなど本心から彼を王として慕っていた。
そしてその思い入れの理由は、農奴から王まで登り詰め、周囲に人を集めるカリスマであるユーベンは火防が望んでやまなかった自分の姿そのものであることが理由であると思われる。
同僚の一人。共に行動する機会も多く、彼女からは嫌われていたが信頼関係はあった様子。感情に流されがちな彼女に忠告するなどある程度の情は持っていた様子。
同僚の一人。作中で共に行動していた描写は少ないが、阿久津は火防のことを信頼し仲間だと思っていた。
同盟相手。彼女のことは傑出した人物だと認めてはいたが、あまり好んではいなかった。彼が接した真祖の中では彼女への評価が一番低かった。
同盟相手の一人。初対面の頃から彼の戦う理由に不信感を覚えており、「気味が悪い」と評していた。その後、直接対決した際には彼の本質を見抜き、トランプにおける「A(エース)」ではなく「ジョーカー」であると気付いていた。
第二の雇い主。第二夜の決戦時は彼に味方していたものの、金払いが良さそうというだけの理由で協力しており金ヅルとしか見ていなかった。だが、ドミノよりは彼が王に相応しいと思っていた模様。
第三の雇い主。その圧倒的な強さと強引かつ悪辣ながら確かな人身掌握術から真祖と認めてはいるものの、合理性を他所に独自のこだわりで動く彼女に志月共々振り回されている。