妖精大戦争とは、東方Project第12.8弾の作品タイトル。正しくは「妖精大戦争 ~ 東方三月精」。
概要
東の国の妖精おままごとシューティング
立ち絵イラスト担当は比良坂真琴。
通常のシューティングではなく、「チルノが、避けるはずの弾幕を凍らせて進む爽快ゲーム」。
人間より弱いという設定の妖精がそこらの妖怪より激しい弾幕攻撃を仕掛けてくるが、神主曰く、これは同じく弱い存在であるチルノの主観から見た光景であるため激しく見えるだけらしい。
システムは花映塚に似ている。「のーまる」(Normal)は他より厳しめ。「かんたん」(Easy)ならパターンを組まずともクリアはそう遠くない。ただし前述のとおりEasyがEasyに見えない弾幕を相手にするため、アイスバリアをそれなりに使えることが前提。
2010年に開催されたC78で完成版領布、同年9月3日に委託開始。
この作品のオープニングストーリーを描いた同名の読み切りが東方三月精第二部二巻に載っている。
ストーリー概要
或る年の正月、妖精達が一致団結して大きな戦争を起こすという初夢を見たサニーミルクはそれを正夢にすべくルナチャイルド・スターサファイアと共に他の妖精を力でねじ伏せ従わせるべく強さを見せつけて回ることにした。
その最中に住処のかまくらを破壊されたチルノは、怒って三妖精達に宣戦布告を返すも他に用事があったことを思い出し、放置して忘れてしまう。
それから数ヶ月過ぎ雪がとけ桜が咲いた頃、チルノはようやく宣戦布告を思い出し三妖精に攻撃を仕掛けるのだった。
システム
他の作品にみられない独特なシステムが多い。
アイスバリア
本作品の最も要となるシステムであり、これを使いこなすことがクリアの上で必須となる。
ショットキーを一定時間押し続けるとチルノがパワーを貯め始め、ショットボタンを放すことで目の前に氷のバリアを張る。
このバリアに当たった敵の弾は凍りつき一定時間後に消滅する。さらに凍った弾に他の弾が当たると連鎖的に凍り付く。弾が消滅する際、通常ショットよりも高威力の攻撃判定が発生するため、特にボスなどでは大きなダメージを与えられる。
ただし、炎弾は凍らせることができず、また凍った弾幕にレーザー弾が当たると破片として小さい弾が飛び散るため注意が必要である。
本作品ではこのアイスバリアを前提としているためか低難易度であっても従来作品より弾幕密度が濃く(特に難易度はーど(Hard)・狂おしい(Lunatic)ではすべての敵が被弾時に大量の撃ち返し弾を放つ)、また弾を凍らせることが残機やショットのレベル、ボムの利用回数にも直結するため、出し惜しみはかえってクリアを難しくしてしまう。
ただし連発することはできず、へたに乱発するとここぞというときにアイスバリアが使えず詰んでしまうことがあるため、積極的かつ慎重な使用が求められ、これも本作品の難易度が高い原因の一つになっている。
こおりパワー
チルノの頭上付近に表示されるアイスバリアを使用するために必要なパワー。
%で表され最大値は100%で、この数値が大きいほどアイスバリアの持続時間が延びる。また、30%以下だとアイスバリアが使用できない。
アイスバリアを使用すると0%となり、アイスバリアの連続使用ができないようになっている。
ただし、時間とともに自然増加するほか、低速移動する、グレイズする、敵に弾を撃ち込む、倒すなどですぐ回復し、場面によっては連発が可能である。
パーフェクトフリーズ
チルノの代表的スペルカードにして本作におけるボム。%で表され最大300%まで増加する。
発動すると画面内の全弾幕を凍結させる。この際、通常のアイスバリアでは凍らない炎弾まで凍結する。
敵弾を凍結させると増加し、100%ごとに一回パーフェクトフリーズを発動させることができる。
ボムボタンを押してから発動までにずれがあるため、使い方にはコツが要る。
こおらせた面積
