東方花映塚の紹介においてはリリカの表記された能力はこちらであったが、東方妖々夢においては手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力であった。
幻想の音とは、自然に無い、外の世界で死を迎えて失われた音の幽霊の事である。リリカは独自にこれらの音を「音ネタ」として集め、扱っている。
姉達の奏でる鬱の音と躁の音を纏め、調整する効果がある。姉達の音が精神に影響大であるにもかかわらず、三姉妹での演奏には付加効果が無く聴きやすいものになるのはこのおかげである。
なお、単体では特に精神に影響などは無く、精神に直接響く姉達の音と違い普通に耳から聞こえてくる音であり、安心して聞ける。ただし、精神に影響を及ぼさないと言う事は音そのものには心に響くものがないという事でもあり、それ故にグリモワールオブマリサでは霧雨魔理沙に「演奏はつまらない、技術は高いが心に響かない」とまで言われている。
その為、ゲームにおいては、マッチモード勝利時に相手の負け立ち絵が強制的に変化するという特殊演出がある姉達とは異なり、特に勝利時特別演出などは無い。
文花帖のリリカへのインタビューによると、「騒がしさは生き物の音で想い・感情・躁鬱の音であり、姉さん達は感情の起伏(躁/鬱の感情と思われる)を、私は残った想いを曲にする」そうだ。つまり共に音の幽霊であるルナサの鬱の音、メルランの躁の音は感情のみの音の幽霊で、リリカの音は想いのみの音であり、それを併せる事で感情と想いが伴って耳触りのいい音になる、という事だと思われる。
精神への影響がないのも感情が含まれない想いのみの音であるからと考えられる。
また、姉達の音と違って耳から聞こえるのも「外の世界で死を迎えこの世から亡くなり幻想になった音」の「幽霊」である為に「幻想になった音が、更に幽霊になったもの」という、「逆転の逆転」のような事が起こっている事が原因かもしれない。
東方花映塚においてリリカは「音ネタ集め」を行っているが、その際に探していた音・見つけた音は、天狗の風切り音、桜の音、「ぎゃふん」の音、キノコの成長する音、兎の飛び跳ねる音(「ぴょん」という音)、硬貨のジャラジャラ音、説教の音、などと多岐に渡る。
これだけ見ても判る様にキーボードが全く関係ない音が殆どであり、実際にキーボードは幻想のようなもの、且つ音の幽霊の象徴でしかなく、聞いた事が無い音が殆どであるという。また、非常に純度が高く音程がはっきりしている音が多かったり、癖の無い音が多かったりもするらしい。要は「幻想入りした音を編集して再生するための道具」がリリカのキーボード(≒シンセサイザー)だと言える。