知っているかい?ゼロ。人間は今までにない程の繁栄を遂げ直した。
かつてキミや、オリジナルのエックスでさえ築く事のできなかった、真のパラダイスがこの世に誕生したんだ!
この……僕のおかげでね。
概要
CV:風間勇刀(ノンクレジット)
Xシリーズの主人公、エックスのDNAデータをコピーして作られたレプリロイド。ネオ・アルカディアの統治者である。
作中においてエックスのコピーである事は公表されておらず、この事実を知るのは極一部の者のみとなっている。
製作者はシエル。
外見は目が赤いことを除けばエックスその物ではあるが、人格はオリジナルとは正反対の全くの別物である。
オリジナルとは対照的に悩む事を知らず、高慢で独善的な性格を持つ。
この時代のオリジナルエックスは英雄と呼ばれている事もあり、自身を英雄と言い切る。
また、自らの行いを批判されるとすぐに激昂するなど、どこか幼稚な部分も垣間見られる。
恐らくこの幼稚な部分はシエルに造られてから接していたオリジナルエックスのことを知る極一部の者達(人間)の影響の可能性がある。
人間至上主義者でもあり、ゼロシリーズにおいてレプリロイド達が理不尽にイレギュラー認定をされ、一方的に虐殺され続けるという事態を引き起こすきっかけとなってしまっているが、その根底には過去の争乱と地球の荒廃によって枯渇しつつある燃料資源を完全に絶やさないためにも、レプリロイドの「間引き」の必要性に迫られたから、という事情もまた存在している。
この惨状を受け、シエルは(上からの命令だったとはいえ)コピーエックスを製作した責任を感じてレジスタンスとして決起することになった。
ゼロ1ではラスボスとして登場。
最終ステージの最深部に到達したゼロの前にネオ・アルカディア四天王の面々が(途中で討ち取られた一名を除いて)立ちはだかるも、そこにコピーエックスが現れ、「お前達が敵う相手ではない」と言い切って引き下がらせ、ゼロとの一対一の最終決戦に臨む、という流れ。
散々プレイヤーに高圧的な態度を示し続けた四天王達が、ロクに反論もできないまま立ち去っていく様子には、圧倒的な格の違いを感じさせられる。
当時「いくらコピーと言えど、よりにもよってゼロの手でエックスを倒さねばならない」というシチュエーションに衝撃を受けたXシリーズ経験者は多かったはず。
「無実のレプリロイドまでも大量に処理して得た平和か…お前もこの世界も、全て紛い物だな。」
「ふふ…君は僕の想像通り愉快な人だね、君のような人と楽しい時間を過ごせて本当によかったよ…じゃあ、そろそろ仕事を始めるとしますか。」
戦闘開始時に天使のような姿のアルテミットアーマーを装着して戦うが、ゼロに「弱いな」「本物はもっと強かった」と一蹴されてしまう。
実際(ゲーム的にも)弱い。
冷静に考えるとコピーエックスに実戦を積む機会があるのかと思うと、疑問が出てくる。
コピーエックスが出るということは四天王が敗北しているということでもあり、余程の敵でない限りハルピュイア達が遅れを取ると言うのは考えにくい(実際に続編でエルピス率いるレジスタンス強硬派による一斉攻撃をファントムを欠いた状態で難なく返り討ちにしており、リーダー格のハルピュイアに至っては不完全な状態であり、ゼロとの戦いでのダメージがあったとは言え他の四天王ではダメージすら与えられなかったオメガにも有効打を与えられる程の強さであるためそこらのレプリロイドでは手も足も出ないだろう)。
コピーエックス自身は己のスペック自体は把握していただろうが、経験の少ないコピーエックスの単調な攻撃は度重なる戦いを潜り抜けてきた本物の英雄であるゼロにとって何の脅威でもなかったのかもしれない。
激昂したコピーエックスは「シャイニング・トランスフォーム」を発動、更に強力な第二形態へ変形する。
頭頂部にエネルギーの光輪を戴き、六枚の巨大な翼、巨大な鉤爪と化した両腕、脚の無くなった下半身。
流れる戦闘BGMの名は「Fake」(偽物)。
禍々しくも神々しさを感じさせるコピーエックスの傲慢さを体現したようなその姿は、傷つき、迷いながらも人とレプリロイドの共存を信じ続け、希望であり続けたエックスとは程遠い姿であった。
天から全てを見下ろす大天使のような最終形態も結局ゼロには敵わず、その剣で天から地へと叩き落され、全身が無様に崩れ落ちる。
「な…なぜだ…完璧なるコピーのはずの、この…僕が…なぜ…こんな目に…僕は、英雄じゃ…なかったのか…?」
「今、少しだけ思い出した…あいつはお前みたいに単純な奴じゃない、いつも悩んでばかりの意気地なしだったさ…だからこそ奴は英雄になれたんだ。」
「お前だけは、許せん…道連れにして…や…。」
最後のあがきとして自爆でゼロ諸共地獄に堕ちようとするが、それもまた失敗し、命からがらネオ・アルカディアから脱出したゼロは、荒野にて目を覚ます。
