概要
シリーズとしては初の「プレイステーション2」専用作品。
3人目のヒーロー・アクセルのデビュー作でもある。
…と言えば響きはいいが、
「主役であるはずのエックスがゲーム開始時点では操作不能」
「3D画面の操作が劣悪」
「更に極悪と化したレスキューシステム」
といった複数の要因から、はっきり言ってシリーズ中でもかなり評価が悪い。
また、ロックマンゼロシリーズは本作の前年に開始している。
ストーリー
ナイトメア事件後、人類が安全な地下都市に移り住む中、レプリロイドたちにより荒廃した地上を復興する作業は順調に進んでいた。
しかしその一方で、イレギュラーたちによる犯罪も増加の傾向を辿っていた。
イレギュラーを取り締まる公式組織・イレギュラーハンターで第17精鋭部隊隊長を務めていたエックスは、力でイレギュラーたちを押さえつけることに疑問を感じ、平和的解決の手段を求めて第一線から退いてしまう。
彼の前線離脱によってイレギュラーハンターは弱体化し、それに代わって非合法ながらイレギュラーを倒す自警集団「レッドアラート」が活動を開始。
人々や一般レプリロイドからも一目置かれる程に台頭していた。
ある日、事件現場に急行したイレギュラーハンターのゼロは、大型メカニロイドに追われている少年レプリロイド、アクセルと出会う。
アクセルは「レッドアラートを抜けてきた」と語るが、その真相を深く語ろうとしない。
そこにレッドアラートのリーダー「レッド」から、アクセルの引渡しを求める通信が入ってきた。
ハンターチームはこれを拒否するが、対するレッドはイレギュラーも用いた一斉蜂起を行う。
ゼロは成り行きでアクセルと共に戦うこととなり、レッドアラートとの戦いに身を投じていく。
こうして、アクセルを巡り、「正義」の意味を問う戦いが始まる。
登場キャラクター
イレギュラーハンター
レッドアラート
フレイム・ハイエナード (CV:高木渉)
バニシング・ガンガルン (CV:笠原留美)
トルネード・デボニオン (CV:高木渉)
スプラッシュ・ウオフライ (CV:鈴置洋孝)
ソルジャー・ストンコング (CV:玄田哲章)
ウィンド・カラスティング (CV:森功至)
スナイプ・アリクイック (CV:麦人)
ヘルライド・イノブスキー (CV:玄田哲章)
「2D/3Dシステム」
ステージの進行に合わせて、いつものロックマンらしい2D画面と横移動が可能な新しい3D画面が切り替わるシステム。
新システムとして当時は期待されたが…。
ボス戦はほとんどが3D戦であり、2D戦はオープニングステージのメガ・スコルピオとストンコング、カラスティング、シグマ第一形態のみである。
低評価ポイント
- 2D/3Dシステム
最大の瑕瑾。作品の目玉システムであるが、いざやってみると作品の欠点そのものとなってしまった。
ステージが3D化して情報量が激増したしわ寄せとして、スクロール機能が無く(あってもほんの少ししか動かせない)、死角が多いことで思わぬトラップに遭ったり、仲間を見落としたりすることが頻発した。
それに伴って、ダッシュやジャンプなどの基本動作もスピードが激減。Xシリーズのウリである、広大なステージを超高速で駆け抜けるという楽しみが完全に失われてしまった。
いかにも3Dコースと相性の良さそうなライドチェイサー搭乗シーンも、アイテム収集ノルマが厳しすぎるあまり、ノロノロ徐行してチマチマ拾うのが正解という噴飯もののシーンと成り果てている。
3Dゲームに必須と言えるロックオン機能と視点変更機能も、酷い調整不足の一言で、快適なプレイを阻害している。
これらがよほど不評だったのか、次回作のX8では3Dグラフィックではありつつも、いつもの2Dアクションに戻っている。
- ストーリーが薄い
アクセル加入をメインに置いているため、地球の危機や荒廃した地球の再生等、これまでのシナリオと比べて規模感や重厚さに欠ける。
(アクセルの秘密に関しても本作で明らかになる要素は少なく、現在に至るまでもいまだに謎が多く残されたまま)
主人公であるエックスの性格が、序盤のうちはひどく悲観的なものになっているのも反感を持たれやすい。中盤以降はいつもの彼に戻ってくれるのだが…。
- キャラクターの使いづらさ・バリエーション不足
新登場のアクセルは性能面の個性が薄い。
コピーショット自体チャージしないと使用できず、コピー能力もは汎用性に乏しいせいでアイテム回収とレスキュー程度にしか使われない(おまけにエックスのチャージショットほどの威力はない)。
ホバリングや無敵性能を備えたローリングなど独自の要素はあるものの、装備が揃わない序盤では劣化版エックスなどと呼ばれてしまっているのが実情(ただし装備が揃えば使える専用銃によって攻撃性能は補える上に差別化に関してもX8では手が加えられ、独自性が増している)
