概要
同人サークル上海アリス幻樂団による東方Projectのシリーズで用いられる語。
登場するキャラクターの能力を表す際に用いられる。
上記メイン画像は登場キャラクターである河城にとりの「水を操る程度の能力」を表現した作品。
程度の能力
「~程度の能力」が表すもの
能力として語られるのはそのキャラクターが可能とするものや特徴などであり、キャラクターによっては同種の能力でも複数の表記をもつ、あるいは能力そのものも複数語られている。
例えばそのキャラクターが可能とするものに言及しているケースとしては霧雨魔理沙の「魔法を使う程度の能力」があり、これは魔理沙が様々な魔法を使うことを表している。魔理沙は先天的な「魔法使い」ではなく魔法を使う能力も本人に内在するものではないが、その研究や各種マジックアイテムを通して魔法を行使している。
この他「~を操る程度の能力」という、能力を通して他の何らかの対象に意図的にアクセスし操作するというものも多く見られ、十六夜咲夜の「時間を操る程度の能力」やアリス・マーガトロイドの「人形を操る程度の能力」などがその一例である。
中にはその全体像が明示されていないものもあり、レミリア・スカーレットの「運命を操る程度の能力」など作中で具体的には語られていないものもある(2017年現在)。
本人の性質などに言及するタイプとしては四季映姫・ヤマザナドゥの「白黒はっきりつける程度の能力」、秋静葉と秋穣子らの「紅葉を司る程度の能力」や「豊穣を司る程度の能力」などがある。
「~程度の能力」が語られる場面
東方ProjectはSTGや弾幕アクションからなるゲーム、楽曲を収録したCD、漫画や小説などの書籍作品などで展開される複合的な作品群であるが、「程度の能力」についてはゲーム中や書籍物語中などキャラクター本人たちが活動している場面よりもその背景部分にアプローチする場面で語られることが多い。
例えばゲームやCDではそれぞれの形で同梱されている原作者ZUN(博麗神主)による各種テキストの物語設定関連やあとがきなどにそれぞれの記述がみられる。書籍においても上記と同様の設定関連やあとがき、あるいは登場人物による作中書籍などにその記述がみられる。
特に後者の書籍においては登場キャラクターや物語の舞台そのものに登場人物の視点から記述報告的にアプローチする作品もあり、この内「~程度の能力」に関連した記述が多数見られるのが『東方求聞史紀』と『東方求聞口授』である。
両作はシリーズの登場キャラクターである稗田阿求が作中の登場人物たちについて執筆または編集したものであり、特に前者の著作は作中登場人物の視点でありながら「 客観の視点で構成 」されたものとなっており、作中では「幻想郷縁起」という書物として発表されている。
一方阿求によれば「幻想郷縁起」の執筆に際しては妖怪側からの自身のPRもあるらしく、「 こういう能力持ってるけどどう? 」という「 アピール 」もある様子であり、その記述には阿求の取材と妖怪自身のアピールが合わさっている模様である。
「幻想郷縁起」は作中にも実際に書籍として登場しており、今代の御阿礼の子である阿求の「幻想郷縁起」もまた作中ならではの装丁など具体的な描写を伴って登場している(『東方鈴奈庵』)。出版後の人々からの評価・反応などを通しては人々が阿求の「幻想郷縁起」に触れている様子も見ることが出来る(例えば『鈴奈庵』)。
「幻想郷縁起」では紹介する人物たちの能力について他のメタ的なテキスト同様「~程度の能力」の表記を用いて記述されているため、作中登場人物たちもまた阿求の記述を通して各々それぞれの「~程度の能力」に触れる機会が開かれている。
また地の文において「~程度の能力」の表記による記述が登場することがあり、例えば『東方三月精』(第四部)ではサニーミルクに関連した記述において「 サニーミルクは光を屈折させる程度の能力を持っている 」とし、さらにその能力の応用例について続けている。
