タグの用法
pixivにおける「幻想郷の母」にはタグとして二通りの用法がある。
いずれも東方Projectに関連するものであるが、原作に登場する名称とそれ以前に象徴的に用いられていたものの二種である。
本記事では前者の原作に登場するものの用法を主に記述する。
概要
原作東方Projectには同作に登場する博麗霊夢が占いを開業した際に名乗った名前として登場する。
おそらく実際に占い師の通称や尊称、愛称などにもみられる「(土地名)の母」などの影響を受けたものか。この場合霊夢は幻想郷全般にまでその占いのテリトリーを想定しているとも言えるだろう。
霊夢が「幻想郷の母」として占いを開業したエピソードは『東方茨歌仙』において語られている。
「幻想郷の母」に先立って、とある雨の日に道祖神の声を聴いた巫女がこれを商売に生かせないかと始めたのが「 宣託 」である。霧雨魔理沙や茨木華扇はそもそも神々の意図を受けて人々伝えたり、神々と人々とを結ぶ存在である巫女でもある霊夢が今更このような発想に至ったことについて、呆れてもいる。ただしそれまで霊夢が手掛けた商売よりも巫女としては正道に近いものであったため、華扇などは皮肉も込めてか、「 らしくない 」ともしている。
託宣はしっかりと神々の声を受けたものであるため、霊夢による多少の脚色はあったものの人々に受け入れられていった。しかしこれが受けたことで調子に乗った霊夢は伝えられる範囲が限定的な託宣ではなく自らが占いを行うことを目論み、後日それを実行する。
この占い開業の際に霊夢が名乗ったものが、「幻想郷の母」である。
服装
普段の霊夢の巫女衣装の上に黒系統のフード付きのマントのような外套を羽織り、頭にも新たにアクセサリーを飾っている。いつものリボンはフードの上からでも現れている。
占いの際は着席し目の前に置いた大きな水晶のような玉に手をかざす演出を行っている。
全体的に胡散臭さを醸し出しており、それがまた良い様子。
魔理沙などはそういった霊夢の演出について「 よく判っている 」としている。
評判と経緯
先の託宣の評判の流れも受けていたこともあってか、人間の里ではよく当たると評判になった様子で、人々が霊夢の占いを目当てに行列を成す様子も描かれている。
連日の賑わいの中には、評判を聞きつけた魔理沙も紛れんでいる。
一方で霊夢は「幻想郷の母」に日中かかりきりになるので、「 本業 」がおろそかになるという代償も発生した。霊夢は「幻想郷の母」の活動の成功を喜んだ様子であるが、神社が霊夢不在となったことで神社周辺の日中(通常参拝客が訪れるはずの時間)のパワーバランスが一変し、後にこれは「幻想郷の母」の活動自体に影を落とす信用問題に発展することとなる。
「 霊夢はいつも大切な物が見えていないようね 」(華扇、『茨歌仙』)
そして巫女衣装に袖を通し、日中の神社管理を代行していた華扇(通称巫女華扇)によって霊夢は静かに諭され、そしていつもの調子を取り戻す。
結果神社もまた評価を取り戻すのだが、「 占い熱 」冷めやらぬ霊夢によって神社でしばらく「幻想郷の母」が開業されることとなった。ただし客層は大きく変動している。
もう一つの「幻想郷の母」
『茨歌仙』では霊夢が「幻想郷の母」を名乗って占いを開業したが、後に魔理沙もまた「幻想郷の母」の名称と共に占いを開業している。
魔理沙の占いは弾幕を用いた「 ラッキー弾幕占い 」であり、魔理沙によれば「特定の弾幕に被弾したら幸運が訪れる」といういささか物騒なもの。
もちろん弾幕によるダメージは「 自己責任 」である。
過程は異なるが末路は一部を除き大体一緒。
占いの題材はスペルカードで、古今東西津々浦々のスペルカード12種類が12星座と照らし合わせて占われる。
作中では「文々春新報」に見開きで占いコーナーを得ており、やはり霊夢同様水晶に手をかざす魔理沙がイメージとして描かれている(『東方文果真報』)。
魔理沙がテーマとした「弾幕」はその研究を『グリモワールオブマリサ』としてまとめているなど魔理沙が力を入れている研究テーマであり、魔理沙は弾幕、さらにそれへの対処も含めた多様性をして、「 まるで人生そのもの 」ともしている(『文果真報』)。
二次創作に見る「幻想郷の母」
「幻想郷の母」という象徴的な語であることもあって、先述のように原作に登場する以前にもpixivではタグとして用いられていた。
こちらでは主に「母」に象徴されるような他者への包容力や強さ、逞しさ、やさしさなどが表されるものとなっている。