『そして、すべてがゼロになる。』
概要
ロックマンゼロシリーズ四作目タイトルにして最終作。
2005年4月21日にGBA専用ソフトとして販売され、最終作である事を示すようにCMではゼロがホワイトアウトしていく演出が取られた。
前作が『ゼロ自身との決着』がテーマなら、本作は『ドクターバイルとの決着』や『人間とレプリロイドの関係性』を主眼に置いており、オリジナルエックスやネオ・アルカディア四天王が唯一登場しない作品である。
それまでの作品ではネオ・アルカディアへのテロもといレジスタンス活動が中心であったが、本作では『ロックマンX5』で墜落したユーラシア跡地に大自然が広がるエリア・ゼロ(残された環境維持システムの影響によるものらしい)を舞台にバイル率いるイレギュラー軍団と戦うというある意味で『X』シリーズに立ち返ったようなストーリーになっている。
のちにニンテンドーDS専用ソフト『ロックマンゼロコレクション』、ニンテンドースイッチ/Xbox one/steam/PS4専用ソフト『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』に再録されている。
公式サントラ『REMASTERED TRACKS ROCKMAN ZERO Physis』にはプロローグ、ネージュの救出、クラフトとの決着、最終決戦の様子がボイスドラマとして収録されている。
また、ブックレットとしてこの事件をルポライターのモンターニュの視点から振り返ったバイル事変が収録されている。
ストーリー
犠牲を払いながらもオメガを倒したゼロ達であったが未だにバイルはネオ・アルカディアに君臨し、逆らう者は人間であろうがレプリロイドであろうが構わずにイレギュラーとして処分・抹殺する暴政を敷いていた。
そんなネオ・アルカディアから脱走する人間やレプリロイドが出始めていき、ゼロ達レジスタンスはそんな者達を助ける為の活動をしていた。
そんな中で、荒廃した世界の中にあって唯一自然環境があるエリア・ゼロを目指そうとするキャラバンを助けたゼロ達。既にバイルはアインヘルヤル八闘士を繰り出してエリア・ゼロを狙ってラグナロク作戦を発動した。
これがロックマンゼロ最後の戦いの幕開けとなった…
特徴
ボイス収録が前作よりも更に徹底されていたり、シリーズ内で初のイージーモードが実装されている。
これまでロックマンシリーズではアクションを主軸に据える都合上、博士ポジションとその関係者しか人間が登場せず、人間とロボット(レプリロイド)の関係性がわかりにくかったが、本作ではキャラバンという形で一般人を登場させ、人間がレプリロイドにどのような思いを抱いているかが描かれるようになった。
ロックマンゼクスシリーズではそこから広げる形で一般市民の生活する様が描写されている。
新武器『ゼロナックル』により雑魚敵の武器やステージ上のオブジェクトを奪って使用できる/あるいはギミックを解除するというのが最大の特徴だが、前者はほぼおまけ要素のようなものであり、実戦に耐えうる武器はかなり少ない(アクスロイドの斧などぶっ壊れ性能の武器もあるにはある)。
奪える武器は斬撃武器の「セイバー」、飛び道具の「バスター」(弾が無限のタイプと残量が決まっているタイプがある)、長物系の「ロッド」、防御系の「シールド」、投擲武器の「ボム」で5種類(全ての武器を使ってクリアすると「ウェポンマスター」の称号が手に入る)。
この影響により、ロッド系の武器やシールドブーメランが廃止となった。
また、エレメントチップは廃止され、属性攻撃はEXスキルや敵から奪ったスキル依存に変更。一部ボス戦の難易度が高まっている。その一方でヘッド/ボディ/フットをカスタマイズするシステムは敵がドロップしたアイテムをラボで合成して装備アイテムに変換するという形でパワーアップした(ちなみにパーツを取得すると雑魚敵の名前がわかる仕組みとなっている)。
しかも、(相変わらずリザルトには響くが)サイバーエルフを使用しても死ぬ事はない。Eクリスタルによって7段階まで育成でき、ライフアップや援護射撃などの恩恵を得られる(ただし、ハードモードではエルフ自体が使用不能)。
何気に8大ボスに女性が導入された初の作品でもあり、これは『ロックマン9』のスプラッシュウーマンよりも早く、『ロックマンゼクス』シリーズでも続投されてボスの個性に深みを与えた。
動植物型レプリロイドに女性型が導入されるという試みは『コマンドミッション』でも見られた(8ボスではないが、ラフレシア型レプリロイドのラフレシアンがそれ)。
また、ステージセレクトは『ロックマン7』のような前後編分割方式ではなく、従来通りに8つのステージ全てを選ぶ事が可能(ただし、一定数ステージをクリアするとクラフト関連ミッションを自動選択する方式になっている)。