稀に作中の登場人物が「~程度の能力」の表現を用いることもあり、例えば『月のイナバと地上の因幡』(『東方儚月抄』)では鈴仙・優曇華院・イナバが藤原妹紅の能力について「 死なない程度の能力だから痛くないってことか 」としている(妹紅によれば実際は「 痛い 」)。ただし『月のイナバと地上の因幡』ではZUNは「原案」という位置づけであり、当該の部分を含めセリフの仔細全てがZUNによるものかは不明である。
「~程度の能力」の歴史と二次創作における広がり
キャラクターの能力について「~程度の能力」という表記が登場したのはWindows版第一作である『東方紅魔郷』(シリーズ通算では六作目)以降である。
同作ではゲームに付属のテキストの他一部作中でも語られている。
また東方Projectを原作とするファンによる二次創作においても様々な「~程度の能力」が考案されている。例えば二次創作における各オリジナルキャラクターでの設定などに原作の「程度の能力」の表記に倣ったものも見られる他、ファンなどの間では特定の各種二次創作作者や作風を指して代名詞的に用いられる場合もある。
注意点
「~程度の能力」にはその語の運用について注意点がある。
一般に「~程度の能力」と言えば「~くらいしか能の無い様子」などのネガティブなニュアンスで捉えられることが多い。ストレートなネガティブな意味を含まなくとも、それ以上の発展が見られないというような限界に言及する文脈で用いられることが多い。
一方東方Projectにおける「~程度の能力」は必ずしもネガティブな意味を含むものではなく広く能力名を指す際の慣用表現的なものである。作品文化に特有するニュアンスがあると言えるだろう。
この両者の意味的違いを踏まえる時、pixivにおいて東方Projectの前提がない作品に東方Projectの「~程度の能力」の感性で類似した名称を使用してしまうと誤解を与えかねないというリスクがあるのである。
例えば「絵を描く程度の能力」という名称が仮にあったとして、東方Projectの世界観を前提とするならばその作者に「絵を描く才能があること」を示す中立的またはポジティブなニュアンスで捉えられることだろう。
東方Projectにおいて「~する程度の能力」といえば、その前段に提示された物事が「(その性質は様々ながら)出来る、可能である」ことを意味するためである。
作者の自己紹介として用いられる可能性もある。
しかし先述のような一般的な視点に立ち、かつネガティブな意味合いとしてこの文言を見た時、「絵を描くくらいしか能のない」というニュアンスで捉えられることだろう。
「絵を描く程度とは何か?」と、まずその文章としての接続に疑問をもたれるかもしれない。
作者本人が言及するならば一般的には作者自身の謙遜なのだろうと捉えられるかもしれないが、東方Projectの世界観のない作品に対して他者からその作者に向けて投げかけた場合、作者側にこのネガティブなニュアンスで、意図した意味とはまるで異なるメッセージとして伝わることになりかねないのだ。
このような理由から、「~程度の能力」については、作品の世界観や題材が東方Projectのシリーズを基としたものでない場合、特に自分の作品に用いる場合でないときなどは基本的にはその使用は控えた方が良いだろう。
また東方Projectの世界観が前提にある作品においても二次創作的な「~程度の能力」という表現が好まれないこともあるので、注意が必要である。
能力名の一覧
次のリストは各キャラクターの能力名の一覧である。
先述のとおりキャラクターには能力名や表記が複数あるものもある。
また、その能力が明らかにされていない、または作中何らかの能力は発揮されていても「~程度の能力」のような形でその能力を象徴的に表す語が語られていないキャラクターもあり、次のリストにおいてはそのキャラクターの欄は空欄となっている。
Windows版(ゲーム)
※1:『求聞史紀』では「春が来た事を伝える程度の能力」とも。
※2:『求聞史紀』では「手を使わずに楽器を演奏する程度の能力」とも。
※3:『求聞史紀』では「密度を操る程度の能力」とも。
※4:『求聞史紀』では「歌で人を惑わす程度の能力」とも。
※5:『求聞史紀』では変化前と変化後についてそれぞれ「歴史を食べる程度の能力(人間時)」と「歴史を創る程度の能力(動物化時)」とも表記されている。
