概要
ZUN氏が個人で運営する同人サークル「上海アリス幻樂団」が製作している作品群。1995年に制作が始まり、1996年に頒布された『東方○○』というタイトルの弾幕系同人シューティングゲームを中心とした同人発のIP、メディアミックス作品である。
一般的に『東方』と呼ばれている。ZUN氏の意向により、『東方シリーズ』の呼称はあまり用いられない。
弾幕STGを主軸に書籍、音楽CDなどの幅広い分野で構成される。設定の奥深さと自由度から多数の二次創作が作られており、ジャンルを問わない多数の二次創作物の存在を受け入れたことが『東方』を一大コンテンツにさせた要因にもなっている。
pixivにおいて、『東方』または『東方Project』のタグが付く作品は2024年5月時点で260万件を超える。これは作者の一次創作物である事を示す「オリジナル」タグに次ぎ、全使用タグ中2位の投稿数となっている(※検索に巻き込む可能性のあるタグは除外している)。
言い換えるとpixivに最も多く作品が投稿されているコンテンツ、ということになる。
世界観
結界により現実世界と隔離された土地「幻想郷」が主な舞台である。
初期の作品には竹本泉の影響があり、特にPC-98版ではその登場人物が直接登場する。
ゲームの大まかなストーリーとしては、幻想郷で特定の少女が「異変」と呼ばれる事件を起こし、主人公の少女(博麗霊夢や霧雨魔理沙など)が「異変」を解決する。
例外的に『東方文花帖』『東方非想天則』などでは、日常や異変以外の出来事を焦点に製作されている。
書籍は一部例外もあるが幻想郷の日常を描いており、近年(『東方茨歌仙』開始後)はゲーム版の異変について書籍で前日談・後日談を行って補足することも多い。
登場人物
詳細は東方Projectの登場人物の記事を参照。
神話・伝承・古典等に由来する人々をはじめ、妖怪、幽霊、神(神霊)のような種族が多種多様に存在する。これらの登場人物は皆一様に女性(少女)の姿で登場する。元ネタの人物が男性の場合でも、幻想郷では女性の姿形を取っている。一部の書籍作品(下記参照)や『東方心綺楼』では、名前を持つ男性、大人、民衆が登場する事もある。
楽曲
詳細は東方楽曲を参照。
著作権
詳細は東方Project(二次創作)の記事を参照。
原作者であるZUN氏の規定によると、『東方Project』の著作権保有者は「上海アリス幻樂団」であり、二次創作の著作権保有者はその作品の制作者とされる。 二次創作をめぐる問題に関して、「上海アリス幻樂団」は一切責任を負わない。
ゲーム作品
全体的な時系列は同一軸にあるが、ストーリーに関しては主にZUN氏の学生時代に製作した「旧作(PC-98版)」と、現在製作している「Win版(Windows版)」の二つに区分されている。
旧作(PC-98版)
当時所属していた東京電機大学非公式サークル「Amusement Makers」名義の作品。 第1弾~第5弾の5作品の総称。 ZUN一人で全行程を制作していた(一部例外あり)。 当時は「ZUN Soft」というブランドでコミックマーケット等に出品していた。
詳細は東方旧作の記事を参照。
No | 作品名 | 頒布年 |
---|---|---|
1 | 東方靈異伝 ~ Highly Responsive to Prayers. | 1996/11/04(鳩山祭20) |
2 | 東方封魔録 ~ the Story of Eastern Wonderland. | 1997/08/15(C52) |
3 | 東方夢時空 ~ Phantasmagoria of Dim.Dream. | 1997/12/29(C53) |
4 | 東方幻想郷 ~ Lotus Land Story. | 1998/08/14(C54) |
5 | 東方怪綺談 ~ Mystic Square. | 1998/12/30(C55) |
Windows版
サークル「上海アリス幻樂団」名義の作品。第6弾以降の作品の総称。大半の作品が『弾幕STG』であり、例外はあるが整数作品はZUN一人で製作。
詳細は東方Project(整数作品)の記事を参照。
幾つかの小数点作品は『弾幕アクション』というジャンルで、黄昏フロンティアとの共同製作。ZUNはシナリオと一部作曲、技名、新キャラの設定を担当。
詳細は東方Project(小数点作品)の記事を参照。
番外作品
イベント用に作られたスコアアタック用の作品。デジゲー博などの試遊体験会で不定期にプレイ可能。
派生元 | 作品名 | 発表 |
---|---|---|
妖々夢 | 東方妖々夢 スコアアタック | 第1回博麗神社例大祭(2004) |
アマノジャク | 弾幕アマノジャク ゴールドラッシュ | デジゲー博2014 |
書籍作品
