綿月依姫

わたつきのよりひめ

『東方Project』のキャラクター。初出は『東方儚月抄』。

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目次 [非表示]

1 概要

1.1 神話的解説

2 容姿

3 能力

3.1 神霊を呼ぶことができる程度の能力

3.2 使用した神

4 性格

5 活躍

5.1 漫画版

5.2 4コマ版では

6 他キャラとの関わり

7 二次創作

8 備考

9 関連イラスト

10 関連タグ

10.1 原作・本人関連

10.2 二次創作関連

「それでは私も月の使者のリーダーとして最大限美しく...」

概要

種族	月人
二つ名	神霊の依り憑く月の姫
能力	神霊を呼ぶことができる程度の能力
登場作品	東方儚月抄
テーマ曲	綿月のスペルカード　～ Lunatic Blue（姉と共用)

綿月依姫は、月の都の防衛と地上の監視などを請け負う「月の使者」のリーダーの一人。

姉に綿月豊姫がいる。

また、八意永琳によると彼女の遠い親族であり、「人間風に言えば」依姫は永琳の又甥夫婦の息子の嫁になるらしい。ちなみに永琳の又甥の嫁＝豊姫。ほぼ元ネタの神話通りではあるのだが、つまり「姉の息子の嫁」というややディープな事になっていたり。(あくまで「人間風に言えば」の話)

月の使者となる玉兎の戦術指南と、戦闘力を生かした侵入者の捕縛などが仕事。天真爛漫な姉とは対照的に、生真面目な性格である。八意永琳を師に仰いでおり、彼女が行方不明となった後もその信頼は損なわれていない。月の使者としての役目は、千数百年前（竹取物語の頃）に先代の月の使者であった永琳から姉と共に受け継いだもの。

豊姫、サグメと共に月勢力を象徴するキャラクターとして位置付けられている。

神話的解説

神話を詳しく掘り下げると、豊姫（豊玉毘売、豊玉姫、トヨタマヒメ）の夫とは邇邇芸命（ニニギノミコト、母は八意思兼命の妹）の次子である山幸彦（ヤマサチヒコ、ヤマヒコ、彦火火出見尊（ヒコホホデミノミコト）、火遠理命（ホオリノミコト）とも）であり、依姫（玉依毘売、玉依姫、タマヨリビメ）の夫はその息子であるウガヤフキアエズノミコト（鵜草葺不合命、盧茲草葺不合尊）である。そして海に帰った豊玉姫から乳母として遣わされた玉依姫とウガヤフキアエズノミコトの息子こそが、本朝初代神武天皇（神倭伊波礼毘古命）である。さらに敷衍すると、皇族である豊聡耳神子ともかなり希薄ながら血縁関係があることになる。

玉依毘売は神話において綿津見神の娘とされており、「綿月」の苗字は「綿津見」（海の神霊の意）からと思われる。玉依毘売の詳細については該当のページを参照。

なお豊玉毘売と玉依毘売の婚姻関係に類似したものとして、媛蹈韛五十鈴媛（ひめたたらいすずひめ）と五十鈴依媛（いすずよりひめ）という姉妹がおり、こちらは姉が神武天皇の妻に、妹がその子の綏靖天皇の妻となっている。

容姿

薄紫色の長い髪を、黄色のリボンを用いて、ポニーテールにして纏めている。瞳の色は紫がかった赤。

服装は、半袖で襟の広い白シャツのようなものの上に、右肩側だけ肩紐のある、赤いサロペットスカートのような物を着ている。

ボタンが前面中央にあり、膝上くらいからそのボタンを空けているので、スリットのようになって生足が拝める。

ちなみに姉である豊姫は、同様の服装だが色が赤ではなく青で、肩紐も左側だけ、となっている。二人の服装の色合いを合わせると、師匠である永琳のカラーリングとなる。人妖名鑑のZUNのコメントより、この服は永琳が、自分の服に倣って考案したものと判明した。「全ては二つで一つ」という考えによる物らしい。

腰に斜めに巻いているベルトのバックル部分には、剣の紋章があしらってある。月の満ち欠けの内の三日月を示すものであろう。姉である豊姫は、同様のバックルに鏡と思われる紋章があしらってあり、これは依姫との対比として満月を示すものであると思われる。また、左腕に金色のブレスレットを二つ着けている。

尚、誤って肩紐が両方あるデザインに描かれてしまう事がある。

東方外來韋編参により念願の設定画（ZUN絵）が公開された。

書籍版では姉と同程度の背丈だが、設定画では頭身が小さめに描かれており『姉よりちょっと子どもっぽい』とされている。『古書型ノートブック』というコンピュータ(ノートパソコン？)を持っている(外來韋編及び人妖名鑑より)。