※7:『求聞史紀』では「毒を使う程度の能力」とも。
※8:『求聞口授』ではかっこ内が「身体能力を上げる魔法を得意とする」とも表記されている。
※9:『求聞口授』では「十人の話を同時に聞く事が出来る程度の能力」とも。
この他キャラクターではなく個別のアイテムなどの能力として次のものがある。
初登場作品 | 名称 | 能力名 |
---|---|---|
緋想天 | 緋想の剣 | 気質を見極める程度の能力 |
書籍・CD
ZUN's Music Collection
関連グループ | キャラクター名 | 能力名 | 備考 |
---|---|---|---|
秘封倶楽部 | 宇佐見蓮子 | ||
マエリベリー・ハーン |
その他のキャラクター
東方Projectには上記以外にも設定上やモブキャラクターとして多数のキャラクターが登場するが、個別の能力については語られていないものが多い。
設定上・モブなどとして登場するキャラクターの主なものは次の通り。
この他のケースとしてアリス・マーガトロイドの使役する人形とスペルカードに関連して上海人形や蓬莱人形、ゴリアテ人形などの語も登場するが、個別の「能力」という点では語られていない。上記のアリスの「人形を操る程度の能力」によって操縦される側であるといえるだろう。
また、個別のエピソード上に登場する邪龍や子狐、易者等のキャラクターや、運松や花屋の娘、抗鬱薬おじさん(通称)など人間の里等に関連した一般の人間も登場しているが、こちらも特定の「程度の能力」の文脈では語られていないものも多い。
また『神霊廟』1面ステージの道中に登場した個別の名称が不明な幽霊らしき存在(pixivでは神霊廟一面中ボスなどの呼称がある)や『紺珠伝』ジャケットデザイン等に登場する通称「餅」などについても個別の能力などは不明である。
加えて本編や本編背後の設定にも登場しないが作品発表前にはその存在が設定され、作品発表時には何らかの理由で作品から除かれたいわゆる没キャラクターとして「冴月麟」がある。設定面のうち、能力については不明(先述の現在時点)。
PC-98版
先述のとおりPC-98版(東方旧作)では「~程度の能力」という形での能力の設定は無いが、一部のキャラクターはその能力について言及がある。
各キャラクターについては個別の記事を参照。
初登場作品など | キャラクター名 |
---|---|
主人公 | 博麗霊夢 |
靈異伝 | SinGyoku(シンギョク) YuugenMagan(ユウゲンマガン) Elis(エリス) Sariel(サリエル) Mima(魅魔) Kikuri(キクリ) Konngara(コンガラ) |
封魔録 | 玄爺 里香 明羅 魔理沙(旧作魔理沙) |
夢時空 | エレン 小兎姫 カナ・アナベラル 朝倉理香子 北白河ちゆり 岡崎夢美 る~こと ミミちゃん ま○ち |
幻想郷 | オレンジ くるみ エリー 幽香 夢月 幻月 |
怪綺談 | サラ ルイズ アリス ユキ マイ 夢子 神綺 |
その他のキャラクター
東方旧作においても上記以外のキャラクターが多数登場している。特に旧作においては各ステージの中ボスなどが名称未設定であるケースが多い。Windows版でも先述の『神霊廟』1面中ボスにおける怨霊のようなキャラクターがあり、それと同様のものと言える。
設定上・モブとして登場するキャラクターの主なものは次の通り。
登場ケース | キャラクター名 |
---|---|
封魔録中ボス・ボス | 封魔録一面中ボス 封魔録二面中ボス(呪い子) 封魔録三面中ボス 封魔録三面ボス 封魔録四面中ボス |
幻想郷中ボス | 幻想郷一面中ボス 幻想郷三面中ボス 幻想郷四面中ボス |
怪綺談中ボス | 怪綺談一面中ボス 怪綺談二面中ボス 怪綺談三面中ボス 怪綺談四面中ボス 怪綺談五面中ボス |
この他、モブキャラクターとしての化け化けや『怪綺談』の「靈夢EDに出てくる魔界人」などが登場している。
能力以外の「~程度」
東方Projectでは能力にまつわるもの以外にも「~程度の~」という語を用いて記述されるものがあり、次のような例がある。
