「いいカードあるよー 買って行かないかい?」
「私を倒したって何にも変わらない 売人なんてそこら中にいる」
概要
豪徳寺ミケは、『東方虹龍洞』の一面ボスである。
招き猫発祥の地と呼ばれる豪徳寺(諸説あり・詳細は後述)の出身。
しかし、寺に住む猫がみな白猫であるのに対して、三毛猫として生まれた彼女は、周囲から「紛い物」と疎まれ、無理やり毛を染められそうになったりと大変な苦労を経験した。さらにミケ本人も「三毛で何が悪い」と開き直って反発したため、ますます仲間外れにされることとなった。
結果、招き猫としての修行が満足にできなかった彼女の能力は、「お金かお客のどちらかを招き入れるともう一方を遠ざけてしまう」という不完全なものになった。本来の招き猫の務めを果たせず、商店などへ引き取られる道も閉ざされたミケは、しかしこれを招き猫社会に見切りをつける機会ととらえ、「むしろ幸い」と清々しい気分で寺を去る。
その後はどのような経緯をたどってか幻想郷に流れ着き、妖怪の山付近で悠々自適の新生活を送っていた。
作中では、何らかの方法でアビリティカードを入手し、他の妖怪らと同じく売人として活動を開始する。そして、異変を調査するべく現れた主人公達にカードを売りつけようと接触するが、カードを強引に回収しようとする彼女らと戦闘になる。撃退されるも「暴力では決して渡さない」と断固とした態度を見せ、あくまで対価を支払うよう要求した。その権幕は霊夢や魔理沙ですらタジタジになるほど。
一面ボスであることを考えると、それほど実力が高いわけではないようだが、寺での態度や主人公達への対応を見るに、理不尽や納得のいかないことには容易に屈することなく立ち向かう、芯の強い性格のようである。
種族
招き猫。
本来は由緒正しい豪徳寺出身の招き猫。しかし上記の過去が原因となり、現在は招き猫社会を離れている。
豪徳寺には無数の招き猫が奉納されているが、そのいずれもが白猫であることがミケのバックストーリーの元ネタとなっている。さらに、ミケは一般的な招き猫と同じく小判を持っているが、豪徳寺の招き猫は小判を持たないという特徴がある。
ちなみにネットなどで検索すればわかる通り、一般に販売される招き猫はむしろ三毛猫などの柄が入っているものが多く、白猫など単色無地の方が少数派である。
容姿
三毛猫らしく基本的なカラーリングはシンプルに三色。ただし、一般的な三毛猫が「白・黒・茶」と表現されるのに対し、ミケは「白・茶・オレンジ」である。
髪はショートカットで、白毛をベースに茶とオレンジのメッシュがまだらに入っている。尻尾も同様。
服装はやはり白を基調としたツーピースに、茶色とオレンジのつぎ当てのような四角い柄が随所に入ったデザインとなっている。ちなみに下に穿いているのはスカートのようにも見えるが、裾にプリーツの入ったキュロットで足元は裸足。
首には鈴のついた黒い首輪、両手首にも同様の腕輪をつけている。
さらに左手には小判を持っているが、下半分に「両」と書かれているのに対して上半分は手で隠れているため、正確な金額を読み取ることができない。「千万両」もしくは「一万両」と書かれていると思われるが、真相は不明。
既存の猫キャラである橙、お燐は尻尾が2本あるが、ミケの尻尾は1本のみである。
実はお燐と同じく四つ耳。立ち絵では人間の左耳が見えている。
能力
お金かお客を招き入れる程度の能力
お金かお客のどちらかを招き入れることができるが、その代償としてもう片方を遠ざけてしまう能力。
本来の招き猫はお金とお客の両方を招くはずが、仲間外れにされたミケは十分な修行ができなかったため、このような不完全な力になってしまった。
通説では、招き猫は右手か左手のどちらか片方を挙げており、右手を挙げていると金運を、左手を挙げていると人を招く。そして欲張って両方を招こうと両手を挙げると「お手上げ」のポーズとなるため、むしろ縁起が悪いと避けられる。
