概要
アニメ等において、ベテラン声優や人気声優が出演陣に揃っている事。
ある程度の予算がかかっている商業作品の場合、人気の若手からベテランまで声優陣が豪華なのは普通な事なのであえて言及はされない事も多い。とはいえ販促用告知映像などでデカデカと声優陣の名前が強調されたりと、積極的に広告効果を見込まれる事もある。転じて、事前の期待を満たせずに低評価を受けた作品を「豪華声優陣の演技が聴ける事ぐらいしか価値が無い駄作」として酷評する殴り棒に使われる事もしばしば。
豪華声優陣な作品例
以下、「豪華声優陣」がなんらかの形で話題となった例。
現在でも続くアイドルものシリーズの大手。
主役となるスクールアイドル達は、オーディションを勝ち上がった無名~新進気鋭の若手で固められる一方で、少女達の母親役には往年に大人気を誇ったベテラン声優が多く選ばれている。ファンの間では新シリーズの度に「今度のママ達はどの大物声優が来るのか」にも注目されるのがいつもの流れ。ママライブ!も参照。
『夢想夏郷』
東方PROJECTを原作・題材とした同人アニメーション。
商業作品でも活躍多数の人気声優を集めたものの、「声優陣の豪華さに作画や脚本が追いついていない」という厳しい声も。
気合の入った原作絵再現グラフィックで発売前から大きく期待を煽った格闘ゲーム。
長期連載作品のオールスターかつ「全員が主役級」という側面も強い格闘ゲームという媒体ゆえ、起用声優陣とその熱演ぶりも話題となるが、発売後は様々な問題点が露呈。2013年随一の大規模被害を出したクソゲーとして発売直後は悪名を極めた。また、後発となる3部以降のアニメ版ではほぼ全キャラの声優陣が別人に交代している。
『スパイ教室』
富士見ファンタジア文庫の小説を原作とする2023年冬および夏アニメ。
美少女揃いのスパイチーム「灯」の活躍を描く。メンバーには中堅どころのアイドル声優を揃え、各キャラの当番回には通常EDに代わって専用のキャラソンと映像が流れる特殊EDが用意された。放映開始に合わせて声優ビジュアルブック誌『MY GIRL Vol.36』では表紙&特集で大きく取り上げるなど「声優売り」的な面も強い販促がされるも結果は振るわず。BD売上枚数は圏外で計測不能&DVDは89枚という不名誉な記録を残した。
『彼岸島X』
ヤングマガジンの長期連載サバイバルホラーアクション(の皮を被ったギャグ)漫画を原作とするショートアニメ。
画面自体が(恐らく意図的に)低予算の作りで笑いを誘うものだが、加えて「大物声優が主人公から仲間達に敵側、モブまで老若男女の全てを一人で演じる」という極めて変則的な体制の配役であった。そのため声優「陣」という言葉を使うのは不適切に見えるが、3話毎に次の別声優に全役が引き継がれるため、「豪華声優陣(一人)」という矛盾した表現が成立している。
『ポプテピピック』
「クソ漫画」を自称するギャグ漫画のアニメ版。
声優陣の扱いは『彼岸島X』に近いものだが更にインフレしており、主役の二人を演じる声優は3話どころかその週のうちにAパート→Bパート間で引き継ぎ交代してしまう。CM前後で基本的に同一映像を音声だけ変更して繰り返すという「最速再放送」形式で全話が展開され、その人選・演技をより贅沢に楽しめるだろう。
声優陣の中に一人だけ本業ではないコスプレイヤーがメイン級ヒロイン役で参加。しかもその人物、キャラクターデザインを努めた作家と年の差婚していたという身内縁故人事で炎上。演技面でも「豪華声優陣に一人だけ素人が混じっている」という評価を発売早々に下されてしまう。挙げ句、アップデートでキャラ別に声をON/OFFできる機能が追加される事に。
「商業作品なら声優陣は一定の実力が保証された人選なのが当たり前」という共通認識を逆説的に浮き彫りにした事例と言えるだろう。
最後に
繰り返しになるが、「豪華声優陣」はある意味で当たり前の事である。そのため話題になる場合は前述例のように後ろ向きな意味合いを帯びる事も少なくない。豪華声優陣が必要以上に強調されていると感じたら、それは地雷を嗅ぎ分ける判断材料になるかも……というのも悲しいながらも実情である。