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概要編集

アニメ等において、ベテラン声優や人気声優が出演陣に揃っている事。

「チーム」や「グループ」を描く事を主眼に置いている作品や、多数のキャラクターがプレイアブルで登場するゲーム等、「全員が主役(候補)」的に登場人物達が横並びになる作品だと特に使われやすい。


相応の予算がかかった商業作品の場合、人気の若手からベテランまで声優陣が豪華なのは当然な事なのであえて言及はされない事も多いが、販促などでデカデカと声優の名前が強調される事もある。

転じて、事前の期待を満たせずに低評価を受けた作品を「豪華声優陣の演技が聴ける事ぐらいしか価値が無い駄作」として酷評する殴り棒に使われる事もしばしば。もし豪華声優陣が必要以上に強調されていると感じたら、それは地雷を嗅ぎ分ける判断材料になるかもしれない……。


一方、そういった安定策とは逆に、初々しい若手を集めた「新鮮さ」を強調する作品・企画も。上手くヒットすれば「未来の人気声優の出世作」となり、その出演者も「豪華声優」側の仲間入りを果たすだろう。一見した方向性は真逆に見えるが、その企画性自体がやはり「豪華声優陣が当たり前」という共通認識を前提にしているとも言える。


音声作品では編集

未アニメ化の漫画や小説がドラマCD化する際には、アニメファンにも名の知られる声優陣が揃えられる事が多い。原作ファン以外にも訴求するために、役者のファンにもその目標を広げていくのは当然の流れと言えるだろう。そのため、漫画雑誌の付録や単行本の特装限定版などでは表紙の煽り文句や帯などで出演声優の名前が大きく載る事も珍しくはない。そんな豪華声優陣がアニメ化に際して続投するかどうかはまた別の話だが……。

近年はASMR音声作品の台頭で豪華声優を売りにしている事例も増加。とはいえ媒体の性質上、出演者が一名だけの事が多いため声優「陣」という言葉はやや使われにくい。強いて言えば同一の発売元から多数の音声作品が出ている場合であろうか。


吹き替えでは編集

洋画等の吹き替えでも、やはり名のある声優が海外スター達に声をあてるのが普通である。その一方、低予算の無名映画をレンタルしてみたら、国民的アニメでレギュラーを演じている大物声優が何人も吹き替え出演していて驚く、なんて事も。ある意味では、豪華声優陣という言葉を最も強く意識できる視聴体験かもしれない。

また、こういった吹き替えは、権利上の関係からか映像ソフト版とTV放送版などの別媒体で声を当てる声優が変わる事もある。それらを聴き比べてみるというのも一部の楽しみとして存在し、比較動画などが作られる事も。二人(以上)一役の豪華声優「陣」に相応しい贅沢な楽しみ方とも言えるだろう。


一方で、この分野には「見えてる地雷としての豪華声優」もまた存在する。たまにある非声優による吹き替えがそれで、「あの(任意の著名人)氏が声優に初挑戦!」などと掲げて客寄せ・話題作りのために起用される。本職の声優陣の中に一人だけ門外漢が混入された結果、大体は「純粋に下手」「声質が役に合っていない」「中の人の地が出すぎている」といった悲惨な結果を味わう羽目に。実写ドラマやバラエティでは、顔の良さやアドリブ上手のトークで人気者でも、「声だけの芝居」という特殊な領域では通じない。表情や身振りに頼れない純粋な音声演技力や声質の魅力、そして役との相性が重要である。そのためこういった起用は吹き替え派の洋画ファンから蛇蝎の如く嫌悪される一方、一定の宣伝効果はあると業界側からは見做されているのか定期的に同じ悲劇が起こる。おとなしく字幕版を観ればいいだけかもしれないが、映画ファンと声優ファンを兼ねているような層にとってはそう割り切れたものでもないだろう。大作映画(の非声優吹き替え版)が地上波放映されてより多くの耳目に触れた場合など、多数の苦情を集めて封印事例になってしまう事もある。

ちなみにこの非声優の芸能人起用、時にはアニメにも出張してくる場合も。チョイ役程度ならまだいいが、主役級で炎上する事例もやはり存在する。とはいえ声優が本業でないにもかかわらず好演を見せて評価を勝ち得る例も勿論あり、結局は当人の実力次第である。


