概要
東方Projectに関連したwebメディアの一つで、「 東方Projectの魅力と情報を伝えるWEBメディア 」を目指して2019年10月4日に創刊された。
主催者は斉藤大地(東方ステーション企画者。ドワンゴ在籍時にはZUNビール初代担当)。
原作である東方Projectは、例外も複数あるが一つの作品名などについて「(日本語) ~ (英語)」という組み合わせでネーミングされることも多く、付け方のスタイルは違うものの「我楽多叢誌」もこの原作慣習のひとつを受けて日本語タイトルと英語タイトルから成る。
「我楽多叢誌」の全体のタイトルは、「東方我楽多叢誌 〜strange article of the outer world〜」
類似した原作作品の英字タイトルとしては、『東方外來韋編』の「Strange Creators of Outer World.」がある。『外來韋編』と「我楽多叢誌」は英字タイトルの類似だけではなくそのコンセプトにも共通点を多数持つ。
運営面としては、「我楽多叢誌」には「 正体不明のスポンサーX 」なる存在がスポンサーとして参画しているとしており、「 正体不明のスポンサーX 」については「我楽多叢誌」とも共有する東方ステーションにも同様の名義のスポンサーがみられている。
『外來韋編』と「我楽多叢誌」
『外來韋編』は東方Projectに関連した原作・二次創作・周辺文化を複合的に取り扱うオンリー的マガジン・ムックであり、「我楽多叢誌」もまた原作作品の公式掲載、原作者インタビュー、各種二次創作作品の掲載、二次創作文化の紹介やインタビューなどを含むもので、両者のコンセプトは近似しているといえる。
ただしコンセプトの近似は内容の同一を意味するものではなく、「我楽多叢誌」は『外來韋編』とはまた異なる個性をもって展開している。
例えば「我楽多叢誌」掲載のZUNのロングインタビューについても2ちゃんねる元管理人でZUNとの交流のあるひろゆきとの対談であったり、公式作品の公式掲載では同じくZUN原作の作品ながら『外來韋編』(実誌)で展開されているのが『東方香霖堂』であるのに対し「我楽多叢誌」では『東方智霊奇伝』であるなど違いがある。各種二次創作作品も異なる作品が掲載されている。
とりわけ「我楽多叢誌」ではwebメディアとしての即時対応性を生かして比較的新しいタイミングでのイベント情報の更新なども行っている。コアなファン活動に、同じくファンの視点からよりディープに迫るコラムなども特色である。
両者の内容にはそれぞれ個性がある他方、『外來韋編』と全く同じページが一種類だけある。
それは個別の二次創作作品の掲載前に提示される「次の作品が二次創作である旨の注意書き」であり、具体的には、「 ※ALERT※ 」で始まり、「 これら Strange な Creation も ありえたかもしれない作品の形として お楽しみいただければ幸いです。 」で結ばれるページである。
『外來韋編』との違いは、『外來韋編』では二次創作作品を掲載したブロックを紙面上でまとめることができるため掲載箇所は一か所(一ページ)のみであるが、「我楽多叢誌」では各種二次創作作品には最初にこのページが挿入されている点。
コンテンツ
東方Project原作者であるZUNによる公式作品やZUNへのインタビュー記事、海原海豚(黄昏フロンティア)へのインタビュー記事などの原作作品あるいは原作者出演のコンテンツをはじめ、東方Projectの各種二次創作作品の連載や掲載、頒布・公開された東方Project二次創作作品(例えば同人誌、音楽、ゲーム等)の紹介、東方Projectの動きや東方Project関連イベントを紹介するニュース・特集など、東方Projectに関連した多面的なコンテンツが展開されている。
本サイトにおいては原作関連と二次創作関連・ファンコミュニティ文化全般のページが混在しており、ページも特に原作とファンコミュニティなどのように分けられてはいないが、この両属性を一目で見分けることのできるサインが各記事上部などにそれぞれ記載されている。
例えばZUN本人も参加したロングインタビュー、『智霊奇伝』のようなZUNが制作に直接的に関わっている作品、海原海豚(黄昏フロンティア)への上海アリス幻樂団との共作作品に関するインタビューといった「原作・原作者が直接関与しているコンテンツ」には「 official 」の表示があり、各種二次創作作品や二次創作で活動する人々へのインタビュー・対談、ファンイベント・企業活動情報などは「 unofficial 」との表示がある。
原作作品の展開
「 official 」では先述のように原作者インタビューや実際の作品展開がなされている。このうち原作作品の掲載について、第一弾となった『智霊奇伝』以後も展開が続いており、例えば原作書籍作品の第一話などがweb掲載(例えばニコニコ静画やコミックウォーカー等のサービス)されるタイミングでは「我楽多叢誌」においても「 official 」として同様の原作コンテンツの展開がなされることがある。
