概要
全体の名称は「東方文果真報 Alternative Facts in Eastern Utopia.」。
上海アリス幻樂団主宰のZUN著によるもので、発行者であるKADOKAWA(角川)広報では「 書き下ろし 」とされている。全編ZUNの書き下ろしによる書籍としては『東方求聞口授』以来の「 5年ぶり 」の作品。
本書籍のコンセプトはZUNによれば、射命丸文が発行する「 週刊誌 」。
文は東方Project作中において「文々。新聞」を発行しているが、『文果真報』では「週刊誌」発行を通した文の新しい活動が描かれている。
実際の『文果真報』表紙カバーなどにも文がメインで描かれている。
メディアの発信者としての文の姿勢がそのまま「 テーマ 」の表現にも繋がっており、昨今の実際の情勢も併せ、パロディ、あるいはメタファーとしても展開されてゆく。
「"没"週刊誌」
「 今まで新聞ばかり作ってきたのですが、
今度、初めての雑誌に挑戦しようと思っていまして 」(文、『東方香霖堂』)
『文果真報』作中には実際に週刊誌的レイアウトが見られる「 文々春新報 」が掲載されており、『文果真報』に先だって文が登場した『香霖堂』(『東方外來韋編』)ではこの存在が文によって語られている。
略称は「 文々春 」で、これは文も使用する呼び方。
文は自信をもってこれを制作した様子である。
しかしこれには「 重要な見落とし 」があったため、発刊を行わなかったという経緯がある。
発刊中止に至る経緯は『文果真報』作中で語られている。
また取材のためその行方を捜し、後には香霖堂で(救助の後に)出会うこととなった宇佐見菫子からは、幻想郷ではこの「 進歩的な雑誌 」の形式である「週刊誌」も「外の世界」ではその内容から広く遍く大衆の手に、とはいっていない様子が伝えられており、文はこれに驚いている。
ZUNによれば文というキャラクター造形自体に多様なパロディが込められており、例えば苗字の「射命丸」の由来等にも元ネタといえるような要素がある(『外來韋編』)。
「 文々春新報 」にも多様なパロディ・オマージュが含まれている様子で、『文果真報』を通しても、文を通した「 東方 」の新しい「 広がり 」が生まれている。
『文果真報』全般の構成
『文果真報』自体の構成は、文が発行を取りやめた「文々春新報」本紙(「 雑誌見本 」)を中心に、それを記録として残すことの宣言文、紙面に対する記事執筆者の自己批評と反省・修正、発行中止に至る「顛末書」から成る。
記事の一切について、写真提供や取材相手のインタビュー等各発言、各種連載、コラム、広告などを除き文面はすべて文が執筆している。
この他、『文果真報』全体をまとめるものとしてZUNのあとがきが加わる。
本作同様に文がその執筆主体となった記事が中心である書籍版『東方文花帖』以外で本作を他の書籍作品と併せてみるとき、『文果真報』の構成は同様に一人の人物による作中作をメインとする『東方求聞史紀』(同作では「幻想郷縁起」が中心)とも類似する。
実際の書籍カバー下には「 博麗神主 」の印もあり、こちらは『求聞口授』の印刷によるものと同様。
全体を通して時事ネタやパロディが多く見られ、一方で幻想郷ならではの解釈がなされる様や一人一人ならではの個性と結びついた展開が誌面を通して伝えられている。
パロディだけでなく妖怪の山のロープウェイ設置問題や都市伝説騒動など、以前から引き続いている問題や近年の幻想郷の動向等とも絡んだ記事も見られるものとなっている。前者のロープウェイ設置は、先述の『文果真報』の一つ前の書き下ろしの書籍作品である『求聞口授』時点から続く妖怪の山と守矢神社のテーマでもある。
また実際の書籍の挿絵に相当する部分について誌面中では「 写真提供 」として扱われており、メタと創作の境界をあいまいにするこのスタイルは『文花帖』とも同様。
「文々春新報」初刊
