「勘が鈍いのねぇ。今なら見逃してあげると言っているのに気が付かないなんて。しかたがない。しかたがないねぇ…」
「神域を冒して乗り込んできておいて逃げられると思うなよ?」
「肉のお前を滅して、土と水で美しく造り直してやる!」
「お前は一点の瑕(きず)もなき偶像(アイドル)として未来永劫語り継がれるだろう!」
概要
種族 | 神様・神霊 |
---|---|
活動場所 | 地獄・畜生界 |
二つ名 | 孤立無援が誂えた造形神 |
能力 | 偶像を作り出す程度の能力 |
登場作品 | 東方鬼形獣(ラスボス) |
テーマ曲 | 偶像に世界を委ねて 〜 Idoratrize World |
同作品の後半の舞台である「畜生界」において、動物霊側から酷い扱いを受けていた最下層奴隷階級の人間霊たちの起死回生をかけた祈りによって招喚され、動物霊から人間霊を守ることになった神である。
願いに応じ畜生界に舞い降りた彼女は、人間霊が押し込められていた霊長園を拠点とし、彼らを保護する行動に出た。そして造形術で敵を倒し、埴輪兵団やその兵長を務める杖刀偶磨弓を築き、動物霊たちの支配から人間を解き放ったのだ。
だが、結局は人間を支配する者が代わっただけ。
「人間の庇護者」と称する袿姫だが、人間霊から信仰を吸い上げることで力を得ていたのだ。
魔理沙オオワシEDで魔理沙に 「物わかりのいい奴」「無邪気で野望があるような様子は窺えなかった」と評された彼女としては、「動物霊は人間霊を尊重できるのなら共存しよう」と考えていたが、動物霊たちからは彼女の存在そのものが畜生界の在り方に反するため「邪神」と呼ばれ、動物霊側とは対立している。
ただし袿姫が支配者状態となったのもあくまで動物霊視点でありそもそも「暴力的な支配をしていた動物霊」と「保護する事でその礼として信仰をもらい力としていた袿姫」ではどちらがマシかは火を見るより明らかと言える。
容姿
髪は鮮やかな青いロングヘアーで、瞳は赤紫色。
緑色の頭巾を被り、縄文土器のような模様のついた黄色いワンピースの上に頭巾と同じ色のエプロンを着用。エプロンにはノギスや、様々な彫刻道具を入れているポケットが3つある。
首には3つの勾玉を繋いだ首飾りをかけ、両腕と両足には水色の紐を結び、鼻緒のないサンダルを履いている。
服装を含め全体的に原色に近い色に古墳時代の巫女や女性埴輪を意識したデザインをしている。
ちなみに、背後の竜と獣が混ざったような不定形の炎のオーラはおそらく袿姫の元ネタの一つである埴安姫神に迦具土神が竜を産ませようとして生まれたという火を吐く竜の失敗作「土竜オコロ」がモチーフではないかと言われている(ただし、このくだりは後年作られた偽書「ホツマツタヱ」の内容では古事記には書かれていない)。
能力
偶像を作り出す程度の能力
彼女のファインセラミックスは、信仰心を集めたり身代わりにしたり、一緒に遊んだり部屋に飾ったり出来る優れもの。壊されてもすぐに修復し、病気知らずで休息も要らない。
魔理沙オオカミEDでは土器や銅鐸、鏡、剣も作れると判明。どれもボロボロに見えるが、魂や強い魔力を宿していて、それぞれ単体でも御神体として信仰を集めそうである。魔理沙は彼女のその能力を「神を作り出すに等しい力じゃないか」と評した。
スペルカード
東方鬼形獣
スペカ名 | E | N | H | L |
---|---|---|---|---|
方形「方形造形術」 | 〇 | 〇 | ||
方形「スクエアクリーチャー」 | 〇 | 〇 | ||
円形「真円造形術」 | 〇 | 〇 | ||
円形「サークルクリーチャー」 | 〇 | 〇 | ||
線形「線形造形術」 | 〇 | 〇 | ||
線形「リニアクリーチャー」 | 〇 | 〇 | ||
埴輪「偶像人馬造形術」 | 〇 | 〇 | ||
埴輪「アイドルクリーチャー」 | 〇 | 〇 | ||
「鬼形造形術」 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
「ジオメトリッククリーチャー」 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
「イドラディアボルス」 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
※「鬼形造形術」のあと、動物霊の増援が入る。
剛欲異聞では
饕餮尤魔が霊夢に「埴安神袿姫を倒してくれたおかげで(割愛)」と言ったことから霊夢が埴安神袿姫を倒したと思われる模様。
元ネタ
イザナギとイザナミの子であるハニヤスヒメが元ネタ。
ヒノカグツチに身体をボロボロにされたイザナミの尻から産まれた。
ツクヨミの姉であり綿月姉妹の叔母でもある為、今まで東方で出て来た日本の神様の中では明確な地位が分からない洩矢諏訪子を除くとトップである。
