概要
本作の主人公であり、作品タイトルである「血と灰の女王」その人。
富士山の噴火以前からヴァンパイアの能力を持っていた超常生物である真祖の一人。ヴァンパイアの戦争に勝利し、王の座に着くことを目指している。掲げる理想は『絶対女王制』。
もう一人の主人公である佐神善をヴァンパイア同士の殺し合いに誘った張本人であり、彼とは互いの目的のために対等な関係を築いている。
人物
大胆不敵、傲岸不遜を絵に描いたような人物であり、自身を「女王様」と称して憚らない。
金髪翠眼。腰まであるストレートの長髪の美少女。頭にヘアバンドを掛け、丈の長い清楚な洋服を着た神出鬼没の謎多き美少女。
初登場時には善の高校のカバンを持ち歩いていたため、外見的には高校生程度と思われる。
行く先々で美人と評されており、本人も容姿には絶対の自信がある様子。
倒した相手に対して勝ち誇りながら高笑いし、向かってくる相手は一切容赦せず叩き潰し、一度殺すと決めた相手は絶対に殺すなど、極めて好戦的で嗜虐的な性格の持ち主。善を始めとする部下達を「犬」、「下僕」と呼んで、ヴァンパイアの王になるという自身の目標のために日々彼らを振り回している。
しかし、普段の過激な行動や言動とは裏腹に、内心には相手の視点から事情を思い遣る深い優しさも持っている。闘う力や意志の無い者はできる限り殺し合いから遠ざけようとし、自身の戦闘においても、無用な犠牲が出るような闘い方は極力避けている。部下達に対しても、本人の意志にそぐわないことは基本的に強要しない。また、本能や欲望のままに殺戮を行うヴァンパイアを「クズ」と呼び蔑んでいる反面、心の迷いを振り切って、自分自身の意志で戦う相手には一定の評価をしている。だがこの優しさこそが彼女の最大の弱点であり、敵に付け入る隙を与えてしまっている。
彼女にとっての世界とは、「絶対に正しいこと(白)はない。でも絶対に間違っていること(黒)はある。『灰』色がどこまでも広がっている世界」。そして戦いとは、「灰色の世界の中で、自分の信じる道を『血』で血を洗い真っ赤に染まりながら、走り続けること」。だが同時に「信じた道だけを走り続けるのはそれなりにキツい」とも溢している。自身がヴァンパイアの王を目指すことを決して正しい行いとは見なしておらず、それどころか目的のために他者の命を犠牲にすることは「蛮行」であるとまで評している。しかし、それでも彼女が王を目指すことは「ワクワクする」、「支配するのが好き」などとも発言している。
基本的に権謀術数の類はあまり用いず、向かってくる相手を正面から力づくで叩き潰すスタイルを得意としている。しかし他人が非道な手段を用いることは特に否定していないため、この辺りは信念というよりも本人の性格によるものなのかもしれない。
また、僅かな時間で相手の本質を的確に見抜く鋭い眼力を持っているが、これは真祖なら皆備えている支配者としてのステータスでもある。また、何故か彼女は真祖であるにもかかわらず遺灰物を捕食している描写がある。(本来真祖は遺灰物を捕食しても能力の向上はしない)さらに自分がどうやって真祖になったのか知らないという非常にイレギュラーな真祖である。
能力
その変身体は非常に露出の多いコウモリをモチーフにした姿。髪の色が金髪から赤髪に変わり、髪型も微妙に変化する。作中では「変質者」「ケツ丸出しの痴女」などと割と散々な言われ方をしているが、ドミノ本人は自分の肌を見せることに特に抵抗はないようで、事あるごとにその見事なプロポーションを披露している。
真祖である時点で並のヴァンパイアたちとは比べ物にならないステータスを有している。
能力を抜きにしても京児の堅牢な装甲を素手で引きちぎり、並のヴァンパイア最強格の堂島をパンチ一発で吹き飛ばすほどの桁違いなパワー、耳から発せられる超音波による超広範囲の索敵、背中の翼による高速移動が可能であり超常生物に相応しいスペックを誇る。加えて、本人が天才であるため、感覚だけで武術において遥か格上の日ノ元を相手に徒手空拳で渡り合うなど死角がない。
『見えざる手』
彼女のヴァンパイアとしての固有能力。無数の不可視の手で様々な事象を引き起こす。物質の浮遊、操作を始めとして敵の拘束、相手を内側から破裂させる、竜巻を引き起こすなど圧倒的な攻撃力を持つ。だがこの能力の真骨頂は『人命救助』にあり、作中では瓦礫の下敷きになった人々を救出したり(本来はプロが数人がかりでやっと出来ること)、毒ガスに侵された民間人の解毒を行うなど異常なほどの精密さを誇る。
一見すると無敵に近い能力の持ち主だが、大規模な能力行使には体への大きな負担が伴う上、ユーベンからは、ミクロ単位のコントロールができる反面、高威力の能力行使には加減が効かないという弱点も指摘されている。
『戴冠式(Re・ベイキング)』
己のステータスを一騎討ちに特化させ、再配分するという真祖だけに許された絶技。本来能力値が横並びである真祖同士の戦いに於ける切り札であるが、真祖の上に位置する存在への対抗策として編み出された可能性が高い。