豪華声優陣な作品例編集

以下、「豪華声優陣」がなんらかの特筆性を持つ例。基本的に年代順表記。

「豪華」と評されるだけあって、声優陣の熱演・好演自体は定評のあるものばかりである。

過度な長文・煩雑化を避けるため、各声優の個人名は省略する方針で記述している。詳しい配役については各リンク先及びその関連記事を参照されたし。


アニメ編集

夢想夏郷

東方PROJECTを原作・題材とした同人アニメーション。

商業作品でも活躍多数の人気声優を集めたものの、「声優陣の豪華さに作画(主に第一話)や脚本が追いついていない」という厳しい声も。


ラブライブ!シリーズ

うら若き女子高生達による、「部活動」としてのアイドル活動を描く人気シリーズ。

主役となるスクールアイドル達は、主にオーディションを勝ち上がった無名~新進気鋭の若手で固められる一方、少女達の母親役には往年に大人気を誇ったベテラン声優が多く名を連ね、好対照を成す。そのため一部のファンの間では新シリーズの度に「今度のママ達はどの大物声優が来るのか」にも注目される。詳しくはママライブ!も参照。


聖闘士星矢 黄金魂 soul of gold-

多数の大ヒット作を抱え、黄金期と呼ばれる往年の週刊少年ジャンプ連載のバトル漫画を原作とするTVアニメのオリジナル新作。

主軸として登場する黄金聖闘士達は、昭和の時代からアニメ・声優業界を盛り上げてきた大ベテラン陣の名前がまさしく黄金の輝きの如く並ぶ。ヒロイン役は、プリキュアシリーズレギュラー戦士を演じた中では最ベテランでありながら、この中では「若手」に入ると称された程。

年代が年代だけに旧TV版での黄金聖闘士役の何名かは既に鬼籍に入っているが、引き継いだ二代目達もやはり現代では準大御所級の有名どころとなっている。


彼岸島X』

ヤングマガジンの長期連載サバイバルホラーアクション(の皮を被ったギャグ)漫画を原作とするショートアニメ。

画面自体が「よく動く紙芝居」といったなんとも低予算を感じさせる出来栄えで笑いを誘うものだが、加えて「大物声優が主人公から仲間達に敵側、モブまで老若男女の全てを一人で演じる」という極めて変則的な体制の配役であった。そのため声優「陣」という言葉を使うのは不適切に見えるが、3話毎に次の別声優に全役が引き継がれるため、「豪華声優陣(一人)」という一見矛盾した表現が成立している。

昭和時代の紙芝居は読み手がナレーションと全ての登場人物を語り演じるのが普通であったため、それを再現したと考えれば「平成に蘇った紙芝居」として誠実な制作姿勢だったのかもしれない。


ポプテピピック

「とびっきりのクソ4コマ」を自称するギャグ漫画のアニメ版。

原作同様に自ら「クソアニメ」を標榜しており、『彼岸島X』に近い声優陣の扱いも更に先鋭化。主役の二人を演じる声優は、なんと3話どころかその週のうちにAパート→Bパート間で引き継ぎ交代してしまう。CM前後で基本的に同一の映像を音声だけ変更して繰り返すという「最速再放送」形式で全話が展開され、その人選・演技をより贅沢に楽しめるだろう。


ぱすてるメモリーズ

フリューによるソーシャルゲームのアニメ版。

ほぼ全話に渡って危険なパロディが繰り広げられるが、各話ゲストキャラの声優は元ネタ本人ではなく代役。その一方で大御所や人気声優が普通に起用されており、胡乱なパチモンキャラに対して不相応に格の高い声優が充てられたという「役不足」作品。「内容のヤバさにある程度は自覚的だったため、本人を呼ぶ度胸はなかったのでは?」とも言われるが、パロディとしてはなんとも腰の引けた中途半端な姿勢と言わざるを得ないだろう。とはいえ「元ネタ作品/キャラへの愛着をまるで感じない」という評価の話数も多く、本人を呼んでいたら元ネタのファンを中心に炎上していた可能性も。特に封印作品となった第2話は、その措置に対して擁護・不満の面からも大きな話題とはならなかった。

当然ながら低評価に終わったアニメ版の失敗は、アプリのサービス終了にも大きく影響したとされる。


吸血鬼すぐ死ぬ

週刊少年チャンピオン連載のギャグ漫画のアニメ版。作中登場する変態吸血鬼の数々と単発回で登場したっきりのチョイ役まで、大御所やベテランの豪華声優がついて話題に。登場回で明らかになるまで誰が演じるのか伏せられていたのも効果的であった。


