概要
東方Projectに登場する謎の作家。
主な作品は推理小説の『 全て妖怪の仕業なのか 』。
単に「 Q 」と呼ばれることもある。
氏の作品を取り扱う鈴奈庵の本居小鈴によれば、氏は幻想郷の人間であり、幻想郷の人間ならではの視点から作品を生み出している。例えば作品の一文からは「妖怪」のような外の世界では超常的な存在性についても比喩ではなく実際のものとして自然と文面に織り込まれるなど、幻想郷の風土にあった作風の一端を見ることができる。
作品は連載小説の形式をとっており、鈴奈庵を発信源に人々の間で話題となっている。
鈴奈庵発行の氏の作品には製本とは別に直筆のサイン(ローマ字表記)が記されることもある。
このサインはおそらくは「 Agasa X Q 」の表記で、一筆書きで描かれた「 A 」の外周の〆部分(右下)が続く「 g 」の後半部分と、二つ目の「 a 」の後半の流れる部分が「 Q 」の円部分外周左上と、「 X 」の文字の左上から右下に流れる線が「 Q 」の右下の曲線とそれぞれ重なるデザインとなっていると思われる。
また新進気鋭の「 週刊誌 」である「文々春新報」にも作品が掲載されており、同週刊誌創刊号相当刊に合わせて新作シリーズを寄せている(『東方文果真報』)。
こちらも「 魔法探偵マリサシリーズ 」として連載となる作品で、第一回の題は「 МはМで死ぬ 」。
しかし「文々春新報」が発刊見合わせ(『東方外來韋編』、『文果真報』)となったため、「Q」の作品がどの程度の人の目に触れたかは不明である。
誌面自体は当雑誌編集者によって記録が保存されており、外部発注の連載に関しては他の発表機会を模索する、としているため、どこかでまた人々の目に触れることができる機会も巡るかもしれない(『文果真報』)。
「アガサクリスQ」本人についてはその作品やペンネームを除いて謎が多く、本人も人前に出ることはない様子である。
ただし中にはその正体にたどり着いた者もいるようである。
作品の反響
氏の作品は推理小説に縁遠かった幻想郷の人々の間でも話題となった。
連載数話にして人気を博し、発行する鈴奈庵では氏の作品の増刷も行われた。
小鈴を通して作品に触れた博麗霊夢なども興味を惹かれており、その世界観にはまっていく。
なお氏の作品であるかどうかは不明ながら霊夢は鈴奈庵から借りた作品にのめり込み過ぎたためにちょっとした騒動の原因となっている(『東方茨歌仙』)など、書籍などについても興味を惹かれたものについてはのめり込む一面も持っており、『東方鈴奈庵』においても「アガサクリスQ」の作品に没頭してる様子も描かれている。
謎の作家の関連タグ
以降「アガサクリスQ」の詳細
「 おっと ネタバレは無しでお願いします 」(小鈴、『鈴奈庵』)
本記事にはこれ以降、謎の作家・「アガサクリスQ」に関する細かな記述が含まれます。
本記事の記述ではなく実際の書籍で「アガサクリスQ」の正体に触れることを望まれる場合は本記事のこれ以降の内容をお読みにならず、本ページから移動してください。
「アガサクリスQ」の実際
「アガサクリスQ」をペンネームに小説を執筆しているのは、同じく東方Projectに登場するキャラクターである稗田阿求である。これは読者には「アガサクリスQ」初登場のエピソード(『鈴奈庵』第四十話)ですぐに明かされることとなる公然の秘密。
本記事の上記のようなネタバレ回避に腐心する意味はあまりない。
作中エピソードの主題も「アガサクリスQ」の正体を暴くことでもない。
ペンネームの由来は実際の推理小説作家であるアガサ・クリスティ(1890~1976。イギリス)か。
この場合、「 T 」( -tie )から「 Q 」( Akyu - Q )への変身である。
ただし「アガサクリスQ」の場合「アガサ・クリスQ」などとはならない。
「アガサクリスQ」と一繋ぎのペンネームである。
先述のサインでは「 Agasa 」とも読むことができるがアガサ・クリスティの「アガサ」の綴りは「 Agatha 」である。これについてはファン向けのサインなどでは筆記の際の流れの良さや音感にあわせて他のスペルを使用するケースもあるため、仮に元ネタをアガサ・クリスティとしている場合でもあえてこちらの「 Agasa 」表記を使用しているとも考えられる。
阿求は御阿礼の子のライフワークである(幻想郷縁起の)「 執筆 」の活動の実績とこれまで触れてきた様々な書物、さらに自身の「一度見た物を忘れない程度の能力」なども活用して執筆活動を行っており、「 得意分野 」で才能をフルに生かしている様子が描かれている。
阿求本人も人々に本に触れる機会をもっと持ってもらいたいという想いもある様子で、阿求本人も執筆を楽しんでいる。
またそれとは別にこの執筆を通した阿求の個人的な想いもまたあった。