『東方緋想天』ではそのストーリーに気象的な要素を含み、キャラクターごとの気質に合わせて天気(天候)が変わるというシステムがある。同作ではこれに合わせる形で「~程度の天気」という要素が存在する。
『緋想天』のシステムを引き継いだ作品である『東方非想天則』においても同様の要素がある。
各キャラクターにまつわるの「~程度の天気」は次の通り。
作品名 | キャラクター | 天気名 | 天候 |
---|---|---|---|
緋想天 | 博麗霊夢 | 空を飛ぶ程度の天気 | 快晴 |
霧雨魔理沙 | スペルはパワー程度の天気 | 霧雨 | |
十六夜咲夜 | 符を器用に使える程度の天気 | 曇天 | |
アリス・マーガトロイド | 霊力が強まる程度の天気 | 雹 | |
パチュリー・ノーレッジ | 打撃が使えない程度の天気/打撃を避ける程度の天候 | 花曇 | |
魂魄妖夢 | 連携が鋭くなる程度の天気 | 蒼天 | |
レミリア・スカーレット | 吸血鬼っぽくなる程度の天気 | 濃霧 | |
西行寺幽々子 | 幽霊っぽくなる程度の天気 | 雪 | |
八雲紫 | 防御が怪しくなる程度の天気 | 天気雨 | |
伊吹萃香 | 必殺技全開になる程度の天気 | 疎雨 | |
鈴仙・優曇華院・イナバ | 符が見えなくなる程度の天気 | 晴嵐 | |
射命丸文 | 空中戦に強くなる程度の天気/風の力を借りる程度の天気 | 風雨 | |
小野塚小町 | 距離が変になる程度の天気 | 川霧 | |
永江衣玖 | 勝負が荒れる程度の天気 | 台風 | |
比那名居天子 | 何が起こるか不明程度の天気 | 極光 | |
非想天則 | 東風谷早苗 | 傷が癒える程度の天気 | 凪 |
チルノ | 眠ったら死ぬ程度の天気 | ダイヤモンドダスト | |
紅美鈴 | カウンターヒット程度の天気 | 黄砂 | |
霊烏路空 | 全てを焼き尽くす程度の天気 | 烈日 | |
洩矢諏訪子 | 大地に弾かれる程度の天気 | 梅雨 |
『深秘録』ではオカルトボールがフィールドに影響をもたらすというシステムが登場しており、こちらは対応するオカルトボールに合わせて「~程度の怪奇」という要素として登場する。
各オカルトボールの元となったパワーストーンの由来と各々の「怪奇」の発現については次の通り。
作品名 | オカルトボール | 怪奇現象名 |
---|---|---|
深秘録 | ピラミッド | オカルトアタック使い放題になる程度の怪奇 |
ストーンヘンジ | 戦場が狭くなっていく程度の怪奇 | |
バベルの塔 | ボールに天罰のパワーが宿る程度の怪奇 | |
ナスカの地上絵 | ボールに癒しのパワーが宿る程度の怪奇 | |
黄泉比良坂 | 門に近寄るほど死が迫る程度の怪奇 | |
地獄谷 | 低所に危険が満ちる程度の怪奇 | |
月の都 | 弾速が遅くなる程度の怪奇 |
二次創作
次のリストでは東方Projectの二次創作における「~程度の能力」関連のタグの内原作キャラクターに関連した二次創作、あるいは二次創作作者や作風に関連したタグのうちピクシブ百科事典上に記事があるものを記載する。
個別の各二次創作作品オリジナルキャラクターなどについては「東方オリジナル」等の記事から各作品記事、各キャラクター記事を参照。
東方Project原作登場キャラクターに関する二次創作(キャラクター登場順) |
---|
理性を破壊する程度の能力(フランドール・スカーレット) 国を傾ける程度の能力(八雲藍) 弾幕を食べる程度の能力(綿月依姫) 桃を愛でる程度の能力(綿月豊姫) |
東方Projectの二次創作に関わるもの(50音順) |
視界がぼやける程度の能力 / 人を号泣させる程度の能力 |
特定のユーザーに関わるもの(いずれも東方Projectの二次創作作品に用いられる/50音順) |
米国に1週間余り雨を降らせ続ける程度の能力 他人に自信を与える程度の能力 ニヤニヤを操る程度の能力 |
この他、「能力」としての記述ではないがクラウンピースの能力名に由来する「人を狂わす程度のタイツ」がある。