ゼロ(ロックマン)
ぜろ
概要
イレギュラーハンター第0特殊部隊隊長。エックスの先輩でもあり、無二の親友でもある。
しかし、その正体は、Dr.ワイリーが作成した最後のワイリーナンバーズ(通称:DWN)である。
ゼロの出生
ゼロの制作者は初代ロックマンシリーズに登場したアルバート・W・ワイリーである。
型式番号は「Dr.w LAST No」もしくは「DR.W.NO∞」。
なお、エックス同様にワイリーが初代シリーズ本編のどの時期からゼロの開発を始めたかは不明であり、フォルテはゼロ開発中に誕生した技術を用いて制作した実験機であるようで、少なくともフォルテ完成以前に構想はあったようである。
ゼロの設計図を見たフォルテに「髪の長い女みたいなロボット」と嘲られていたが、Dr.ワイリーが何の為に金色の長髪を取り付けたのかは不明。
全ての始まり
Dr.ワイリーの代名詞ともいえるドクロマークが描かれたカプセルから目覚めたことから、ゼロが起動した場所は廃墟となったDr.ワイリーの研究所跡地と思われる。発見された当初、ゼロは周囲を見境なく攻撃する残忍なイレギュラーであり、ゼロの処理のために出撃したのであろうイレギュラーハンターのガルマの部隊を全滅に追い遣っている。
そこでゼロの対処をする事になったのは、当時としては最高の能力を有し、なおかつDr.ケインによって最初に生み出されたレプリロイドであり、イレギュラーハンター第17精鋭部隊の隊長を務めていたシグマである。戦いは当初シグマが優勢に思われたが、攻撃を受けても全くダメージを受けないどころか不気味な笑みを浮かべるゼロに対し、シグマは次第に焦りを見せ始める。実は劣勢に見えたゼロはラーニングシステムによりシグマの動きをインプットしていただけであり、インプット完了後、シグマの片腕を引き千切り形勢逆転した。その後シグマは「恐怖に歪んだ」表情を浮かべ破壊寸前まで甚振る様に攻撃される。このときゼロは奇声に近い笑いを上げ破壊そのものを楽しんでいた。その姿はまるで、後述の「ロックマンゼロ」のメシアを象徴する「オメガ」のようであった。しかし突如、額のゼットブレインに浮かび上がる「W」(ワイリー)のマークの反応によって苦しみ出したゼロは、その隙を突いたシグマの渾身の一撃によって額にダメージを負い、機能停止に陥る。この戦闘のとき、両者はゼロの体内に搭載されていたウイルス(ロボット破壊プログラム)に感染した。
シグマに感染したウイルスは、やがてシグマの内部で独自の進化を遂げ、最終的にはより進化した形態と言えるシグマウイルスとなる。しかしその一方、ゼロは高いウイルス耐性を持っていたため悪影響やウイルスの増殖はなかったが、感染の影響なのか性格が逆転する。その後ゼロはイレギュラーハンター本部に回収され、Dr.ケインによって綿密な検査が行われる事になる。意識を取り戻した肝心のゼロ本人は、暴れていた当時の記憶を失っており、それまでとは別人の様に大人しくなっていた。
ゼロの高い潜在能力を見込んでいたシグマは、監視も兼ねて、彼を自らの指揮する第17精鋭部隊にイレギュラーハンターとして配属させる事にした。配属先で数々の功績を上げたゼロは、特A級ハンタークラスにまで上り詰め、新米ハンターとして同じく第17精鋭部隊に入隊したエックスの良き先輩であり無二の友にもなる。エックスの甘過ぎる行動には度々呆れていたものの、内心では彼を認めており、自らと同等かそれ以上である高い潜在能力の存在にも逸早く気付いていた。
Xシリーズのゼロ
ロックマンXまではエックス(もしくはロックマン)に近いボディの形状をしていたが、同作にて大破し、次回作であるロックマンX2で復活した(復活後、第0特殊部隊隊長へと栄転した)際、武器の追加、アーマーが鋭角化など、アーマーによるモデルチェンジのない彼にとってほぼ唯一の大幅なデザイン変更がなされる。この追加装備は、ゼロを修復したサーゲスによるものである。ゼロには「ゼットブレイン(額の逆三角形のレンズ)」と「ゼットハート(胸の半球形のレンズ)」という機構が設けられているが、それらがどのような機能を有しているかは明かされていない。また普段は外郭で隠れていて見えないが、胸にワイリーマークが刻まれている。
サーゲスによって復活した際にエックスとの戦いにおいて、トリプルチャージをノンチャージで放つという離れ技をやってのけた。