アイスバリアを使用するたびに、プレイ画面全体に占めるアイスバリアにより凍らせた敵弾の面積の割合が表示され、この「こおらせた面積」の数値に数値が加算されていく。
この数値によってチルノの通常ショットのレベルが1~MAX(16)まで増加しより強力になっていく。(Easyなら2000%、Normal以上は3000%でレベルMAX)
やる気
本作における残機表示。%で表され最大1000%まで増加する。
1ミスするごとに100%ずつ減少し、やる気が100%未満の状態でミスするとゲームオーバーとなる。
敵にダメージを与えたり敵弾を凍結させることにより増加するため、従来のシリーズよりもエクステンドしやすいが、前述のとおり弾幕密度が濃く難易度が高いうえ、直接やる気を削ぐ攻撃も存在するためすぐにやる気が尽きてしまうケースが多い。
ステージ選択
従来作品とは異なり、本作品では全3ステージの攻略順序を任意に変更できる。またステージの選んだ順番によりエンディングも変化する。
(全部で3×2=6パターン。また、EXステージ出現条件はこの全エンディングを見ることである)
- ステージを選んだ順ととルート名
ルート | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
---|---|---|---|
A1 | 魔法の森 | 霧の湖 | 春の小径 |
A2 | 魔法の森 | 春の小径 | 霧の湖 |
B1 | 霧の湖 | 魔法の森 | 春の小径 |
B2 | 霧の湖 | 春の小径 | 魔法の森 |
C1 | 春の小径 | 魔法の森 | 霧の湖 |
C2 | 春の小径 | 霧の湖 | 魔法の森 |
ステージ番号の表現の仕方については、たとえばA1ルートなら1番目から順に A-1、A1-2、A1-3となる。
BGMはステージ固定ではなく選んだ順番で決定され、後に選んだステージに行くにつれ時刻が昼→夕方→夜となり、背景もそれを反映したものに差し替えられる演出がある。
ステージの内容は、選んだ順番に応じてステージ共通で
- 1番目のステージ:敵は通常弾しか撃たない
- 2番目のステージ:炎弾も撃ってくるようになる
- 3番目のステージ:レーザー攻撃がある
という風に変化し、ボスのスペルカードも変化する。
また、各ステージには中ボスが存在するが、3番目のステージとして選んだステージには中ボスの代わりにそのステージ本来のボス(三妖精のうちの一人)が登場し、ボスとして三妖精が全員登場する。
その他
他にも、ボスの体力ゲージがボスの周囲に円状で表示されたり、会話シーンではキャラクターの絵がステージ枠からはみ出て台詞が吹き出し形状になるといった、後の整数作品に繋がる変更点が見られる。
登場キャラクター
本作には新キャラとして登場したキャラクターは書籍版も含めれば存在せず、すべて既存キャラである。
これは東方文花帖以来実に約5年ぶりである。
チルノ
本作の主人公にして自機。
これまで花映塚や非想天則などでプレイヤーキャラとして扱えることはあったが、ついに文花帖での文に続く、単独主役の座を射止めた。
リリーホワイト
魔法の森の中ボスとして登場。
また、春の小径の中ボスにていわゆるリリーブラックとしても登場。
発売当初はこのリリーブラックの出現により、二次設定上の存在でしかなかったリリーブラックが公式に認められたのかと話題になったが、後に神主本人が「裁判官のコスプレをしているだけ」と発言したため、同一人物であることが確定した。(詳細はリリーブラックの項目参照)
大妖精
霧の湖の中ボスとして登場。
二次創作ではチルノの親友(あるいはそれ以上の存在)として描かれることの多いキャラであるが、特に会話などがあるわけでもなく、普通にチルノを攻撃してくる。
なお、EXステージの中ボスとしてリリーホワイトと大妖精が二人同時に登場する。
サニーミルク
ステージB-1(霧の湖)、A2-2(春の小径)、C1-2(魔法の森)のボス、ならびにA1-3(春の小径)、C2-3(魔法の森)の中ボスとして登場。
