概要
東方Projectに登場するキャラクターの内、魔法を使う(扱う・操る)キャラクターたちの能力を指す。作中ではそれぞれの「魔法を使う」キャラクターにおいて、「魔法を使う程度の能力」の表記を基本としたそれぞれの個性に合わせた名称が存在する。
各名称は他の東方Project登場キャラクターに見る「~程度の能力」と同様に、作中のストーリー中(例えば作中の本人たちのセリフなど)で語られるものではなくおまけテキストなどの周辺資料などで語られているものとなっている。
「魔法を使う程度の能力」及びその具体的な内容を付加した名称によってその能力が語られているのは次のキャラクターたちであり、その能力名も次の通りである(2017年8月現在)。
- 霧雨魔理沙
- 主に魔法を使う程度の能力 : 妖
- 魔法を使う程度の能力 : 萃、永、風、緋、地、星、神、輝、紺、天、史
- パチュリー・ノーレッジ
- 火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力 : 紅
- 魔法(主に精霊魔法)を扱う程度の能力 : 萃、緋
- 魔法を使う程度の能力 : 地
- 魔法(主に属性)を使う程度の能力 : 史
- アリス・マーガトロイド
- 主に魔法を扱う程度の能力 : 妖
- 魔法を扱う程度の能力 : 萃、永、緋
- 魔法を操る程度の能力 : 永(マニュアル)
- 聖白蓮
- 魔法を使う程度の能力(身体能力を上げる魔法を得意とする) : 星
- 魔法を使う程度の能力(主に身体能力強化系魔法を得意とする) : 授
- 矢田寺成美
- 魔法を使う程度の能力(生命操作):天
※凡例
紅 : 『東方紅魔郷』、妖 : 『東方妖々夢』、萃 : 『東方萃夢想』、永 : 『東方永夜抄』、緋 : 『東方緋想天』、風 : 『東方風神録』、地 : 『東方地霊殿』、星 : 『東方星蓮船』、神 : 『東方神霊廟』、輝 : 『東方輝針城』、紺 : 『東方紺珠伝』、天:『東方天空璋』、史 : 『東方求聞史紀』、授 : 『東方求聞口授』
稗田阿求曰く
魔法を使う(扱う・操る)存在であるところの「魔法使い」について東方Projectにおける「魔法使い」とは、稗田阿求によれば先天性の存在と後天性の存在の二種類があり、さらに職業としての「魔法使い」がある。上記のキャラクターにおいてはパチュリーが先天的な魔法使いでありアリスと白蓮が後天的な魔法使い、魔理沙が職業的な魔法使いに当たる。
ただし地蔵が変化を遂げた成美などのケースがどのような位置づけとなるかは『天空璋』時点では不詳。阿求の取材が待たれる。
「 人間が身につけた特殊な能力は、総称して「魔法」と呼ぶ事が多いが、その実態は多様である 」(阿求、『求聞口授』)
それぞれの「魔法」
先述の通り東方Projectにおける「魔法」はその体系や方向性、質等の点で多様なものとなっており、実際に作中で登場し、各々の「魔法を使う程度の能力」を披露したキャラクターやその内容などについては次のようなものがある。
霧雨魔理沙
モットーは「 派手でなければ魔法じゃない。弾幕は火力だぜ 」(『求聞史紀』)。
自称にして二つ名でもある「普通の魔法使い」のとおり、魔法を使う人間の一人。
魔法の森のキノコや珍しい素材、その他魔術的な品、謂れのある品、珍品などを収集し、それらを変化させたり調合したりする事で魔法の素材を作成し、これを以て様々な魔法を生み出す。その過程には魔理沙の地道な研究や試行錯誤の数々が詰まっている。
また魔法研究の一環として様々な弾幕スタイルを魔理沙の視点で書き留めた「 グリモワールオブマリサ 」があり、この執筆を通して「 魔法のヒント 」を得ようともしている(魔理沙、『グリモワールオブマリサ』)。
魔法の方向性は光と熱の魔法を主とする。代表的なものとしては魔理沙の「 宝物 」(『東方儚月抄』)であるミニ八卦炉を用いた一直線の大型光線「マスタースパーク」がある。また煌びやかな星型弾幕を用いた「スターダストレヴァリエ」などのスペルカードも様々生み出している。
星を模した弾幕を用いるに至る経緯については『紅魔郷』以前のストーリーとして『東方香霖堂』のエピソードの一つにて、その由来が語られている。
その魔法は「 物を破壊する程度にしか 」効果が無いものの弱点が少なく、人間や妖怪問わず多くの対象に効果が発揮できる(阿求、『求聞史紀』)。
魔理沙が愛用するマジックアイテムは先述のミニ八卦炉の他、帚や魔導書など。
さらに小物が帽子の中やスカートの中にしまいこまれているという。
人間でありながら魔理沙ほどに魔法を行使出来るものも珍しいようで、阿求は魔理沙の将来について「 (妖怪の)魔法使いになるのかも知れない 」と注釈している(『求聞史紀』)。
パチュリー・ノーレッジ
「 様々な魔法を使う、魔法使いらしい魔法使い 」(阿求、『求聞史紀』)。
妖精や精霊の力による属性魔法を主に使用し、かつ二種類以上の個別の属性を組み合わせ、より強力な複合的な魔法を行使する事が出来る。組み合わせは多彩で、パターンごとに各属性の長所の延長や弱点のカバーなど目的や用途などの個性があるものとなっている。
それらは作中ではスペルカードとして具体化されており、その多様な種類については「パチュリー・ノーレッジ」記事のスペルカード関連の項目を参照。
パチュリーの魔法について実際に体験した魔理沙は「 基礎系な魔法 」が多いとし、「 見てるだけでお勉強してる気分になる 」としている(『東方外來韋編』)。
