「……いつからだろう」
「この幻想郷から混沌が失われたのは」
「不自然な秩序は何処かで崩壊するというのに」
概要
種族 | 怨霊 |
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登場作品 | 『東方智霊奇伝』 |
二つ名 | 「反獄王」「爪弾きにされた反獄の怨霊」「大結界の犠牲者」 |
能力 | ???(名前は明かされてないが「飲み物」「首枷」を媒介に他者に憑依する能力を持つ) |
東方Projectシリーズの漫画作品の1つ、『東方智霊奇伝』に登場する妖怪(怨霊)。古明地さとりが「反獄王」「永久罪人」と呼んで追っかけていた怨霊そのものである。
寅丸星・雲居一輪・ナズーリン曰く、「(怨霊は)我々が地底にいた頃は身近な存在」「中には強力な怨霊もいる」「あいつヤバいって先輩怨霊達が噂してた」「根暗で何をしでかすか判らなくて怖い」とのこと。
容姿
囚人服のような縞模様のツーピースに黒インナー、両腕に鋼色の手枷と白手袋、手錠を模した一対の金色の首枷を嵌めており、手には首枷の反対側を持っている。怨霊らしく肌は青白で、藍色(暗めの青)の髪をポニーテールにしており、ドクロの髪飾りと紐が付いている。ギザ歯。
「迷宮編1」の設定画にて服・インナー・髪飾り・鎖の切れた手枷と手袋、「呪具コレクター」設定(紙人形・わら人形・コドク皿)が描かれている。
連載で登場してからも長らくモノクロページしかなかっため、カラーリングも長く不明だったが、2022年12月15日に単行本発売告知に合わせて遂に発表された。
カラーイラストは「迷宮編4」の表紙でも確認できる。
なお、第一部で描かれたイメージは日本の女幽霊と言ったもので上記とはかなり異なる。
というより彼女は被害者に憑依して成り切っており、憑依していない状態で登場したのは第二部からとなる。作者が変わっているので容姿のイメージも当初とは変わってしまったのだろうか。
性格
第一部の頃は狡猾で慎重な性格と言われており、誰かに取り憑いていることが多いため姿を全く見せなかったという。一方で「怨霊は自己顕示欲が強い」ともされ、宮出口瑞霊も例外ではなくじっとしていられない性分とのこと。
憑依対象になり切るのはお手の物で、霊夢とお燐を翻弄して捜査をめちゃめちゃにしている。
迷宮編からは姿を見せて登場することが多くなったことで性格面が掘り下げられている。
お化けらしく相手に恐怖を与えることを楽しみ、邪魔者と判断すれば痛めつけることも厭わない。しかし自分の怨みが正当なものではないと分かっており、誰かの命を奪うほど残虐にもなれていない。
迷宮編4巻の4コマによると、食の好みはちょっとうるさく、甘過ぎると脳に痛みを感じ、味が薄過ぎると不味いと感じる。普通の一般家庭の料理が好み、もしくは香辛料の入ったものが好きらしい。
また現代の地上の食文化についてもよく分かっておらず、デカ盛りあんみつパフェが人間たちの主食と思い込んでいた。
能力
怨霊らしく生物に憑依して操ることが出来る。被害者は意識を封じられるため憑依されている自覚はないが、操られている間の記憶はおぼろげに残っている。
当初は飲み物を解して憑依するという設定だったため、紅茶などを利用して被害者に飲ませることで憑依していた。
迷宮編からは、首の手錠を相手に取り付けることで憑依出来るという設定に変更された。
ちなみに憑依したとしてもそのポテンシャルを十全に発揮出来るわけではない。なお、河城にとりに憑依したものの機械弄りがまったくできないためラジオを爆発させてしまい、他の河童たちに笑われるなどコミカルな面もあった。
厄介なのは憑依した肉体から魔力を奪い取れること。人間が魔力を奪われても何ともないが、妖怪の場合は命に関わるため昏睡状態になってしまう。これが被害者たちが昏睡していた理由である。
なお、憑依対象に対するダメージは宮出口瑞霊にも伝わる。4コマでは劇物(塩みたいなの)が入った料理を食べたことで体調を崩してしまっている。
劇中の動向
作中における一連の事件の犯人で、旧地獄から逃げ出した「永久罪人」。飲み物を介して人妖に憑依し、魔力を貪って意のままに操る能力を持ち、さらに依代が妖怪の場合はそのまま昏倒させる事が出来る。(妖怪にとって魔力の有無は死活問題となる程重要な力の為)先述の能力を駆使してさとり達の目を掻い潜り、一度は出し抜くなど非常に狡猾にして慎重な性格。
その心はさとりをして「怨霊の心を読むことは心地の良いものでは無い……」と心胆寒からしめ、油断や慢心があったとはいえ幻想郷屈指の実力者を瞬く間に術中に沈めている。
迷宮編では強者と真正面からやり合って余裕で返り討ちにする等、奸智に富むだけでなく戦闘面においても相当な手練れである事が窺われる。
博麗神社、或いは博麗霊夢に恨みを抱いており、八雲紫によると事件の動機は霊夢を恐怖に陥れ、最後に復讐を遂げる為。一方でさとりは「事件を起こす傍ら、霊夢に恨みを持つ者を探している」と推理している。その目的は協力者を探す為か、それとも……?