スパイ教室

富士見ファンタジア文庫の小説を原作とする、美少女揃いのスパイチーム「灯」の活躍を描くアニメ。

業界でも中堅どころの地位を確立している人気アイドル声優を揃え、各キャラの当番回には通常EDに代わって専用のキャラソンと映像が流れる特殊EDも用意された。放映開始に合わせて声優ビジュアルブック誌『MY GIRL Vol.36』では表紙&特集で大きく取り上げるなど、「声優売り」的な面も強かったが円盤売上では振るわず。第一巻は、「BDは圏外で枚数計測不能&DVDは89枚」という不名誉な記録を円盤売上史に残した。


ゲーム編集

セブンスドラゴン2020

PSPRPG

最大3名まで同行できる自パーティの構成員を、性別・職業・声を自由に選んで作成できるのが大きな特徴。選択可能な声は男女各15種類と豊富で、有名所の合計30名がズラリと並ぶ。続編となる『』でも更に10名の声優が新たに追加された。


ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル

週刊少年ジャンプで長期連載されたバトル漫画の歴代キャラが時代を超えて集結する格闘ゲーム。

独特の画風である原作絵が気合の入った3Dグラフィック技術で再現され、それらを全面に押し出した販促映像で大々的に宣伝された。発売前こそ大いに原作ファンの期待を煽ったものの、発売後は様々な問題点が露呈。約50万本超えとも言われる出荷数で2013年随一の大規模被害を出したクソゲーとして悪名を極め、凄まじい値崩れを起こした。

本作より後発となる3部以降のアニメ版や、続編的存在であるタッグ対戦アクション『EOH』では多くのキャラが別声優に交代しており、悪評による傷の大きさが窺えるだろう。また、『ASB』自体も後にいわゆる「完全版」として『ASBR』が発売されているが、こちらも3~6部のキャラクターはアニメ版準拠に声優が交代。旧版の名残となる部分が黒歴史的に扱われているのを窺わせる。


仮面ライダー サモンライド!

平成仮面ライダーシリーズのアクションゲーム。

特撮原作のゲームは、俳優のギャラやスケジュールの関係からか声が代役になってしまう事も珍しくない中、かなりの割合で本人の声が聞ける。

一方でオリジナルゲストキャラクター達にも、3名と数は少ないものの数々の作品で活躍する有名声優を起用。が、背景舞台となる「クリスタルワールド」は「剣と魔法」系の異世界であり、現代日本を舞台とする実写特撮である「仮面ライダー」原作とは大幅に乖離している。異世界の住人であるゲストキャラクター達も同様に全く馴染んでおらず、「お蔵入りした別ゲームの素材を無理やりライダーゲーに転用したのでは?」と疑いたくなる程。結果、声優陣の演技自体には全く問題がないのに「仮面ライダー」(とプレイヤー)を置き去りにした茶番劇が展開される。

トドメにゲームバランスも極悪であり、ライダー側の原作理解/再現度に至ってはお粗末を通り越してミリしらレベル。2014年のKOTY大賞という負の栄冠に輝いてしまった。


クロバラノワルキューレ

PS4RPG

声優陣の中に一人だけ本業ではないコスプレイヤーがメイン級ヒロイン役で参加。しかもその人物、キャラクターデザインを務めた作家と年の差婚約していたという身内縁故人事で炎上。「豪華声優陣(一名除く)」と揶揄された挙げ句、アップデートでキャラ別に声をON/OFFできる機能が追加される珍事に。

実際の演技力はさておき、「商業作品なら声優陣は(若手の下積みやオーディション突破も含めて)相応の実績があって当然」というユーザー側の意識が、逆説的に浮き彫りになった事例と言える。


NEWガンダムブレイカー

好きなガンプラ部品を組み合わせて「俺ガンダム」を作れるアクションゲームシリーズの第4作目。

その名の通り心機一転を図った内容で、メインシナリオではヒロイン別のストーリー分岐が存在するギャルゲー要素を取り入れたのが大きな特徴。が、ヒロイン達は寒いガンダムパロディ台詞を連発し、人気声優の萌え萌え演技が逆に聞いていて辛くなってくる程。

ゲームシステム/バランス面でも新要素を中心に不評な点が多く、評価は散々。そのため発売当時は前作である『ガンダムブレイカー3』が再評価され、その市場価格が上昇した程であった。

後の『ガンダムブレイカー4』では公式サイト内に「3からの進化点」と書かれるなど、本作が無視されたかのような扱いになっている。


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