基本的にはZUNがストーリー(原作)、作画は他の作家が担当。紫香花以外は商業作品として発表され、殆どが雑誌で連載。漫画・小説以外にも作品内書籍という設定のストーリー仕立ての資料ムック等も発売されている。
さらに東方初の専門誌である外來韋編(※これも形式上はムック)や初のweb連載作の智霊奇伝など、近年では雑誌や資料集以外でも様々な形で展開される。
詳細は東方Project(書籍)の記事を参照。
音楽CD
旧作、西方含む過去作で使用された原曲やそのセルフアレンジ、オリジナル楽曲を収録したCD。
幺樂団の歴史
旧作(PC-98版作品)の楽曲を収録したCD。未使用曲も収録されている。
出典 | 作品名 | 発表 |
---|---|---|
東方幻想郷 | 幺樂団の歴史1 Akyu's Untouched Score vol.1 | 例大祭3(2006) |
東方怪綺談 | 幺樂団の歴史2 Akyu's Untouched Score vol.2 | C71(2006) |
東方封魔録 | 幺樂団の歴史3 Akyu's Untouched Score vol.3 | C71(2006) |
東方夢時空 | 幺樂団の歴史4 Akyu's Untouched Score vol.4 | C73(2007) |
東方靈異伝 | 幺樂団の歴史5 Akyu's Untouched Score vol.5 | C73(2007) |
ZUN's Music Collection
ZUN's Music Collectionは旧作・西方・win版などの原曲のセルフアレンジ、CDオリジナル曲、ブックレットのストーリーで構成されている。
vol.2以降は「秘封倶楽部」という作品内大学サークルが登場。近未来の現実世界を舞台に、幻想郷を知らない世代の視点でストーリーが展開されている(vol.2以降のみが秘封倶楽部と呼ばれる)。
※蓬莱人形収録の明治十七年の上海アリスは例外的にこちらが原曲。紅魔郷版はセルフアレンジとなっている。また蓬莱人形のCD-R版(初版)とプレス版はストーリーの内容が異なり、CD-R版は生産数も少ないために中古価格が高騰している。
No | 作品名 | 発表 |
---|---|---|
1 | 蓬莱人形 ~ Dolls in Pseudo Paradise | C62・63(2002) |
2 | 蓮台野夜行 ~ Ghostly Field Club | C65(2003) |
3 | 夢違科学世紀 ~ Changeability of Strange Dream | C67(2004) |
4 | 卯酉東海道 ~ Retrospective 53 minutes | 例大祭3(2006) |
5 | 大空魔術 ~ Magical Astronomy | C70(2006) |
5.5 | 未知の花 魅知の旅 | 例大祭8(2011) |
6 | 鳥船遺跡 ~ Trojan Green Asteroid | COMIC1☆6(2012) |
7 | 伊弉諾物質 ~ Neo-traditionalism of Japan. | C82(2012) |
8 | 燕石博物誌 ~ Dr. Latency's Freak Report | 例大祭13(2016) |
9 | 旧約酒場 ~ Dateless Bar "Old Adam". | C90(2016) |
9.5 | 虹色のセプテントリオン | C99(2021) |
10 | 七夕坂夢幻能 ~ Taboo Japan Disentanglement. | 例大祭21(2024) |
弾幕アクションゲームのサウンドトラック
黄昏フロンティアが制作したゲームで使用された楽曲と、そのアレンジ曲が収録されている。
出典 | 作品名 | 発表 |
---|---|---|
東方萃夢想 | 幻想曲抜萃 東方萃夢想 ORIGINAL SOUND TRACK | C68(2005) |
東方緋想天 | 全人類ノ天楽録 東方緋想天 ORIGINAL SOUND TRACK | C74(2008) |
東方非想天則 | 核熱造神ヒソウテンソク 東方非想天則 ORIGINAL SOUND TRACK | C77(2009) |
東方心綺楼 | 暗黒能楽集・心綺楼 東方心綺楼 ORIGINAL SOUND TRACK | C84(2013) |
東方深秘録 | 深秘的楽曲集 宇佐見菫子と秘密の部屋 | C88(2015) |
東方憑依華 | 完全憑依ディスコグラフィ | 例大祭15(2018) |
東方剛欲異聞 | 強欲な獣のムジカ | 紅楼夢17 |
音楽ゲームへの収録
動画サイト・主にニコニコ動画では『東方Project』の使用楽曲をアレンジしたものが多数存在し人気を博しているが、その内の幾つかは現在においてアーケードとして稼動している商業作品の音楽ゲームにも収録されている。