三妖精中の最強を称し、チルノに自らの傘下に入って人間を攻撃するよう力でねじ伏せようとする。
ステージC2-3では中ボスとして戦ってから、ボスとして再び会うまでの間にチルノに名前を忘れられていた。
ルナチャイルド
ステージA-1(魔法の森)、B2-2(春の小径)、C2-2(霧の湖)のボス、ならびにB1-3(春の小径)、C1-2(霧の湖)の中ボスとして登場。
三人の中では比較的冷静にチルノに対して話しかけている。また、他の三妖精にツッコミを入れたりもする。
3ステージ目(夜)で登場した際には「夜は私の天下」と宣言しているが、他の二人に比べて格段に難しいというわけでもない。
スターサファイア
ステージC-1(春の小径)、A1-2(霧の湖)、B1-2(魔法の森)のボス、ならびにA2-3(霧の湖)、B2-3(魔法の森)の中ボスとして登場。
チルノに対して人間を攻撃するために協力するよう勧誘するが、まったく話がかみ合わなかった。
他の三妖精よりも力を合わせて戦うことを意識した発言が目立つ。
また3ステージ目の最後には三妖精全員が力を合わせてボスとして登場する
この際、3ステージ目の中ボスであったキャラが中心となり攻撃してくる。中心のキャラ以外も体力ゲージがあるが、中心キャラを倒さなければボスを倒したことにはならない。
霧雨魔理沙
EXステージ(夜桜怪道)ボスとして登場。
文にけしかけられたチルノに宴会の帰りに襲われたため遊んでやることにしたという流れで対決。
お遊びの魔理沙に対しチルノは全力で戦ったため、戦闘後は勝ったはずのチルノがヘロヘロになっていた。
魔理沙は相手がチルノ(妖精)であることから手加減して弾幕ごっこをしているため、彼女が放つマスタースパークのような光線に当たっても、やる気が減るだけでミスにはならない。ただし、光線に当たっている間はかなりのスピードでやる気が減っていくため、油断しているとすぐにやる気が100%未満になり被弾即ゲームオーバーの状態に陥ってしまう。
この光線はアイスバリアや凍った弾幕によって影を作るように遮断することができる為、うまく光線から隠れるように立ち回ることが重要となる。逆にやる気0になるのを覚悟で光線を無視してほかの弾幕を避けるという戦法を選ぶことも可能である。
また、The Grimoire of Marisaにて奴隷タイプスペルカード(ビット等に攻撃させるタイプのスペカ)を研究したいと述べていた関係か、灰色の大きな球体ビットを使ったスペルカードを披露している。
博麗霊夢
今作では一部ルートのエンディングのみに登場する。
射命丸文
霊夢と同じく、一部ルートのエンディングのみに登場。
チルノに魔理沙の所へ行くように促した張本人。
BGM
番号 | 曲名 | 備考 |
---|---|---|
1 | 春の氷精 | タイトル |
2 | 可愛い大戦争のリフレーン | 1番目のステージ道中 |
3 | いたずらに命をかけて | 1,2番目のステージボス |
4 | 年中夢中の好奇心 | 2番目のステージ道中 |
5 | 真夜中のフェアリーダンス | 3番目のステージ道中 |
6 | 妖精大戦争 ~ Faily Wars | 3番目のステージボス |
7 | ルーズレイン | EXステージ道中 |
8 | メイガスナイト | EXステージボス |
9 | 春の氷精 -静- | エンディング |
10 | プレイヤーズスコア | プレイヤーズスコア |
ちなみにメイガスナイトはMUSIC ROOMでのコメント曰く「魔女達の舞踏会のアレンジのつもり」であったそうだが、それとは裏腹にまったく別の曲になっている。
また風神録から一貫して同じであったプレイヤーズスコアのBGMは「ゲームに合わせて少しだけかるーくしました」とあるよう若干のアレンジが加えられており、後の整数作品(東方神霊廟、東方輝針城)でもこれと同一になっている。