文による記事執筆は「週刊誌」をコンセプトとしていることもあってか文の記者としてあるいは一妖怪としての強い意欲や公正と社会正義への熱意、危機意識などが絡み合いながら極めてセンセーショナルな文面展開がなされている。
主張のためなら時に犠牲もいとわず、仲間の白狼天狗や黒谷ヤマメなどがその過程で検証試験の被害にあっている。特にヤマメのダメージは小さくないものだった模様である。
文は執筆に際して外の世界のものも含む様々な資料も手にしており、月の民を「 移民 」としてその「 移民 」に対する強烈な拒否感を記述したり、為政者を目指すという人物のセリフや公約に当該のパロディが見られたりと、後述の実際の時事の情勢とも重なる部分も持つ。
時には誌面を皮切りにしたムーブメントを起こそうとする意欲も垣間見られ、例えば九十九弁々や九十九八橋ら九十九姉妹の活動に新しい名前を贈ってみたりといった様子も見られる。
そして例によって文々。新聞は都度肯定的に宣伝され、花果子念報は貶められるというメディア戦争がここでも展開されている。本作では「週刊誌」というテイストであることも併せて、花果子念報に対する見下しと否定もより過剰辛辣で容赦がない。
袋とじ(実際の書籍でも袋とじ加工がなされている)では天狗三名による対談が展開されている。
対談前のグラビア面に掲載された面々は明らかに文、はたての二名と犬走椛と思しき一名であるが、対談では名前は伏せられているため、当然誰だかはわからない。
そんな誰だかはわからない天狗三名が天狗社会の諸問題について語り合うが、お互い見知った仲であることもあってか脱線も多い。
今見知った仲、と記述したが、実際に見知った仲であるかどうかも実際は不明である。
対談した人物たちは覆面をかけた、鴉天狗A、鴉天狗B、白狼天狗Cなのだから。
「 こんなことして大天狗様たちや天魔様に見つかったら、
明日からもう山では生きていけません…… 」
(白狼天狗C、「文々春新報」袋とじ天狗対談、『文果真報』)
さらに幻想郷の様々な人物によるコラムも掲載し、近年人間の里で人気を博す謎の小説家「アガサクリスQ」の連載も獲得している。
文々。新聞でもおなじみの「やってやれ幻想郷」作者(あらたとしひら)による、天狗をモデルとした新作や、新人天狗を題材にした漫画(葉庭)など、天狗社会を切り取った作品も見られている。
誌面本編だけではなく広告にも個性的なものが並び、食や旅行、先端機器紹介、占いといった誌面全体を彩るエンターテイメント情報も欠かさない。
これら複合的な情報誌を届ける相手である読者について、文は人間妖怪問わず想定している様子で、販売場所も人間の里、妖怪の山、その他幻想郷各地を想定していた。
「週刊誌」という先進性や全体の完成度もあって、発表前などでは先述のように文も自信を滲ませていた。
顛末
紙面では「事実」を語り見本まで作り上げたものの、改めて自身が執筆した内容や誌面レイアウトのチョイスなどを振り返って、文は本誌を発表しないとの判断を下す。
至る経緯は反省の弁が顛末書や、実誌面と取材資料との付き合わせで文自身が語っている。
文が振り返った自身が取材した段階での「事実」は、執筆の過程において実際の誌面にとってはまさしく「もう一つの事実」(次述)ともなってしまっていた。
文自身もその執筆内容への疑問があり、自身がモットーとする執筆取材姿勢と異なるものとなったその過程や内容に苦悩していた様子も記録している。加えてヘカーティア・ラピスラズリの言葉を通して知ることとなった稀神サグメの能力への警戒感もまたこの判断を後押しした。
なお誌面公開は中止となったが、外部執筆者による連載や小説、コラムなどについては別の発表機会を模索する、としている。
作中での服装
東方Projectの書籍作品では、作品ごとにそれぞれキャラクターの服装などにアレンジが加わったり新しい服装・衣装が描かれることがあり、それは『文果真報』でもみられている。