ゼロのゼットセイバーは攻撃モーションの隙が大きく、前作までと比べて使いづらくなっている。
上述通りエックスはストーリーの関係上最初は使用不可で、一定の条件を満たさないと使用できない。
(アーマーもグライドアーマー1種のみ)
おまけにX4から続いていた隠し要素(アルティメットアーマー、ブラックゼロが出現する隠しコマンド、隠しボス等)がない。
- あまりに長いラスボスステージ
レッド→復活8ボス(2パターンに分岐している)→いつものアイツと、これまでは複数に分かれていたステージを一つにまとめてしまっている。
前作とはまた違った形で、慣れていない人をとことん泣かせる内容である。
これらの評価が合わさった結果、クソゲーと呼ばれる一因となってしまった。
高評価ポイント
- 新キャラクター
新主人公のアクセルはエックスともゼロとも全く違うヒーロー像を作ることに成功し、好意的に迎えられた。
声優もその幼さとニヒルさを併せ持ったキャラクター性にマッチしている。
8ボスの人格面もXシリーズ随一の作り込みが成されており、勝負前の開始デモも評価が高い。
一周目はアクセルやゼロに余裕を持って対話していたキャラが、ニ周目にエックスで話しかけるころにはイレギュラー化が進行して狂っているなど、ぞっとするシーンも。
特定のキャラにだけ真意を明かしてくれるボスなどもおり、ごく短い会話の中でもキャラクターが掘り下げられている。
- BGM
効果音の最適化が行われておらず酷評を受ける一方、ステージやボス戦のBGMは評価が高い。
主題歌も、歌詞・メロディともに作品の雰囲気にマッチしていて好評である。
もっともこの「音楽がいい」はクソゲーあるあるなのだが…。
- 3Dグラフィック
劣悪な操作性とモッサリした動作のために欠点として語られることの多い3Dグラフィックだが、冷静にその映像クオリティだけを見れば、非常に上質である。
ムービーシーンにもかなり力が入っており、会社としても潤沢な予算を注いで作っていたことがわかる。
つくづくゲーム面での調整不足が悔やまれる。
- ファンサービス
初代Xのオープニングステージ3D化に始まり、思わずニヤリとする旧作オマージュがふんだんに盛り込まれており、シリーズファンなら純粋に嬉しい箇所。
また、一部ボスとの会話シーンやエンディング等で『ロックマンゼロ』に繋がると思われる個所も存在しているため、そちらも決して見落とせない内容となっている。
小話
- 本作からゼロがZセイバー以外の近接格闘武器を使用できるようになり、次回作のX8でも追加されている。
ただしその影響か、Zセイバー自体の性能は大幅に劣化してしまっている。ナゼダァ・・・・
ただしX7の使い勝手の良い技のほとんどはセイバーで使う上に一部の弾を跳ね返せる上に初撃の攻撃力が高いので一撃離脱を意識し、豊富な遠距離攻撃を使いこなせるようになれば3人の中で安定した強さを発揮する(特に本作のエックスとアクセルの特殊武器は燃費が悪く低威力な物が大半を占めており、そのエネルギー切れをほとんど気にしなくていいのはボス戦では頼りになる)。
寧ろセイバーの弱体化が深刻なのはヒットストップが無くなった影響をもろに受けているX8だろう。
- 前作まではワイリーの存在をちらつかせる描写があったが、本作を境になくなっている。
- 終盤のシグマのセリフである「何度でも、何度でも、な・ん・ど・で・も!蘇ってやる!!」はファンの間では最早ネタとして定着している。
- 評価の低さが響いているのか、2018年に『ロックマンX アニバーサリー コレクション2』で移植されるまで、シリーズ中唯一ゲームアーカイブスで配信されていなかった。
- 次回作のX8は本作の反省を活かした改善(エックスの主人公復帰と性格改善・2Dアクションへの回帰・キャラ性能の向上、等)を加えた結果現在でも良作と評価されており、また外伝のコマンドミッションも新機軸のRPGとして今も語られている一方で上記2作も売り上げはあまり振るわなかったらしく、これ以後アニバーサリコレクションを除くと2020年の[ロックマンXDiVE]まで何の動きも無かったことから、本作は「Xシリーズ休止の決定打ではないか」とささやかれる事もあるのだとか。
- エックスを演じる森久保氏とシグナスを演じるの鈴置氏は、本作がシリーズ最後の出演作となった。
- 良い部分があるにはあるのだが3Dのノウハウが全く足りていない上にゲームの基礎部分(SEが小さかったり、テキストも遅かったり)も悪く、良い部分を埋め尽くしている。
関連動画
オープニングアニメ
オープニング曲は、かつて『名探偵コナン』のオープニングも担当していた愛内里菜氏の
『CODE CRUSH』。