かつての残忍で凶悪な破壊者としてのゼロと、エックスの親友としてのゼロの性格はまるきり別人であり、以後のシリーズでも二重人格的な扱いとなる。エックスの親友としてのゼロの性格はエックス以上に強烈に悪を憎み、悪(イレギュラー)には僅かの慈悲も無い。普段は極めて冷静沈着かつクールで、感情を殆ど介さずに任務を遂行するが、根は少々短気かつガサツでとても熱い性格。しかし、かつての記憶が戻り始め、戦友のカーネルや自身に好意を寄せるアイリスを自身の手で葬らざるを得なかったロックマンX4より、彼にとってのイレギュラーという存在の定義そのものや自身の危険性の認識と共に激しく揺らいでいく事になる。その為ロックマンX4の直後であるロックマンX5では迷う描写が見られ、ルートによっては自分自身を葬る事になる。生き残ったルートにおいても、その後のシリーズでは自分の引き際を考えている節がある。自らがかつてイレギュラーであり、場合によってはその中心となる存在であるということについて本人は激しく嫌悪しているようで、イレギュラーという存在に対する嫌悪はエックスやアクセルよりも強く、言葉のところどころにそれが現れている。
なお、恋愛には凄まじく疎い。ゼロに想いを寄せる女性型レプリロイドが多く存在する(アイリスやレイヤー)ようだが、アイリスは自身が殺した事により死亡し、それ以外は結局破談させてしまっている。
ロクゼロ時代のゼロ
『ロックマンゼロシリーズ』では当初シグマウィルス研究所に封印されており、ゼロの伝説に頼りやってきたシエルによって目覚めさせられる。そしてシエルらレジスタンスとともにネオ・アルカディアと闘っていくことになる。長い封印の影響(というよりサイバーエルフによる強引な覚醒の影響)で、目覚めたゼロは過去の記憶を失っており、そのためか『ロックマンXシリーズ』における「熱い」部分は影を潜め、初期設定のクールで感情を余り感じさせない性格で登場する。尤も人から物事を頼まれると嫌とは言えなくなっていたり、子供に好かれていたり、丸くなっている部分もある。またシリーズを重ねシエル達と共に過ごす時間が長くなるにつれ徐々に熱い部分も見せていった。また、自分の信じた者(エックスやシエル)の為に自分の力を貸すという事を戦う理由としており、『ロックマンXシリーズ』後半に見られた様な迷いはほとんど見せなくなる。特に『ロックマンゼロ』のエンディングおよび『ロックマンゼロ4』最終決戦時に放った「オレは悩まない」の台詞が迷いを持たないゼロの姿を率直に表している。なお、本シリーズではボディのデザインが一新されているが、これは『ロックマンXシリーズ』との世界観が違うためであり、開発者いわく本来の外見は変わっていないそうである。ただしイレギュラー時代から封印に至るまでのバックグラウンドはロックマン『Xシリーズ』のそれと異なる(というより明確な理由がゲーム中存在しない)。
一応繋がりはロックマンX5のゼロ封印ENDからであり、その後に妖精戦争などが起きたものとされている、なので設定上ならばバイルはロックマンXの時代にもいることになっている
『ロックマンゼロ3』の終盤で『ゼロシリーズ』におけるゼロの体はオリジナルゼロのコピーである(コピーボディにメモリーが移されていた)事が明かされる(記憶を失いつつも思い出しているのはそのせい)。 「オメガ」となったかつての自分との激闘の末、オリジナルボディを己の手で破壊し、「ゼロ」という破壊神に別れを告げる。
『ロックマンゼロ4』におけるバイルとの最終決戦でラグナロク落下を食い止めた後、崩壊するラグナロクと運命を共にし消息不明となる。ラグナロク落下阻止作戦後、残っていたのはヘルメットのみだったがシエルを含めゼロを想うものは彼の生存を信じて疑わなかった。そしてシエルはゼロの意思を受け継ぐことになる。
失われた記憶は断片的にしか蘇らず、結局すべての記憶は最後まで戻ることはなかったがそれでもゼロは最後まで自分の信じる者のために戦い続けた。
なお、『ロックマンゼロシリーズ』に登場する殆どの敵ボスおよびザコ敵はネオ・アルカディア各軍所属の正常なレプリロイドであるため、彼らを多数破壊しているゼロはイレギュラーであるといえる。 ただしこの時代におけるイレギュラーの定義は極めて曖昧であり、暴走したレプリロイドというよりもネオ・アルカディアの反逆者という意味合いが強いが、どちらにせよイレギュラーに認定されてもおかしくはない。
『ロックマンゼロシリーズ』ではゼロの性格が変化したことに関する設定が『ロックマンXシリーズ』のものと若干異なり、ゼロはシグマとの戦闘で「未知のコンピュータウィルス」に感染し、結果性格が反転したとされている。 また、ゼロは完成当初手が付けられないほど凶暴だったことから製作者であるDr.ワイリー自身の手によって封印が施された。 『ロックマンゼロシリーズ』ではロボット破壊プログラムの設定が半ば消えており、イレギュラー発生の原因やゼロに施されていたプログラムなどは「未知のコンピュータウィルス」ということになっている。