例えば執筆者である文は、シーンによって『東方花映塚』などでも見られる従来からの衣装をはじめ本作独自の衣装デザインや、これまでの衣装のイメージを残しつつ大胆なアレンジが加えられた衣装などが登場している。
例えば袋とじ収録のグラビアにみる、服装なども文にとてもよく似た「鴉天狗A」などは、露出含めかなり際どいものである一方、胸元や袖口、手首の飾りやスカートの先などにフリルがあしらわれているなど、かわいらしさもまた増している。この鴉天狗Aと双子か瓜二つか見紛うほどによく似ている文が着用したら、きっとこういった雰囲気になるのだろう。鴉天狗Aが誰であるかは当然作中ではわからない。
「文々春新報」では『鈴奈庵』登場時のような変装の意味もある服装は作中には登場していないが、本作でも文は人間の里で取材を行っていることと、『鈴奈庵』で変装衣装で人間の里で取材活動をする文の様子が描かれていることなども踏まえ、ファンの間では「文々春新報」記事を作るにあたってそちらの衣装も縁の下の力持ちとして活躍したのではと、「文々春新報」制作の背景部分に文がその衣装に袖を通して活動する様子を想像するものもある。
文以外では白帽子・白マントを着用した菫子、スーツを着用したルナサ・プリズムリバー、メルラン・プリズムリバー、リリカ・プリズムリバーらのプリズムリバー楽団、月柄の三角布を頭に巻いた清蘭、Tシャツでないヘカーティアなどもみられている。また服を着用していない状態の八雲藍や橙など、取材シーンごとにキャラクターそれぞれの表情が描かれている。
服装とは異なるが、本作では赤蛮奇について、首と胴体が分断して独自に行動できる「飛頭蛮」としての性質ではなく首部分が胴体と接続したまま伸びる「ろくろ首」としての性質が描かれているなど、姿やシーンを通してキャラクターの新たな妖怪の可能性が描かれてもいる。
文にみる服装のバリエーション
- 表紙他、唖采弦二デザイン / グラビア誌面の「 鴉天狗A 」
書籍情報
- 出版社:KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日:2017年3月30日
- 著作者:ZUN
- ISBNコード:978-4-04-892862-5 C0076
- サイズ:A5判
本作タイトルの英文部分については、直訳であれば「東の方角の楽園の二者択一の事実」などの意味となるか。
「二者択一の」や「代わりの」等を意味する「 Alternative 」をどのように解するかによって変化し得るが、同語には「主流ではない」等の意味があり、このことから、時には「(主流に対する)カウンター的な」などのニュアンスが込められることもある。
形容詞形にみる「伝統慣習にとらわれない」等の意味もこれに共感するだろう。
一方「 Alternative Facts 」を一つの成句として見る場合、本書籍発表当時(2017年)の時事から生まれた語句を見ることができる。
本記事では元々の時事テーマがもつ政治的性質及び本記事執筆時点における事態の流動性、本記事が個々のポリティカルな記述を本旨としない等の観点から由来と内容の具体的記述は行わないが、この場合の「 Alternative Facts 」は「もう一つの事実」「代替的事実」などと訳される。
スラングとしては二律背反的な、時には詭弁的な様を内包したジョークを示したり締めくくったりする際の語句の一つとなっている。
不条理・ブラックユーモアネタの「オチ」(あるいはネタばらし)とも言えるだろう。
スラングが流行した場の一つであるツイッター風に記述する場合、次のような例が考えられる。
「貴方の見る事実と私の見る事実が異なるのであって、そもそも物事には二つの事実があるんだ。
あなたには私が酔っぱらっていると確信しているという事実がある。
だが私には酔っていないという事実がある。
えっ? 顔が赤いって? さっきまで一緒に呑んでたって?