かつてZUN氏がタイトーに所属したこともあってか、同社の『ミュージックガンガン!』『GROOVE COASTER』にはZUNTATA直属のコンポーザーによるアレンジ楽曲が収録されている。
コナミの音楽ゲーム『SOUND VOLTEX』は書き下ろしアレンジとキャラクター画像を公募するようになっている。
特に音楽ゲームで大きな支配力を持つコナミがこのラインナップを採ったことによる影響は多大なものであり、音楽サークルがゲーム用に東方アレンジ曲を書き下ろすといった形などの変化が現れている。
任天堂の「大合奏!バンドブラザーズP」では、2015年7月下旬より上海アリス幻樂団の手がけた音楽CD収録の楽曲が投稿できるようになった。
しかも同年12月には、特別審査員にZUNを迎えて対象楽曲のリミックスコンテストの開催も行われた。
グランプリ作品は、2016年5月の博麗神社例大祭で発売されるCDに収録され、バンブラでも配信される。
また、最近ではタイトーのニンテンドースイッチ専用ソフト「東方スペルバブル」や、アンノウンXのスマートフォン向けゲーム「東方ダンマクカグラ」等、東方アレンジのみを収録した音楽ゲームもリリースされている。特に東方ダンマクカグラでは、幽霊楽団や聖徳伝説(深秘録版)等の原曲も実装されている。
詳細は東方アレンジの記事を参照
二次創作
二次創作については東方Project(二次創作)を参照。
人気が出たことで同人から商業化する作品は数多く存在するが、東方は長らく、というより今も同人の枠組みで活動している面が強い。
2006年にサービスが開始されたばかりのニコニコ動画でも東方のアレンジ楽曲PVが流行しており、他のアニメやミームまで巻き込んだことによって、ネットにおける一大勢力にまで成長した。一時期は東方の二次創作動画でランキングがほぼ制圧されていた事もある。
既にこの頃から「原作は知らないが二次創作で東方を知っている」というファンも多く、多数作り出された二次設定を公式設定と思い込んでいるユーザーも少なくない。
制作20周年記念である2015年には「東方Project20周年」として様々な方面でそれを記念するイベントが行われ、pixivにおいても20周年を記念・祝福する作品が発表されている。 詳細は「東方Project20周年記念イラスト」(「東方20周年」)記事を参照。
関連イラスト
『東方』という略称があり、pixivで主にタグとして使われているのはそちら。
ゲームのプラットフォーム配信状況
作品名 | 配信日 |
---|---|
東方天空璋 ~ Hidden Star in Four Seasons. | 2017/11/18 |
東方憑依華 ~ Antinomy of Common Flowers. | 2018/01/05 |
秘封ナイトメアダイアリー ~ Violet Detector. | 2018/09/05 |
東方紺珠伝 ~ Legacy of Lunatic Kingdom. | 2019/04/02 |
弾幕アマノジャク ~ Impossible Spell Card. | 2019/04/02 |
東方神霊廟 ~ Ten Desires. | 2019/06/19 |
東方輝針城 ~ Double Dealing Character. | 2019/06/19 |
妖精大戦争 ~ 東方三月精 | 2019/08/02 |
ダブルスポイラー ~ 東方文花帖 | 2019/08/02 |
東方鬼形獣 ~ Wily Beast and Weakest Creature. | 2019/09/09 |
東方風神録 ~ Mountain of Faith. | 2020/06/06 |
東方地霊殿 ~ Subterranean Animism. | 2020/06/06 |
東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object. | 2020/06/06 |
東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers. | 2021/05/04 |
東方文花帖 ~ Shoot the Bullet. | 2021/06/19 |
東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View. | 2022/04/25 |
バレットフィリア達の闇市場 ~ 100th Black Market. | 2022/08/14 |
東方獣王園 ~ Unfinished Dream of All Living Ghost. | 2023/08/13 |
