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「僕はただ、死と悲鳴を浴びたいだけさ。」


「負ければ失う。だからゲームは面白いんだろ?」


概要編集

真祖日ノ元士郎率いる組織、*燦然党の初期幹部の1人。後にその高い能力を見込まれ、燦然党本隊にスカウトされている。

首元に巻いたマフラーと左目の泣き黒子が印象的な美青年。常に文庫本を携帯するほどの文学派であり、戦場にあっても文庫本を手放さない。その見目麗しい外見で女性からはかなりモテるのだが、その事実とは裏腹に、本人は女性を嫌悪しており、本人曰く『デコボコしてて気持ち悪い』、『発情したあの体臭を嗅ぐと吐きそうになる』とのこと。そのため生粋の同性愛者であり作中では同年代、同類、同性である狩野京児に恋愛感情を抱き、彼の穴を狙っている。


人物編集

普段は人当たりの良い好青年を装っているが、その性格は享楽家の一言に尽き、命を懸けた戦いや殺し合いを『ゲーム』と称し、殺戮と暴力を愛し、悲鳴を詞(うた)と賛美する正真正銘のゲス

この気質は生まれ持っての性であり、彼の両親は至って普通の教師で、風見自身にも過去トラウマになるような経験もない先天性の異常者。この性質は狩野京児に似ており、彼を同類としている。

風見自身もこの歪みは自覚しているようで、自身を『生まれついての異常者(バグ)』、『歪んで生まれた蝶』と称しているが特に自制するわけではなく欲望のままに生きている。

だが、人間時代に殺人を犯したことはないらしく、本人曰くラスコーリニコフは苦悩したから



能力編集

風見涼

その変身体はをモチーフとした幻想的で美しい人型のもの。だが、その美しい外見とは裏腹に、感情が昂った際には彼の醜い内面を反映したように口からは蝶の長い口吻や、2対の鋏角が生えてくる

身体スペックは京児に並ぶほど優れており、人間体での戦闘では彼を圧倒していたが、それとは裏腹に変身体はとても脆弱であり、簡単に負傷してしまうという大きな欠点を抱えている。


『掌握』

彼のヴァンパイアとしての固有能力。彼が全身から放つ蝶型の干渉体を取り付けて、人間や死体などの神経を掌握し操ることができる。応用として、相手の脳から記憶を探ることも可能で、作中ではこの力で京児からドミノに関する情報を抜き取っていた。また作中の描写から、生きているヴァンパイアの肉体のコントロール権を奪うことは出来ない様子。(ただし千切れた体のパーツや、死体に対しては可能でこの能力で操られたヴァンパイアは心臓がなくとも灰にならず動き続ける。)

またこの蝶には一部のに酷似した特殊な構造を有しておりドミノの超音波による索敵を無効にすることが可能であり、尚且つこの蝶一つ一つと視界を共有しており簡易的ながら索敵も可能。さらに、この蝶を槍状に集中させたものの攻撃力はそれなりにあり、堅牢な京児の身体に穴を空けられるという万能な能力を持つ。


『完全掌握(I have)』

風見涼 「完全掌握」

彼の扱うD・ナイトクロスジヒトリに似た不気味な黒い蝶を放ち、捕捉した相手を完全に掌握することが出来る。作中では葵洸をこの能力で操り、跳躍する場所を自在に操作した。加えて、相当の負荷が掛かるようだが、D・ナイトの強制発動も可能。また、この能力によって操られた者はロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリのように目玉が飛び出し、マダラ模様になるというグロテスクなものに変貌する。そして、これらの能力はあくまで副産物であり真の効果は別に存在する。


『掌握態』

D・ナイトによる強化形態であり、『完全掌握』の真の効果。彼の変身体の唯一の欠点だった肉体の脆弱さを完全にカバーした姿。作中では、並のヴァンパイアで最高の硬度を誇る葵洸の装甲を纏うことで距離は短いが、彼女の跳躍能力まで手に入れた。(発動までのインターバルが短くなるというメリットも存在している。)さらに纏う装甲は厳密には彼の身体ではないため、傷がついても即座に修復可能で、足などを欠損してもこの甲殻で再生可能。

この際、仮面ライダーのようなスタイリッシュな姿になっている。



活躍編集

初登場は第54話。燦然党結成時から幹部として参加しており、会食の場にも呼ばれていた。この際、日ノ元の血腥い脅迫にも顔色ひとつ変えていなかった。その後は田園調布の襲撃にて、ドミノの索敵への妨害役として参加する。


襲撃後、先生が捕らえた京児からドミノに関する情報を探るため彼を地下室は監禁する。情報収集は完了していたが仲間たちには虚偽の報告を行い、彼の命で遊ぶことを決める。その際、自身と京児が同類であると確信、彼に好意を抱き、『好きってことだよ。僕は君がね。』と大胆告白。(京児は作中でも類を見ないほどドン引きしていた。)

