サリエル(Sariel)は、「神の命令」を意味する名の大天使。七大天使の一人で、
スリエル(Suriel)、サラカエル(Sarakiel)、ザラキエル(Zerachiel)とも呼ばれる。
概要
神の玉座近くにはべる権利を持ち、神の意志を執行する司令官の役割を持つ。神に忠実な天使であるが、キリスト教徒間では、彼もまた堕天使であると考えられている。悪魔と敵対関係にある天使、それも大天使がそのような汚名を着せられた理由は、神から指令された役目とサリエルの邪視にある。
サリエルの任務
エノク書によれば、サリエルの任務の一つは”霊魂を罪にいざなう人の子らの霊魂の看守”である(人間がその魂を汚すことを防ぐ監視であるとされる)。もう一つの役目が”月の支配”であり、これが堕天使と見なされる理由である。月は古代人にとって非常な霊力を持つものだった。日中に頭上で輝く太陽に比べて、暗い夜を照らしてくれるのは月であり、しかも満ち欠けという不可思議な性質がある。これは古代の人々にすれば創造、成長、衰退、破壊という全ての生物の宿命を象徹しているようであった。しかも、月は潮の干満を支配することから、生死は月の霊力によって支配されていると考えられた(日本人の間でも、人が生まれるのは満潮、死ぬのは潮が引く時とする俗信が未だ残されている)。よって古代人たちは、”人間の霊魂は月に保管されており、誕生するときは月から霊魂が送り込まれ、肉体が滅びてしまうと、その霊魂は月に帰っていく”と思っていた。
魔術の源である月
こうした発想は根強いもので、「当然ながら地母神信仰、つまりは生命を司る大地なる母へと結びついている」という。イザヤ書において、預言者イザヤが「三日月の護符」を身に着けているシオンの乙女を非難するのも、その背景があるためである。月へのそういったイメージは、次第に魔術と結びつけられていった。例えば、信心深いキリスト教徒は月明かりの射す場で眠ることを嫌い、イギリスの哲学者兼科学者のロジャー・ベーコンは真剣に「月光を不用意に浴びたために生命を失った者が少なからずいる」と述べた。
こうした魔力を持つ月の統制権を得たサリエルが”神への反逆者”と糾弾されるのは、エノク書の中で”月の秘密を人間に教えた”と記されたからに他ならない。月の秘密とは、月が生命の誕生や死亡に密接に関係する”魔力”を指していると推測されるという。そしてサリエルの象徴は”鍵”である。この鍵が意味するところは諸説あるが、恐らく魔術との深い関係がありそうだと意識され、一層サリエルのイメージは月に似て神秘的となる。
邪視の始祖
サリエルは邪視(邪眼・魔眼)の元祖と目されている。邪視とは、見ただけで相手を身動き出来なくさせたり、死に至らしめる強大な魔力である。ヨーロッパや東洋、さらにはアラブにおいても邪視は人々の恐怖像であり、邪視封じとしてサリエルの名を記した護符が持たれていた。
これらの要素によってサリエルの悪名は広まっていった。
(真野隆也 『堕天使-悪魔たちのプロフィール』 新紀元社、1995年)
サリエルの名を持つキャラクター(曖昧さ回避)
- エルシャダイに登場するキャラクター。→サリエル(エルシャダイ)
- 東方Projectに登場するボスキャラクター。→Sariel
- ゴッドイーターに登場する荒神(アラガミ)。
- はたらく魔王さま!に登場するキャラクター。→猿江三月
- よんでますよ、アザゼルさん。に登場するキャラクター。悪魔祓い師。
- グランブルーファンタジーに登場する星晶獣。→サリエル(グラブル)
- 七つの大罪(漫画)の登場キャラクター。→サリエル(七つの大罪)
- 七つの美徳(ホビージャパン)の登場キャラクター。→サリエル(HJ)
- モンスター列伝オレカバトルの登場モンスター。→サリエル(オレカバトル)
- nico's nextbotsのキャラクター。