機種 | 作品名 | 発売日 |
---|---|---|
PS4 | 東方深秘録 ~ Urban Legend in Limbo. | 2016/12/8 |
WORLD WIDE 『東方Project』
表記 | 言語や文字体系 | 使用される言語圏例 | 概要 |
---|---|---|---|
Touhou Project・Touhou 。またはPSM他 | 英語 | 欧米他 | 『PSM』は『Project Shrine Maiden』の略称。『Touhou Project』と並んで原作にも登場する表記。 |
东方・东方Project | 中国語・簡体字 | 中国・シンガポール他 | 『东方』は簡体字表記によるもの。繁体字表記では日本語と同じく『東方』表記となる。ピクシブ百科事典では『东方』記事に中国語圏表記に関する一覧も掲載されている |
동방・동방프로젝트 | ハングル | 韓国他 | 『동방』は『東方』、『프로젝트』はProjectを意味する |
โทโฮ・โทโฮโปรเจกต์ | タイ語 | タイ王国 | 『東方』は他に『ทางทิศตะวันออก』『ต.อ.』『ตะวันออก』『เกี่ยวกับทิศตะวันออก』とも、『Project』は『โครงการ』と書く |
全体的にファンの間では固有名詞としての『Touhou』、『Touhou Project』などでの共有がみられている。『東方Project』に関連した、あるいは東方Projectも一つのジャンルとして参加する海外イベントなどでも『東方Project』を指し示すものとしての『Touhou』での表記やこの表現による会話などが可能である。
海外の『東方Project』イベントでも『Touhou』が通じ得る。
ZUN氏本人へのインタビューなどでも英語圏では世界観全般を指しての『Touhou』の語と表記とが使用されている(例えば2013年、米アトランタ、Anime Weekend AtlantaでのZUN氏インタビュー)。
原作者である上海アリス幻樂団の表記は、英語では「 Team Shanghai Alice 」、中文では「 上海爱丽丝幻乐团 」など。
個別の作品を称する際は日本語では例えば『東方紅魔郷』を指し示そうとする場合、作品名の日本語部分をそのまま呼称したり作品名に多く共通する部分である『東方』を除いた部分(上記の例であれば『紅魔郷』)で呼称することが一般的である。中文などでも各種漢字タイトルを用いた同様の略称を使用することができる(例えば『东方红魔乡』と略称としての『红魔乡』など)。
一方英語圏などでは各作品の英語タイトル(上記の例であれば『Embodiment of Scarlet Devil』)で各作品を示したり、原作における作品ナンバリング(上記の例であれば『TH6』=第六弾作品)などで示すこともある。
日本語と他言語の間で交流する際などは、普段使っている略称表現やその略称の由来などにも違いがある可能性などをおさえておくと良いかもしれない。
関連タグ
英文版
表記揺れ
東方プロジェクト 东方 东方Project とうほう とうほうプロジェクト touhou
用語
原作者・原作者サークル、共作サークル |
---|
ZUN(博麗神主)・上海アリス幻樂団 黄昏フロンティア |
ゲーム用語 |
ゲーム 同人ゲーム STG(シューティングゲーム) 弾幕STG スペルカード 耐久スペル グレイズ 喰らいボム 当たり判定 ラストワード overdrive 少女祈祷中 |
世界観に関する用語 |
幻想郷 博麗大結界 博麗の巫女 外の世界 弾幕ごっこ 秘封倶楽部 草の根妖怪ネットワーク 異変 程度の能力 幺樂団 |
地域 |
人間の里 魔法の森 霧の湖 マヨヒガ 迷いの竹林 太陽の畑 無名の丘 再思の道 無縁塚 三途の川 妖怪の山(玄武の沢 九天の滝) 旧地獄街道 旧都 法界 魔界 天界 有頂天 月の都 畜生界 |
施設 |
博麗神社 紅魔館 廃洋館 白玉楼 永遠亭 是非曲直庁 守矢神社 地霊殿 命蓮寺 間欠泉地下センター 夢殿大祀廟 輝針城 香霖堂 鈴奈庵 霧雨魔法店 夢幻館 霊長園 |
個別キャラの関連アイテムなど |
霧雨の剣 月の羽衣 フェムトファイバー 四猿ちゃん 茨木の百薬枡 妖魔本 希望の面 オカルトボール 陰陽玉 ミニ八卦炉 半霊 楼観剣 白楼剣 西行妖 蓬莱の玉の枝 蓬莱の薬 月人 蓬莱人 文々。新聞 文花帖 緋想の剣 要石 花果子念報 宝塔 魔人経巻 正体不明の種 幻想郷縁起 動物霊 埴輪兵団 勁牙組 鬼傑組 剛欲同盟 |
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外部リンク
東方Projectの情報番組 東方ステーション