一画面アクションシューティング(パズル要素あり)
靈夢が、魔界へ地獄へと戦いを挑みます。
硬派な難易度、ちょっと変わったシステムなど、
ふつうじゃないゲーマーにおすすめ。
(靈異伝.txt)
概要
記念すべき東方Projectの第1弾で、正式タイトルは『東方靈異伝 ~ Highly Responsive to Prayers』。
東京電機大学理工学部の文化祭である第20回『鳩山祭』(1996年11月)で展示発表された。頒布されたのはコミックマーケット52(1997年8月)より。太田順也が在学中の第21回以降の『鳩山祭』で配布が行われたほか、2002年9月19日まで太田順也が所属していたサークル「AmusementMakers」で通販を受け付けていた。
その後の弾幕系シューティングゲームとはスタイルが大きく違い、固定画面のブロック崩しゲームとなっている。選択可能な自機は「博麗靈夢(巫女)」のみ。
途中で「魔界ルート」と「地獄ルート」に分岐し、両方とも全20ステージ。ルートとコンティニューの有無でエンディングの内容が変わり、バッドエンドも含めて全4種類存在している。
ストーリー
東の国に、ある小さな神社「博麗神社」があった。ここでは様々な出来事が起こるため、普通の人々は滅多に近寄らなかった。この神社には地獄や魔界といった”人間でない何か”の棲む世界との接点(ゲート)が重なっていたからである。しかし”人間でない何か”は、人里に降りて来なかった。代々、神に通ずる力のある「巫女」が居たためである。小さな神社ながらも巫女は力在る者だった。
その昔、この場所から妖怪、悪魔などが現れていたため、全国各地から力のある修験者、調伏師などが結集し封印した。だが、そのときの反動は非常に大きく、集まった者達も全滅した。それから時が経ち、あれほど強力だった封印の効力も薄れてきた。
変な事に巻き込まれる体質を持っている博麗靈夢は、”人間でない何か”に神社を破壊され、怒っていた。靈夢は、”人間でない何か”の棲む世界との接点(ゲート)へ、気まぐれで入っていったのであった。ここの魔に対して有効なのは、博麗神社最大の秘宝「陰陽玉」だけだと、後になって気づいたが、楽天家な靈夢は何とかなるだろうと思っていた。
キャラクター
博麗靈夢
博麗神社の巫女、生まれ付き霊力はあるが修業不足。武器は最強の陰陽玉だが、思うように操れずよく振り回される。
それでも霊力があるので、かなりの腕前。
お札による攻撃と、霊力の放出による‘霊撃’、体術。など今回の敵に対して無効だったので、ちょっと困りもん。
現在、この神社は彼女一人でもっている。
(靈異伝.txt)
陰陽玉
正体不明の玉、非常に霊力があるので、何かの霊魂が宿っているか、
生命体であると思われる。通常、霊体や魔性の物には、こういった霊力のある武器でないと倒すことが出来ない。
(靈異伝.txt)
ボス
5面、10面、15面、20面にはそれぞれボスがいる(括弧内は読み仮名)。
陰陽玉以外の攻撃、つまり霊力の放出や体術は全く通用せず、すり抜ける。
【共通】
5面ボス。二つ名は「Gatekeeper」。漢字表記は「神玉」が一般的。前述の通り、シンギョクを倒した直後に魔界ルートか地獄ルートのどちらを選ぶかを問う選択肢が表示され、以降選んだルートにしたがってゲームが進行、エンディングも分岐する。
【魔界ルート】
魔界ルート10面ボス。二つ名は「Evil Eyes」。漢字表記されることがあり、「幽幻魔眼」が多く使われる他、「幽玄魔眼」がある。
魔界ルート15面ボス。二つ名は「Innocent Devil」。
魔界ルート20面ボス。一度倒されると、形態が変わる。二つ名は「Angel of Death」。
【地獄ルート】
地獄ルート10面ボス。東方旧作のメインキャラである魅魔とは同一人物だと思われる。二つ名は「Revengeful Ghost」。
地獄ルート15面ボス。元ネタは菊理媛神だと思われる。二つ名は「Hellish Moon」。
地獄ルート20面ボス。元ネタは矜羯羅童子だと思われる。性別不明。喉仏があったり、海外ではsheと表記されている。また、サリエルと違いこちらには第二形態はなく一度倒すとそこでクリアになる。二つ名は「Astral Knight」。
システム
靈夢を操作し、お札やお払いなどを駆使し、陰陽玉を使ってパネルをめくっていく。パネルを全部めくると一面クリア。
各面、制限時間があり、時間が0になると弾が上から降ってくる。靈夢がやられると時間はリセットされるので安心。
全20面。5面ボスを倒すと魔界と地獄ルートのどちらに行くか選択肢が出る。攻略サイトでは魔界の方が難しいとされる。
エンディングに登場するキャラ
魔界ルートをクリアした際のGood Endingで陰陽玉が変化した姿。靈夢の手のひらに乗るほど小さな妖精。本作で靈夢以外でセリフがある数少ないキャラ。
魔界ルートをクリアした際のGood Endingで陰陽玉が変化した姿。竹本泉の漫画『ルプ★さらだ』からのパロディ出演。
楽曲一覧
風の神社を除く全ての楽曲は怪綺談でアレンジされている。
番号 | 曲名 | 備考 |
---|---|---|
1 | A Sacred Lot | タイトル曲 |
2 | 風の神社 | 未使用(「怪綺談」や「幺樂団の歴史5」にも入っていない) |
3 | 永遠の巫女 | 1~4面・地獄ルート16~19面テーマ |
4 | The Positive and Negative | 5面・SinGyokuのテーマ |
5 | Highly Responsive to Prayers | 魔界6~9面テーマ |
6 | 東方怪奇談 | 地獄6~9面テーマ |
7 | 天使伝説 | 10面・YuugenMagan、Mimaのテーマ |
8 | Oriental Magician | 魔界11~14面テーマ |
9 | 破邪の小太刀 | 地獄11~14面テーマ |
10 | 魔鏡 | 15面・Elis、Kikuriのテーマ |
11 | The Legend of KAGE | 魔界16~19面テーマ(イントロ部分はのちに別楽曲でアレンジされ使用されている。 |
12 | いざ、倒れ逝くその時まで | 魔界20面・Sarielのテーマ1 |
13 | 死なばもろとも | 魔界20面・Sarielのテーマ2(「怪綺談」や「歴史」ではCivilization of Magic) |
14 | 星幽剣士 | 地獄20面・Konngaraのテーマ(「怪綺談」や「歴史」では星幽天使) |
15 | アイリス | エンディング曲 |
補足
この作品は元々プログラムの練習がてら作った習作のひとつで、ブロック崩しが作りやすそうだったので1995年に制作したものであり、鳩山祭には出展したものの頒布するつもりは無かったとの事である。本作以前に制作した習作ゲームの中にはタイトーのゲームキャラクターを使用したゲームがあり、太田順也にとってゲーム用BGMとしては作曲第一号となった小夜ちゃん(『奇々怪界』に登場する巫女の主人公)のテーマ曲に付けた曲名「東方怪奇談」が、本作を含む『東方○○○』という形式のゲームタイトルと一連の『東方Project』の名称の元になった。
東方Projectの中では知名度はかなり低い。実際、東方シリーズ人気投票キャラクター部門では第3回までは誰一人ランクインすらせず、第6回ではキクリが全キャラ中最下位(3ポイント)だった。また製品版は特に入手が困難。さらに二次創作において旧作キャラが登場する作品であっても、靈異伝キャラのみ出番がないケースも多く見られた。
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作品
次作→東方封魔録