また次回作である東方虹龍洞の6ボスである天弓千亦は『姪だが義理の妹でもある』という複雑な関係となっている。
余談
クリーチャー(creature)とは
空想の生物、伝説の動物。被造物、創造物。
animalやbeastとしばしば同義。獣(けもの)、畜生、子分、生物。
(人に対しての)動物、(他人やものに)支配されている(従属する)人、隷属者など。
怪物、怪獣、妖怪、化け物、妖精など、神が創りし物に対し、人や悪魔が創り出した物。
「イドラデウス(Idola-Deus)」について
イドラ(ラテン語:idola)
偶像、偶像神、聖像、邪神、崇拝される人物、アイドルまたは幻影を意味する。
デウス(ラテン語:deus/Deus)
造物主または神、神性。頭文字が小文字のdeusは多神教的神を、大文字のDeusは唯一神を指す。英語のgod/Godも同様。
イドラデウスとは、鬼形獣6面のステージタイトル。偶像神。袿姫は自らを 「造形神(イドラデウス)」と名乗っている。
自然や現象を司る神と違って陶芸・建築・人工的かつ近未来的な技術など、普段から人類が頼りにしている『文明の力』を司り、東方外來韋編の鬼形獣インタビューにおいて袿姫の「土と水で造り変えてやろう」というセリフは、純粋な善意であり、
『そのほうが死ななくていい。不老不死にしてあげるよ』
ーー現実で言うと、病気になるような体を捨ててサイボーグ化して行こうという意味である。
それは彼女と人間霊の関係について『世界を支配する為に作ったモノに、結果的に自分も支配されてしまう』という、「人類が作ったAIそのもの」「技術革新によって人類は病気と闘争を克服し、不死と幸福を目指す」「偶像(神様)崇拝」「独善的管理社会」の暗喩と思われる。
この、袿姫と人間霊の関係については別の考察も存在するが、詳しくは楽曲の記事を参照。
また、動物霊視点で 「超理不尽を体現したような上位存在」、人間霊視点で 「閉塞した状況をぶち壊してくれるヒーロー」「神に等しい力を持つプログラム」という意味で「デウス・エクス・マキナ」にも掛けているのかもしれない。
総合的に考えれば袿姫もまた東方における日本の神様らしい価値観と言える(八坂神奈子と洩矢諏訪子の2柱があまりにも人間寄りと言ってしまえばそれまでだが)。
余談
袿姫(ケイキ)は鬼形獣の鬼形(キケイ)を並び替えたもの。
「袿」は「けい」と打っても変換できないので、「うちき」か「うちぎ」と打って変換する必要がある。(もしくは「袿」を「けい」で辞書登録してしまおう)
予想
二次創作
カップリング
杖刀偶磨弓とのカップリング。磨弓は、造形神である袿姫によって創造された存在であるため、このカップリングが生まれた。
外來韋編のインタビューでは袿姫はプロデューサー、磨弓はバーチャルアイドルもしくはフィギュアをイメージしたという話もある。
吉弔八千慧とのカップリング。袿姫にとって動物霊は 「畜生とはいえ出来れば仲良く協力しあいたい相手」、八千慧にとって袿姫は 「競争しあって先に進むと言う意味では良き好敵手であり、資源の取り合いという意味では排除すべき宿敵」であるため(妖夢カワウソEDより)。
戎瓔花とのカップリング。零次設定だと水蛭子にちなみ、瓔花と袿姫は同じイザナギとイザナミの生まれであるため。ちなみに、ヒルコが最初に生まれ、イザナミが死ぬ間際にハニヤスが生まれているため、瓔花が長女、袿姫が末女になる(ただあくまで元ネタの日本神話に東方キャラを当てはめた場合の関係であり、必ずしも公式とは限らないことにご注意を)。
名前ネタ
名前ネタ。名前がケーキを連想させるため、ケーキになっていたり、ケーキを食べたりしているイラストがある。名前を捩って「歯に優しいケーキ」とも。
ZUN氏の袿姫へのイメージについて
人妖名鑑常世編でZUN氏のコメントでは
『天才造形師の彼女は、いつでも作業が出来る様に彫刻刀などの工具が入るポケット付きエプロンを着けています。髪の毛が落ちないように頭巾もしています。』
『天才というと、何故かファッションには無頓着で、いつも部屋着のような格好でいるイメージがありますね。まあ実際にそういう人も多いからでしょうけど、天才は美的センスがないと言うのは乱暴かも知れません。』
『天才が生み出すものは殆どが美しいからです。天才ほど、美の探求者もいないでしょう。彼女も例外ではなく、美的センスは相当高いはずです。そうで無いと、埴輪武装男子立像や馬形埴輪みたいなふるゆらフィギュアは到底造れないはずですもんね。』
など、どうやらZUN氏の埴安神袿姫に対するイメージは、ごく一部の特殊な二次設定とは真逆であるらしい。
関連イラスト
関連タグ
孤立無援が誂えた造形神 偶像に世界を委ねて エレクトリックヘリテージ 霊長園
イメージワード
その他
アイドルマスター:ZUN氏は最初、彼女の二つ名をこれにするつもりだったとか。