いや酔ってないよ! これが私の事実だ! #Alternative Facts」
(このジョークシーンでは発言者は酩酊状態)
この一連の時事の動向は本書籍発表のおよそ二月前(2017年1月)の出来事であった。
本英文部分にこのニュアンスが込められていると仮定するときの意味としては「東の方角の楽園におけるもう一つの事実」などの意味となり得るが、この「もう一つの事実」は多分に含みのあるものとなるだろう。
この他にも本作及び本作に直結する『香霖堂』には「 フェイクニュース 」、「○○ ファースト 」など、2017年に誕生しその独特な発言が話題となった某大統領を彷彿とさせる時事要素が多数含まれている。「オルタナティブファクト」、「フェイクニュース」などで調べると実際の様々な意見や主張、それぞれの「事実」の在り方に触れることができる。
「文々春新報」中では「花果子念報」が複数回に渡って「 フェイクニュース 」と断ざれている。
現実のそれについては非常に込み入っている上に先述のように実際のポリティカルな要素を多分に含むため、本記事では上記スラングとしての例を除き割愛する。
『文果真報』にも関連する先述の『香霖堂』のエピソードでは、森近霖之助が外の世界における新たな「 大統領 」が「 嘘を真実として認めさせようと躍起になっている 」との情報を得ている。
このエピソードが語られた『香霖堂』第三話タイトルは「 多数の真実がある世界 」。
この霖之助の情報を受けた博麗霊夢は「 外の世界も幻想郷と同じで醜いことになっているのねぇ 」とし、近年の多様な勢力による幻想郷の人間や人間の里に対するパワーバランスを俯瞰している。
同エピソードではこの会話の後に文が「香霖堂」を訪れ、幻想郷の巫女である霊夢や半妖半人の霖之助、さらに文に遅れて合流した(救出された)外の世界からの訪問者である菫子というそれぞれの個性が全く異なる面々を交え、物語はさらに広がっていく。
射命丸文の執筆活動
文については『東方文花帖』をはじめ複数の作品で他者に対する取材活動の様子が語られており、それは文の具体的な活動動機となることも多い。例えばSTGの『文花帖』などはプレイヤー自身が多数の幻想郷の存在に対する文の取材を体験する作品でもある。
実際の「文々。新聞」の誌面そのものが描かれることもあり、『文花帖』をはじめ『東方求聞史紀』などでも文の目と耳を通した古今の幻想郷を広く人々に伝えるものとして登場している。
『求聞口授』、『東方鈴奈庵』などでは一つのメディアとして他者を動かす(例えば説得や情報戦のための)ツールとしても利用されている様子が描かれており、実際に文の手による制作物は今日の幻想郷に影響力をもって関与するものともなっている。
「文々春新報」(『文果真報』)を通しても、文が見聞きし、伝えたいことが(様々な脚色を交えつつ)文なりの方法、文なりの模索を通して表現されている。
「文」と「果」
前述のように『文果真報』には文の手による発行物が関係するが、東方Project作中には文同様に幻想郷の天狗が発行する新聞メディアとして姫海棠はたてが発行する「花果子念報」が登場している。
『文花帖』(STG)のシステムと同様に弾幕的取材活動を体験することのできる『ダブルスポイラー』ではそれぞれの取材活動も通しながら新聞の発行部数などをめぐる文とはたてのライバル関係が描かれた。
両者の記者の物事の捉え方や視点の違いなどは、『文果真報』においても文々春新報と花果子念報という新たなステージを通しても見られるものとなっており、特に菫子の問題など同じ要素についてまったく異なる文脈、展開を執筆する様などは、そのまま文とはたての視点や信念信条などの個性の違いとしても現れている。
例えば菫子について文は強い警戒感や幾ばくかの拒否感を誌面中やインタビューで滲ませているが、はたての方は警戒はしつつも外の世界の技術などの流入を肯定している。
はたての肯定する部分はそのまま文の危機意識とかち合う(流入が幻想郷の風土を損なうと捉えている)ため、両者はこのテーマでは相容れてはいない。