…………すると、そこには…………といった所で、ゼロ1の戦いはひとまず終結したのだった。
尚、この戦いはロックマンX4の(エックス側の)エンディングにおいて、エックスがゼロに向けて言った「もし俺がイレギュラー化したら、君が倒してくれ」という口約束を(この当時のゼロは「馬鹿なことを言うな」と真に受けずに切り捨てていたが……)、ある意味では果たしたとも言えるのが、また皮肉である。
また、X7のゼロEDでも、ゼロは「イレギュラーを排除せよ…」としか言わないエックスにバスターを向けられるという悪夢を見ている。X7はゼロシリーズとは繋がりがないパラレルワールドだが、ゼロシリーズの予兆がX7でも起きているような描写となっている。
コピーエックスMK2
復活が不完全なようで、喋るときに「ギギ……」といった機械音が混じる。
無条件にバイルを信用するよう改造を施されており、これによってレプリロイドだけでなく人間までもが危険な状況に晒される態勢を作ってしまう。
その証拠にバイルに言われるがままダークエルフ入手のために、ダークエルフの逃亡先だったネオ・アルカディアの居住区エリアにオメガを乗せた巨大ミサイルを落下させるという暴挙を決行した。
人類を曲がりなりにも守っていたはずの自称正義の英雄が、守るべき人類にいい訳のしようのない殺戮を実行してしまったその姿はかつての『英雄エックスのコピーとしての彼』さえもそこに存在していなかった。
この時のコピーエックスはかつて本物のエックスが危惧していた『イレギュラー化した自分自身』の姿と言えるかもしれない。
ゼロ3では中間ボス的な立場で登場。
オープニングステージでは「今度は負けない」と言っていたことからバイルの手で復活させられた時に強化されたようで前々作のEXスキル「レイジングエクスチャージ」はランクに関係なく使うようになり、新たに反射レーザーを放つEXスキル「リフレクトレーザー」を使ってくるため一応の強化は感じられる。
ただし、再戦したゼロも前作での戦いと今回の戦いで前々作とは比べ物にならないくらいに強くなっていたので実力差は全く埋まっていなかった。
ゼロとの戦いで敗北後にオリジナルエックスに真相を告げられた事で激昂し、再び「シャイニング・トランスフォーム」を発動するものの、バイルに仕掛けられた罠により自爆するという最期を遂げる(この時オリジナルは罠の存在を見抜いており、コピーエックスに「いけない!」と呼び止めるのだが、その声が届くことは無かった……)。
この巧妙に仕組まれた「テロリストの襲撃による英雄エックスの討ち死に」によって、バイルは自らの手を汚すこと無くネオ・アルカディアの強制的な政権交代を引き起こし、新たなる支配者として君臨するのだった(仮にここでコピーエックスが勝っていたとしても、それならそれで彼を表に立たせる傀儡政治を継続すれば良いだけの話であり、つまりこの時のゼロはコピーエックスと対峙した時点で、まんまとバイルの策略にハマっていたと言える。仮にバイルが手を加えなくても、元々倒すつもりで戦っていたので結果は同じになった可能性もある)。
つまり、コピーエックス自身は折角復活させてもらえたと思ったら、都合のいい捨て駒にされていただけだったのである。
そして、コピーエックスという指導者を失ったネオ・アルカディアは皮肉にも「曲がりなりに人間を守ってきた理想郷(ユートピア)」から「人間とレプリロイドの両方を容赦なく弾圧する管理社会(ディストピア)」へと成り下がる事となった。
ちなみにロックマンゼロ3のミニゲーム、「ヒとミズとデンキと」ではコピーエックスを操作することができる(といっても移動はできずその場でショットを放つだけ)。画面右から流れてくる炎、氷、雷のマークを、コピーエックスがはなつ3種類のショットで破壊していくゲームである。
主な能力・技
戦闘時は天使のような翼を持った白いアーマー「アルテミットアーマー」を装着する。
主な技は空中で突進する「ノヴァストライク」、Xインパクトから発する4種類の弾(七色の弾を放つノーマルショット、壁に当たると反射する「アイスショット」、うねるように放たれる「ファイアーショット」、追尾弾や地走り攻撃として使われる「エレキショット」)と、チャージショットを放つ「バスター」、オリジナルエックスは使えなかった本家ロックマンの技「スライディング」、さらに無敵状態になるオーラが立ち昇り、ライフを一度だけ全回復するEX技「レイジングエクスチャージ」等がある。
「シャイニング・トランスフォーム」を起動する事で、天使のような外見をした戦闘形態にもなれる。
獲得能力
リフレクトレーザー(ゼロ3)
バスターショットのEXスキル。