「霊夢をずっと見ていた」事を見せ付けるかの様に、かつて彼女が解決した異変を順番になぞる形で関係者を襲っており、少なくとも紅霧異変の頃から地上を監視、虎視眈々と機会を窺っている。
「反獄王」の通称で呼ばれていたが、第三章第五話にて本名と姿が判明。首に掛けられた、巨大な手錠を模った首枷のもう一方を相手の首に掛ける事で直接体を乗っ取る能力も明らかとなった。更に本人の口から語られた真の目的は「幻想郷を混沌に陥れる」事であった。東方Projectにおいては珍しい、易者に次ぐ本格的な悪役と言えよう。
果たして真相は……?
命蓮寺の戦いでさとりの策により撃退され、旧地獄に閉じ込められ出られなくなる。そこで星熊勇儀に説得され酒を交わした後、心を開くようになる。
推測
人里にて『人間は妖怪に負けたのか』と不快感を露わにしながら口にした事からその目的は
『人間と妖怪の対立を激化させる』
『外の世界と幻想郷を繋げる(人間が優位な世界と繋げる)』
あたりが予想されている。
元ネタ
元ネタは明治時代に立ち上げられた新興宗教「大本」の教祖であった「出口王仁三郎」と「出口なお」、それらの人物に憑依したとされる「艮の金神」と考察されている。
艮の金神は陰陽道において猛悪の祟り神とされており、大本では「艮の金神の正体は国之常立神(天地開闢ののち最初に出現した原初の神)であった」として信仰に結び付けていくのだが、東方においては艮の金神の性質そのままに他人に憑依する邪悪な怨霊として登場しているものと思われる。
ちなみに、大本は終末論を唱えて規模を拡大していき、多数の信者を抱える一大宗教勢力に成長した。そのことを政府に危険視されたため、弾圧されて壊滅したという経緯を持つ。その後は元信者が様々な新興宗教を立ち上げ、大本も再発足して現存している。
「瑞霊」とは、男性の肉体に女性の霊が宿った変性女子のこと。ちなみに女性の肉体に男霊が宿った変性男子は「厳霊」と言われる。
余談
- 彼女の登場以前、「博麗霊夢、博麗神社に恨みがあり、狙っていた」等から、反獄王の正体は魅魔ではないのかという考察があった。
- 前述の通り長らく正式なカラーリングが不明であったため、絵師の間で様々な想像がされていたが2022年12月15日に単行本発売告知に合わせて正式なカラーイラストが一気に増えた。
二次創作
愛称はみずちー。音がみすちーと似ている。
憑依、乗っ取りを行えるキャラなので、それを活かした二次創作が多い。
尚、原作でのシリアスな強者キャラとは裏腹にpixivでは一変して不憫な扱いにされることもある。
(2枚目は、上記にあるオマケ漫画にて瑞霊が甘いものを苦手としている事が判明していた事に対するもの)