またパチュリーは大図書館において数々の魔導書を所蔵している。魔導書は閲覧や理解において「鍵」が必要であるという制約があるが、それ自体がマジックアイテムでもある。
パチュリー自身も魔導書を執筆し、魔法にまつわる書物を生み出している。
一方大図書館には「 未だ誰も読む事すら出来ない魔導書 」もある様子であり、パチュリーはそれらの魔導書にも挑んでいる模様である。
なおパチュリーにも開放できていなかった魔導書のごく一部については魔理沙経由で手にした博麗霊夢が開放しており、パチュリーは嘆息している(『東方三月精』)。
この他パチュリーの魔術的な知識と研究の実践の一形態として『東方儚月抄』において月に至るためのロケットが建造された。八雲紫の手引きによると思われる外の世界におけるロケットの情報が渡った事も建造に重要な要素であったが、パチュリーはその意図も理解したうえでこの情報を利用している。
このロケットもまたパチュリーらによるマジックアイテムの一種である。
アリス・マーガトロイド
その姿勢について「 他人に無関心で、魔法に執着しやすい。 」(『萃夢想』)とされており、『緋想天』においても同種の記述がみられるなど、魔法の研究に特に心を砕いている。
『地霊殿』や『求聞史紀』ではその能力に関して「人形を操る程度の能力」とされているが、この人形も魔法の糸で操られており、魔法の糸もまた魔法で動かすというものである。『永夜抄』などのアリスにおける「魔法を扱う程度の能力」による具体的な応用と言えるだろう。
人形は日常の家事全般を行うが、全てアリスが操作しているものでもある。
ただし『三月精』などでは雪おろしの重労働に人形が不平を示すという描写もみられる。
「魔法使い」としての魔理沙との関連について『永夜抄』マニュアルにおけるテキストによれば「 魔法の森に住み、魔法使いで収集家、と魔理沙と共通点が多いが、魔理沙は人間、アリスは魔法使いという決定的な違いがある。 」とされている。
この他魔理沙によってアリスもまた魔法に関する書物を纏めていることが語られているなど、魔理沙、パチュリー、アリスはそれぞれの形で自身の研究や成果などを各々のスタイルで記録している様子である(『グリモワールオブマリサ』)。
聖白蓮
白蓮の「魔法」は元々は高僧である弟の聖命蓮に学んだ法力であった。しかし命蓮が自身よりも早く亡くなった事で死を恐れるようになり、その術を自身の不老不死のために応用。これは「 法術と言うより妖術、魔術の類 」(『星蓮船』)のものであり、妖術の源である妖怪の存在を必要とするものであった。
一方で人間であり人々から敬われる存在である僧侶である白蓮が妖怪と直接通じる事は出来ず、人間向けと妖怪向けの二面的な立場をとり続けることとなった。この立場が後に『星蓮船』に至る物語のバックボーンとなる出来事へと繋がるのである。
白蓮の能力は阿求曰く「 仏法を極めた事で身に付けた物 」(『求聞口授』)である。その長い寿命や若さも魔法に由来するもの。
ただし仏法における正道の術ではなく妖しの力に頼るいわば外道のものであるため、白蓮の末期について阿求は否定的な予測を立てている。
その身体強化の具体的な応用の一例として目にも止まらぬ超高速で活動するというものがあり、代表的には<超人「聖白蓮」>などに見られる。
また謎の「神隠し」の犯人として白蓮が疑われた際には、十六夜咲夜から白蓮は記憶操作の魔術も使えそうだとイメージされているが、実際に白蓮は「 誰にも気付かれずに人を消してその間の記憶を操作する 」ことについて(行うかどうかは別として)出来なくもない、としている(『東方茨歌仙』)。
この他上記の魔法使いたちと同様に白蓮も固有のマジックアイテムを保有しており、それが魔人経巻がある。これは呪文が巻物になったもので、能力を使うためのお経が書かれているという。一種の自意識をもち、白蓮のみが扱う事が出来るという白蓮お手製の品である。
白蓮はこれを弾幕アクション含め弾幕ごっこの際にも実際に使用している。
矢田寺成美
元は地蔵であったが、所在した魔法の森の魔力を受けて生を得た。
石像からの変化であり、「 ゴーレムのような存在 」とも(『天空璋』)。作中ではその種族について「 魔法使い(地蔵) 」とも記述される。
魔理沙によれば「 魔法地蔵の成子 」。
「 魔法地蔵 」の語は成美の二つ名にも見られている(「森で垂迹した魔法地蔵」)。
この際の会話では、成美の側は魔理沙について「 魔法人間の魔理沙 」と返している。
魔力に敏感であるとされ、四季異変の際は自身の背中から溢れる魔力にも気づいており、それが異変によるものであろうことも想像していた。作中では魔法の森の「 魔法吹雪 」の中、溢れる魔力を試す(「 魔法試し 」、「 妖精で試し打ち 」など)ために自機の面々に挑む。
ただしこの四季異変の際の丁礼田舞や爾子田里乃ら(ひいては摩多羅隠岐奈)の力の影響を受けた成美の魔法について、魔理沙は「 普通じゃ無い魔力の溢れ方 」と評している。
その力は舞も一目置いており、成美は隠岐奈の指示で捜索していた人材の候補にも挙がっていた。
成美の魔法の実際は「生命操作」で、例えば「 生命力の塊 」である妖精などに対しては「 無力化 」など強い影響力を行使することができる。先述のように成美は「 ゴーレムのような存在 」とされているが、「ゴーレム」という無機物に疑似的な生命現象を与え、役目を終えると特定の文字を取り去って元の無機物に帰すという由来を彷彿とさせるものとなっている。
成美は自身について「 魔法を専門とする私 」ともしている。