属性チップを装備していない時に最大までチャージしたショットを放つと、壁に当たると反射するレーザーを発射する。
レーザーは最大4回まで反射する。
ロックマンXDiVE
ロックマンゼロイベントにおいてステージボスとして登場。属性変化並びにノヴァストライクと原作同様の攻撃を仕掛けてくる。
そして、2020年11月11日のDiVEフェスにてまさかのプレイアブルキャラ化を達成する。
攻撃スキルはプラズマチャージ、ノヴァストライクとアルティメットアーマーエックスと被っているように見えるがプラズマに関してはスキルで属性を付与することができ、ノヴァストライクのスキルも差別化されており、原作でもあった自動回復機能も備えている。
これまで敵としてのみの登場だったコピーエックスだったがついにプレイヤーに操作できる時が来た。(ロックマンゼロ3のミニゲーム除く)
Xインパクトというコピーエックスのバスターをモチーフにしたバスターが登場する。
漫画
漫画版ではネオ・アルカディア四天王が合体することで誕生する。その容姿はアルテミットアーマーとエンジェルフォームが合わさったような姿になっている。
シアール曰く自身の最高傑作というだけあり最初はゼロを圧倒して変身解除にまで追い込むがリトの命を狙ったことで奮起し再び立ち上がったゼロに倒された。
アーマーの名称について
現在、コピーエックスのアーマーの名称についてネット上では、「アルテミットアーマー」と「アルティメットアーマー」という2つの表記が混在しているが、「アルテミットアーマー」が正である。
元々、コピーエックスのアーマーの名称について唯一表記のある資料はオフィシャルコンプリートワークス40Pに掲載されている中山徹氏による設定画のみであった。それには手書き文字で「アルテミットアーマー」と表記されており、この「アルテミット」の読み間違いが広く浸透してしまった可能性がある。
長らく混乱を生んでいたが、その後配信されたロックマンXDiveのコピーエックスのキャラクター解説にて「アルテミットアーマー」と公式に表記された(元々アルティメットアーマーと表記されていたが修正された)。
ロックマンゼロシリーズは神話からの名前の参照が多くあり、エックスのイレギュラーハンターという立場から狩猟の神であるアルテミスとアルティメットアーマーをかけた名称である説があるがただ単に「ultimate」の表記揺れである可能性もある。
アルティメットアーマーの代名詞の1つであるノヴァストライクも別にアルティメットアーマーでなければ使えないと言う訳でもない。
余談
実は企画段階ではあろうことか、本物のエックスをラスボスにする予定であった。
これについてはロックマンゼロ開発陣の独断と言うわけではなく、『ロックマンX5』の時点で構想があり、そのバッドエンドが伏線となっていた(ヘブンをネオ・アルカディアに結びつけて、ロックマンDASHともリンクさせる意図があったのだろう)。
しかし「進行中のシリーズの主人公をラスボスにするのはさすがにちょっと……」というスタッフの見解により、開発終了間際になって「ラスボスはエックスとは別人のコピー」となった経緯がある。
没になったとはいえ「イレギュラー化の原因は、全てのレプリロイドのオリジナルとなったエックスの自分で考えて行動を決定する機能」つまりエックスが苦悩できることが全ての元凶だったという、あんまりな設定まで考えられていたという……(ロックマンX8を見る限り、あながち間違っていないのだから、皮肉なもんである)。
そのためゼロが作中で使う「俺は悩まない」という決め台詞も意味合いが大きく変わっていたと思われる。
ちなみに自らを英雄とうそぶくコピーエックスに対して、ゼロのボディに収まった人格「オメガ」もまた自らを「救世主(メシア)」と豪語している。
通常形態のグラフィックが顔アイコン・ドットグラフィック・イベントの一枚絵とで全然違う。
顔アイコンはXシリーズにかなり近いデザインのメットとなっている。『DiVE』ではオリジナルデザイン。
担当声優についてはノンクレジット。声付きでは、ゲーム内の戦闘ボイスのほか、CD『リマスタートラック ロックマンゼロ』に収録されたボイスドラマ『シエルズメモリー』にも登場している。後年『ロックマンゼロコレクション』公式サイトにて、実際はゼロと同じ風間氏の声が当てられていたことが判明した(サウンド担当山田一法のコメ参照)。
また戦闘ボイスは、さらに早まわししてゼロ3の改造パンテオンアクアにも使用されている。
ゼロスレではまんま「コピペ」と呼ばれる。やや扱いは不遇。
関連イラスト
関連タグ
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