まぁアルカディアにデータとして資料はあったのだろうが(実際にゼロがDWNのひとつであるような資料が背景に書かれている)、ゼロの時代のΣウィルスはオリジナルボディのオメガにしか存在していないので(妖精戦争時にレプリロイドは9割が破壊されたため他の感染し、戦闘に参加していたであろう個体は全て壊れていると思われる)、バイル共々追放した際に詳細データや関連性のあるデータをほとんど破棄したものと思われる(ゼロの認知度が異常にも無いのはきっとこのせいではないかと思われる)
それから100年近くたてば未知のコンピュータウィルス扱いになってもおかしくはない
ゼクス時代でのゼロ
意思を持つ金属片、ライブメタル・モデルZとして登場。適合者をロックマン・モデルZへと変身させる(但し、ライブメタルは英雄達のデータを入れたものであるため、ゼロであってゼロでないものと思われる)。
さらに、ライブメタル・モデル0としても登場する。
エグゼにおけるゼロ
『ロックマンエグゼ トランスミッション』で初登場。他のシリーズのゼロとは無関係であるが、電子機器やネットナビに感染し機能を著しく低下させ、そして進化を続けるウイルス、「ゼロウィルス」から偶発的に生まれた“心あるウイルス”として登場する。
元々は犯罪組織「WWW(ワールドスリー)」の首領であるDr.ワイリーが設計・開発、その後諸事情により凍結したゼロウイルスを彼の助手である「教授」が呼び覚まし、ネットワーク社会を混乱させる為にばら撒いたことが切っ掛けとなり生まれた。人(ネットナビ)の形を成してはいるが、その実態は全く異なる。
最初はただ存在するだけでゼロウイルスを産み増やすと言う凶悪なマザーウイルスであった。だが電脳世界に散らばったゼロウイルスから伝達される情報を蓄積していくうちに、何時の頃からか彼の中には人間達の言う“心”が生まれ、進化ともいえる変化を遂げた。心在るが故に自分の存在について悩み苦しみ、自身を「呪われたウイルス」「存在するだけで害悪を撒き散らす」とさえ皮肉る。『X』シリーズのゼロとは性格もまた異なり、心が芽生えて間もないせいか感情の起伏はあまり見られず、自身の耳目たるゼロウイルスが齎す様々な情報や知識を得てはいるもののそれが持つ意味や本質をあまり理解出来ていない。ウイルスでありながら凶暴性や残虐性は持ち合わせておらず、口調は厳格な戦士の風格を漂わせる。一人称は俺(オレ)。
『トランスミッション』にて事件を解決していく主人公、光熱斗&ロックマンと物語の終盤に自身が生まれた場所でもある「ゼロアカウント」エリアにて初めて遭遇し、対峙。ゼロウイルスにより会わずしてロックマン達の素性を知っていたゼロは、彼らを「電脳世界の平和を守る為に戦ってきた戦士」と評するも、まだ消え去るつもりは無いとしてロックマンを迎え討つ。しかしロックマン達の持つスペック以上の力、絆や友情の力に敗れ、感じたことのなかったその気持ちに理解を示し、潔く敗北を認める。また、「望んでウイルスに生まれたわけでは無い」「ただ自分が生まれ出た世界やそこで暮らす人々を知りたかった」とも語るが、ウイルスが消されるのは当然の結果であるとして自身のデリートを促す。だが直後に熱斗が事前に父、光祐一郎に渡し解析を依頼していたソースがワイリーの残したゼロの設計図だということが判明。ゼロの持つウイルスの生産力や感染力のみを封印させられる事が実現し、新たにネットナビとして生まれ変われた。
以降は教授がワイリーから引き継いだ野望、終末戦争(インターネット社会の滅亡)を阻止する為ロックマン達に協力。既に存在しているゼロウイルスの能力を駆使して現実世界の教授の居場所を突き止め、教授は逮捕され見事事件を解決させる。事件解決後、広大な電脳世界を見て回りたいという想いを示し、オフィシャル(警察に当たる機関)の監視付きながらも、光祐一郎にそれを許可される。最後にはロックマン達から「トモダチ」と言われ、奇妙に思いながらも親愛を交わし、再会を約束して“友”に別れを告げ、旅立っていった。
エグゼ版ゼロをデザインしたスタッフは、ゼロの雰囲気を残して如何にウイルスらしく、且つ外見や設定が似ている概存のキャラクター・ブルースと被らないようにするかにかなり苦労したという。デザイン面での主な特徴は、ウイルスであることを表現する為、顔が人間タイプでは無くフルフェイスの仮面の様になっている。これは同シリーズに登場し、かつ関連性のある「ドリームウイルス」に酷似している。ゼロの象徴とも言えるゼットセイバーは腕部が変形する形になっており、金髪の髪は束ねられた形ではなく平たく広がっている形状。
『Xシリーズ』のゼロをモチーフとしていることから使用する技もそれに似たものが殆どであり、主にゼットセイバーを用いた三段斬り、電刃、空中回転斬りなどを使用し体力が減ると特定のバトルチップ(技)を使わなければ絶対に避けられない「幻夢零」(即死攻撃ではないが大ダメージを受ける)も放ってくる。また、体力低下の際には「まだいける!」と『Xシリーズ』でお馴染みの台詞を言う。