彼女のRe・ベイキング体は普段のセクシーなものとは一変し、露出の全くないコウモリそのもののような姿に変化する。また腰の辺りから2体の鋭い牙を備えた触腕が発現しており、ここからブレスのように超音波を放つ。
彼女の能力の『精度』や『射程』、『範囲』の全てを攻撃力と速度にパラメータを振り直しており、更に索敵用の超音波を殺戮用に変化させており、その戦闘力は間違いなく作中トップクラス。特筆すべきは『魔弾』と呼ばれる一撃であり、真祖2体分の力を持つ日ノ元にさえ決定打となる一撃。(恐らく、『見えざる手』を一点に凝縮させRe・ベイキング後のパワーと速度で放っているのだと思われる。)
関連人物
下僕2号であり、対等な関係の仲間。彼をヴァンパイアの世界に導き、以降行動を共にしている。他の部下と比べても彼を特別扱いしている節があり、ユーベン曰く「善君の前ではやたら自分を大きく見せたがる」とのこと。善の正体については、全く見当がついていなかったようだが、「どうでもいい」と一蹴していた。
下僕1号であり、右腕。彼の冷め切った理性と明晰な頭脳を高く評価しており、「他はいない」と大きな信頼を寄せている。彼の本質をよく理解しており、人とは形が違うが喜怒哀楽を持っていること、そして理性があるのに不器用で、人間のことが好きであることを見抜いていた。
下僕3号。ある種の似た者同士であり、「殺し合いの中でも優しさを捨て切れない」という点が共通している。彼の気高さと非常に強力な能力を高く評価している。彼の中の理想にも理解を示しており、「真祖に最も近いヴァンパイア」であることを知っていた。
下僕4号。何十回も説明を聞かせなければ理解出来ないポンコツぶりに辟易してはいるが、公人としての姿勢や日々の努力を高く評価している。だが天才であるドミノには凡才のことを完全には理解出来なかったようで、明への理解度は同じ凡才であるユーベンの方が高かった。
競合相手であり、一時の同盟者。彼を『拝金主義者』と貶す一方、ユーベンからは『ブラック女王』と言い返されていた。彼にRe・ベイキングを教授するなど、それなりに信頼は寄せていた様子。
最大の敵。初めて箱根の温泉で遭遇した時から、今回の戦いの勝者は彼か自分であると考えていた模様。彼の民間人を平気で犠牲にする姿勢を快く思っておらず、『クズ』と嫌悪している。だが彼の過去の境遇や求められてきた理想には一定の理解を示していた。
燦然党に潜ませていた内通者。彼のことは全く信用しておらず、燦然党との決戦時には殺すつもりでいた。堂島もそのことは理解していたようで、来る決戦では混戦に紛れて彼女を殺害しようとしていた。彼を内通者として重用した理由は、『日ノ元の邪心を量るため』であり、ドミノは堂島の正義感だけは信頼していた。
いずれ挑むべき王。一体いつなのかは不明だが、かつて彼に挑んで敗れた経験がある様子。(なぜ殺されなかったのかは不明)最低最悪のクズと蔑んでおり、彼を跪かせることを目標にしていた。
第四の真祖。本来は彼女こそがゴアに選ばれた人物であり、ドミノはイレギュラーな存在だった。どうやら両者には面識があるようで、エデンはドミノを「優しい人だった」と過去形で語っており何らかの確執がある様子。
余談
漫画アプリのおまけコーナーでは、新登場した女性キャラがドミノの変身衣装を着せられるのがお約束になっている。他のキャラクター達が恥ずかしそうにしている中で、彼女一人だけ堂々とセクシーポーズを決めているのは女王の貫録のなせる業だろうか・・・。
関連タグ
走り続けた道の果て
第157話『夢の終わり』にて、彼女の過去が明かされた。
ーーー彼女はとある王国で生まれた。国王の次女としての生を受け、何不自由ない生活を送っていた。だがその時代は日常の道の端で死体が転がっていて、公開処刑などが当たり前に横行する血生臭い世界だった。そんな世界を、彼女は嫌った。
ある日、広場で少女が大勢の大人に囲まれて昨晩起きた火事の犯人だと疑われ、暴行されていた。それを見た瞬間、彼女は一気に頭に血が上り、気が付けばその少女の前に立っていた。そこで彼女は確信した。『自分は絶対の女王であること』、そして『世界は思うがままであること』を。だが彼女のそんな日々は長くは続かず、ゴアによる襲撃で王国は滅亡し、彼女も負けて地を這った。(この描写が以前の戦いの結果なのかは不明)
それから3世紀の間世界を回り続けたが、世界は未だに彼女が嫌いな形のままだった。だから彼女はそんな世界を変革するために信じた道を走った。『誰も殺し合わない世界』を夢見てがむしゃらに走り続けた。
だが彼女の肉体は極限までの負傷と、堂島によって付けられた心臓の傷で終わりを迎えようとしていた。だからこそ、自分を一番理解してくれた彼に自分の心臓を託し、灰となって消えていく………
はずだった。
だが彼は、その結末を良しとせず、謎の力で彼女の崩壊を押し留めた。こうして血と灰の女王はしばしの眠りにつくのであった。