ステージセレクト時には天候変更システムが存在し、ステージのギミックやリザルトに影響する(ちなみに敵に有利な天候だとリザルトに関係なく、EXスキルを取得可能)。
雑魚敵方面ではパンテオンシリーズは登場せず、代わりにバリアントシリーズが登場している。
登場人物
主人公。
本作では何人かのレジスタンスメンバーと共に大型トレーラー(トランスサーバー付き)に乗り、バイルが率いる軍から人々を守る為に活動している。
元ネオ・アルカディアの科学者である少女。
ゼロ達と共に大型トレーラーに乗り、バイルの軍隊から人々を守る為に活動する。
人間の女性でジャーナリスト。現在は本業よりも、ネオ・アルカディアから脱走してきたキャラバンの人達を支援する活動に専念している。
過去に取材を行って以降、クラフトに好意を寄せている。
冒頭のナレーションはおそらくは彼女の視点によるものだと思われる。
アインヘルヤル八闘士を率いるレプリロイドの隊長。ネージュとは昔からの知り合いであり、真実を皆に伝えようとする彼女の生き方に感銘を受けている。しかし、その一方で「資源に乏しいこの時代を生き抜くには、バイルの支配を受けるしかない」とも考えている。
ネオ・アルカディアから脱走した彼女を探す為、ラグナロク作戦に参加している。
前作で表舞台に姿を現した狂気の科学者。人間とレプリロイドの双方を激しく憎悪している。
オメガを倒されたが、引き続きコピーエックス亡きネオ・アルカディアの現指導者として降臨しており、自身に反抗する者は誰であろうと処分するという独裁政治を行っている。
レジスタンスメンバー
本作ではレジスタンスベースを離れて大型トレーラーを本拠地としている為、他シリーズに比べて直接登場するメンバーは少なめ。
毎度お馴染みの新武器開発担当。
本作ではチップを組み込んだ拳型の武器『ゼロナックル』を開発した(何気にゼットセイバーの派生系ではない)。
毎度お馴染みレジスタンスの癒し担当。
本作ではサイバーエルフの飼育を担当している。
オペ子の髪が長い方。
データ分析や転送を行う。本作でのボイスは『転送』だけ。
ルージュの相方である金髪ショートヘアーのオペ子。
今回はレジスタンスベースに残っている。
毎度お馴染みロン毛の男性型レジスタンス団員で様々な情報をくれる。
ただし、あまり世界を廻れていないためまた廻るようになりたいと愚痴ることがあった。
本作ではサブタンクをくれるイベントがある。
特殊な形状のバスターショットで武装している男性型レジスタンス団員で、ゼロ3に登場した一般兵の同形機だと思われる人物。性格は礼儀正しく、話しかけるとゼロに武器が欲しいと言われて困惑した旨を語る。
毎度お馴染み一般兵代表でゴーグルを着用している。
ラグナロクからの砲撃を受けたネオ・アルカディア跡地で人々の救助を担当。イブー(太っちょ)やメナート(サボり魔)もコルボー同様に救助活動に勤しんでいる。
キャラバン
バイルの圧政に耐えられず、ネオ・アルカディアから逃げ出した人間達で安住の地を求めて自然が残るエリア・ゼロにやって来た。コピーエックスの正体を知らない為、ゼロが英雄エックスを倒したせいでバイルが政権を握る事になったと思っており、ゼロやレプリロイド達を憎んでいる。
そもそも、彼らが住んでいたネオ・アルカディアとは過去のイレギュラー戦争で故郷や自然を奪われて疲弊していた人間の保護区としての側面を持っている為、そうなってしまう原因を作ったレプリロイド達を憎んでしまうのは仕方のない話である(ミュートスレプリロイドがバイルによって改造されるなど、それまで人間を守る側であったレプリロイドが敵になってしまった事も一因か)。
やがてそんな自分たちの為に戦ってくれるゼロの姿を見て、レジスタンスに信頼を置くようになる。
名前のあるキャラクターは全て風に由来しているが、『ロックマンゼクス』の主人公もまた風に関連するワードが由来になっている。
過去に家族をレプリロイドに殺害されている為、レプリロイドを嫌っている。
名前はフランス語で疾風の意味。
荷物番。レプリロイドはエックスだけ信頼している。
名前はフランス語で大嵐の意味。
ネオ・アルカディアに残された仲間をエリア・ゼロに呼び寄せようと日々尽力している。
名前はイタリア語で竜巻の意味。
レプリロイドに敵意を持たない少女。
名前はフランス語でそよ風の意味。
幼い男の子。本作屈指の癒しキャラ。
両親はネオ・アルカディアにいる。レプリロイドにそこまで敵意を持っていない純朴な性格であり、ゼロの事を兄のように慕う。ゼロに仲間たちが助けられた際には素直に感謝していた。
名前はギリシャ神話に登場する怪物のティフォンから(フランス語では台風の意味)。