一方、文がその想いを記述した顛末書によれば、文が新聞とは別に、今回は「週刊誌」としても結びついた新しい試みに挑戦しようとした動機には、はたての影響がある。
誌面中でこそ文は花果子念報をこき下ろしていたが、誌面から離れて個人的な心情を記述する場面でははたての花果子念報について、その内容、着眼点などに先進性を感じている様子を語っている。
これが刺激となって、文にこれまでとは違う新しい物事へのチャレンジを促した様子である。
文が意図したものであるかどうかは不明ながら、その様子は「文々春新報」誌面中でも実際に見られており、例えば「打ち出の小槌」関連の花果子念報の記事を批判する記事では花果子念報の執筆スタイルである記事内容に関する三行要約を、「概要」という形で誌面中で試みている。
文が文中等以外で箇条書きによるショートフレーズ要約を誌面中に記述するのは異例である。
文は取材中に出会ったヘカーティアが語る幻想郷の今を通して「 新しい風と光 」を導入する意味について触れているが、文もまさにはたてからの刺激によって従来のプロセスからのブレイクスルーへの意欲を喚起されていた様子である。
ファンの間でも両者の関係は『ダブルスポイラー』以後も注視されており、作中で文が語られる際はははたてとの以後の関わりについてなども関心が寄せられている。
『文果真報』本作についても、『文花帖』のコンセプトを引き継ぎつつもその名称に「果」の文字を含んだ『文果真報』となっていたことから、発表前から一部では「文」(文々。新聞)と「果」(花果子念報)が再び並び立つ様子が語られるのでは、ともされていた。
果たして文の記述と編集を通して花果子念報は再び語られ、本作ではさらに文が受けた花果子念報からの影響や花果子念報への複数の評価も語られているなど、『文花帖』、『ダブルスポイラー』に続いて二人の天狗の関係もまた語られるものとなったのである。
取材対象・広告掲載
次の記述は「文々春新報」初刊において文が執筆した記事中に登場するキャラクターや土地等の表である。表内の掲載順はキャラクターの表についてはそれぞれの東方Project全体での初登場順で、さらにゲーム作品、書籍作品の順。
ただし執筆編集者である文は表中には含めない。
個別のインタビュー・ロングインタビューが掲載されているキャラクター |
---|
博麗霊夢 霧雨魔理沙 八雲紫 鈴仙・優曇華院・イナバ 幽谷響子 今泉影狼 堀川雷鼓 宇佐見菫子 ヘカーティア・ラピスラズリ 森近霖之助 茨木華扇 この内菫子については霊夢の監督下での対談、ヘカーティアは個別対談のロングインタビューとなっている |
誌面中にコラムを寄稿したり個別のコーナーをもつキャラクター |
西行寺幽々子 小野塚小町 比那名居天子他、魔理沙(幻想郷の母)や霖之助(香霖堂店主) |
発言が掲載されているキャラクター |
八雲藍 豊聡耳神子 わかさぎ姫 ドレミー・スイート |
個人の発言の記載はないが、関連した記事の掲載、または記事中に登場がみられるキャラクター |
ルナサ・プリズムリバー メルラン・プリズムリバー リリカ・プリズムリバー 魂魄妖夢 八意永琳 黒谷ヤマメ 星熊勇儀 火焔猫燐 赤蛮奇 多々良小傘 宮古芳香 霍青娥 二ッ岩マミゾウ 秦こころ 九十九弁々 九十九八橋 少名針妙丸 鬼人正邪 清蘭 鈴瑚 稀神サグメ クラウンピース |
記事の写真(挿絵)にのみ登場するキャラクター |
橙 因幡てゐ 古明地こいし 蘇我屠自古 物部布都 |
取材の現場、またはスポットが当てられた各々の場所を擁する土地 |
博麗神社 人間の里 妖怪の山 永遠亭 地獄 旧地獄 月の都 香霖堂 命蓮寺 外の世界(記事誌面中では「 あちら側 」とも) |
この他、袋とじ対談の犬走椛と思しき天狗が、またロープウェイ関連記事・四コマなどには一般の天狗なども登場している。この内後者の四コマの天狗たちは「モブ天狗」などの衣装としても描かれている通称「香霖堂天狗装束」と類似した衣装で描かれている。
