幺樂(ようがく)、それは今にも消え入りそうな音楽、幻樂の前身。ここではFM音源の事を指す。
その昔幻想郷には、この幺樂を好んで演奏した幺樂団(ようがくだん)という演奏団がいた。
――幺樂団演奏の記録を、一人の少女が歴史に残す。
(上海アリス幻樂団HPより)
概要
上海アリス幻樂団による音楽CDのシリーズの一つ。
シリーズタイトルは「幺樂団の歴史 ~ Akyu's Untouched Score」。
上海アリス幻樂団主宰のZUNがPC-98(現NECの開発によるパーソナルコンピューターのシリーズ)のシリーズで発表したSTGに使用されていた音楽を収録したものである。
ZUNがPC-98を対応ハードとして発表した作品は「PC-98版」、または「東方旧作」とも呼称される。ゲームなどの詳細は「東方旧作」及び各作品記事を参照。
FM音源については「FM音源」記事及び「幺樂団」記事を参照。
「幺樂団」
東方Project作品内における「幺樂団」とは、かつて幻想郷に存在したというFM音源をこよなく愛したという楽団である。
「幺樂団の歴史」のシートによれば、同シリーズは東方Projectの登場人物である稗田阿求が自身の「幺樂団」の楽曲コレクションをその著作である「幻想郷縁起」に記録したものである。
各CD収録曲はいずれも幺樂団が「 残した 」作品とされている。
阿求は幺樂団の音楽を気に入っており、幻想郷縁起における阿求の個人的な想いを記述した「独白」の項においてもその名を記している他、復活公演のチラシを資料の一つとして付録しているほどである。
曰く、「 幻想郷にはない未来の音がして最高です 」(『東方求聞史紀』)。
阿求が幻想郷縁起を執筆した頃幺樂団は「 復活演奏会 」を行っており、ここで「 八年ぶり 」に新曲を発表している。阿求は「幺樂団」の発信する言葉から、その存在について「 外の人間 」のバンドなのでは、とも想像している。
「博麗神主」の音楽コラム
「幺樂団」との関連は不明ながら、文々。新聞には音楽コラムとして「博麗神主」による「 幻想の音覚 」が連載されている(『東方文花帖』)。
ただし「博麗神主」が『文花帖』掲載の新聞中にコラムを綴った楽曲と「幺樂団の歴史」として阿求が記録した楽曲は一曲もクロスしていない。
なお「FM音源」における「FM」とは「 Frequency Modulation 」の略称であるが、先述の「幻想郷縁起」掲載のチラシではこれを踏まえた別の「FM」が記述されている。
東方Projectにおけるもう一つの「FM」と言えるだろう。
幺樂団の音もまた、記憶と感性と感覚とを結び合わせる幻想の音である「幻想の音覚」のひとつであるのかもしれない。
CDシリーズ
2014年11月現在、5作品が発表されている。
タイトルの基本構成はいずれも「幺樂団の歴史 ~ Akyu's Untouched Score」であり、ここに発表順の番号が入るという形になっている。
各CDに付属のシートのジャケットにはいずれもメインに阿求が描かれている他、先述のようにこの記録は阿求によるものとなっているため収録曲のリスト前には阿求によるその旨の宣言文が掲載されている。
その際の阿求の肩書きは「九代目阿礼乙女」。
阿求の能力である「 一度見た物を忘れない程度の能力 」の表記が初登場したのも本作である。
また「幺樂団の歴史1」の「あとがき」ではZUNから見た阿求の人となりが語られている。
各タイトル
「幺樂団の歴史1 ~ Akyu's Untouched Score vol.1」
サブタイトルは「 其の壱 東方幻想郷 ~ Lotus Land Story 」。
「 紅茶好きな阿求の懐古コレクション 」の第一弾である。
楽曲が使用されていたベース作品は『東方幻想郷』(作品番号4)。
DiscAとDiscBの二枚組で、ZUN曰く「 フルパワーで手直ししました 」。
先述のように同CD付属のシートにはZUNによる阿求の評が語られている。
「幻想郷縁起」等を通して他者について記述する機会が多い阿求が、本CDでは俯瞰的(またはメタ的)な視座から記述される側となっている。
「幺樂団の歴史2 ~ Akyu's Untouched Score vol.2」
サブタイトルは「 其の弐 東方怪綺談 ~ Mystic Square 」。
「 激しさ最大級の阿求の懐古コレクション 」の第二弾である。
楽曲が使用されていたベース作品は『東方怪綺談』(作品番号5)。
「幺樂団の歴史3 ~ Akyu's Untouched Score vol.3」
サブタイトルは「 其の参 東方封魔録 ~ the Story of Eastern Wonderland. 」。
「 古の東方音樂が蘇る阿求の懐古コレクション 」の第三弾である。
楽曲が使用されていたベース作品は『東方封魔録』(作品番号2)。
本作のCDのみ、ディスクそのもののタイトルを正しい位置に配置すると付属のシートに描かれた阿求とディスクに描かれた阿求の表示向きが異なる仕様となっている。
加えてタイトルやディスク及びサークルのライセンス表示もそれぞれ向きが異なっているという特殊なデザインとなっている。
「幺樂団の歴史4 ~ Akyu's Untouched Score vol.4」
サブタイトルは「 其の四 東方夢時空 ~ Phantasmagoria of Dim.Dream. 」。
「 色々と懐かしくてもどかしい阿求の懐古コレクション 」の第四弾である。
楽曲が使用されていたベース作品は『東方夢時空』(作品番号3)。
同CD付属のシートには阿求をメインにぬいぐるみ風の博麗霊夢や霧雨魔理沙、魅魔が描かれている。阿求を除く三人のデザインについては同梱のブックレットにその経緯が語られている。
「幺樂団の歴史5 ~ Akyu's Untouched Score vol.5」
サブタイトルは「 其の伍 東方靈異伝 ~ Highly Responsive to Prayers. 」。
「 原点中の原点、阿求の懐古コレクション 」の第五弾である。
楽曲が使用されていたベース作品は『東方靈異伝』(作品番号1)。
同CD付属のシートには阿求と霊夢のツーショットが描かれている。
帯の言葉にもあるように収録された楽曲はZUN曰く「 原点中の原点 」の楽曲たちであり、付属のシートではその感慨が語られている。
Pixivでは
pixivでは「幺樂団の歴史」に関連して、記録者である阿求をはじめ各サウンドトラックに収録された音楽が使用されていたゲームの登場キャラクターなどが描かれている。
また、稗田阿求というキャラクターが中心となって語られるシリーズでもあるため、『東方求聞史紀』などの作品同様、阿求を象徴する要素の一つとしても用いられる。