曖昧さ回避
概要
ギリシャ神話の神、またはその神が管理する場所の名。ギリシャ神話でいう地獄であり、仏教用語を借用して奈落と訳すこともある。冥府のもっと底にあり、青銅の門と壁で守られているほか、普通の人間は突風にあおられ立ち入ることすらできない。
タルタロスの住人達
タルタロスには、かつてゼウス神族に反旗を翻したティターンやテュポーンが閉じ込められている。なお、彼らが暴れる余波で地震とか台風とかが引き起こされるという。また冥府における審判の結果とくに罪深いとされた者、あるいは大神ゼウスの勅命で神々への反逆者とされた者らもタルタロスに送られる。ギリシャ神話ではタルタロスに送られる者は一般に多くないとされていた。天国のエリュシオンに招かれなかった者のうち大部分は、ハーデス自身の治めるエレボスで特に罰せられることもなく暮らしていたという。しかし後世のローマ時代に書かれた『アエネイース』となると、死せる者のうち僅かだけがエリュシオンに行き、残りの大部分がこのタルタロスに送られていた。
著名な幽閉者たち
息子を殺して神々に馳走し、女神デメテルに実際に食べさせるという罪を犯したのがタンタロスである。この者は沼の上の木につるされ、水も果物も目の前にありながら口にできずに飢えと渇きに悩まされる罰を受けている。
タナトスを謀り捕えて死すべきものから死を奪い、ペルセポネとの三日だけ復活させるという約束を破って現世に居座るなど冥府に多くの混乱をもたらしたのはシシュポスである。シシュポスは坂の上に岩を押し上げるという罰を受けている。頂上に達する直前に岩は重みを増して下まで転げ落ちてしまう。