ボス
アインヘルヤル八闘士と呼ばれるレプリロイド達。クラフトによって指揮されている。
- 天翔ける神槍ペガソルタ・エクレール(CV:渋谷茂)
- 熱愛の蝶姫ソル・ティターニャン(CV:中島沙樹)
- 凍月軍狼フェンリー・ルナエッジ(CV:柿原徹也)
- 崩蝕の樹婦人ノービル・マンドラゴ(CV:鷹村遊)
- 双極の角頭王ミノ・マグナクス(CV:藤本たかひろ)
- 回天の死聖ヒート・ゲンブレム(CV:今村直樹)
- 深淵なる怪嘯テック・クラーケン(CV:古澤徹)
- 鶏眼なる賢蛇プープラ・コカペトリ(CV:西川幾雄)
その他のボス
- サブデザート・コア
荒谷のキャラバンステージに登場する。バイル軍の潜砂艦の動力部を司るゼロ1のパンテオン・コアのような敵。
ビームを発する能力を持つが、根元のコードをゼロナックルで引き剥がすと弱体化できる。
- カルネージ・フォース0
エリア・ゼロのボスである巨大メカニロイドで、ミサイルや光輪、鉄拳を武器に持つ。
ヒット判定は頭のみ。
『ロックマンX2』のCF-0のオマージュキャラではないかと思われるが、どちらかといえば初代ロックマンを思わせるフォルムをしている。
- ヘル・ザ・ジャイアント
『ロックマンX3』のマオー・ザ・ジャイアントの同形機と思われる巨大イレギュラー。
監獄ステージのボスで拳を使った力任せの攻撃が得意。ヒット判定が出るのは頭のみ。
牢獄から出して貰う事を条件にバイル軍に手を貸しているが、ゼロに倒されて崩れ去った。
- ランダム・バンダム
大型転送基地ボスであるセキュリティプログラム。
六角形のパネルをランダムに展開してバスターを撃ってくるが、赤いパネルを破壊すると紫色のXの字の意匠がある本体が現れてダメージを与えられる。しかし、光弾や体当たりを仕掛けるなど油断ならないボス。
名前の由来はもちろん『ロックマンX』に登場したランダバンダ。
- サイボール
転送回線の中のボス。これまでの中ボスとは異なり、サイバーエルフの技術を元に作られたプログラムデータである。
分裂攻撃、攻撃を受け止めてしまうスライム状の物体の射出、四方に浮かぶビット(破壊可能)や本体から放つビームや電撃で攻撃してくる。ゼロナックルでぶら下がれる足場があり、これを利用して攻撃を避けて行く事が攻略の肝となる。
名前の由来はそのまんまcyber+ball。
テーマ曲
公式サイトでのBGMはエリア・ゼロで使用された『Esperanto』(作曲は梅垣ルナ氏が担当)でオープニングステージの曲という事もあってシリーズファンに高い人気を誇り、アレンジ版や派生曲が多い。
EDテーマはシエル役の田中理恵氏が歌う『Freesia』で、後年ではセルフカバー版が公開されている。ただし、ゲーム中では容量の都合からか、一部しか収録されていない。
[Youtube:AY47KMNs4SI]
余談
過去作のオマージュ
本作には過去作の小ネタがそこかしこに見受けられるのが特徴。
- アバンに登場するロボットの設計図⇨初代ロックマン
- エリア・ゼロにあるスペースコロニーの残骸⇨ロックマンX5のスペースコロニー「ユーラシア」
- コールドスリープ施設にある鉄パイプ⇨ロックマンX4で目覚めたゼロがシグマとの戦いで使っていた武器
サイバーエルフの名前について
サイバーエルフの名前が1つのセーブデータにつき、1回だけ変更可能で授かる恩恵も異なる。
名前も命名者のキャラクター性を表したものとなっている。
- クロワール
アルエットが命名。
名前はフランス語で「信頼」の意。
ナースLv1、6効果で発生するライフエネルギーのドロップ時間が5秒短縮される。
- シャリテ
シエルがフランス語の「博愛」から命名(レプリロイドと人間の共存を望んでいるからか。でもそれにしてはこれまでのリザルトが辛辣なような…)。
アニマルLv3、4、5のダメージを+1する。
- ヴァリアブル
ルージュが命名。名前の由来は英語で「変動/変数」(ルージュがオペレーター職だからか)。
アニマルLv5のダメージを+5する。
- プログレス
セルヴォが命名。アニマルLv4のダメージを+2する。
名前は英語で「進歩」の意味(おそらく、セルヴォが技術者だからであろう)。
- ヌーヴェル
イロンデルが命名。ハッカーLv2で発揮できる斬り上げのダメージを+3する。
名前はフランス語で「ニュース」を意味し、転じてノベルの事を指す(おそらくイロンデルが情報屋担当だからかだろう)。
- ルクリュ
フォコンが命名。アニマルLv3のダメージを+2する。
名前の意味は英語で「世捨て人」…フォコンよ、何があった。
関連タグ
ロックマンゼロ3(前作)
ロックマンゼクス(時系列的に次回作となるシリーズ)