能力

神霊を呼ぶことができる程度の能力

神降ろし。八百万（非常に多い事の意ではなく文字通り8000000らしい）の神を自分の体に宿らせ、力を借りて使役する事が出来る。

巫女が通常行う「正式な手順」を省略して、素早くあらゆる神を降ろす事が可能。「呼ぶことができる」という表現もここに由来すると思われる。儚月抄では霊夢も同じ手法で神降ろしの練習をしていたため、月の民に反逆を疑われることとなる。

正式な「程度の能力」としての名称は長らく不明だったが、2020年発売の人妖名鑑にて上記のように紹介された。

儚月抄初登場からおよそ13年、ようやくである。

使用した神

「祇園様の力」	正式には「女神を閉じ込める祇園様の力」。依姫が持っている刀を地面に突き刺すと、捕縛対象の周囲に無数の刃が突き出て取り囲む。下手に動くと「祇園様の怒りに触れる」らしい。捕縛以上の能力は不明。祇園は牛頭天王こと須佐之男命。
「愛宕様の火」	依姫の腕が火そのものと化す。この火は「小さく見えても全てを焼き尽くす火」「地上にこれほど熱い火はほとんどない」という。愛宕様は秋葉様こと火之迦具土神。
「火雷神」	雨を降らせた後に雷を落とし、その雷が七頭の炎の龍（七柱の兄弟）となって敵を焼く。
「金山彦命」	金属を分解・再構成して操る。咲夜のナイフを分解・再構成して放ち返した。霊夢曰く「ボム」。ちなみにこの神は『東方茨歌仙』で霊夢にも呼び出され、パラジウム合金をつくり出した。
「天津甕星」	魔理沙の「スターダストレヴァリエ」と「イベントホライズン」をかわしきった後に「密度が薄い」と言い、「大気に遮られない本来の星の輝き」を魔理沙達に見せつける、として使用。使用シーンが一切描写されなかった為概要は不明だが、前述の台詞から星やその輝きを用いた技と思われる。
「石凝姥命」	魔理沙の「ダブルスパーク」に対して降ろし、三種の神器の一つ・八咫の鏡を現れた石凝姥命が掲げる事により、「ダブルスパーク」を反射し撃ち返した。
「天宇受売命」	レミリアの「クイーン・オブ・ミッドナイト」に対して発動。天宇受売命が降りた依姫は光を帯び、踊るような動作で弾幕を全て避けきった(グレイズ)。また、その後の「天照大御神」の始動技でもあったようだ。(天岩戸の神話の流れを汲んでいると思われる。)
「天照大御神」	降ろす事により、圧倒的な光が辺りを強く照らした。光以外の効果は不明。だが、吸血鬼であり太陽の光に弱いレミリアは太陽神たる天照大御神の光を食らう事で一発KOされ、ノビていた。
「伊豆能売」	霊夢が「大禍津日神」を降ろして撃ち出した穢れの塊の弾幕を、この神を降ろす事で一斉に浄化した。ちなみに巫女姿の神様。

これらの能力を用い、月に辿り着いた霊夢らを迎撃・捕縛した。魔理沙曰く、「全く隙がなく、霊夢と同じ能力だが力の差は歴然でまともに戦っても勝てる訳がない」と評している。

なお、神降ろし以前に本人の能力も高いようで、魔理沙の弾幕を難なく掻い潜ったり『ファイナルマスタースパーク』を「光を斬るのは水を斬るよりずっと容易い」として刀で斬っている。レミリアに対しては「私が攻撃すれば　貴方は必ず一撃で負ける」と発言し、敢えて彼女の体術を受ける余裕を見せている。

また一見チートな神降ろしも、あらゆる神の知識とそこから瞬時に適切な能力を選び出す判断力がないと使いこなせないものであり、努力家の側面が窺える。

余談ではあるが、日本の八百万の神々には創造神（伊邪那岐命）から破壊神（須佐之男命）までありとあらゆる属性を有した神々がおり、天照大御神を召喚できることからも最高峰の三貴神以上を召喚できることが予想される。しかも状況によって使用する神々を変えられる上、代償も必要としないことから、そこらへんの上級神よりも強力な存在であることが窺い知れる。例えば大国主神を降ろせば国造りができ、天之手力男神を降ろせば鬼であろうが英傑であろうが腕力で勝てる。天目一箇神を降ろせば最高の鍛冶屋となり、田道間守を降ろせばとても美味しいお菓子をつくれる。彼女と対峙するということ、八百万の神々を敵に回すと同意義である。またその気になれば八百万の神々の一柱である八坂神奈子や事実上の上司にあたる「月夜見」すら使役できる可能性がある。この万能さ加減が「依姫無双」と呼ばれてチート扱いされる所以である。