一方で阿求は稗田家当主にして御阿礼の子(阿求によれば「 幻想郷の書記 」)という立場のある身でもあるため、それらの本筋とは異なるこちらの活動にはペンネームを使用するものとしており、これが人前に出ない理由の一つでもある様子。
世間の手前もあるようだ。
作品の収入自体は鈴奈庵の経営の助けになっている他、阿求にも入っているようである。
作品のヒットに合わせて鈴奈庵での持て成しも華やかになっている。
余談ながら、東方Projectにはアガサ・クリスティの作品(及びその邦題など)をモチーフとした要素も登場しており、例えばフランドール・スカーレットのスペルカードやテーマ曲などにそれが見られる。
幻想郷の人々と推理小説
幻想郷の人間の里では推理小説はあまり受けが良くなかった。
これは推理小説が主に外の世界から流入するものであったことと、それらの作品で展開される内容や作中で使用されている要素に、幻想郷のスタイルと大きな隔たりがあるためである。
例えばトリック解明に必要な科学知識、幻想郷にはない法律要素、あるいは両世界のメンタリティの違いなどからくる心理描写などがそれへの興味の妨げとなっていた。推理小説として文章を読み進めながら想像を展開するには土壌の違いがあったのである。
小鈴なども、それぞれの作品の楽しさを見出しながらも先述のような理由から理解できない部分もあった。
加えて幻想郷ならではの事情もあり、様々な怪異が妖怪や魔法などとして現実のものである幻想郷ではそもそも(外の世界の)書き手と(幻想郷側の)読み手との世界観のギャップが大きかった。
そのため外の世界の推理小説にも触れ、さらに幻想郷の人々のメンタリティや固有の事情・裏事情や至る歴史にも深く詳しい阿求が、(阿求の想いも併せて)幻想郷の風土にあった小説を生み出したのである。
活動
作品を通した活動の機会は徐々に増えており、鈴奈庵発行の書籍(『鈴奈庵』)の他、先述のように射命丸文発行の「文々春新報」にも作品が掲載されている。
『鈴奈庵』作中において読み上げられた作品の一部分を除いて、実際の作品として一つの連載枠全体を読むことができるのは、『文果真報』収録の「 魔法探偵マリサシリーズ 」の「 МはМで死ぬ 」が初。
もちろん登場する名称、人名、組織名あらゆることはフィクションである。
どこかで聴いたような名前・組織名、どこかで見たような光景が仮に作中で展開されていたとしても、実在の一切合切とはもちろん「 関係ありません 」。
なお、作中に登場する号令である「 オルタナティブファクト 」は『文果真報』の英題「 Alternative Fact 」にも通じる。
またこちらも先述のように「文々春新報」自体は発表取り下げとなったが、編集者である文はアガサクリスQの作品をはじめ連載に関して別途発表できる形を探している様子である。
余談ながら、『文果真報』では、誌面本文ではない「顛末書」という一般には未公開の記述部分ながら、文によって重大なネタバレがくっきりと文章として記載されてしまっている。
この他阿求はアガサクリスQの正体を知って接触を図った二ッ岩マミゾウの語る物語を題材に筆を執っており、こちらはアガサクリスQの新作の一つとして鈴奈庵を通して発表されている(『鈴奈庵』)。
「アガサクリスQ」の姿
次のものは阿求が「アガサクリスQ」として活動するときの姿である。
元々の阿求の姿(夏服でないもの)に首周りにファーのついた外套を羽織り、さらに首元に数珠つなぎのアクセサリを着用している。アクセサリは場面によって球体に近いもの、ひし形に近いものなど多様な見え方ができる。
さらに少なくとも肘付近までに至る長手袋を着用し、その上からペンや書物を持つ。
これらのカラーは『東方鈴奈庵』第六巻(特装版)裏表紙によれば外套は濃い藍色か紫色、ファー部分は茶色の系統である。手袋は白系統で、所持するペンは阿求の髪色にも近い紫色。
カラーが判明するまではpixivにおいても、漫画作画でのモノクロの風合いをベースに様々なカラーパターンの可能性が想像されていた。
< 「Q」の哲学 >という書物を手にしたシーンもあり、阿求がここに直接書き込む様子が見られる。
この手帳の中に「アガサクリスQ」の姿があるのだろうか。
この服装は阿求の外出時にも見られるが室内では脱いでいる様子が見られる。一方で鈴奈庵で「アガサクリスQ」として振る舞うときには室内であってもこの服装である。
謎の作家である「アガサクリスQ」はその人とは知られぬままに通りを歩き、鈴奈庵に入ってそれを振る舞うのである。
作中ではこの作家の正体を知るのは小鈴とマミゾウの2人のみ。
この装いは阿求なりの演出ないしは阿求自身が「アガサクリスQ」としての一面を演じるための衣装のような側面も持つのかもしれない。