もう1人の監視役であるマジシャンと共に京児の命をかけたイカサマポーカーを仕掛けるも敗北。日が暮れるまでの猶予を与え、出口を教え京児を地下室から逃がす。この利敵行為に対して『ゲームは負ければ失うから面白い』と語っており、特に気にしている様子はなかった。

約束通り日が暮れてから追跡を開始するが、なんと京児は出口で待ち構えており、不意を突かれて腹を貫かれ、さらにそこに電撃を流されしばらく行動不能になってしまう。この際、咄嗟の反撃で京児の身体に干渉体を仕込み、もう一人の監視役であったマジシャンが追跡を代わりに行うことに。駆けつけた幹部たちに「不意を突かれて逃げられた」と説明するも、堂島にわざと逃したのではないかと図星を突かれ殺されかけるが、立花が堂島を抑えたため風見の疑いは有耶無耶になり、山狩りが開始される。風見はその場を動けないが、蝶を森中に飛ばすことで京児を補足し彼に殺されたマジシャンの死体を操り彼と交戦を開始。手負いの京児を着実に追い詰めるも、戦闘中、片目の治癒に全神経を集中させるという常軌を逸した戦闘センスの前に敗北。だが風見は諦めておらず、助けに駆けつけた善を次の遊び道具にするために二人の同士討ちを誘い、動揺した隙に森中の蝶を結集させた槍で善を殺し死体を乗っ取ろうとするも、2人の信頼関係の前に失敗。この際京児から『もう殺しじゃ満足できないぜ?』と言われ、恍惚とした笑みを浮かべていた。

それ以降は全く行動を起こさず、燦然党居住区で悠々自適に暮らしていたところを本隊に葵洸と共にスカウトされる。その後は襲撃を警戒して常に葵洸とペアで動く。そして同性愛者である彼が葵洸と身体の関係を持つという考えれない行動に及んでいた(この行動の真意は後に判明する。)

数日後の燦然党本隊の会食の際は、懐石料理に舌鼓を打ちながらも全く油断はしておらず、日ノ元路紀の攻撃を堂島と同時に察知しいち早く自分の料理を守っていた。

そして来るドミノとの決戦時、彼女の索敵を妨害できる唯一の存在である風見は無論前線に駆り出されていた。燦然党側の作戦である数千人の民間人を毒ガスの中に放り出し、ドミノからの盾にするという作戦を目の当たりにした彼は、


「美しい…『詞』が溢れる…!!燦然党に入って良かったー♪』


と民間人の悲鳴を全身に浴びながら干渉体を大量散布。その後は、日ノ元蔵久に守られながらチャフを散布し続け、ドミノへの妨害の戦況の監視を行う。(北ノ城の敗北の報告や阿久津の捕捉など。)

日ノ元が石切り場に追いやられたことで、燦然党は跳躍の準備をするが、襲撃を警戒していた風見は索敵を取り止めており、そのことを日ノ元壱成から叱責されていた。このこともあり、明のD・ナイトによって跳躍が不完全に為され、燦然党員が散り散りになる中、彼は愛しの京児と同じ場所に転送される。このことに運命を感じ、燦然党への援護を全て中止し、京児と交戦を開始。互角に渡り合うが、彼のD・ナイトを受け腹を大きく抉られる。だが未完成だったこともあり存命で、撤退しようとするが京児が逃すはずもなく追い込まれる。彼も切り札を持っていたが、この状況では使えないため民間人の死体を差し向けるが京児は即座に死体だと看破し追撃の手を止めない。だが死体の中に生存者の親子を混ぜており、2人の首に取り付けた蝶から干渉し内部から破裂させようとする。娘の救助に気を引かせた隙に逃走に成功し、母の娘を想った言葉を嘲笑すると、高笑いしながら戦場から離脱した。

何も失わず、大好きな死と悲鳴を一身に浴び、愛する京児と戯れ合い、さらには大量の遺灰物を手に入れることに成功し、風見はこの夜の戦いの唯一の勝ち組となった。


風見は自分の享楽を優先し、燦然党の指示を全て無視していたため、日ノ元家から恨みを買っており王を巡る戦いから降りるのかと思いきや…



なんと日ノ元への怒りに燃える立花を連れて燦然党の本邸へ訪問する。

険悪な空気が漂う中、戻って来た理由を聞かれた際は『前夜の決戦でその数を減らし意気消沈している彼らの前にヘラヘラした態度の自分が戻って来たらどんな顔をするか気になった』と嬉々として語っていた。この言葉を受け激昂した壱成の攻撃を躱すと目を潰し、首の骨を踏み潰す。(この際心臓が崩れなかったのは、風見にとってこの行動は殺意を抱くまでもない遊びであったため。)そしてドミノに確保された葵洸を取り戻すことを条件に燦然党に舞い戻る。