また個人ではなく種族としての「河童」や「月の民」も話題となっている。
アガサクリスQは謎の作家なので、氏の作中に登場するフィクション人物を含め表中には記載していない。
広告と広告主
先述のように広告(有料広告)を募集するページも掲載されており、ここには文々。新聞も広告を載せている。この際、文々。新聞の売り文句には記者としての文個人の執筆記事であることも宣伝文句となっている。自分の売り込みも忘れない。
なお文も出入りする鈴奈庵などは特に広告は出していない。
これは文々春新報見本版が出来上がった時点ではまだ本居小鈴などにも文々春新報の話をしていなかったこともあって、広告掲載の意思の有無に関わらず鈴奈庵が募集に応じようがなかったことに由来する(『東方鈴奈庵』)。
広告主 | 広告の概略 |
---|---|
霧雨魔理沙 | ほうきの宣伝、霧雨魔法店の宣伝 |
紅魔館(十六夜咲夜) | メイド妖精募集。紅魔館は『文花帖』でも文々。新聞に求人広告を出している |
河童観光公司 | 万歳楽ショー、玄武の沢ツアーの宣伝。作中では河城にとりが描かれている |
古明地観光 | 幻想郷住民向けの地底世界ツアーの宣伝。その名称から、業務の実際の管理者としては古明地さとりが考えられるか |
稗田阿求 | 上白沢慧音も講師として参加する寺子屋(「 稗田寺子屋 」)の宣伝 |
ドレミー・スイート | 安眠枕(「 スイート安眠枕 」)の宣伝 |
この他、霖之助はコラムを通しても香霖堂と香霖堂での取り扱い商品を宣伝している。
『文果真報』発表当時の東方Project周辺状況
『文果真報』と同時期に発表された書籍作品としては『東方外來韋編』の参(Vol.3)がある。
先述のように『外來韋編』では『東方香霖堂』も連載されており、参掲載の同話では文や霊夢、菫子も登場して『文果真報』にも直接繋がるストーリーが展開された。
『文果真報』発表当時の他の東方Project書籍作品にみる単行本発表状況のうち、連載が継続しているものとしては『東方茨歌仙』の第七巻、『東方鈴奈庵』の第六巻がそれぞれ当時最新巻。さらに『東方三月精』の第四部相当シリーズが連載中で翌2018年に単行本(第四部)第一巻が発表予定であった。
これ以外の同年の大きな動きとして、『文果真報』発表の約5ヵ月後の同年7月、『鈴奈庵』が完結している。
ゲーム作品としては上海アリス幻樂団単独作品としては『東方紺珠伝』(第15弾)が最新作で、黄昏フロンティアとの共作作品としてはPS4版『東方深秘録』(第14.5弾)が最新作。共作作品については続く『東方憑依華』(第15.5弾)の発表が予告されていた。
さらに『文果真報』発表後一月と経ない間に上海アリス幻樂団単独のSTG作品として『東方天空璋』(第16弾)の制作が発表されている。『天空璋』などは直近の博麗神社例大祭(第十四回)で体験版が配布。
当時の作中では都市伝説騒動が長く幻想郷に影響を及ぼし様々な怪異や変化をもたらしていた。
具体的な騒動の様子や伴って発生した影響の様子、あるいはその騒動を通して作中に登場したキャラクターなど、上記のすべての作品に各々の形で影響が描かれている。
例えば都市伝説の影響では人面犬の発生(『茨歌仙』)、「 世界轉覆奇談 」の影響力の懸念(『鈴奈庵』)などがみられ、騒動を通して生まれた新らしい縁としては菫子やサグメ、クラウンピースなどの幻想郷訪問(それぞれ『深秘録』他、『紺珠伝』、『三月精』)などが一例である。
『文果真報』中の文々春新報もまた多様な都市伝説騒動の影響下にある幻想郷で執筆されている。
この他、広く上海アリス幻樂団作品に視点を広げるとき、音楽CDのシリーズとして「ZUN's Music Collection」があり、同シリーズでは「旧約酒場」が当時最新作。
関連イラスト
- 文々春新報執筆者の文(もしくは「鴉天狗A」)と取材先
- 文以外の様々な服装
- コラム・広告
- 記事の行間や周辺への様々な想像