具体例としては、『東方酔蝶華』第一話のweb公開は「 出張連載 」との形式で「我楽多叢誌」でも行われており、『東方三月精』の「 シーズン 1 」(※1)が「 リバイバル連載 」された際にも、本サイトでも同様の企画が展開された。
※1:『三月精』全体としては第二部相当の作品で、英題が「 Strange and Bright Nature Deity 」のシリーズ。比良坂真琴作画による『三月精』としての第一弾(シーズン1)作品で、例えば三妖精たちがチルノやアリス・マーガトロイドたちと初めて出会うエピソードが語られる期である。対比して、『我楽多叢誌』と同年(2019年)に完結した『三月精』(英題「 Visionary Fairies in Shrine. 」。例えば三妖精たちとクラウンピースが出会った期。第四部相当)は「 シーズン 3 」となる。
「我楽多叢誌」における原作作品の展開状況(2019年末)
(掲載順は「我楽多叢誌」において展開された順。同日展開の場合は「我楽多叢誌」での掲載順の早いものを先に記載)
ファンフィクション全般
「我楽多叢誌」の「 unofficial 」のカテゴリーでは、東方Projectに関連したファンフィクション全般について様々な企画が展開されている。創刊最初期の段階を見る範囲であっても、例えば本誌初掲載となる複数の各種二次創作作品や、実際のファンイベント情報の掲載、東方Projectの二次創作の文化や歴史についての体験者たちの対談、新世代ファンへのインタビュー、個別の二次創作作品(同人誌・音楽・ゲームなど)のピックアップやこれから新展開する二次創作作品の制作者へのインタビューなど、「我楽多叢誌」が取材する範囲は幅広い。
「東方同人音楽流通」の開始といった、ファン活動全般に関わる動きがあったときなどは「ニュース」としてその詳細が掲載されることもあり、エンターテイメントだけでなく情報誌としての機能も展開する。
個別のコンテンツとしては、特別掲載として、過去に実際に頒布された長編の二次創作同人誌・イラスト集などが掲載されることもある。これはpixivで言うところの「【同人再録】」に近い。ただしpixivのように主に投稿ユーザーが作者・制作者と同一というわけではなく、「我楽多叢誌」では作者・制作者の許可を受けて作者以外の他者が掲載するというところに主な違いがある。
「我楽多叢誌」最初の再録同人誌作品は正木(サークル「こげコロッケ」)氏の作による「えいえんのあとに」(同サークル頒布による総集編『永い月のない夜のあとに』掲載)。
「我楽多叢誌」全般
この他「我楽多叢誌」全般に関連するものとして、複数の言語への対応がある。
2019年末時点では日本語と中文に対応しており、それぞれの言語ページで掲載コンテンツが変化する。例えばイベント関連のページであれば、日本語版では日本のイベント関連記事、中文版では中華圏でのイベント関連記事のページを閲覧することができる。
また、「我楽多叢誌」創刊にあたっての主催の言葉とZUNのロングインタビューは中文にも翻訳され、中文ページにも掲載されている。
この他東方Projectの二次創作活動の情報(個人・企業を問わず)についてプレスリリースの窓口が開かれている。募集内容やフォームについての詳細は公式ページを参照。
「 この媒体がいつかどこかの場所で――ひとり教室の隅にいて好きなものをクラスメートと話すことが出来ないでいる少年少女、どこか異国の地で自分だけの創作に取り組む青年、いま画用紙にクレヨンでゆっくりを書きなぐっている少女たちが生み出す、未来の「同人」に届くことがあれば、望外の喜びです。 」
(斉藤大地・東方我楽多叢誌主催、「東方我楽多叢誌」創刊に際して より)
「我楽多叢誌」創刊当時と『剛欲異聞』情報公開初日
「我楽多叢誌」が創刊された2019年10月当時の状況としては、創刊の二日後に博麗神社秋季例大祭が開催され、黄昏フロンティアより、上海アリス幻樂団との共作作品である『東方剛欲異聞』β体験版が初頒布された。
このとき、『剛欲異聞』の情報は秋季例大祭二日前に前触れなく公開されファンの間でも大変な驚愕が広がったものであったが、第六回秋季例大祭二日前の10月4日といえば先述の通り「我楽多叢誌」創刊当日でもあり、秋季例大祭を目前二日後に控えている期待も相まって、この日はファンにとって歓声の上がる、濃度の高い一日となった。
2019年は後半にかけて原作東方Projectには大きな動きがあったところであり、その他の関連の動向については「我楽多叢誌」でも連載中の『東方智霊奇伝』記事なども参照。