性格

姉と比べ、非常に生真面目。プライドも高いようだ。戦いの際には油断せず余裕を持つ事を心がけているという。

彼女から訓練されているレイセンは「稽古は厳しい」「怠けていたりするときついお仕置きが待っている」と述べている。(ただし作中ではサボりを追求せず見逃しており、客観的に見て玉兎の訓練はかなりゆるい。)

誰に対しても、基本的には丁寧口調で話す。月人としての誇りはあるが霊夢ら地上人を露骨に見下したり嫌悪しているような様子は無い。

師匠である永琳には特別尊敬の念を抱いており、「常に危機感を持ち八意様の意思を継いで月の都で役に立とうと考えている」(レイセン談)ようだ。一方で永琳の手紙が届いた時は頬を赤らめ「わくわく」しながら読み始める少女らしい一面を覗かせた。ちなみに当の永琳からは「非常に頭が切れ、私の言う事を何でも吸収していった」と高い評価を得ている。良かったね。

東方儚月抄で霧雨魔理沙が提示した勝負が終わった後、霊夢は依姫の疑いを晴らすために月へ残ったが、その際、酒を飲んだ霊夢が調子にのって地上でのことを話した時、かなり興味がある様子だったことから、地上に少なからず関心があると見られる。

活躍

漫画版

何者か（霊夢）が勝手に神様を呼び出して使役しており、そのせいで神降ろしの能力を持つ依姫に謀反の疑いが掛かっていた。そんな中、永琳の手紙を持ったレイセンが現れ、地上（幻想郷）の者たちが月にやって来ると知らされる。

中巻にて事前に永琳から「豊かの海にやって来る者たちがいる」と知らされていたこともあり、玉兎たちを率いて待ち伏せをする。咲夜の時間停止で背後を取られるが愛宕の炎で振り払い、地面から伸びる無数の刃で霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜を包囲する。

魔理沙から降参を告げられ「本気で月に攻め込みたがっているのはレミリア1人。弾幕勝負で負けたら大人しく帰る。勝っても手土産をくれればいい」と言われ、無用な血が流れないならと受け入れる。

当然、幻想郷のルールである弾幕勝負のことは知らないので事前に説明を聞き、まずは咲夜と対決する。

やはり時間停止そのものはどうにもならなかったが、金属を操る神・金山彦命を宿すことで咲夜の無数のナイフをそのままお返しする。更には火雷神の炎で包囲し、時間を止めても逃げられない圧倒的な手数で咲夜を降参させた。

ちなみに依姫は、昨夜の能力を“瞬間移動”だと思い込んでいた。咲夜の衣服にダメージがあったことから「物体を透過して移動は出来ない」と見てこの作戦を行った。

魔理沙との戦いでは天津甕星で弾幕を停止させ、刀一本で処理する。更にはファイナルスパークを斬り裂いて無効化。続けて放たれたダブルスパークも1つ目は斬撃で、2つ目は石凝姥命の鏡で反射させることで破った。手詰まりとなった魔理沙は「もう煙も出ねぇぜ」と降参した。

レミリアとの戦いでは猛スピードによる体当たりを繰り返されて余裕を失くす。しかしレミリアが吸血鬼は日光に弱いと口走ったことで弱点に気づき、体当たりに対するカウンターとして天照大御神の光を浴びせて勝利する。

実は依姫がダメージを受けたのはこの戦いのみである。

最後は霊夢と対決。戦闘描写すら省いた圧倒的な強さで霊夢に膝を突かせる。しかし大禍津日（オオマガツミ）の厄災に塗れた符で逆襲される。大禍津日の符を放っておけば月に寿命が訪れる。そうならないためには霊夢の弾幕を全て潰さなくてはいけない。

“回避する”という選択肢が潰されたことで疲弊するが、霊夢の方も参ってきており「キリがないわね。わざと負けようかしら」と生意気な弱音を吐く。

その瞬間、依姫は伊豆能売をその身に下ろすことによって穢れの弾幕を一気に浄化。既に疲弊しきっていた霊夢の首筋に刃を押し付け降参させた。

依姫は霊夢以外の者たちを地上に返し、月の都のあちこちで霊夢に神降ろしをさせて「自分以外にも神を降ろせる」ことを示して嫌疑を晴らして回った。

4コマ版では

下巻にて豊姫と地上を訪れ、その訪問理由について最初は「一人だとお姉様がいつまでも戻ってこないだろうから」と述べていたものの最終的には「だってお姉様だけ八意様に会うとかずるいじゃないですか」と白状した。ツンデレだろうか。

強さ故に怖いものなど無さそうだが、4コマでは都に亡霊の噂（潜入していた幽々子の事）が流れた頃に、亡霊の真似をした豊姫に寝込みを襲われ盛大に驚いたよう。(日常ではややイジられ役の様子?)