その夜の戦いでは日ノ元の指示で序盤からD・ナイト『完全掌握』を発動し、葵洸を捕捉する。そしてチームドミノの跳躍先を操作し、彼らを追い詰めるも不完全跳躍が発生しその場にいた全員が散り散りになってしまう。だがこの不完全跳躍すら風見がある程度操作しており、京児と共に遊園地エリアに飛ばされた。(七原も共に跳躍させられたが、善と明の場所を教えることを条件に別の場所に向かわせた。)

七原を撤退させた後、『完全掌握』の効果を発動し洸の装甲を身に纏い、身体の脆弱さを完全に克服した掌握態に変化する。彼が嫌悪するはずの女性と肉体関係を持っていた理由はこれだった。洸の身体を隅々まで理解することこそが目的であり、風見にとっては戦闘のための下準備でしかなかったのだ。そして洸本体と余った装甲を球状に丸め、武器兼盾として扱っており京児の電撃を防ぐなどぞんざいな扱いをする彼に対し満足に口も利けなくかった洸からどうしてこんなことをするのかと聞かれ、


『君のことはずっと気持ち悪いと思ってたし、その1番の理由をあげるとすると…体臭かなぁ。』


と真っ向から彼女を否定するとそのまま京児と交戦を開始。京児以上の装甲と跳躍能力、そして電撃を防ぐ盾を駆使して彼にD・ナイトを使わないと勝てないと確信させるほどに追い詰める。盾役の洸を引き離され、設置型の黒雷で動きが止まった隙を突かれて両足を拘束されゼロ距離で電撃を構えられるが、洸のD・ナイトを強制発動させることで自身を中心とした半径数十mの足場を跳躍させ、さらに隠し持っていた羽根を展開し彼のD・ナイトを回避。万が一の弱体効果を避けるために羽根を分離し地上に降りるも京児は既に先回りして電撃を構えており跳躍で回避しようとすると洸は既に限界を迎えており跳躍能力を失ってしまった。すると風見は戦い方を即座に切り替え、4本の鎌のような脚を展開すると京児を手数で圧倒、満身創痍になるまで追い詰めるも京児は自身と風見を囲うように黒雷を展開。そこで京児のD・ナイトは上空でチャージするものだと察知し、洸を棺型に変形、装甲を上部に一点集中させ防ごうとするもそれが不可能と退避しようとするも京児の発揮したパワーに押され、死をも恐れない彼が自分とは全く別の種類の人間だったと気付く。


『あ、違う。蝶じゃない。』

(風見のイメージでは、京児は蝶のような花を持った食虫植物として表現されていた。)


京児のD・ナイトに直撃したかに思われたが、直前で負傷し力の弱まった彼を押し込み、ギリギリのところで回避していた。だがそれでも左足と左腕、鼓膜を失ってしまう。洸の一部をあらかじめ切り離し逃走手段を確保しており、彼女の遺灰物も手に入れていた。何も聞こえない中、殺し合いに生を見出す京児と、全てに冷めているが故に心躍らす何かを探し続ける自分の違いを思い知る。2人は形が似ているだけで、本質的な部分は全くの別物だった。自分にとっての心躍る詞に想いを馳せるが、不思議と何も浮かんでこない。浮かんで来るのは、京児の姿だけ。そこで父の言葉を思い出し、こんな出会いはこの先もう二度とないと悟り、京児に向かい合う。


(何故…こんなにも心惹かれる?そう…惹かれていたんだ。初めて会ったときから。想うたびに…それが強くなって…。違うから…惹かれていた…?)


洸の装甲を利用して足を再生させると、自らの血で胸に大きくハートマークを描くと、


君が、僕の花だ。


不敵な笑みを浮かべる風見を見て京児は「少しは分かってきたじゃねーかよ!!」と自分の胸に爪を使いハートマークを描くと、歪んだ蝶と黒い食虫植物は最後の戯れを始める。激突の直前、干渉体で京児の動きを拘束しようとするも、電撃で全て焼き切られ、牙による噛みつき右腕の動きを封じられ、その隙に心臓を穿たれる。そのまま電撃を流されたことで肉体が暴発し上半身が吹き飛び岩壁に叩きつけられる。心臓を失ったことで風見の身体は段々と崩れていく。


で?お前の最後の詞は?


ー先に消えるよ。


『風に、吹かれて…。』


ーこうして風見涼という羽化不全の蝶は、風に吹かれて消えて逝った。



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