一見すると「どちらか片方しか招くことができない」という点ではミケの能力と普通の招き猫のご利益に大差はないように思えるが、商売においてどちらか片方を招くことができれば、結果としてもう片方もある程度増えてくるのが普通である。
どちらかを招き入れるともう片方を「遠ざけてしまう」というミケが招き猫社会に残っても、本来の役割を果たすのは難しかったと思われる。
アビリティカード「商売上手な招き猫」
その一方で、一面クリア後のカード購入では、「豪徳寺ミケの能力」を持ったアビリティカードを入手できる。内容は「品揃えを良くしてボスから購入できるカードの種類を増やす」というもので、絵柄は「千万両」と書かれた小判を持った三毛猫の招き猫。
スペルカード
余談
豪徳寺と招き猫
豪徳寺は、東京都世田谷区にある寺院。15世紀中頃の創建時は「弘徳院」という寺号であった。
江戸時代の初め、世田谷を所領に持った近江彦根藩(現在の滋賀県彦根市周辺)藩主の井伊直孝が、鷹狩りの帰り道に弘徳院の前を通りかかったところ、門前で一匹の猫を見かけた。まるで猫が手招きをしているように感じた直孝が寺に入ると、たちまち天候が悪化し激しい雷雨となった。猫への恩義と住職の説法に感じ入った直孝は、寺社を改修し井伊家の菩提寺とした。直孝の没後、その法号である『久昌院殿豪徳天英大居士』にちなんで、寺号を「豪徳寺」に改め、現在に至っている。
ちなみに、一面ステージの序盤では雨が降っているが、中ボスとして登場したミケを退けると雨がやんで虹がかかる。この点、元ネタの猫が直孝を寺に招き入れた直後に雷雨になったのとは対照的である。
また、上記の猫と井伊家の逸話を元に彦根市が2007年に開催された「彦根城築城400年祭」のマスコットとして生まれたキャラクターこそ、かの「ひこにゃん」である。
白猫と三毛猫の遺伝学
現実においても、白猫の親からは白猫が生まれやすいとされている。猫の毛色の発現に関する遺伝子は多く例外もままあるが、一般的に猫の全身を白にする遺伝子”W”は「顕性遺伝子(以前は優性遺伝子と呼ばれた)」であり、さらに他の毛色遺伝子に対して優先的に働く。すなわち、黒ぶちになる遺伝子を持っていようと茶トラになる遺伝子を持っていようと、遺伝子”W”を持っていれば、白猫になるのである。これに対して「潜性遺伝子(以前は劣性遺伝子と呼ばれた)」である”w”には、この作用がない。
したがって、メンデルの法則に従うなら、遺伝子型”WW”もしくは”Ww”を持っていれば白猫となり、両親のうち片方でも”WW”型であればその子供は全員白猫になる。一方、三毛猫などの色つき猫は遺伝子”W”を持たず、遺伝子型は”ww”と表現され、これは両親である白猫がともに”Ww”型であり、さらにその両方から”w”を受け継いだ場合にしか生まれない。ミケが三毛猫に生まれたのは残酷な運命のいたずらの結果なのである。
二次創作
カップリングやコラボ
猫キャラ繋がりから、橙や火焔猫燐とのコラボイラストをよく見受けられる。
他にも、招く能力から高麗野あうんとのコンビや
お金繋がりで霊夢や依神紫苑と絡んだイラストもあったり。
東方キャラクター以外では猫キャラ繋がりでニャースやミケえもんとのコラボも存在している。
東方キャラの日
二次創作イベントタグ「東方キャラの日」では、「9月29日は豪徳寺ミケの日」が提案された。由来は同日が日本の記念日「招き猫の日」であることから。
また、上述の猫キャラ繋がりから、2月22日の「東方猫の日」(同日が猫の日)に合わせて投稿されるコラボ作品も見受けられる。
関連イラスト
関連タグ
豪徳寺駅:元ネタである豪徳寺を冠する小田急小田原線の鉄道駅。なお、実際の豪徳寺の最寄り駅は東急世田谷線の宮の坂駅である。
1面ボスの系譜
戎瓔花←豪徳寺ミケ→???