また稽古の準備運動がフルマラソンだったり、レイセン達に出した「開かぬ扉を開けろ」という課題では正解が「力ずく」だったりと、天然なのか苛めなのか分からない行動もとっていた。またシメの手合わせにおいて二人をノシた後、てゐが掘って放置されていた落とし穴に引っかかってノビていた。···やっぱり天然かもしれない。

他キャラとの関わり

綿月豊姫

姉であり、最大の理解者。姉の桃の食べ過ぎを心配したり、運動不足を諌めたりしつつも、互いに信頼しているようだ。彼女の前では妹らしく弱い表情も覗かせることも。

八意永琳

元上司かつ師匠であり、逃亡した現在も尊敬する相手である。前述のように、彼女が関わるとかなり態度が緩む。

レイセン

ペット兼部下。永琳の手紙を持って来訪した彼女に兵士の役を与え、屋敷に住まわせた。「才能はイマイチ」と評価している。儚月抄では自分の代理として永琳に文書を届ける任務を任せた。

鈴仙・優曇華院・イナバ

元ペット兼元部下。「才能がある」と評価していた。連れ戻すには時効だとしているが、4コマ版で再会した時にはレイセン共々稽古をつけ直してみたりしていた。

モブ玉兎達

部下。厳しく指導しているが、怠け癖には手を焼いているよう。レミリアに怯えて逃げ出した彼女達に対し「圧倒的に実戦経験不足···」と嘆いている。

博麗霊夢

事件後霊夢は依姫の疑いを晴らす為に残り、月で神降ろしを披露して回ったりして数日一緒に過ごした。その際、投げ込まれた小銭を拾おうとした霊夢を咎めたり、食事の時に物を口に含みながら喋った霊夢を叱ったりと、妹キャラでありながら姉のような態度を取っていた。

霊夢にも綿月姉妹は強く印象に残ったようで、以降も月を連想する際にはそのイメージとして二人の姿が登場している。

二次創作

主に姉の豊姫や師匠である永琳と絡む。短い間ではあるが共に過ごした霊夢とのカップリングも存在している（依霊）。紺珠伝で登場したサグメとの関係が描かれることも。

また、元ネタで姉の息子(甥)と結婚している事からショタ好き属性が付く事も。

「高貴な身分」「剣士」「生真面目」といった要素が揃っているためか、擬似的な姫騎士属性を見出される事があり、それ系の需要も一部では発生している模様。

戦闘が絡む場合は能力を存分に発揮し、日本の神に留まらずあらゆる神を降ろす。

日常ものの二次創作においてはイジられ役比重がやや高め。真面目キャラの宿命か。

ちなみにファンからのあだ名は「よっちゃん｣。イカは関係ない、はずなのだが豊姫がサメ属性を持っているのでイカネタも多い。

備考

新しいキャラクターが、既存の人気キャラクターを圧倒的な実力差で返り討ちにした一連の展開は依姫無双と呼ばれて語り草となった。「フェムトファイバー」や「紫土下座」と並んで儚月抄に対する評価が分かれる一因となっている。とは言え、儚月抄作中の出来事は依姫（と豊姫）が月の都に起こった「異変」を「解決する側」であった事に加えて、本編中に霊夢や魔理沙が述べたようにある意味霊夢達が「悪い」側ではあった為、話の流れとしては仕方ない事でもあるのだが（依姫自機説）。

またいくら依姫が強いとはいえ、咲夜の時間停止とレミリアの超スピードには初見で対応が出来ておらず、二人に殺意があれば大きなダメージを受けていたのは想像に難くない。無敗だが決して無敵ではない。

東方求聞口授にて、神主直々にチートキャラだと言われてしまった。ゲーム媒体だと彼女の強さを表現できないために漫画にしか登場しないのだとか。現在は月人より遥かに強いとされる純狐やへカーティア・ラピスラズリが登場したため、ゲーム実装の可能性もゼロでは無いかもしれない。